Sun Cluster HA for SAP DB を使って SAP DB を高可用性にするためには、追加のインストール操作と構成操作を行う必要があります。これらの操作は、SAP DB の標準的なインストールと標準的な構成を補足するものです。
標準的なインストールでは、SAP DB が物理ホスト名でインストールされます。SAP DB をクラスタで実行できるようにするには、論理ホスト名を使用するように SAP DB を変更する必要があります。
SAP DB の標準的なインストールと標準的な構成については、次のマニュアルを参照してください。
SAP DB を SAP R/3 で使用する場合は、SAP DB が動作する SAP R/3 のインストールと構成について SAP R/3 のマニュアルを参照してください。
SAP DB を SAP R/3 とは別に使用する場合は、SAP DB のマニュアルを参照してください。
クラスタの 1 つのノードに SAP DB ソフトウェアをインストールします。
SAP DB の標準的な構成を行います。
.XUSER.62 ファイルを、SAP DB インスタンスを管理するオペレーティングシステム (OS) ユーザーのホームディレクトリに作成します。
SAP DB データベースインスタンスを管理するデータベースユーザーの情報が含まれていテキストファイルを作成します。
このファイルの内容については、SAP DB のマニュアルを参照してください。データベースが動作するサーバーの名前として、「構成計画に関する質問」で指定した SAP DB リソースの論理ホスト名を指定します。
このファイルの内容の例を例 4 に示します。
手順 a で作成したテキストファイルから .XUSER.62 ファイルを生成します。
これを実行するには SAP DB の xuser コマンドを使用します。
# xuser -b user-info-file |
.XUSER.62 ファイルの生成に使用するテキストファイルを指定します。
/usr/spool/sql ディレクトリとその内容を、SAP DB がインストールされているノードから SAP DB と SAP xserver のリソースを実行するすべてのノードにコピーします。
すべてのノードのディレクトリとその内容を同じオーナーが所有するようにするために、tar(1) コマンドと rsh(1) コマンドを使用します。
# tar cfB - /usr/spool/sql | rsh destination tar xfB - |
/usr/spool/sql ディレクトリとその内容をコピーする先のノードを指定します。
次の図は、SAP DB インスタンスを管理するデータベースユーザーの情報が含まれているテキストファイルの例です。
DEFAULT dbm dbm TST srvr-1 空白 空白 -1 -1 空白
この例は、SAP DB インスタンスを管理するデータベースユーザーに関して次の情報を指定しています。
XUSER データのこの組み合わせを指すユーザーキーとして DEFAULT を使用します。
データベースユーザーのユーザー名とパスワードはともに dbm です。
SAP DB インスタンスの名前は TST です。
SAP DB リソースの論理ホスト名は srvr-1 です。
構造化照会言語 (SQL) モードは指定されていません。
SAP DB インスタンスのデフォルトのタイムアウト値が使用されます。
SAP DB インスタンスのデフォルトの分離レベルが使用されます。
詳細は、SAP DB のマニュアルを参照してください。
SAP DB アプリケーションリソースと SAP DB リソースの論理ホスト名を含むフェイルオーバーリソースグループを作成します。
リソースグループには、「構成計画に関する質問」の質問で回答したリソースグループを使用します。
# scrgadm -a -g sapdb-rg[ -h nodelist] |
新しい構成を追加します。
作成するリソースグループの名前は sapdb-rg です。
このリソースグループをオンラインにできるノードをコマンドで区切って指定します。このようなノードリストの指定は任意です。ノードリストを省略すると、リソースグループはどのクラスタノードでもオンライン化可能です。
使用するすべてのネットワークリソースが、使用するネームサービスデータベースに追加されているか確認します。
論理ホスト名を 手順 1 で作成したフェイルオーバーリソースグループに追加します。
# scrgadm -a -L -g sapdb-rg -l sapdb-logical-hostname[ -n netiflist] |
新しい構成を追加します。
論理ホスト名リソースを追加します。
論理ホスト名リソースを、手順 1 で作成したフェイルオーバーリソースグループに追加します。
データベースを実行するサーバーの論理ホスト名を指定します。このホスト名は、「構成計画に関する質問」で指定した SAP DB リソースの論理ホスト名でなければなりません。
ネットワークインタフェースをコンマで区切って指定します。このネットワークインタフェースのリストには、ノードリストで指定した (このリソースグループの) すべてのノードが含まれていなければなりません。このようなネットワークインタフェースリストの指定は任意です。このリストを省略すると、各ノードは、ホスト名リストで特定されるサブネット上のネットワークインタフェースを発見しようとします。
手順 1 で作成したリソースグループを有効にします。
# scswitch -Z -g sapdb-rg |
リソースグループを MANAGED 状態に移行してからオンラインにします。
手順 1 で作成したリソースグループを MANAGED 状態に移行してからオンラインにします。
この例では、SAP DB をクラスタで実行できるようにするためのコマンドを示します。これらのコマンドは 1 つのクラスタノードでのみ実行されます。
次のコマンドでは、SAP DB アプリケーションリソースと SAP DB リソースの論理ホスト名を含むフェイルオーバーリソースグループを作成します。リソースグループの名前は sapdbrg です。sapdbrg リソースグループは、すべてのクラスタノードでオンラインにすることができます。
# scrgadm -a -g sapdbrg |
次のコマンドでは、論理ホスト名リソースを sapdbrg リソースグループに追加します。データベースを実行するサーバーの論理ホスト名は srvr-1 です。sapdbrg リソースグループがオンラインになると、各ノードは、ホスト名リストで特定されるサブネット上のネットワークインタフェースを発見しようとします。
# scrgadm -a -L -g sapdbrg -l srvr-1 |
次のコマンドでは、sapdbrg リソースグループを MANAGED 状態にしてからオンラインにします。
# scswitch -Z -g sapdbrg |