Sun Cluster HA for SAP Web Application Server 障害モニターの調整

Sun Cluster HA for SAP Web Application Server データサービスの障害監視は、次の障害モニターによって提供されます。

• SAP enqueue server の障害モニター

• SAP replica server の障害モニター

• SAP message server の障害モニター

• SAP web application server コンポーネントの障害モニター

• SAP J2EE engine の障害モニター

各障害モニターは、リソースに含まれています。次の表にこれらのリソースタイプを示します。

これらリソースタイプのシステムプロパティーおよび拡張プロパティーが、障害モニターの動作を制御します。事前に設定された障害モニターの動作は、これらのプロパティーのデフォルト値に基づいています。現在の動作は、ほとんどの Sun Cluster システムに適しているはずです。したがって、障害モニターを調整するのは、この事前に設定された動作を変更する必要がある場合だけに留めるべきです。

これらの障害モニターを調整するには、次の作業が必要です。

• 障害モニターの検証間隔を設定する。

• 障害モニターの検証タイムアウトを設定する。

• 継続的な障害とみなす基準を定義する。

• リソースのフェイルオーバー動作を指定する。

これらの作業は、Sun Cluster HA for SAP Web Application Server を登録して構成するとき (「Sun Cluster HA for SAP Web Application Server の登録と構成」を参照) に実行します。

これらの作業についての詳細は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「Sun Cluster データサービス用に障害モニターを調整する」を参照してください。

SAP Enqueue Server リソースタイプに対する障害モニターの動作

SAP enqueue server と SAP replica server が正しく動作しているかどうかを調べるには、SAP enqueue server リソースタイプの障害モニターは、これらのリソースを定期的に検証します。

検証では、SAP ユーティリティー ensmon を使用して、SAP enqueue server と SAP replica server の健全性を検査します。

# ensmon -H localhost -S port   option

-H localhost

ホストの名前が localhost であることを指定します。

-S port

エンキューポートを指定します。

option

検証で検査するリソースを指定します。このオプションの値は次のとおりです。

• 1 – SAP enqueue server だけを検査します。

• 2 – SAP enqueue server と SAP replica server の両方を検査します。

このコマンドがコマンド行で実行されると、リターンコードがコマンド行に返されます。

検証中、障害モニターはまず、option 引数に 2 を設定した ensmon コマンドを実行して、SAP enqueue server と SAP replica server の両方がオンラインであるかどうかを判断します。

# ensmon -H localhost -S port   2

このコマンドの結果によって、次のように検証の処理が決まります。

1. コマンドがタイムアウトした場合、SAP enqueue server 障害モニターはオプションに 1 を設定した ensmon コマンドを実行して、SAP enqueue server だけがオンラインであるかどうかを検査します。

   # ensmon -H localhost -S port 1

   • このコマンドがタイムアウトになった場合、SAP enqueue server は部分障害となります。このタイムアウトが検証間隔期間内にもう一度発生すると、フェイルオーバーが発生します。

   • このコマンドの実行に成功した場合、SAP enqueue server 障害モニターは警告メッセージを記録し、SAP enqueue server はオンラインで、SAP replica server の状態は不明であることを示します。

   • このコマンドによってシステムエラーが発生した場合、SAP enqueue server は比較的深刻ではない部分障害を生じます。システムエラーが検証間隔期間内にあと 3 回発生すると、フェイルオーバーが発生します。

   • その他の失敗に対してはすべて、SAP enqueue server がフェイルオーバーを開始します。

2. このコマンドがタイムアウトにならない場合、検証は、ensmon コマンドからのリターンコードの値を次のように検査します。

   • リターンコード値 0 は、コマンドが成功し、次の検証まで追加処理は行われないことを示します。

   • リターンコード値 4 は、エンキューが実行中で複製が構成されており、複製が実行されていないことを示します。検証は、複製が実行されていないことを示す警告メッセージを記録します。

   • リターンコード値 8 は、エンキューサーバーが実行されておらず、検証によってフェイルオーバーが開始されたことを示します。

   • リターンコード値 12 は、コマンドのパラメータが無効で、検証によってフェイルオーバーが開始されたことを示します。

   • すべてのリターンコードは、部分障害として処理されます。このような障害が検証間隔期間内にあと 3 回発生すると、フェイルオーバーが発生します。

タイムアウト回数と検証間隔期間は、SAP enqueue server 障害モニターによって割り当てられます。これらの値は変更できません。

SAP Replica Server リソースタイプに対する障害モニターの動作

SAP replica server リソースタイプに対する障害モニターの機能は、現在 Sun Cluster のプロセス監視機能 (PMF) によって処理されています。

SAP Message Server リソースタイプに対する障害モニターの動作

障害モニターで SAP message server リソースタイプを検証するには、msprot プログラムが必要です。「構成に関する要件」を参照してください。

msprot プログラムは構成できません。

SAP Web Application Server コンポーネントリソースタイプに対する障害モニターの動作

SAP message server コンポーネントリソースタイプの障害モニターは、dpmon プログラムによって実行されます。

dpmon プログラムは構成できません。

SAP J2EE Engine リソースタイプに対する障害モニターの動作

障害モニターで SAP J2EE engine リソースタイプを検証するには、sap_j2ee_probe プログラムが必要です。

sap_j2ee_probe プログラムは、構成できません。