Sun Cluster Data Service for Solaris Containers ガイド

Sun Cluster HA for Solaris Containers の概要

Solaris コンテナは、完全なアプリケーション実行環境です。Solaris 10 リソースマネージャーと Solaris ゾーンソフトウェア区分技術は、どちらもこのコンテナの一部です。これらの構成要素は、コンテナのさまざまな機能にかかわり、連携して完全なコンテナを作り上げます。コンテナのゾーンに関連する部分は、プラットフォームの資源にアプリケーションを仮想的に割り当てます。ゾーンを使用すると、ゾーンが Solaris オペレーティングシステムの単一インスタンスを共有している場合であっても、1 つのアプリケーションから、複数のアプリケーションコンポーネントを分離できます。資源管理機能では、作業負荷に与える資源の量を割り当てることができます。

Solaris オペレーティングシステムの Solaris ゾーン機能は、システム上でアプリケーションを実行するための、独立した安全な環境を提供します。ゾーンを作成すると、そのアプリケーション実行環境で実行されるプロセスは、システムのほかの部分から隔離されます。

この分離を行うことで、1 つのゾーン内で稼動しているプロセスがほかのゾーンで稼動しているプロセスを監視したりそれらのプロセスに影響を及ぼしたりすることが防止されます。スーパーユーザー資格で実行中であるプロセスであっても、ほかのゾーンの動作を表示したり、動作に影響を与えることはできません。また、ゾーンにより、アプリケーションを配備するマシンの物理的属性からアプリケーションを分離する抽象層も提供されます。このような属性の例として、物理デバイスパスがあります。

あらゆる Solaris システムには大域ゾーンが含まれます。大域ゾーンは 2 つの機能を持っています。大域ゾーンは、システムのデフォルトのゾーンであり、システム全体の管理に使用されるゾーンでもあります。非大域ゾーンはゾーンと呼ばれ、広域管理者により作成されます。

Sun Cluster HA for Solaris Containers を使用すると、次の操作を実行するコンポーネントを提供することにより、Sun Cluster で Solaris ゾーン を管理できます。

Sun Cluster HA for Solaris Containers は、フェイルオーバーサービスとしても、マルチマスターサービスとしても構成できます。Sun Cluster HA for Solaris Containers をスケーラブルサービスとして構成することはできません。

Solaris Zone が Sun Cluster HA for Solaris Containers データサービスにより管理される場合、Sun Cluster ノード全体で、Solaris Zone はフェイルオーバー Solaris Zone、またはマルチマスター Solaris Zone になります。フェイルオーバーは、大域ゾーン内でのみ実行される Sun Cluster HA for Solaris Containers データサービスにより管理されます。

フェイルオーバーデータサービス、マルチマスターデータサービス、およびスケーラブルデータサービスの概念については、『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』を参照してください。