この節では、Sun Cluster ソフトウェアのインストールと構成の計画と、以下のコンポーネントの準備について説明します。
Sun Cluster コンポーネントの詳細については、『Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』と『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』を参照してください。
ソフトウェアのインストールを開始する前に、必要なすべてのライセンス証明書を用意しておきます。Sun Cluster ソフトウェアにはライセンス証明書は必要ありませんが、Sun Cluster ソフトウェアがインストールされる各ノードが、Sun Cluster ソフトウェア使用許諾契約書に準拠している必要があります。
ボリューム管理ソフトウェアやアプリケーションソフトウェアのライセンス必要条件については、該当する製品のインストールマニュアルを参照してください。
各ソフトウェア製品をインストールした後に、必要なパッチもインストールする必要があります。
必須パッチの最新リストについては、『Sun Cluster 3.1 8/05 ご使用にあたって (Solaris OS 版)』の「パッチと必須ファームウェアのレベル」を参照するか、ご購入先にお問い合わせください。
パッチを適用するうえでの一般的なガイドラインと手順については、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』の第 8 章「Sun Cluster ソフトウェアとファームウェアのパッチ」を参照してください。
クラスタ構成によっては、Sun Cluster のさまざまなコンポーネントに多数の IP アドレスを設定する必要があります。クラスタ構成内の各ノードには、サブネットの同じセットのパブリックネットワーク接続が少なくとも 1 つ必要です。
次の表に、IP アドレスの割り当てが必要なコンポーネントの一覧を示します。これらの IP アドレスを次の場所に追加してください。
使用する任意のネームサービス
各クラスタノードのローカル /etc/inet/hosts ファイル (Solaris ソフトウェアをインストールしたあと)
Solaris 10 の場合、各クラスタノードのローカル /etc/inet/iphosts ファイル (Solaris ソフトウェアをインストールしたあと)
IP アドレスの計画の詳細については、『Solaris のシステム管理 (第 3 巻)』(Solaris 8) または『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』 (Solaris 9 または Solaris 10) を参照してください。
IP ネットワークマルチパス をサポートするテスト IP アドレスの詳細については、『IP ネットワークマルチパスの管理』を参照してください。
すべてのクラスタノードにはコンソールアクセスが必要です。クラスタコントロールパネル (CCP) ソフトウェアを管理コンソールにインストールする場合、クラスタノードと通信するために使用されるコンソールアクセスデバイスのホスト名を提供する必要があります。
管理コンソールとクラスタノードコンソール間の通信には、端末集配信装置 (コンセントレータ) を使用します。
Sun Enterprise 10000 サーバーは、端末集配信装置の代わりにシステムサービスプロセッサ (SSP) を使用します。
Sun FireTM サーバは、端末集配信装置の代わりにシステムコントローラを使用します。
コンソールアクセスの詳細については、『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』を参照してください。
論理アドレスを計画する際は、次の点を考慮してください。
論理アドレスを使用する各データサービスリソースグループには、論理アドレスへのアクセス元となる各パブリックネットワークに指定されているホスト名を設定する必要があります。
IP アドレスは、論理アドレスをホストしている IP ネットワークマルチパス グループが使用するテスト IP アドレスと同じサブネット上にある必要があります。
詳細については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』を参照してください。データサービスとリソースの詳細については、『Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』と『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』も参照してください。
パブリックネットワークはクラスタの外部と通信します。パブリックネットワーク構成を計画する際は、次のことを考慮してください。
パブリックネットワークとプライベートネットワーク (クラスタインターコネクト) には、別のアダプタを使用するか、または、タグ付き VLAN 可能なアダプタと VLAN 可能なスイッチにタグ付き VLAN を構成して、プライベートインターコネクトとパブリックネットワークの両方で同じアダプタを使用できるようにする必要があります。
すべてのクラスタノードに接続されているパブリックネットワークが少なくとも 1 つ存在する必要があります。
Sun Cluster ソフトウェアは、パブリックネットワーク上の IPv4 アドレスをサポートします。
Sun Cluster ソフトウェアは、パブリックネットワーク上の IPv6 アドレスをサポートします (ただし、次の条件または制限があります)。
プライベートインターコネクトが SCI アダプタを使用する場合、Sun Cluster ソフトウェアは、パブリックネットワーク上の IPv6 アドレスをサポートしません。
Solaris 9 OS と Solaris 10 OS の場合、Sun Cluster ソフトウェアはフェイルオーバーとスケーラブルの両方のデータサービスで IPv6 アドレスをサポートします。
Solaris 8 OS の場合、Sun Cluster ソフトウェアはフェイルオーバーデータサービスだけで IPv6 アドレスをサポートします。
各パブリックネットワークアダプタは IP ネットワークマルチパス (IP ネットワークマルチパス) グループに属する必要があります。詳細なガイドラインについては、「IP ネットワークマルチパスグループ」を参照してください。
すべてのパブリックネットワークアダプタは、ローカル MAC アドレス割り当てをサポートするネットワークインタフェースカード (NIC) を使用する必要があります。ローカル MAC アドレス割り当ては、IP ネットワークマルチパス の要件です。
local-mac-address? 変数は、イーサネットアダプタのデフォルト値 true を使用する必要があります。Sun Cluster ソフトウェアは、イーサネットアダプタの local-mac-address? の値として false をサポートしません。この必要条件は、local-mac-address? の値として false を必要とした Sun Cluster 3.0 から変更されています。
Sun Cluster の Solaris 9 または Solaris 10 OS へのインストールの際、scinstall ユーティリティーは、各パブリックネットワークアダプタに対して単一アダプタ IP ネットワークマルチパス グループを自動的に構成します。これらのバックアップグループをインストール後に修正するには、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』(Solaris9 または Solaris 10) の「IPMP の管理 (手順)」で説明されている手順を実行します。
Sun Cluster 構成は、Solaris IP Filter によるフィルタリングをサポートしません。
パブリックネットワークアダプタのバックアップグループの計画のガイドラインについては、「IP ネットワークマルチパスグループ」を参照してください。パブリックネットワークインタフェースの詳細については、『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』を参照してください。
「パブリックネットワークのワークシート」に次の計画情報を追加してください。
ネットワークアダプタフェイルオーバー (NAFO) グループに代わるインターネットプロトコル (IP) ネットワークマルチパスグループは、パブリックネットワークアダプタの監視とフェイルオーバーを提供し、 ネットワークアドレスリソースの基盤構造です。マルチパスグループは、 2 つ以上のアダプタで構成されている場合に、高い可用性を提供します。1 つのアダプタで障害が発生しても、障害のあるアダプタ上のすべてのアドレスが、マルチパスグループ内の別のアダプタにフェイルオーバーされるからです。このようにして、マルチパスグループのアダプタは、マルチパスグループ内のアダプタが接続するサブネットへのパブリックネットワーク接続を維持します。
次のような状況では、Sun Cluster ソフトウェアをインストールする際に、IP ネットワークマルチパス グループを手作業で構成する必要があります。
Sun Cluster ソフトウェアを Solaris 8 OS にインストールする場合は、IP ネットワークマルチパス グループ内のすべてのパブリックネットワークアダプタを、テスト IP アドレスを使用して、手作業で構成する必要があります。
SunPlex Installer を使用して Sun Cluster ソフトウェアを Solaris 9 または Solaris 10 OS にインストールする場合、いくつか (すべてではない) のパブリックネットワークアダプタを手作業で IP ネットワークマルチパス グループに構成する必要があります。
Sun Cluster ソフトウェアを Solaris 9 または Solaris 10 OS にインストールする場合、SunPlex Installer を使用する場合を除いて、scinstall ユーティリティーはすべてのパブリックネットワークアダプタを自動的に、単一アダプタ IP ネットワークマルチパス グループとして構成します。
マルチパスグループを計画する際は、次の点を考慮してください。
各パブリックネットワークアダプタは、マルチパスグループに属している必要があります。
次の種類のマルチパスグループでは、グループ内の各アダプタにテスト IP アドレスを設定する必要があります。
Solaris 8 OS では、すべてのマルチパスグループで、各アダプタにテスト IP アドレスを設定する必要があります。
Solaris 9 または Solaris 10 OS では、複数のアダプタがあるマルチパスグループでは、(各アダプタに) テスト IP アドレスを設定する必要があります。マルチパスグループにアダプタが 1 つしかない場合は、テスト IP アドレスを設定する必要はありません。
同一マルチパスグループ内のすべてのアダプタ用のテスト IP アドレスは、単一の IP サブネットに属する必要があります。
テスト IP アドレスは高可用性ではないため、通常のアプリケーションでは使用しないようにします。
/etc/default/mpathd ファイルで、TRACK_INTERFACES_ONLY_WITH_GROUPS の値は yes でなければなりません。
マルチパスグループの名前に、必要条件はありません。
IP ネットワークマルチパス 用の Solaris ドキュメントに示されている手続き、ガイドライン、および制限事項のほとんどは、クラスタ環境と非クラスタ環境のどちらであるかにかかわらず同じです。したがって、IP ネットワークマルチパス については、適切な Solaris ドキュメントを参照してください。
Solaris 8 OS の場合は、『IP ネットワークマルチパスの管理』の「ネットワークマルチパスの管理」を参照してください。
Solaris 9 OS の場合は、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の第 28 章「IP ネットワークマルチパスの管理 (手順)」を参照してください。
Solaris 10 OS の場合は、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の第 30 章「IPMP の管理 (手順)」を参照してください。
また、『Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』の「IP ネットワークマルチパスグループ」と『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』も参照してください。
Sun Cluster 構成で NFS (Network File System) を使用する場合は、次の点に注意してください。
Sun Cluster ノードは、同じクラスタ内のノード上でマスターされて Sun Cluster HA for NFS でエクスポートされるファイルシステムの NFS クライアントになることはできません。このような Sun Cluster HA for NFS のクロスマウントは禁止されています。クラスタノード間でファイルを共有するときは、クラスタファイルシステムを使用してください。
クラスタ上でローカルに動作しているアプリケーションは、NFS 経由でエクスポートされているファイルシステム上にあるファイルをロックしてはいけません。このようなファイルをロックすると、ローカルのブロック (たとえば、flock(3UCB) や fcntl(2)) によって、ロックマネージャー (lockd(1M)) が再起動できなくなる可能性があります。再起動中、リモートクライアントの再要求によって、ブロックされているローカルのプロセスがロックされる可能性があります。これにより、予期せぬ動作が発生する可能性があります。
Sun Cluster ソフトウェアは、share_nfs(1M) コマンドの次のオプションをサポートしません。
secure
sec=dh
しかし、Sun Cluster ソフトウェアは、NFS の次のセキュリティー機能をサポートします。
NFS のセキュアポートの使用。 NFS のセキュアポートを有効にするには、クラスタノード上の /etc/system ファイルにエントリ nfssrv:nfs_portmon=1 を追加します。
NFS による Kerberos の使用。詳細については、『Sun Cluster Data Service for Network File System (NFS) ガイド (Solaris OS 版)』の「Kerberos V5 を使用した Sun Cluster HA for NFS の保護」を参照してください。
Sun Cluster 構成の以下のサービスの制限を守ってください。
クラスタノードをルーター(ゲートウェイ)として構成しないでください。システムがダウンした際にクライアントが代替ルーターを探すことができず、回復できません。
クラスタノードを NIS または NIS+ サーバとして構成しないでください。NIS または NIS+ 用に使用できるデータサービスはありません。ただしクラスタノードを NIS や NIS+ のクライアントにすることは可能です。
Sun Cluster を高可用性起動の提供や、クライアントシステムへのサービスのインストールを行うように構成しないでください。
RPC サービスをクラスタ上にインストールする場合、このサービスでは以下のプログラム番号を使用しないでください。
100141
100142
100248
これらの番号は、Sun Cluster デーモン rgmd_receptionist 、fed、および pmfd 用に予約されています。
これらのプログラム番号を使用する RPC サービスをインストールした場合は、別のプログラム番号を使用するように変更する必要があります。
Sun Cluster ソフトウェアは、クラスタノード上でクラスをスケジューリングする優先度の高いプロセスの実行をサポートしません。クラスタノード上で以下のいずれかの種類のプロセスを実行しないでください。
優先度の高いタイムシェアリングスケジューリングクラスで実行されるプロセス
リアルタイムスケジューリングクラスで実行されるプロセス
Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアでは、リアルタイムスケジューリングクラスを必要としないカーネルスレッドが使用されます。通常以上の優先度で動作するタイムシェアリングプロセスや、リアルタイムプロセスがあると、Sun Cluster カーネルスレッドが必要とする CPU サイクルがそれらのプロセスによって奪われることがあります。
この節では、構成する Sun Cluster コンポーネントのガイドラインについて説明します。
適切な構成計画ワークシートに、次の情報を追加してください。
クラスタ名は、Sun Cluster の構成の際に指定します。クラスタ名は、インストール環境全体で一意にする必要があります。
ノード名とは、Solaris OS のインストール中にマシンに割り当てる名前のことです。Sun Cluster の構成中に、クラスタとしてインストールするすべてのノード名を指定します。単一ノードのクラスタインストールでは、デフォルトのクラスタ名はノード名になります。
単一ノードのクラスタの場合、プライベートネットワークを構成する必要はありません。
Sun Cluster ソフトウェアは、ノード間の内部通信にプライベートネットワークを使用します。Sun Cluster 構成では、プライベートネットワーク上のクラスタインターコネクトへの接続が少なくとも 2 つ必要です。クラスタの最初のノードに Sun Cluster ソフトウェアを構成するときに、プライベートネットワークアドレスとネットマスクを指定します。デフォルトのプライベートネットワークアドレス (172.16.0.0) とネットマスク (255.255.0.0) をそのまま使用しても、別のプライベートネットワークアドレスとネットマスクを入力してもかまいません。
インストールユーティリティー (scinstall、SunPlex Installer または JumpStart) が処理を完了し、クラスタを確立した後で、プライベートネットワークアドレスとネットマスクを変更することはできません。別のプライベートネットワークアドレスとネットマスクを使用するには、クラスタソフトウェアをいったんアンインストール後、再インストールしてください。
デフォルト以外のプライベートネットワークアドレスを指定する場合は、アドレスは次の条件を満たす必要があります。
デフォルトのアドレス 172.16.0.0 と同じように、アドレスの最後の 2 つのオクテットに 0 を使用する必要があります。Sun Cluster ソフトウェアは、最後にソフトウェア自身が使用する 16 ビットのアドレス空間が必要です。
アドレスは、RFC 1918 がプライベートネットワークで使用するために予約しているアドレスのブロックに含まれる必要があります。InterNIC に問い合わせて RFC のコピーを入手するか、http://www.rfcs.org でオンラインで RFC を表示できます。
複数のクラスタ上で同じプライベートネットワークアドレスを使用できます。プライベート IP ネットワークアドレスは、クラスタ外からはアクセスできません。
Sun Cluster ソフトウェアは、プライベートインターコネクト用の IPv6 アドレスをサポートしません。IPv6 アドレスを使用するスケーラブルサービスをサポートするために、システムはプライベートネットワークアダプタ上で IPv6 アドレスを構成します。しかし、これらの IPv6 アドレスは、プライベートネットワークでのノード間通信では使用されません。
プライベートネットワークの詳細については、『Solaris のシステム管理 (第 3 巻)』(Solaris 8) の「TCP/IP ネットワークの計画」または『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』(Solaris 9 または Solaris 10) の「TCP/IP ネットワークの計画 (手順)」を参照してください。
プライベートホスト名とは、プライベートネットワークインタフェースを介したノード間の通信に使用される名前のことです。プライベートホスト名は、Sun Cluster の構成中に自動的に作成されます。これらのプライベートホスト名は、clusternodenodeid -priv という命名規則に従います (nodeid は、内部ノード ID の数値です)。ノード ID 番号は、Sun Cluster の構成中に各ノードがクラスタメンバーとなる際に、自動的に各ノードに割り当てられます。クラスタの構成後に、scsetup(1M) ユーティリティーを使用してプライベートホスト名を変更できます。
単一ノードのクラスタの場合、クラスタインターコネクトを構成する必要はありません。ただし、単一ノードのクラスタ構成に後でノードを追加する可能性がある場合は、将来の使用のためにクラスタインターコネクトを構成することもできます。
クラスタインターコネクトは、クラスタノード間のプライベートネットワーク通信にハードウェアパスを提供します。各インターコネクトは、次のいずれかの方法で接続されるケーブルで構成されます。
2 つのトランスポートアダプタの間
トランスポートアダプタとトランスポート接続点の間
2 つのトランスポート接続点の間
Sun Cluster の構成中に、2 つのクラスタインターコネクトに対して以下の構成情報を指定します。クラスタの確立後に、scsetup(1M) ユーティリティーを使用して、追加のプライベートネットワーク接続を構成できます。
クラスタインターコネクトハードウェアのガイドラインについては、『Sun Cluster 3.0-3.1 Hardware Administration Manual for Solaris OS』の「Interconnect Requirements and Restrictions」を参照してください。クラスタインターコネクトの一般的な情報については、『Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』の「クラスタインターコネクト」と『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』を参照してください。
ネットワークインタフェースのポートなどのトランスポートアダプタ用に、トランスポートアダプタ名とトランスポートの種類を指定します。構成が 2 ノードクラスタの場合は、インターコネクトを直接接続 (アダプタからアダプタ) するか、トランスポート接続点を使用するかも指定します。
以下のガイドラインと制限を考慮してください。
IPv6 - Sun Cluster ソフトウェアは、プライベートインターコネクト経由の IPv6 通信をサポートしません。
ローカル MAC アドレスの割り当て - すべてのプライベートネットワークアダプタは、ローカル MAC アドレスの割り当てをサポートするネットワークインタフェースカード (NIC) を使用する必要があります。リンクローカル IPv6 アドレスは IPv6 パブリックネットワークアドレスをサポートするためにプライベートネットワークアダプタに必要なものですが、このアドレスはローカル MAC アドレスから導き出されます。
タグ付き VLAN アダプタ – Sun Cluster ソフトウェアは、プライベートインターコネクトとパブリックネットワーク間で 1 つのアダプタを共有するために、タグ付き VLAN (Virtual Local Area Network) をサポートします。プライベートインターコネクト用にタグ付き VLAN アダプタを構成するには、次のうちの 1 つの方法を使用して、アダプタ名とその VLAN ID (VID) を指定します。
通常のアダプタ名 (デバイス名 + インスタンス番号または物理接続点 (PPA) を指定します。たとえば、Cassini Gigabit Ethernet アダプタのインスタンス 2 の名前は ce2 になります。scinstall ユーティリティーで「このアダプタが共有仮想 LAN の一部であるかどうか」をたずねられた場合は、yes と答えて、そのアダプタの VID 番号を指定します。
アダプタの VLAN 仮想デバイス名を指定します。この名前は、アダプタ名 + VLAN インスタンス番号です。VLAN インスタンス番号は、公式 (1000*V)+N から導き出されます (V は VID 番号、N は PPA です)。
たとえば、アダプタ ce2 上の VID 73 の場合、VLAN インスタンス番号は (1000*73)+2 として計算されます。したがって、このアダプタ名を ce73002 と指定して、共有仮想 LAN の一部であることを示します。
VLAN の詳細については、『Solaris 9 9/04 Sun Hardware Platform Guide』の「Configuring VLANs」を参照してください。
SBus SCI アダプタ – SBus Scalable Coherent Interface (SCI) は、クラスタインターコネクトとしてはサポートされていません。ただし、SCI–PCI インタフェースはサポートされています。
論理ネットワークインタフェース - 論理ネットワークインタフェースは、Sun Cluster ソフトウェアで使用するために予約されています。
特定のトランスポートアダプタに関する詳細については、scconf_trans_adap_*(1M) のマニュアルページを参照してください。
ネットワークスイッチなどのトランスポート接続点を使用する場合は、各インターコネクトのトランスポート接続点名を指定します。デフォルト名の switchN (N は、構成中に自動的に割り当てられた数) を使用するか、他の名前を作成します。例外は Sun Fire Link アダプタで、このアダプタでは、接続点名 sw-rsm N を使用する必要があります。Sun Fire Link アダプタを指定したあと、scinstall ユーティリティーは自動的に、この接続点名を使用します (wrsmN)。
また、接続点のポート名を指定するか、デフォルト名をそのまま使用します。デフォルトのポート名は、ケーブルのアダプタ側が接続されているノードの内部ノード ID 番号と同じです。ただし、SCI-PCI などの特定の種類のアダプタではデフォルトのポート名は使用できません。
3 つ以上のノードを持つクラスタでは、必ずトランスポート接続点を使用してください。クラスタノード間の直接接続は、2 ノードクラスタの場合だけサポートされています。
2 ノードクラスタが直接接続されている場合でも、インターコネクトのトランスポート接続点を指定できます。
トランスポート接続点を指定すると、その後クラスタに別のノードを追加しやすくなります。
Sun Cluster 構成では、定足数 (quorum) デバイスを使用して、データとリソースの整合性を保持します。クラスタがノードとの接続を一時的に失っても、定足数デバイスによって、クラスタノードがクラスタに再結合しようとしたときの amnesia や split-brain といった問題を防止できます。2 ノードクラスタの Sun Cluster インストール中、scinstall ユーティリティーは自動的に定足数デバイスを構成します。定足数デバイスは利用可能な共有ストレージディスクから選択されます。scinstall ユーティリティーは、利用可能なすべての共有記憶ディスクについて、定足数デバイスとしてサポートされていると仮定します。インストール後は、 scsetup(1M) ユーティリティーを使用して、定足数デバイスを追加で構成することもできます。
単一ノードのクラスタの場合、定足数 (quorum) を構成する必要はありません。
クラスタ構成に Sun 以外の共有記憶装置が含まれており、その記憶装置の定足数デバイスとしての使用がサポートされていない場合、scsetup ユーティリティーを使用して、定足数を手作業で構成する必要があります。
定足数デバイスを計画する際は、次の点を考慮してください。
最小数 – 2 ノードクラスタは、少なくとも 1 つの定足数デバイスを持つ必要があり、この定足数デバイスは、共有ディスクでも Network Appliance NAS デバイスでもかまいません。その他のトポロジの場合は、定足数デバイスはオプションです。
奇数の規則 – 複数の定足数デバイスが、2 ノードクラスタ (つまり、定足数デバイスに直接接続されているノードのペア) で構成されている場合、奇数個の定足数デバイスを構成します。このように構成することで、定足数デバイスが完全に独立した障害パスを持つようになります。
接続 – 定足数デバイスは 2 つ以上のノードに接続する必要があります。
定足数デバイスの詳細については、『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』の「定足数と定足数デバイス」と『Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』の「定足数デバイス」を参照してください。