Sun Cluster Data Service for Sun Java System Application Server EE (HADB) ガイド (Solaris OS 版)

Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server EE (HADB) の概要

この節では、Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server EE (HADB) データサービスが、Sun Cluster システムにおいて Sun Java System Application Server EE (HADB) の Management Agent コンポーネントで高可用性をどのように実現しているかを説明します。 データサービスは、複数のノードによってマスターされるように構成する必要があります。

データサービスの一般的な情報については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の第 1 章「Sun Cluster データサービスの計画」を参照してください。データサービスを構成する必要があります。

Sun Java System Application Server EE (HADB) ソフトウェアは Sun Java System Application Server Enterprise Edition のインストールとともにパッケージ化されています。ただし、適切な場合、Sun Java System Application Server EE (HADB) と Sun Java System Application Server を独立したクラスタで実行することもできます。この文書では、クラスタで Sun Java System Application Server EE (HADB) を使用できるようにするデータサービスをインストールおよび構成する方法について説明します。まず、クラスタで Sun Java System Application Server EE (HADB) を有効にして、セッションと Enterprise Java Bean (EJB) の持続性を提供します。Sun Java System Application Server EE (HADB) の詳細については、Sun Java System Application Serverを参照してください。

Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server EE (HADB) の実装では、データベースや Web サーバーなど、アーキテクチャーが依存するアプリケーションの存在は想定されていません。ただし、そのようなアプリケーションを高可用性に構成することは可能で、また別のクラスタで動作する場合があります。

HADB 管理アーキテクチャー

次の図に、管理ドメインに 4 つのアクティブなノードを装備したデータベースのアーキテクチャーを示します。

図 1–1 管理システムのアーキテクチャー

図 : この図については、前の本文中で説明しています。

この図は、1 つのデータベースと、データベース内の 4 つの HADB ノードプロセスから構成される管理ドメインを示しています。これらのノードプロセスは n0、n1、n2、および n3 によって示されています。ホスト A とホスト B はクラスタノードを表し、HADB の Data Redundancy Unit (DRU) を形成します (Host A: DRU0 および Host B: DRU1)。

管理エージェント MA1 は n0 と n2 を管理し、管理エージェント MA2 は n1 と n3 を管理します。管理エージェントには、ノードの状態を監視し、必要に応じてノードを再起動する役割があります。また管理エージェントは、クライアントからの管理操作要求にも対処します。

クラスタノード上で管理エージェントに障害が生じた場合、エージェントが引き続き HADB ノードを監視して管理操作を提供できるように、同じノード上でエージェントを再起動する必要があります。そのため、管理エージェントを高可用性にする必要があります。

高可用性 HADB 管理エージェント

一度に複数のノードによりマスターされるよう構成されたリソースグループでデータサービスリソースを作成することで、Sun Java System Application Server EE (HADB) の管理エージェントコンポーネントは高可用性になっています。このリソースグループでは、主ノードの最大数と、主ノードの望ましい数が同じである必要があります。この構成の詳細については、「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server EE (HADB) の登録と構成」を参照してください。

次の図は、ノード上で障害が発生する前の 2 ノード構成を示したものです。

図 1–2 複数のノードでマスターされる管理エージェント — 障害前

図 : この図については、前の本文中で説明しています。

この図は、MA1 と MA2 によって示される、異なるクラスタノード上の 2 つの管理エージェントを示しています。アプリケーションは各ノードのローカルファイルシステムにインストールされています。Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server EE (HADB) データサービスでは、(RS により示される) 1 つのリソースで 2 つの管理エージェントが構成され、このリソースは 1 つのリソースグループ RG で構成されています。リソースグループは、一度に複数のクラスタノードでマスターされるように構成されています。この例では、Node1 と Node2 です。

データサービスは、管理エージェントが構成されているすべてのノード上での管理エージェントの起動を管理します。管理エージェントは Node Supervisor (NSUP) プロセスを起動し、続いてこのプロセスが HADB ノードプロセスを起動します。管理エージェントに障害が発生した場合、ユーザー定義のパラメータに基づいて、データサービスが管理エージェントを再起動します。HADB ノードプロセスに障害が発生した場合、管理エージェントが再起動します。データベースが停止した場合、ユーザーはコマンド行でコマンド発行することで、これらのデータベースを再起動する必要があります。

ユーザー定義のパラメータにより、障害後、データサービスは管理エージェントを再起動しないと決められている場合、そのプロセスはそのノード上でダウン状態のままになります。ただし、管理されているそのほかのノード上の管理エージェントプロセスは動作を継続します。フェイルオーバーは行われません。

次の図は、最初のノードの障害後の、2 ノード構成を示したものです。最初のノードのすべてのプロセスがダウンすると、2 番目のノードがプロセスの実行を継続します。

図 1–3 複数のノードでマスターされる管理エージェント — 障害後

図 : この図については、前の本文中で説明しています。