この手順では、scrgadm(1M) コマンドを使って Sun Cluster HA for DNS の登録と構成を行う方法を説明します。
データサービスはここで説明するオプション以外のオプションを使用して登録と構成を行えます。これらのオプションの詳細は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「データサービスリソースを管理するためのツール」を参照してください。
以下の各項では、Sun Cluster HA for DNS リソースの登録と構成について説明します。拡張プロパティーの詳細は、付録 A 「Sun Cluster HA for DNS 拡張プロパティー」を参照してください。「調整可能」の欄には、そのプロパティーをいつ変更できるかが示されています。
Sun Cluster の全プロパティーの詳細は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の付録 A「標準プロパティー」を参照してください。
リソースの拡張プロパティーを設定するには、リソースを作成または変更する scrgadm(1M) コマンドに次のオプションを含めます。
-x property=value |
設定する拡張プロパティーを指定します。
設定する拡張プロパティーの値を指定します。
リソースの作成後は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の第 2 章「データサービスリソースの管理」に示されている手順でリソースを構成できます。
この節では、Sun Cluster HA for DNS を登録して構成する方法について説明します。
この手順を実行するには、構成に関する次の情報が必要になります。
Sun Cluster HA for DNS のリソースタイプの名前。この名前は SUNW.dns です。
データサービスをマスターするクラスタノードの名前。
クライアントがデータサービスにアクセスするために使用するネットワークリソース。通常、この IP アドレスはクラスタをインストールするときに設定します。ネットワークリソースの詳細は、『Sun Cluster 3.1 の概念』を参照してください。
DNS 構成ファイルへのパス。DNS 構成ファイルは、クラスタファイルシステムにインストールしなければなりません。このパスは、ここで説明する手順で構成される Config_dir リソースプロパティーにマップします。
この手順は、すべてのクラスタメンバー上で実行します。
クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。
SMF サービス /network/nfs/server:default を無効にします。
この手順は、Sun Cluster HA for DNS リソースを起動する前に行います。
当初の主ノードで何か障害が発生する場合は、Service Management Facility (SMF) サービス /network/nfs/server:default が無効になっている場合だけフェイルオーバーを行えます。すべての潜在的主ノードで、次のコマンドを実行してこのサービスを無効にします。
# svcadm disable /network/nfs/server:default |
データサービスのリソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.dns |
データサービスのリソースタイプを追加します。
当該データサービス用にあらかじめ定義されているリソースタイプを指定します。
使用するネットワークリソースと DNS リソースのリソースグループを作成します。
必要に応じて、-h オプションを指定してデータサービスを実行できる一群のノードを選択することもできます。
# scrgadm -a -g resource-group [-h nodelist] |
リソースグループの名前を指定します。任意の名前を指定できますが、クラスタ内で一意のリソースグループ名にする必要があります。
潜在マスターを識別するための物理ノード名または ID をコンマで区切って指定します (省略可能)。フェイルオーバー時、ノードはこのリスト内の順番に従ってプライマリとして判別されます。
ノードリストの順番を指定するには、-h オプションを使用します。すべてのクラスタノードが潜在的マスターの場合、-h オプションを使用する必要はありません。
使用するすべてのネットワークリソースがネームサービスデータベースに追加されていることを確認します。
Sun Cluster のインストール時に、この確認を行なっておく必要があります。詳細については、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の計画に関する章を参照してください。
ネームサービスの検索が原因で障害が発生するのを防ぐために、サーバーおよびクライアントの /etc/inet/hosts ファイルに、すべてのネットワークリソースが登録されていることを確認してください。サーバーの /etc/nsswitch.conf ファイルのネームサービスマッピングは、NIS または NIS+ にアクセスする前に、最初にローカルファイルを検査するように構成してください。
リソースグループへネットワークリソースを追加します。
たとえば、リソースグループに論理ホスト名を追加するには次のコマンドを実行します。
# scrgadm -a -L -g resource-group -l logical-hostname [logical-hostname] \ [-n netiflist] |
ネットワークリソース (論理ホスト名または共有アドレス) をコンマで区切ったリストで指定します。
各ノード上の IP ネットワークマルチパス グループをコンマで区切って指定します (省略可能)。netiflist の各要素は、netif@node の形式で指定する必要があります。netif は IP ネットワークマルチパス グループ名 (sc_ipmp0 など) として指定できます。ノードは、ノード名またはノード ID (sc_ipmp0@1、sc_ipmp@phys-schost-1 など) で識別できます。
現バージョンの Sun Cluster では、netif にアダプタ名を使用できません。
DNS アプリケーションリソースをリソースグループに追加します。
# scrgadm -a -j [resource] -g resource-group \ -t SUNW.dns -y Network_resources_used=network-resource, …\ -y Port_list=port-number/protocol -x DNS_mode=config-file \ -x Confdir_list=config-directory |
DNS アプリケーションリソース名を指定します。
このリソースが属するリソースタイプの名前を指定します。このエントリは必須です。
DNS が使用するネットワークリソース (論理ホスト名または共有アドレス) をコンマで区切ったリストを指定します。このプロパティーを指定しない場合は、デフォルトで、リソースグループに含まれるすべてのネットワークリソースになります。
使用するポート番号とプロトコルを指定します。このプロパティーを指定しない場合は、デフォルトで 53/udp が使用されます。
使用する構成ファイルとして conf (named.conf ファイルを指定) または boot (named.boot ファイルを指定) を指定します。このプロパティーを指定しない場合は、デフォルトで conf が使用されます。
DNS 構成ディレクトリを指定します。必ず、クラスタファイルシステム上の場所である必要があります。Sun Cluster HA for DNS には、この拡張プロパティーが必要です。
scswitch(1M) コマンドを実行して次の作業を行います。
リソースと障害の監視を有効にします。
リソースグループを管理状態にします。
リソースグループをオンラインにします。
# scswitch -Z -g resource-group |
リソースとモニターを使用可能にし、リソースグループを管理状態にし、オンラインにします。
リソースグループの名前を指定します。
次の例では、Sun Cluster HA for DNS を 2 ノードクラスタに登録する方法を示します。この例の最後で scswitch コマンドが Sun Cluster HA for DNS を起動していることに注意してください。
クラスタ情報 ノード名: phys-schost-1, phys-schost-2 論理ホスト名: schost-1 リソースグループ: resource-group-1 (すべてのリソース用) リソース: schost-1 (論理ホスト名), dns-1 (DNS アプリケーションリソース) (SMF サービス /network/nfs/server:default を無効にする) # svcadm disable /network/nfs/server:default (DNS リソースタイプを登録する) # scrgadm -a -t SUNW.dns (すべてのリソースを含めるためのリソースグループを追加する) # scrgadm -a -g resource-group-1 (論理ホスト名リソースをリソースグループに追加する) # scrgadm -a -L -g resource-group-1 -l schost-1 (DNS アプリケーションリソースをリソースグループに追加する) # scrgadm -a -j dns-1 -g resource-group-1 -t SUNW.dns \ -y Network_resources_used=schost-1 -y Port_list=53/udp \ -x DNS_mode=conf -x Confdir_list=/global/dns (フェイルオーバーリソースグループをオンラインにする) # scswitch -Z -g resource-group-1 |
SUNW.HAStoragePlus リソースタイプは、Sun Cluster 3.0 5/02 で導入されました。この新しいリソースタイプは、SUNW.HAStorage と同じ動作を実行します。このリソースタイプには、ローカルファイルシステムを高可用化する別の機能もあります。Sun Cluster HA for DNS はディスク集約型ではなく、スケーラブルでもありません。したがって、SUNW.HAStoragePlus リソースタイプの設定は任意です。
背景情報については、SUNW.HAStoragePlus(5) のマニュアルページと『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「リソースグループとディスクデバイスグループの関係」を参照してください。手順については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「リソースグループとディスクデバイスグループ間での起動の同期」を参照してください。5/02 以前の Sun Cluster 3.0 バージョンを使用している場合は、SUNW.HAStoragePlus ではなく SUNW.HAStorage を設定する必要があります。手順については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「リソースグループとディスクデバイスグループ間での起動の同期」を参照してください。