Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)

第 1 章 Sun Cluster 構成の計画

この章では、Sun Cluster をインストールする際の計画情報とガイドラインについて説明します。

この章の内容は、次のとおりです。

Sun Cluster インストール作業の参照箇所

次の表は、Sun Cluster ソフトウェアのインストール作業手順の参照箇所です。

表 1–1 Sun Cluster ソフトウェアのインストール作業の参照箇所

作業 

参照先 

クラスタハードウェアの設定 

『Sun Cluster 3.0-3.1 Hardware Administration Manual for Solaris OS』

サーバーや記憶装置に付属しているマニュアル 

クラスタソフトウェアのインストールの計画 

第 1 章「Sun Cluster 構成の計画」

「インストールと構成のワークシート」

ソフトウェアパッケージのインストール。(任意) Sun StorEdge QFSSunStorEdgeQFS ソフトウェアのインストールと構成 

「ソフトウェアのインストール」

Sun StorEdge QFS and Sun StorEdge SAM-FS Software Installation and Configuration Guide

新しいクラスタまたは新しいクラスタノードの確立 

「クラスタの確立」

Solstice DiskSuiteTM または Solaris ボリュームマネージャー ソフトウェアのインストールと構成

「Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager ソフトウェアのインストールと構成」

Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager のマニュアル 

SPARC: VERITAS Volume Manager (VxVM) ソフトウェアのインストールと構成 

「SPARC: VxVM ソフトウェアのインストールと構成」

VxVM のマニュアル 

クラスタファイルシステムとその他のクラスタコンポーネントの構成 

「クラスタの構成」

(任意) SPARC:Sun Cluster モジュールの Sun Management Center へのインストールと構成 

「SPARC: Sun Management Center 用の Sun Cluster モジュールのインストール」

Sun Management Center のマニュアル 

リソースグループとデータサービスの計画、インストール、構成 

『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』

カスタムデータサービスの開発 

『Sun Cluster データサービス開発ガイド (Solaris OS 版)』

Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアにアップグレードします。 

第 5 章「Sun Cluster ソフトウェアのアップグレード」

「Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager ソフトウェアのインストールと構成」または「SPARC: VxVM ソフトウェアのインストールと構成」

ボリューム管理ソフトウェアのマニュアル 

Solaris OS の計画

この節では、クラスタ環境への Solaris ソフトウェアのインストールを計画するうえでのガイドラインを説明します。Solaris ソフトウェアの詳細については、Solaris のインストールマニュアルを参照してください。

Solaris のインストール方法を選択する際のガイドライン

Solaris ソフトウェアは、ローカルの CD-ROM から、あるいはJumpStartTM によるインストール方法でネットワークインストールサーバーからインストールできます。また Sun Cluster では、JumpStart インストール方法を使用して、Solaris OS と Sun Cluster ソフトウェアを同時にインストールするカスタマイズ方法もあります。複数のクラスタノードをインストールする場合は、ネットワークインストールを検討してください。

scinstall JumpStart インストール方法の詳細については、「Solaris と Sun Cluster ソフトウェアをインストールする (JumpStart)」を参照してください。Solaris の標準的なインストール方法の詳細については、Solaris のインストールマニュアルを参照してください。

Solaris OS の機能制限

Solaris OS の以下の機能は、Sun Cluster 構成ではサポートされません。

Solaris ソフトウェアグループについて

Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアには少なくとも End User Solaris ソフトウェアグループが必要です。ただし、クラスタ構成の他のコンポーネントによっては、独自の Solaris ソフトウェアが必要となる場合があります。どの Solaris ソフトウェアグループをインストールするかを決定する際には、次の点を考慮してください。


ヒント –

Solaris ソフトウェアパッケージを手動でインストールしなくてすむように Entire Solaris Software Group Plus OEM Support をインストールしてください。


システムディスクパーティション

適切な 「ローカルファイルシステム配置のワークシート」に、次の情報を追加してください。

Solaris OS をインストールするときは、必要な Sun Cluster パーティションを作成し、すべてのパーティションが各領域の最小必要条件を満たすようにします。

Solaris OS を対話的にインストールする場合は、上記の必要条件を満たすためにパーティションをカスタマイズする必要があります。

追加のパーティションを計画する際の情報については、次のガイドラインを参照してください。

ルート (/) ファイルシステムのガイドライン

Solaris OS を実行するほかのシステムと同様、ルート (/)、/var/usr/opt の各ディレクトリは、別個のファイルシステムとして構成できます。または、ルート (/) ファイルシステムにすべてのディレクトリを含めることもできます。次に、Sun Cluster 構成でのルート (/), /var, /usr/opt の各ディレクトリのソフトウェアの内容を示します。パーティション分割案を計画するときは、次の情報を検討してください。

/globaldevices ファイルシステムのガイドライン

Sun Cluster ソフトウェアでは、広域デバイスの管理に使用するローカルディスクのいずれかに、特殊なファイルシステムを別途用意しておく必要があります。このファイルシステムは、後にクラスタファイルシステムとしてマウントされます。このファイルシステムには、scinstall(1M) コマンドで認識されるデフォルトの名前 /globaldevices を付けます。

scinstall コマンドは、あとでファイルシステム /global/.devices/node@nodeid の名前を変更します。 ここで、nodeid は、クラスタメンバーになったときにノードに割り当てられる番号を表します。元の /globaldevices マウントポイントは、削除されます。

/globaldevices ファイルシステムには、ブロック特殊デバイスと文字特殊デバイスの両方を作成するための十分な領域と十分な i ノード容量が必要です。このガイドラインは、クラスタ内に多数のディスクがある場合に、特に重要です。通常のクラスタ構成の場合、ファイルシステムのサイズは 512M バイトで十分です。

ボリューム管理ソフトウェアの必要条件

Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager ソフトウェアを使用する場合、状態データベースの複製の作成に使用できるように、ルートディスク上にスライスを別途用意しておく必要があります。つまり、各ローカルディスク上に、複製のためのスライスを別に用意します。ただし 1 つのノードにローカルディスクが 1 つしかない場合は、Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager ソフトウェアが正しく動作するように、同じスライス内に 3 つの状態データベースの複製を作成する必要が生じることがあります。詳細については、Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager のマニュアルを参照してください。

SPARC: VxVM (VxVM) を使用しており、ルートディスクをカプセル化する予定の場合は、VxVM で使用できるように、2 つの未使用スライスを用意します。さらに、ディスクの始点または終点に若干の割り当てられていない空き領域が必要になります。ルートディスクのカプセル化については、VxVM のマニュアルを参照してください。

例 — ファイルシステムの割り当て

表 1–2 に、750M バイト未満の物理メモリーを持つクラスタノードのパーティション分割案を示します。この案では、End User Solaris ソフトウェアグループ、Sun Cluster ソフトウェア、および Sun Cluster HA for NFS データサービスをインストールします。ディスク上の最後のスライスであるスライス 7 には、ボリューム管理ソフトウェア用に若干の量を割り当てます。

この配置は、Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager ソフトウェアまたは VxVM ソフトウェアの使用を意図したものです。Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager ソフトウェアを使用する場合は、状態データーベースの複製用にスライス 7 を使用します。VxVM を使用する場合は、スライスに 0 の長さを割り当てることで、後でスライス 7 を解放できます。この配置によって 必要な 2 つの空きスライス 4 と 7 が確保され、ディスクの終端に未使用領域が確保されます。

表 1–2 ファイルシステム割り当ての例

スライス 

内容 

割り当てサイズ 

説明 

/

6.75GB 

スライス 1 から 7 にディスク容量を割り当てた後の、残りの空き容量。Solaris OS、Sun Cluster ソフトウェア、データサービスソフトウェア、ボリューム管理ソフトウェア、Sun Management Center エージェントおよび Sun Cluster モジュールエージェントパッケージ、ルートファイルシステム、データーベースおよびアプリケーションソフトウェアに使用します。 

swap

1GB 

512M バイト - Solaris OS 用 

512M バイト - Sun Cluster ソフトウェア用 

オーバーラップ 

8.43GB 

ディスク全体 

/globaldevices

512MB 

このスライスは、Sun Cluster ソフトウェアによって後で別のマウントポイントに割り当てられ、クラスタファイルシステムとしてマウントします。 

未使用 

VxVM でルートディスクをカプセル化するための空きスライスとして確保します。 

未使用 

未使用 

ボリューム管理ソフトウェア 

20MB 

Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager ソフトウェアにより状態データベースの複製用に使用するか、VxVM によりスライス解放後のインストールに使用します。 

Sun Cluster 環境の計画

この節では、Sun Cluster ソフトウェアのインストールと構成の計画と、以下のコンポーネントの準備について説明します。

Sun Cluster コンポーネントの詳細については、『Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』を参照してください。

ライセンス

ソフトウェアのインストールを開始する前に、必要なすべてのライセンス証明書を用意しておきます。Sun Cluster ソフトウェアにはライセンス証明書は必要ありませんが、Sun Cluster ソフトウェアがインストールされる各ノードが、Sun Cluster ソフトウェア使用許諾契約書に準拠している必要があります。

ボリューム管理ソフトウェアやアプリケーションソフトウェアのライセンス必要条件については、該当する製品のインストールマニュアルを参照してください。

ソフトウェアパッチ

各ソフトウェア製品をインストールした後に、必要なパッチもインストールする必要があります。

IP アドレス

クラスタ構成によっては、Sun Cluster のさまざまなコンポーネントに多数の IP アドレスを設定する必要があります。クラスタ構成内の各ノードには、サブネットの同じセットのパブリックネットワーク接続が少なくとも 1 つ必要です。

次の表に、IP アドレスの割り当てが必要なコンポーネントの一覧を示します。これらの IP アドレスを次の場所に追加してください。

表 1–3 IP アドレスを使用する Sun Cluster コンポーネント

構成要素 

必要な IP アドレス 

管理コンソール

サブネットごとに 1 つ 

IP ネットワークマルチパス グループ

 

  • 単一アダプタグループ – 1 つのプライマリ IP アドレスSolaris 8 の場合、グループ内のアダプタごとに 1 つのテスト IP アドレス

  • 複数のアダプタグループ – グループ内のアダプタごとに 1 つのプライマリ IP アドレスと 1 つのテスト IP アドレス

クラスタノード 

サブネットごとのノードあたり 1 つ 

ドメインコンソールネットワークインタフェース (Sun FireTM 15000)

ドメインごとに 1 つ 

コンソールアクセスデバイス

1. 

論理アドレス 

サブネットごとの論理ホストリソースあたり 1 つ 

IP アドレスの計画の詳細については、『Solaris のシステム管理 (第 3 巻)』(Solaris 8) または『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』 (Solaris 9 または Solaris 10) を参照してください。

IP ネットワークマルチパス をサポートするテスト IP アドレスの詳細については、『IP ネットワークマルチパスの管理』を参照してください。

コンソールアクセスデバイス

すべてのクラスタノードにはコンソールアクセスが必要です。クラスタコントロールパネル (CCP) ソフトウェアを管理コンソールにインストールする場合、クラスタノードと通信するために使用されるコンソールアクセスデバイスのホスト名を提供する必要があります。

コンソールアクセスの詳細については、『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』を参照してください。

論理アドレス

論理アドレスを計画する際は、次の点を考慮してください。

詳細については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』を参照してください。データサービスとリソースの詳細については、『Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』も参照してください。

パブリックネットワーク

パブリックネットワークはクラスタの外部と通信します。パブリックネットワーク構成を計画する際は、次のことを考慮してください。

パブリックネットワークアダプタのバックアップグループの計画のガイドラインについては、「IP ネットワークマルチパスグループ」を参照してください。パブリックネットワークインタフェースの詳細については、『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』を参照してください。

IP ネットワークマルチパスグループ

「パブリックネットワークのワークシート」に次の計画情報を追加してください。

ネットワークアダプタフェイルオーバー (NAFO) グループに代わるインターネットプロトコル (IP) ネットワークマルチパスグループは、パブリックネットワークアダプタの監視とフェイルオーバーを提供し、 ネットワークアドレスリソースの基盤構造です。マルチパスグループは、 2 つ以上のアダプタで構成されている場合に、高い可用性を提供します。1 つのアダプタで障害が発生しても、障害のあるアダプタ上のすべてのアドレスが、マルチパスグループ内の別のアダプタにフェイルオーバーされるからです。このようにして、マルチパスグループのアダプタは、マルチパスグループ内のアダプタが接続するサブネットへのパブリックネットワーク接続を維持します。

次のような状況では、Sun Cluster ソフトウェアをインストールする際に、IP ネットワークマルチパス グループを手作業で構成する必要があります。

Sun Cluster ソフトウェアを Solaris 9 または Solaris 10 OS にインストールする場合、SunPlex Installer を使用する場合を除いて、scinstall ユーティリティーはすべてのパブリックネットワークアダプタを自動的に、単一アダプタ IP ネットワークマルチパス グループとして構成します。

マルチパスグループを計画する際は、次の点を考慮してください。

IP ネットワークマルチパス 用の Solaris ドキュメントに示されている手続き、ガイドライン、および制限事項のほとんどは、クラスタ環境と非クラスタ環境のどちらであるかにかかわらず同じです。したがって、IP ネットワークマルチパス については、適切な Solaris ドキュメントを参照してください。

また、『Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』「IP ネットワークマルチパスグループ」『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』も参照してください。

NFS 向けのガイドライン

Sun Cluster 構成で NFS (Network File System) を使用する場合は、次の点に注意してください。

サービスの制限

Sun Cluster 構成の以下のサービスの制限を守ってください。

Sun Cluster の構成可能なコンポーネント

この節では、構成する Sun Cluster コンポーネントのガイドラインについて説明します。

適切な構成計画ワークシートに、次の情報を追加してください。

クラスタ名

クラスタ名は、Sun Cluster の構成の際に指定します。クラスタ名は、インストール環境全体で一意にする必要があります。

ノード名

ノード名とは、Solaris OS のインストール中にマシンに割り当てる名前のことです。Sun Cluster の構成中に、クラスタとしてインストールするすべてのノード名を指定します。単一ノードのクラスタインストールでは、デフォルトのクラスタ名はノード名になります。

プライベートネットワーク


注 –

単一ノードのクラスタの場合、プライベートネットワークを構成する必要はありません。


Sun Cluster ソフトウェアは、ノード間の内部通信にプライベートネットワークを使用します。Sun Cluster 構成では、プライベートネットワーク上のクラスタインターコネクトへの接続が少なくとも 2 つ必要です。クラスタの最初のノードに Sun Cluster ソフトウェアを構成するときに、プライベートネットワークアドレスとネットマスクを指定します。デフォルトのプライベートネットワークアドレス (172.16.0.0) とネットマスク (255.255.0.0) をそのまま使用しても、別のプライベートネットワークアドレスとネットマスクを入力してもかまいません。


注 –

インストールユーティリティー (scinstall、SunPlex Installer または JumpStart) が処理を完了し、クラスタを確立した後で、プライベートネットワークアドレスとネットマスクを変更することはできません。別のプライベートネットワークアドレスとネットマスクを使用するには、クラスタソフトウェアをいったんアンインストール後、再インストールしてください。


デフォルト以外のプライベートネットワークアドレスを指定する場合は、アドレスは次の条件を満たす必要があります。

プライベートネットワークの詳細については、『Solaris のシステム管理 (第 3 巻)』(Solaris 8) の「TCP/IP ネットワークの計画」または『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』(Solaris 9 または Solaris 10) の「TCP/IP ネットワークの計画 (手順)」を参照してください。

プライベートホスト名

プライベートホスト名とは、プライベートネットワークインタフェースを介したノード間の通信に使用される名前のことです。プライベートホスト名は、Sun Cluster の構成中に自動的に作成されます。これらのプライベートホスト名は、clusternodenodeid -priv という命名規則に従います (nodeid は、内部ノード ID の数値です)。ノード ID 番号は、Sun Cluster の構成中に各ノードがクラスタメンバーとなる際に、自動的に各ノードに割り当てられます。クラスタの構成後に、scsetup(1M) ユーティリティーを使用してプライベートホスト名を変更できます。

クラスタインターコネクト


注 –

単一ノードのクラスタの場合、クラスタインターコネクトを構成する必要はありません。ただし、単一ノードのクラスタ構成に後でノードを追加する可能性がある場合は、将来の使用のためにクラスタインターコネクトを構成することもできます。


クラスタインターコネクトは、クラスタノード間のプライベートネットワーク通信にハードウェアパスを提供します。各インターコネクトは、次のいずれかの方法で接続されるケーブルで構成されます。

Sun Cluster の構成中に、2 つのクラスタインターコネクトに対して以下の構成情報を指定します。クラスタの確立後に、scsetup(1M) ユーティリティーを使用して、追加のプライベートネットワーク接続を構成できます。

クラスタインターコネクトハードウェアのガイドラインについては、『Sun Cluster 3.0-3.1 Hardware Administration Manual for Solaris OS』「Interconnect Requirements and Restrictions」を参照してください。クラスタインターコネクトの一般的な情報については、『Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』「クラスタインターコネクト」『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』を参照してください。

トランスポートアダプタ

ネットワークインタフェースのポートなどのトランスポートアダプタ用に、トランスポートアダプタ名とトランスポートの種類を指定します。構成が 2 ノードクラスタの場合は、インターコネクトを直接接続 (アダプタからアダプタ) するか、トランスポート接続点を使用するかも指定します。

以下のガイドラインと制限を考慮してください。

特定のトランスポートアダプタに関する詳細については、scconf_trans_adap_*(1M) のマニュアルページを参照してください。

トランスポート接続点

ネットワークスイッチなどのトランスポート接続点を使用する場合は、各インターコネクトのトランスポート接続点名を指定します。デフォルト名の switchN (N は、構成中に自動的に割り当てられた数) を使用するか、他の名前を作成します。例外は Sun Fire Link アダプタで、このアダプタでは、接続点名 sw-rsm N を使用する必要があります。Sun Fire Link アダプタを指定したあと、scinstall ユーティリティーは自動的に、この接続点名を使用します (wrsmN)

また、接続点のポート名を指定するか、デフォルト名をそのまま使用します。デフォルトのポート名は、ケーブルのアダプタ側が接続されているノードの内部ノード ID 番号と同じです。ただし、SCI-PCI などの特定の種類のアダプタではデフォルトのポート名は使用できません。


注 –

3 つ以上のノードを持つクラスタでは、必ずトランスポート接続点を使用してください。クラスタノード間の直接接続は、2 ノードクラスタの場合だけサポートされています。


2 ノードクラスタが直接接続されている場合でも、インターコネクトのトランスポート接続点を指定できます。


ヒント –

トランスポート接続点を指定すると、その後クラスタに別のノードを追加しやすくなります。


定足数デバイス

Sun Cluster 構成では、定足数 (quorum) デバイスを使用して、データとリソースの整合性を保持します。クラスタがノードとの接続を一時的に失っても、定足数デバイスによって、クラスタノードがクラスタに再結合しようとしたときの amnesia や split-brain といった問題を防止できます。2 ノードクラスタの Sun Cluster インストール中、scinstall ユーティリティーは自動的に定足数デバイスを構成します。定足数デバイスは利用可能な共有ストレージディスクから選択されます。scinstall ユーティリティーは、利用可能なすべての共有記憶ディスクについて、定足数デバイスとしてサポートされていると仮定します。インストール後は、 scsetup(1M) ユーティリティーを使用して、定足数デバイスを追加で構成することもできます。


注 –

単一ノードのクラスタの場合、定足数 (quorum) を構成する必要はありません。


クラスタ構成に Sun 以外の共有記憶装置が含まれており、その記憶装置の定足数デバイスとしての使用がサポートされていない場合、scsetup ユーティリティーを使用して、定足数を手作業で構成する必要があります。

定足数デバイスを計画する際は、次の点を考慮してください。

定足数デバイスの詳細については、『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』「定足数と定足数デバイス」『Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』「定足数デバイス」を参照してください。

広域デバイスとクラスタファイルシステムについての計画

この節では、広域デバイスとクラスタファイルシステムを計画するうえでのガイドラインについて説明します。

広域デバイスとクラスタファイルシステムの詳細については、『Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』を参照してください。

高可用性広域デバイスとクラスタファイルシステムのガイドライン

Sun Cluster ソフトウェアは、特定のディスクレイアウトやファイルシステムサイズを必要としません。広域デバイスとクラスタファイルシステムを計画する際は、次の点を考慮してください。

クラスタファイルシステム

クラスタファイルシステムを計画する際は、次の点を考慮してください。

ディスクデバイスグループ

「ディスクデバイスグループ構成のワークシート」に次の計画情報を追加してください。

すべてのボリューム管理ソフトウェアディスクグループを Sun Cluster ディスクデバイスグループとして構成する必要があります。このように構成することで、主ノードに障害が発生した場合でも、2 つ目のノードで多重ホストディスクをホストできるようになります。ディスクデバイスグループを計画する際は、次の点を考慮してください。

ディスクデバイスグループの詳細については、『Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』「デバイス」『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』を参照してください。

クラスタファイルシステムのマウント情報

クラスタファイルシステムのマウントポイントを計画する際は、次の点を考慮してください。

ボリューム管理の計画

「ディスクデバイスグループ構成のワークシート」「ボリューム管理ソフトウェア構成のワークシート」に次の計画情報を追加してください。Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager の場合は、「メタデバイスのワークシート (Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager)」にもこの計画情報を追加してください。

この節では、クラスタ構成のボリューム管理を計画する上でのガイドラインについて説明します。

Sun Cluster は、ボリューム管理ソフトウェアを使用して、ディスクをディスクデバイスグループにまとめ、1 つの単位で管理できるようにします。Sun Cluster ソフトウェアは、次の方法でインストールまたは使用する Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager ソフトウェアと VERITAS Volume Manager (VxVM) ソフトウェアをサポートします。

表 1–4 Sun Cluster ソフトウェアで使用がサポートされているボリューム管理ソフトウェア

ボリューム管理ソフトウェア 

要件 

Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager 

一部のノードで VxVM を使用してディスクを管理する場合でも、クラスタのすべてのノードに Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager ソフトウェアをインストールする必要があります。 

クラスタ機能を持つ SPARC:VxVM

クラスタのすべてのノード上に、クラスタ機能を持つ VxVM をインストールして、それらにライセンスを付与する必要があります。 

クラスタ機能を持たない SPARC: VxVM  

VxVM は、VxVM が管理する記憶装置に接続されているノードにのみインストールして、それらにライセンスを付与します。 

SPARC: Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager と VxVM の両方 

これらのボリューム管理ソフトウェアを同じノードにインストールする場合は、Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager ソフトウェアを使用して、各ノードにローカルに接続されているディスクを管理します。ルートディスクもローカルディスクに含まれます。VxVM を使用して、すべての共有ディスクを管理します。 

ボリューム管理ソフトウェアをインストールして構成する手順については、ボリューム管理ソフトウェアのマニュアルと、「Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager ソフトウェアのインストールと構成」または「SPARC: VxVM ソフトウェアのインストールと構成」を参照してください。クラスタ構成でのボリューム管理の詳細については、『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』を参照してください。

ボリューム管理ソフトウェアのガイドライン

ボリューム管理ソフトウェアでディスクを構成する際は、次の一般的なガイドラインを考慮してください。

ディスクの配置の推奨事項とその他の制限については、ボリューム管理ソフトウェアのマニュアルを参照してください。

Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager ソフトウェアのガイドライン

Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager の構成を計画する際は、次の点を考慮してください。

SPARC: VERITAS Volume Manager ソフトウェアのガイドライン

VERITAS Volume Manager (VxVM) の構成を計画する際は、次の点を考慮してください。

詳細については、 VxVM のインストールマニュアルを参照してください。

ファイルシステムのロギング

UFS と VxFS のクラスタファイルシステムにはロギングが必要です。この要件は、QFS 共有ファイルシステムには適用されません。Sun Cluster ソフトウェアでは、次のロギングファイルシステムがサポートされています。

次の表に、各ボリューム管理ソフトウェアでサポートされているロギングファイルシステムを示します。

表 1–5 サポートされているファイルシステムのロギング

ボリュームマネージャー 

サポートされているファイルシステムのロギング 

Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager 

  • Solaris UFS ロギング

  • Solstice DiskSuite トランスメタデバイスロギング

  • Solaris ボリュームマネージャー トランザクションボリュームロギング

  • VxFS のロギング

SPARC:VERITAS Volume Manager 

  • Solaris UFS ロギング

  • VxFS のロギング

UFS クラスタファイルシステム用に Solaris UFS ロギング と Solstice DiskSuite トランスメタデバイスロギングを使用するか、あるいは、Solaris ボリュームマネージャートランザクションボリュームロギングを使用するかを選択するときには、次の点を考慮してください。

ミラー化に関するガイドライン

この節では、クラスタ構成のミラー化を計画する際のガイドラインについて説明します。

多重ホストディスクのミラー化

Sun Cluster 構成内のすべての多重ホストディスクをミラー化することにより、この構成で単一デバイスの障害を許容できるようになります。Sun Cluster ソフトウェアでは、すべての多重ホストディスクは、複数の拡張装置にまたがるようにミラー化する必要があります。ストレージデバイスがハードウェア RAID とデバイスへの冗長パスを提供する場合は、ソフトウェアミラー化を使用する必要はありません。

多重ホストディスクをミラー化する際は、次のことを考慮してください。

多重ホストディスクの詳細については、『Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』「多重ホストディスク記憶装置」『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』を参照してください。

ルートディスクのミラー化

「ローカルファイルシステム配置のワークシート」に次の計画情報を追加してください。

最高の可用性を得るには、ローカルディスク上のルート (/)、/usr/var/optswap をミラー化してください。VxVM では、ルートディスクをカプセル化し、生成されたサブディスクをミラー化します。ただし、Sun Cluster ソフトウェアでは、ルートディスクのミラー化を要求しません。

ルートディスクをミラー化するかどうかを決定する前に、危険性、複雑さ、コスト、保守時間の面から、ルートディスクに関するさまざまな方法を検討してください。どの構成でも有効に機能するというような汎用的なミラー化はありません。ルートをミラー化するかどうかを決定する際は、ご購入先に相談してください。

ルートディスクをミラー化する手順については、ボリューム管理ソフトウェアのマニュアルと、「Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager ソフトウェアのインストールと構成」または「SPARC: VxVM ソフトウェアのインストールと構成」を参照してください。

ルートディスクをミラー化するかどうかを決定する際は、次のことを考慮してください。