Sun Cluster HA for NetBackup は、VERITAS NetBackup マスターサーバーの可用性を高めます。
NetBackup マスターサーバーは、一元的な管理・スケジューリングサーバーとしての役割を果たします。各クラスタは、NetBackup マスターサーバーを 1 台しか持てません。
マスターサーバーは、パブリックネットワークへの接続を介してメディアサーバーと通信を行います。一般に、非クラスタシステムにおいては、マスターサーバーを稼動させるノードはバックアップの作成と保存に使用されるデバイスに接続されます。しかし、Sun Cluster 環境では、バックアップデバイスをマスターサーバーではなくメディアサーバーに接続する必要があります。バックアップデバイスやメディアサーバーをクラスタ内に含めることはできません。
NetBackup メディアサーバーは、バックアップを実行するマシンです。ユーザーは、ローカルネットワーク上に複数のメディアサーバーを配置し、それらのメディアサーバー間で作業負荷を分散できます。
NetBackup クライアントは、クラスタの内部または外部に存在するノード上で稼動するプロセスです。クライアントは、マスターサーバーとメディアサーバーにバックアップされるようにマシンからデータを転送します。
NetBackup には、バックアップデバイスと対話式で処理を行うデーモンから構成される NetBackup メディアマネージャーも含まれます。Sun Cluster は、これらのデーモンを制御しません。
Sun Cluster HA for NetBackup は、NetBackup マスターサーバーだけを高可用対応にします。VERITAS NetBackup コンポーネント、エージェント、アドオン、およびこれらのコンポーネントを使用する機能は高可用対応ではありません。たとえば、データベースのオンライン (ホット) バックアップとウォームバックアップは高可用対応ではありません。これは、データベースバックアップエージェントが Sun Cluster フレームワークの制御下にないためです。
VERITAS NetBackup と Sun Cluster HA for NetBackup をインストールする前に、次の考慮すべき事項に注意してください。図 1 は構成の制限を示します。
VERITAS NetBackup は、シングルインスタンスのデータサービスです。このため、1 つのクラスタについて複数の VERITAS NetBackup インスタンスを実行することはできません。
NetBackup マスターサーバーは、クラスタ内に設置する必要があります。
NetBackup クライアントは、クラスタの内部または外部に存在できます。
NetBackup メディアサーバーおよびそれらのバックアップデバイス (テープライブラリ、光学式読み取り装置など) は、どのクラスタにも含めることができません。
NetBackup マスターサーバーに関連付けられた共有ディスクは、次第に累積する NetBackup の管理ファイルとログを保持できるだけ十分に大きなものでなければなりません。管理ファイルとログのサイズは、ユーザーの構成に必要なバックアップ作業の量によって異なります。
VERITAS NetBackup クライアントがクラスタの場合、bp.conf ファイルは 1 つしかないので、クライアントとして構成できる論理ホストは 1 つだけです。
NetBackup クライアントがクラスタで、クラスタ上の論理ホストの 1 つが NetBackup クライアントとして構成されている場合、NetBackup は物理ホストをバックアップできません。
Sun Cluster 環境では、ロボティックコントロールはメディアサーバーでのみサポートされ、Sun Cluster で実行される NetBackup マスターサーバーではサポートされません。
次の図は、Sun Cluster HA for NetBackup でサポートされる構成を示しています。
NetBackup マスターサーバーはクラスタ内に含める必要があります。バックアップデバイスは、メディアサーバーにしか接続できません。バックアップデバイスとメディアサーバーは、クラスタ内に含めることはできません。
NetBackup コンポーネント間の通信は、パブリックネットワークへの接続を介してしか発生しません。フェイルオーバーまたはスイッチオーバーが発生すると、クラスタに制御されているコンポーネントはそれらのバックアップノードにフェイルオーバーまたはスイッチオーバーします。