Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System のインストールと構成

この章では、Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System のインストールと構成の方法について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

• 「Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System のインストールと構成」

• 「Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System」

• 「Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System のインストールと構成に関する計画」

• 「N1 Grid Service Provisioning System のインストールと構成」

• 「N1 Grid Service Provisioning System のインストールと構成の確認」

• 「Sun Cluster HA for N1 Grid Service Provisioning System パッケージのインストール」

• 「N1 Grid Service Provisioning System Master Server のデータベースの準備」

• 「Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System の登録と構成」

• 「Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System と構成の確認」

• 「Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System Master Server パラメータファイルの概要」

• 「Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System の障害モニターの概要」

• 「Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System をデバッグする」

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System のインストールと構成

表 1 に、Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System のインストールと構成に必要な作業を示します。指定された順番どおりに、各作業を行なってください。

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System

N1 Grid Service Provisioning System は、N1 環境でサービス (ソフトウェア) を配布するための Sun 製品です。この製品は、次に示す 4 つのコンポーネントから構成されています。

1. サービス配布のための中心的なコンポーネントである Master Server。

2. Remote Agent と呼ばれるクライアントコンポーネント。このコンポーネントはターゲットホストごとに稼働する必要があります。

3. Local Distributor と呼ばれるプロキシコンポーネント。Local Distributor は、データセンター間のデータ転送を最小限に抑えるために使用されます。

4. ホストごとにインストールできるコマンド行インタフェース。

Master Server は、Apache Tomcat と PostgreSql Database をベースに構築されています。ほかのコンポーネントはすべて、ピュア Java で作成されています。

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System データサービスは、Master Server、Remote Agent、および Local Distributor の正常な起動と停止、障害監視、自動フェイルオーバーなどのメカニズムを提供します。

次の表に、アプリケーションコンポーネントと関連する Sun Cluster データサービスの関係を示します。

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System のインストールと構成に関する計画

この節では、Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System のインストールと構成について計画する上で必要な情報を示します。

構成に関する制限事項

ここでは、Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System にのみ適用されるソフトウェアとハードウェア構成の制限事項を示します。

すべてのデータサービスに適用される制限事項については、『Sun Cluster Release Notes』を参照してください。

• Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System はフェイルオーバーデータサービスとしての構成のみが可能 — N1 Grid Service Provisioning System の各コンポーネントは、フェイルオーバーデータサービスとしてのみ稼働します。したがって、Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System のコンポーネントはすべて、フェイルオーバーデータサービスとして稼働するように構成する必要があります。

• N1 Grid Service Provisioning System コンポーネントは共有記憶装置にインストールする — Master Server と Local Distributor は、共有記憶装置にインストールする必要があります。論理ホスト上でバインドするように構成されるリモートエージェントも、共有記憶装置にインストールする必要があります。

• Sun Cluster リソースは raw 通信と ssl 通信の N1 Grid Service Provisioning System Remote Agent にだけ構成する —Remote Agent に ssh 通信が設定されていると、Master Server は Remote Agent の起動と停止を接続ごとに行います。この場合、Sun Cluster リソースは不要です。ssh 通信の場合は、N1 Grid Service Provisioning System Remote Agent を共有記憶装置にインストールし、1 つのクラスタノードから残りのノードに ssh キーをコピーする必要があります。これにより、すべてのクラスタノードが同じ ssh パーソナリティーを持つようになります。

これらの制限を守らないと、データサービスの構成がサポートされない場合があります。

構成に関する要件

これらの要件が適用されるのは、Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System だけです。Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System のインストールと構成を始める前に、次の要件を満たしておく必要があります。

次の要件を満たさないと、データサービスの構成がサポートされない場合があります。

N1 Grid Service Provisioning System のベースディレクトリはフェイルオーバーファイルシステムの共有記憶装置上に構成する

N1 Grid Service Provisioning System のベースディレクトリは、共有記憶装置上に作成してください。ベースディレクトリは、HAStoragePlus リソースとともに広域ファイルシステム (GFS) に置くことも、フェイルオーバーファイルシステム (FFS) に置くこともできます。望ましいのは FFS 上への配置です。

FFS が必要となるのは、Master Server がディレクトリ構造を利用してその構成、ログ、配備されたアプリケーション、データベースなどを保存するためです。Remote Agent と Local Distributor は、それぞれのキャッシュをベースディレクトリの下に保存します。バイナリをローカル記憶装置に、データの動的な部分を共有記憶装置に保存することはお勧めしません。

広域ファイルシステムは /global、フェイルオーバーファイルシステムは /local という接頭辞を指定してマウントすることをお勧めします。

N1 Grid Service Provisioning System のコンポーネントと依存性

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System データサービスは、1 つ以上の N1 Grid Service Provisioning System インスタンスまたはコンポーネントを保護するように構成できます。各インスタンスまたはコンポーネントは、1 つの Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System リソースによって対応する必要があります。次に、Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System リソースとほかの必須リソース間の依存性について示します。

N1 Grid Service Provisioning System の詳細は、docs.sun.com Web ページの製品マニュアルを参照するか、製品に付属のマニュアルを参照してください。

構成ファイルと登録ファイル

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System の各コンポーネントには構成ファイルと登録ファイルがあり、それらのファイルはディレクトリ /opt/SUNWscsps/component-dir/util に配置されます (component-dir はディレクトリ名 master、localdist、または remoteagent)。これらのファイルによって、Sun Cluster に N1 Grid Service Provisioning System コンポーネントを登録できます。

これらのファイルでは、適切な依存性を指定します。

例 1 Sun Cluster における N1 Grid Service Provisioning System マスターコンポーネント構成ファイルと登録ファイル

# cd /opt/SUNWscsps/master
# 
# ls -l util
total 6
-rwxr-xr-x   1 root     other        730 Nov 26 10:49 db_prep_postgres
-rwxr-xr-x   1 root     other        674 Nov 26 09:44 spsma_config
-rwxr-xr-x   1 root     other        579 Nov 26 11:06 spsma_register
# more util/spsma_config
#
# Copyright 2003 Sun Microsystems, Inc.  All rights reserved.
# Use is subject to license terms.
#
# This file will be sourced in by spsma_register and the parameters
# listed below will be used.
#
# These parameters can be customized in (key=value) form
#
#        RS - name of the resource for the application
#        RG - name of the resource group containing RS
#      PORT - name of the port number
#        LH - name of the LogicalHostname SC resource
#     PFILE - name of the parameter file for additional variables
#    HAS_RS - name of the HAStoragePlus SC resource
#

RS=
RG=
PORT=8080
LH=
PFILE=
HAS_RS=

spsma_register スクリプトは、spsma_config スクリプトの変数を検証し、マスターサーバーのリソースを登録します。

マスターサーバーコンポーネントには、ほかに db_prep_postgres というスクリプトもあります。このスクリプトは、監視のために Master Server の PostgreSql データベースを用意するために使用されます。

例 2 Sun Cluster における N1 Grid Service Provisioning System Remote Agent コンポーネント構成ファイルと登録ファイル

# cd /opt/SUNWscsps/remoteagent
# 
# ls -l util
total 4
-rwxr-xr-x   1 root     other        777 Dec  2 12:48 spsra_config
-rwxr-xr-x   1 root     other        568 Jan  7 16:56 spsra_register
# more util/spsra_config
# Copyright 2003 Sun Microsystems, Inc.  All rights reserved.
# Use is subject to license terms.
#
# This file will be sourced in by xxx_register and the parameters
# listed below will be used.
#
# These parameters can be customized in (key=value) form
#
#        RS - name of the resource for the application
#        RG - name of the resource group containing RS
#      PORT - name of the Remote Agents  port number
#        LH - name of the LogicalHostname SC resource
#      USER - name of the owner of the remote agent
#      BASE - name of the directry where the N1 Service Provisioning Server
#             is installed
#    HAS_RS - name of the HAStoragePlus SC resource
#

RS=
RG=
PORT=22
LH=
USER=
BASE=
HAS_RS=

spsra_register スクリプトは、spsra_config スクリプトの変数を検証し、リモートエージェントのリソースを登録します。

例 3 Sun Cluster における N1 Grid Service Provisioning System Local Distributors コンポーネント構成ファイルと登録ファイル

# cd /opt/SUNWscsps/localdist
# 
# ls -l util
total 4
-rwxr-xr-x   1 root     other        757 Dec  3 17:45 spsld_config
-rwxr-xr-x   1 root     other        609 Jan  7 16:56 spsld_register
# more util/spsld_config
#
# Copyright 2003 Sun Microsystems, Inc.  All rights reserved.
# Use is subject to license terms.
#
# This file will be sourced in by spsld_register and the parameters
# listed below will be used.
#
# These parameters can be customized in (key=value) form
#
#        RS - name of the resource for the application
#        RG - name of the resource group containing RS
#      PORT - name of the port number
#        LH - name of the LogicalHostname SC resource
#      USER - name of the owner of the local distributor
#      BASE - name of the directry where the N1 Service Provisioning Server
#             is installed
#    HAS_RS - name of the HAStoragePlus SC resource
#

RS=
RG=
PORT=22
LH=
USER=
BASE=
HAS_RS=

spsld_register スクリプトは、spsld_config スクリプトの変数を検証し、ローカルディストリビュータのリソースを登録します。

N1 Grid Service Provisioning System のインストールと構成

この節では、N1 Grid Service Provisioning System コンポーネントのインストールと構成の手順について説明します。コンポーネントは、Master Server、Remote Agent、および Local Distributor です。

N1 Grid Service Provisioning System コンポーネントのインストール

手順

1. Sun Cluster 内に N1 Grid Service Provisioning System を配備する方法を決定します。

   • N1 Grid Service Provisioning System のどのコンポーネントを使用するかを決定します。

   • どのユーザー名を使用して N1 Grid Service Provisioning System コンポーネントを実行するかを決定します。

   • 配備する N1 Grid Service Provisioning System コンポーネントのバージョンとインスタンスの数を決定します。

   • 各 N1 Grid Service Provisioning System コンポーネントインスタンスで使用するクラスタファイルシステムを決定します。

2. N1 Grid Service Provisioning System のクラスタファイルシステムをマウントします。

3. 必要に応じユーザーとグループを作成します。— root 以外のユーザー権限を使用して N1 Grid Service Provisioning System を実行する場合は、適切なユーザーとグループを作成する必要があります。これらのタスクには、ノードごとに次のコマンドを実行してください。

   # groupadd —g 1000 sps # useradd —u 1000 —g 1000 —d /global/sps —s /bin/ksh sps

   次に、N1 Grid Service Provisioning System コンポーネントのためにリソースグループと、適切な記憶装置リソースおよび論理ホストリソースを設定する必要があります。コンポーネントは、Master Server、Remote Agent、または Local Distributor のいずれかです。これらの手順は、N1 Grid Service Provisioning System リソースの作業に進む前に行う必要があります。1 つのノードでのみ、手順 4 から 手順 9 を行なってください。

4. SUNW.HAStoragePlus リソースタイプを登録します。

   ここでは、N1 Grid Service Provisioning System コンポーネントのファイルシステムがフェイルオーバーファイルシステムとしてマウントされていることを想定しています。

   # scrgadm -a -t SUNW.HAStoragePlus

5. フェイルオーバーリソースグループを作成します。

   # scrgadm -a -g N1sps-component-resource-group

6. N1 Grid Service Provisioning System コンポーネント Disk Storage のリソースを作成します。

   # scrgadm -a -j N1sps-component-has-resource \ > -g N1sps-component-resource-group \ > -t SUNW.HAStoragePlus \ > -x FilesystemMountPoints=N1sps-component-instance-mount-points

7. N1 Grid Service Provisioning System Master コンポーネント Logical Host 名のリソースを作成します。

   # scrgadm -a -L -j N1sps-component-logical-hostname \ > -g N1sps-component-resource-group \ > -l N1sps-component-logical-hostname

8. N1 Grid Service Provisioning System ディスク記憶装置と論理ホスト名のリソースが組み込まれたフェイルオーバーリソースグループを有効にします。

   # scswitch -Z -g N1sps-component-resource-group

9. N1 Grid Service Provisioning System コンポーネントをインストールします — 1 つのノード上に該当する N1 Grid Service Provisioning System コンポーネントをインストールします。インストール場所として、Sun Cluster 内の共有ファイルシステムを使用してください。

   共有ディスクに N1 Grid Service Provisioning System をインストールすることをお勧めします。ソフトウェアをローカルファイルシステムにインストールした場合と、クラスタファイルシステムにインストールした場合のメリットとデメリットについては、『Sun Cluster データサービスのインストールと構成』の「アプリケーションバイナリの格納先の決定」を参照してください。

   ---

   注 –

   N1 Grid Service Provisioning System のインストール方法については、http://docs.sun.com の N1 Grid Service Provisioning System 製品マニュアルを参照してください。N1 Grid Service Provisioning System の詳細については、docs.sun.com Web ページを参照してください。

   ---

N1 Grid Service Provisioning System のインストールと構成の確認

この節では、N1 Grid Service Provisioning System のインストールと構成を確認する上で必要な手順について説明します。

データサービスをまだインストールしていないため、この手順ではアプリケーションの可用性が高いかどうかを確認することはできません。インストールした N1 Grid Service Provisioning System アプリケーションに該当する手順を選択してください。

N1 Grid Service Provisioning System Master Server のインストールと構成を確認する

この手順は、マスターサーバーのインストールを確認する場合に選択します。

手順

1. N1 Grid Service Provisioning System Master Server を起動します。

   N1 Grid Service Provisioning System Master Server のユーザー名 (以下の例では sps) に切り替え、ソフトウェアが配置されているディレクトリに移動します。以下の例では、ソフトウェアバージョンは 4.1 です。

   ---

   注 –

   起動コマンドと停止コマンドの出力メッセージは、バージョンによって大きく異なります。

   ---

   # su - sps $ cd N1_Service_Provisioning_System_4.1 $cd server/bin $./cr_server start *** Starting database *** Starting cr_server

2. インストールをチェックします。

   Web ブラウザを起動し、http:// logical-hostname:port を指定してクラスタノードに接続します。port には、マスターサーバーのインストール作業で設定した Web 管理ポートを指定してください。デフォルトの N1 Grid Service Provisioning System ログインページを表示すると、すべてが正常に稼働していることがわかります。

3. N1 Grid Service Provisioning System Master Server を停止します。

   $ ./cr_server stop *** Stopping cr_server Waiting for CR to complete shutdown... *** Stopping database waiting for postmaster to shut down.......done postmaster successfully shut down

N1 Grid Service Provisioning System Remote Agent のインストールと構成を確認する

この手順は、N1 Grid Service Provisioning System Remote Agent のインストールを確認する場合に選択します。

手順

1. N1 Grid Service Provisioning System Remote Agent を起動します。

   N1 Grid Service Provisioning System Remote Agent のユーザー名 (以下の例では sps) に切り替え、ソフトウェアが配置されているディレクトリに移動します。以下の例では、ソフトウェアバージョンは 4.1 です。

   ---

   注 –

   起動コマンドと停止コマンドの出力メッセージは、バージョンによって大きく異なります。

   ---

   # su - sps $ cd N1_Service_Provisioning_System $cd agent/bin $./cr_agent start *** Starting cr_agent

2. インストールをチェックします。

   次のコマンドを使用し、プロセステーブルをチェックします。

   $ /usr/ucb/ps -auxww |grep java|grep agent >/dev/null;echo $? 0

   応答が 0 の場合、すべて正常に稼働しています。|grep agent >/dev/null;echo $? は省略できます。省略した場合は、プロセス文字列内に「agent」が含まれる Java プロセスを確認する必要があります。

3. N1 Grid Service Provisioning System Remote Agent を停止します。

   $ ./cr_agent stop *** Stopping cr_agent

N1 Grid Service Provisioning System Local Distributor のインストールと構成を確認する

この手順は、N1 Grid Service Provisioning System Local Distributor のインストールを確認する場合に選択します。

手順

1. N1 Grid Service Provisioning System Local Distributor を起動します。

   N1 Grid Service Provisioning System Remote Agent のユーザー名 (以下の例では sps) に切り替え、ソフトウェアが配置されているディレクトリに移動します。以下の例では、ソフトウェアバージョンは 4.1 です。

   ---

   注 –

   起動コマンドと停止コマンドの出力メッセージは、バージョンによって大きく異なります。

   ---

   # su - sps $ cd N1_Service_Provisioning_System $cd ld/bin $./cr_ld start *** Starting cr_ld

2. インストールをチェックします。

   次のコマンドを使用し、プロセステーブルをチェックします。

   $ /usr/ucb/ps -auxww |grep java|grep ld>/dev/null;echo $? 0

   応答が 0 の場合、すべて正常に稼働しています。|grep ld>/dev/null;echo $? は省略できます。省略した場合は、プロセス文字列に「ld」が含まれる Java プロセスを確認する必要があります。

3. N1 Grid Service Provisioning System Local Distributor を停止します。

   $ ./cr_ld stop *** Stopping cr_ld

Sun Cluster HA for N1 Grid Service Provisioning System パッケージのインストール

Sun Cluster の初回のインストールで Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System パッケージをインストールしなかった場合は、ここで説明する作業を行なってパッケージをインストールしてください。この手順は、Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System パッケージをインストールする各クラスタノード上で個別に実行します。この手順を実行するには、Sun Cluster Agents CD-ROM が必要です。

複数のデータサービスを同時にインストールする場合は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「ソフトウェアのインストール」に記載されている手順を実行してください。

次のインストールツールのどちらかを使用して、Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System パッケージをインストールします。

• Web Start プログラム

• scinstall ユーティリティー

Web Start プログラムは、Sun Cluster 3.1 Data Services 10/03 より前のリリースでは利用できません。

Solaris 10 を使用している場合は、これらのパッケージを大域ゾーンにだけインストールしてください。パッケージをインストールしたあとで作成されたローカルゾーンにそれらのパッケージが転送されないようにするには、scinstall ユーティリティーを使用してパッケージをインストールしてください。Web Start プログラムは使用しないでください。

Web Start プログラムを使用した Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System パッケージのインストール方法

Web Start プログラムは、コマンド行インタフェース (CLI) またはグラフィカルユーザーインタフェース (GUI) を使用して実行できます。CLI と GUI での作業の内容と手順はほとんど同じです。Web Start プログラムの詳細は、installer(1M) のマニュアルページを参照してください。

手順

1. Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System パッケージをインストールするクラスタノード上で、スーパーユーザーになります。

2. (省略可能) GUI で Web Start プログラムを実行する場合は、DISPLAY 環境変数が設定されていることを確認してください。

3. CD-ROM ドライブに Sun Cluster Agents CD-ROM を挿入します。

   ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行されており、CD-ROM デバイスを管理するように構成されている場合は、デーモンによって CD-ROM が自動的に /cdrom/cdrom0 ディレクトリにマウントされます。

4. CD-ROM の Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System コンポーネントディレクトリに移動します。

   Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System データサービスの Web Start プログラムは、このディレクトリに入っています。

   # cd /cdrom/cdrom0/components/SunCluster_HA_N1G_SPS_3.1

5. Web Start プログラムを起動します。

   # ./installer

6. プロンプトが表示されたら、インストールの種類を選択します。

   • C ロケールのみをインストールする場合は、Typical を選択します。

   • ほかのロケールをインストールする場合は、Custom を選択します。

7. 表示される手順に従って、ノードに Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System パッケージをインストールします。

   インストールが終了すると、Web Start プログラムのインストールサマリーが出力されます。このサマリーを使用して、インストール時に Web Start によって作成されたログを確認できます。これらのログは、/var/sadm/install/logs ディレクトリにあります。

8. Web Start プログラムを終了します。

9. Sun Cluster Agents CD-ROM を CD-ROM ドライブから取り出します。

   1. CD-ROM が使用されないように、CD-ROM 上のディレクトリ以外に移動します。

   2. CD-ROM を取り出します。

      # eject cdrom

scinstall ユーティリティーを使用して Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System パッケージをインストールする

この手順を実行するには、Sun Cluster Agents CD-ROM が必要です。この作業は、Sun Cluster の初回のインストールでこのデータサービスをインストールしていないことを前提としています。

Sun Cluster の初回のインストールで Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System をインストールした場合は、「Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System の登録と構成」に進んでください。

この作業は、Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System を実行できるすべてのノードで行います。

手順

1. Sun Cluster Agents CD-ROM を CD-ROM ドライブに挿入します。

2. オプションを指定せずに scinstall ユーティリティーを実行します。

   scinstall ユーティリティーにより、ほかの情報を入力するためのプロンプトが表示されます。

3. メニューオプション「新しいデータサービスのサポートをこのクラスタノードに追加」を選択します。

   scinstall ユーティリティーが対話型モードで起動します。

4. Sun Cluster Agents CD-ROM のパス名を指定します。

   このユーティリティーには、この CD は “data services cd” と表示されます。

5. メニューオプション「q) 完了」を選択します。

6. 「他のデータサービスも表示しますか ?」という質問に対して「yes」と入力します

   このユーティリティーには、この CD は “data services cd” と表示されます。

7. インストールするデータサービスを指定します。

   選択したデータサービスが scinstall ユーティリティーによって示され、この選択内容の確認が求められます。

8. scinstall ユーティリティーを終了します。

9. CD-ROM ドライブから CD を取り出します。

N1 Grid Service Provisioning System Master Server のデータベースの準備

この節では、N1 Grid Service Provisioning System Master Server のデータベースを準備する方法について説明します。このデータベースは、ユーザー sc_test とテーブル sc_test を含む必要があります。このユーザーとテーブルは、PostgreSql データベースの監視に必要なものです。ユーザーとテーブルを作成するために、スクリプト db_prep_postgres が用意されています。

Master Server のデータベースの用意

手順

1. 「N1 Grid Service Provisioning System Master Server のインストールと構成を確認する」に説明されている方法で、N1 Grid Service Provisioning System Master Server を起動します。

2. Master Server のユーザーの状態のまま、データベースを用意します。

   このデータベースを用意するためには、N1 Grid Service Provisioning System Master Server のベースディレクトリが必要です。これは、server/bin ディレクトリが入ったディレクトリです。このデータベースは、次のコマンドを使用して用意してください。

   $/opt/SUNWscsps/master/util/db_prep_postgres <Base Directory of the master Server> CREATE USER CREATE

   ベースディレクトリは、たとえば /global/sps/N1_Service_Provisioning_System_4.1 のようになります。

3. 「N1 Grid Service Provisioning System Master Server のインストールと構成を確認する」に説明されている方法で、N1 Grid Service Provisioning System Master Server を停止します。

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System の登録と構成

この節では、Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System の Master Server、Remote Agent、または Local Distributor を構成する上で必要な手順を示します。

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System Master Server をフェイルオーバーデータサービスとして登録し、構成する

この手順を実行する前に、データサービスパッケージをインストールしておく必要があります。

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System パッケージをインストールしてない場合は、「Sun Cluster HA for N1 Grid Service Provisioning System パッケージのインストール」に移動してください。

手順

1. N1 Grid Service Provisioning System Master Server をホストするクラスタノードの 1 つで、スーパーユーザーになります。

2. SUNW.gds リソースタイプを登録します。

   # scrgadm -a -t SUNW.gds

3. Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System Master Server が必要とするパラメータファイルを用意します。

   ---

   注意 –

   パラメータファイルは、N1 Grid Service Provisioning System Master Server データサービスをホストできるすべてのノードで利用可能にする必要があります。フェイルオーバー構成の場合は、共有記憶装置に保存します。さまざまなノード上の N1 Grid Service Provisioning System Master Server インスタンスごとにパラメータファイルが異なってはいけません。

   ---

   # cd /opt/SUNWscsps/master/bin # cp pfile desired place

   pfile を格納する、共有記憶装置上の場所を選択します。ファイルコメントに従って、パラメータファイル pfile を編集します。次に例を示します。

   #!/usr/bin/ksh # # Copyright 2003 Sun Microsystems, Inc. All rights reserved. # Use is subject to license terms. # # Set the N1 Grid Service Provisioning System Master Server # specific environment variables which the start, stop and check fuctions will use # # User Centerrun User # Basepath Absolute path to Centerrun Basedir directory # Host Hostname to test Apache Tomcat # Tport Port where the N1 Service Prosioning Systems Apache Tomcat instance # is configured to listen # TestCmd Apache Tomcat test command # ReturnString Use one of the strings below faccording to your Sun One Provisoning # Server Version. # Version 4.1 = SSL|Service # Startwait Sleeping $Startwait seconds after completion of the # start command User= Basepath= Host= Tport= TestCmd=" ReturnString= Startwait=

   次に、N1 Grid Service Provisioning System 4.1 Master Server の場合の例を示します。

   User=sps Basepath=/global/sps/N1_Service_Provisioning_System_4.1 Host=N1spsma-lh Tport=8080 TestCmd="get /index.jsp" ReturnString="SSL|Service" Startwait=20

   この例は、N1 Grid Service Provisioning System 4.1 Master Server からのものです。Apache Tomcat は、ポート 8080 で待機するように構成されます。デフォルトの起動ページには、文字列 Service または文字列 SSL (SSL ポートで応答するように構成した場合) が入っています。

4. 必要な N1 Grid Service Provisioning System Master Server インスタンスごとに、登録スクリプトを構成します。

   # cd /opt/SUNWscsps/master/util # cp spsma_config desired place # cp spsma_register desired place

   ファイルコメントに従って、spsma_config ファイルを編集します。次に例を示します。

   # These parameters can be customized in (key=value) form # # Copyright 2003 Sun Microsystems, Inc. All rights reserved. # Use is subject to license terms. # # This file will be sourced in by spsma_register and the parameters # listed below will be used. # # These parameters can be customized in (key=value) form # # RS - name of the resource for the application # RG - name of the resource group containing RS # PORT - name of the port number to satisfy GDS registration # LH - name of the LogicalHostname SC resource # PFILE - name of the parameter file for additional variables # HAS_RS - name of the HAStoragePlus SC resource # RS= RG= PORT= LH= PFILE= HAS_RS=

   次に、Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System Master Server の場合の例を示します。

   RS=N1spsma-res RG=N1spsma-rg PORT=8080 LH=N1spsma-lh PFILE=/global/mnt1/N1spsma-pfile HAS_RS=N1spsma-hastplus-res

   PORT 変数は、汎用データサービスの要件を満たすために必要なものです。

5. spsma_config を編集したあとで、このリソースを登録します。

   # ./spsma_register Registration of resource N1spsma-rs succeeded Validate resource N1spsma-rs in resourcegroup spsma-rg Validation of resource spsma-rs succeeded &#

6. N1 Grid Service Provisioning System Master Server の各リソースを有効にします。

   # scstat -g

   # scswitch -e -j N1spsma-resource

7. (省略可能) 必要な N1 Grid Service Provisioning System Master Server インスタンスごとに、手順 3 から 手順 6 を繰り返します。

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System Remote Agent をフェイルオーバーデータサービスとして登録し、構成する

この手順を実行する前に、データサービスパッケージをインストールしておく必要があります。

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System パッケージをインストールしていない場合は、「Sun Cluster HA for N1 Grid Service Provisioning System パッケージのインストール」に移動してください。

手順

1. N1 Grid Service Provisioning System Remote Agent をホストするクラスタノードの 1 つで、スーパーユーザーになります。

2. SUNW.gds リソースタイプを登録します。

   # scrgadm -a -t SUNW.gds

3. 必要な N1 Grid Service Provisioning System Remote Agent インスタンスごとに、登録スクリプトを構成します。

   # cd /opt/SUNWscsps/remoteagent/util # cp spsra_config desired place # cp spsra_register desired place

   ファイルコメントに従って、spsra_config ファイルを編集します。次に例を示します。

   # # Copyright 2003 Sun Microsystems, Inc. All rights reserved. # Use is subject to license terms. # # This file will be sourced in by spsra_register and the parameters # listed below will be used. # # These parameters can be customized in (key=value) form # # RS - name of the resource for the application # RG - name of the resource group containing RS # PORT - name of the port number to satisfy GDS registration # LH - name of the LogicalHostname SC resource # USER - name of the owner of the remote agent # BASE - name of the direcotry where the N1 Service Provisioning Server # is installed # HAS_RS - name of the HAStoragePlus SC resource # RS= RG= PORT= LH= USER= BASE= HAS_RS=

   次に、N1 Grid Service Provisioning System 4.1 Remote Agent の場合の例を示します。

   RS=N1spsra-res RG=N1spsra-rg PORT=22 LH=N1spsra-lh USER=sps BASE=/global/sps/N1_Service_Provisioning_System HAS_RS=N1spsra-hastplus-res

   PORT 変数は、汎用データサービスの要件を満たすために必要なものです。

4. spsra_config を編集したあとで、このリソースを登録します。

   # ./spsra_register Registration of resource N1spsra-rs succeeded Validate resource N1spsra-rs in resourcegroup N1spsra-rg Validation of resource N1spsra-rs succeeded

5. N1 Grid Service Provisioning System Remote Agent の各リソースを有効にします。

   # scstat -g

   # scswitch -e -j N1spsra-resource

6. (省略可能) 必要な N1 Grid Service Provisioning System Remote Agent インスタンスごとに、手順 3 から 手順 6 を繰り返します。

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System Local Distributor をフェイルオーバーデータサービスとして登録し、構成する

この手順を実行する前に、データサービスパッケージをインストールしておく必要があります。

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System パッケージをインストールしていない場合は、「Sun Cluster HA for N1 Grid Service Provisioning System パッケージのインストール」に移動してください。

手順

1. N1 Grid Service Provisioning System Local Distributor をホストするクラスタノードの 1 つで、スーパーユーザーになります。

2. SUNW.gds リソースタイプを登録します。

   # scrgadm -a -t SUNW.gds

3. 必要な N1 Grid Service Provisioning System Local Distributor インスタンスごとに、登録スクリプトを構成します。

   # cd /opt/SUNWscsps/localdist/util # cp spsld_config desired place # cp spsld_register desired place

   ファイルコメントに従って、spsld_config ファイルを編集します。次に例を示します。

   # # Copyright 2003 Sun Microsystems, Inc. All rights reserved. # Use is subject to license terms. # # This file will be sourced in by spsld_register and the parameters # listed below will be used. # # These parameters can be customized in (key=value) form # # RS - name of the resource for the application # RG - name of the resource group containing RS # PORT - name of the port number to satisfy GDS registration # LH - name of the LogicalHostname SC resource # USER - name of the owner of the local distributor # BASE - name of the directory where the N1 Service Provisioning Server # is installed # HAS_RS - name of the HAStoragePlus SC resource # RS= RG= PORT=22 LH= USER= BASE= HAS_RS=

   次に、N1 Grid Service Provisioning System 4.1 Local Distributor の場合の例を示します。

   RS=N1spsld-res RG=N1spsld-rg PORT=22 LH=N1spsld-lh USER=sps BASE=/global/sps/N1_Service_Provisioning_System_4.1 HAS_RS=N1spsld-hastplus-res

   PORT 変数は、汎用データサービスの要件を満たすために必要なものです。

4. spsld_config を編集したあとで、このリソースを登録します。

   # ./spsld_register Registration of resource N1spsld-rs succeeded Validate resource N1spsld-rs in resourcegroup N1spsld-rg Validation of resource N1spsld-rs succeeded

5. N1 Grid Service Provisioning System Local Distributor の各リソースを有効にします。

   # scstat -g

   # scswitch -e -j N1spsra-resource

6. (省略可能) 必要な N1 Grid Service Provisioning System Local Distributor インスタンスごとに、手順 3 から手順 5 を繰り返します。

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System と構成の確認

ここでは、データサービスが正しくインストールされ構成されているかどうかを確認する手順について説明します。

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System のインストールと構成を確認する

手順

1. N1 Grid Service Provisioning System コンポーネントをホストするクラスタノードの 1 つで、スーパーユーザーになります。コンポーネントは、Master Server、Remote Agent、または Local Distributor です。

2. コマンド scstat を使用し、N1 Grid Service Provisioning System リソースがすべてオンライン状態であることを確認します。

   # scstat -g

   オンライン状態でない N1 Grid Service Provisioning System リソースで、次のように scswitch コマンドを実行します。

   # scswitch -e -j N1sps-resource

3. 次のように scswitch コマンドを実行し、N1 Grid Service Provisioning System リソースグループをほかのクラスタノード (node2 など) に切り替えます。

   # scswitch -z -g N1sps-resource-group -h node2

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System Master Server パラメータファイルの概要

この節の情報は、Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System Master Server パラメータファイルの内容を理解するために利用してください。この節では、Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System Master Server パラメータファイルの構造と内容について紹介するとともに、このファイルの変数を選択する方法について説明します。

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System Master Server のパラメータファイルの構造

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System Master Server は、起動コマンド、停止コマンド、および検証コマンドにパラメータを渡すパラメータファイルを使用します。このパラメータファイルは、いくつかの変数を設定する有効な Korn シェルスクリプトにする必要があります。このファイルの構造を、表 4 に示します。パラメータファイルの例は、「Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System の登録と構成」を参照してください。

表 4 内のパラメータは、任意の時点で変更できます。変更がどの時点で有効になるかが異なるだけです。

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System パラメータファイルの次のパラメータは、Master Server の起動と停止に使用します。これらのパラメータに対する変更は、N1 Grid Service Provisioning System Master Server リソースの再起動または無効にして有効にする操作によって適用されます。

• User

• Basepath

• Startwait

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System Master Server パラメータファイルの次のパラメータは、障害モニターで使用されます。これらのパラメータに対する変更は、Thorough_probe_interval ごとに適用されます。

• Host

• Tport

• TestCmd

• ReturnString

TestCmd 変数と ReturnString 変数の選択方法

テストコマンド TestCmd を使用して問い合わせるページには、ReturnString が存在しなければなりません。

• アプリケーションの起動ページを使用し、TestCmd を get /index.jsp に設定します。さらに、ReturnString を起動ページに含まれる文字列に設定します。この方法により、N1 Grid Service Provisioning System Master Server の Apache Tomcat プロセスが稼働していることが確認されます。

• N1 Grid Service Provisioning System Master Server が、管理ポートで SSL に構成されている場合。http ポートでの要求は、文字列 SSL を含むページだけです。この場合、ReturnString を SSL に、TestCmd を get /index.jsp に構成してください。

• 構成に変更が出る可能性がある場合は、テストコマンドを get /index.jsp、RetunString を SSL|Service に構成してください。起動ページに SSL または Service が含まれる場合、この表現は true となります。

• 上記のどの方法も適切でない場合は、get /a-page-which-does-not-exists を TestCmd に設定します。この場合は、Error Page に含まれる文字列を ReturnString に設定します。N1 Grid Service Provisioning System Master Server の Apache Tomcat プロセスは存在しないページを配信しなければならないことを記録するため、この方法はこのプロセスが稼動しているかを監視するのに使用できます。

ブラウザで「ホスト名: ポート番号」を指定して接続し、異なるページを指定することによって、これらを評価できます。

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System の障害モニターの概要

ここでは、Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System 障害モニターの検証アルゴリズムと機能について説明するとともに、検証エラーに関連する状況、メッセージ、回復アクションを示します。

障害モニターの概念については、『Sun Cluster 3.1 の概念』を参照してください。

リソースプロパティー

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System 障害モニターは、リソースタイプ SUNW.gds と同じリソースプロパティーを使用します。使用するリソースプロパティーの全リストについては、SUNW.gds(5) のマニュアルページを参照してください。

N1 Grid Service Provisioning System Master Server の検証アルゴリズムと機能性

Master Server の検証は 2 つの部分から成ります。その 1 つは Apache Tomcat の検証で、もう 1 つはデータベースの検証です。

次に、N1 Grid Service Provisioning System Master Server の妥当性を監視する手順を示します。

1. Thorough_probe_interval の間、休止します。

2. Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System Master Server パラメータファイルで構成されている Host を ping します。

3. Host と Port を介して Apache Tomcat に接続します。接続が正常に行われると、TestCmd が送信され、ReturnString が戻るかテストが行われます。接続が失敗すると、5 秒後に再スケジュールされます。再び失敗すると、検証プログラムによって Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System が再起動します。

   ---

   注意 –

   「 Connection refused 」は接続が不可能な場合に返される文字列であるため、ReturnString にこの文字列を指定することはできません。

   ---

4. Apache Tomcat が稼働している場合、検証プログラムはデータベーステーブル sc_test の操作を行います。データベースへの接続またはテーブルの操作が失敗に終わる場合、N1 Grid Service Provisioning System Master Server が再起動されます。

5. Apache Tomcat プロセスとすべてのデータベースプロセスが停止した場合には、pmf によって検証プログラムが遮断され、N1 Grid Service Provisioning System Master Server がただちに再起動されます。

6. N1 Grid Service Provisioning System Master Server が繰り返し再起動され、最終的に Retry_interval の Retry_count がゼロになると、別のノードでそのリソースグループのフェイルオーバーが開始されます。これは、リソースプロパティー Failover_enabled に TRUE が設定されいている場合の動作です。

N1 Grid Service Provisioning System Remote Agent の検証アルゴリズムと機能性

Remote Agent の検証は pmf によってのみ行われます。

N1 Grid Service Provisioning System Remote Agent の監視は次の手順で行われます。

1. Remote Agent のプロセスが停止した場合、pmf は N1 Grid Service Provisioning System Remote Agent をただちに再起動します。

2. N1 Grid Service Provisioning System Remote Agent が繰り返し再起動され、最終的に Retry_interval の Retry_count がゼロになると、別のノードでそのリソースグループのフェイルオーバーが開始されます。これは、リソースプロパティー Failover_enabled に TRUE が設定されいている場合の動作です。

N1 Grid Service Provisioning System Local Distributor の検証アルゴリズムと機能性

Local Distributor の検証は pmf によってのみ行われます。

N1 Grid Service Provisioning System Local Distributor の監視は次の手順で行われます。

1. Local Distributor のプロセスが停止した場合、pmf は N1 Grid Service Provisioning System Local Distributor をただちに再起動します。

2. N1 Grid Service Provisioning System Local Distributor が繰り返し再起動され、最終的に Retry_interval の Retry_count がゼロになると、別のノードでそのリソースグループのフェイルオーバーが開始されます。これは、リソースプロパティー Failover_enabled に TRUE が設定されいている場合の動作です。

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System をデバッグする

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System は、複数の N1 Grid Service Provisioning System インスタンスによって使用できます。デバッグは、すべての N1 Grid Service Provisioning System インスタンスに対して有効にすることも、特定の N1 Grid Service Provisioning System インスタンスに対して有効にすることもできます。これは、コンポーネント (Master Server、Remote Agent、または Local Distributor) ごとに単体で実行する必要があります。

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System コンポーネントの DEBUG ファイルは、/opt/SUNWscsps/component-dir/etc の下に置かれています。これらのコンポーネントのディレクトリは、Master Server は master、Remote Agent は remoteagent、Local Distributor は localdist です。

このファイルを使用することで、N1 Grid Service Provisioning System コンポーネントのすべてのインスタンスに対してデバッグを有効にすることも、あるいは Sun Cluster 内の特定のノード上に存在する N1 Grid Service Provisioning System コンポーネントの特定のインスタンスに対してデバッグを有効にすることもできます。Sun Cluster 全体にわたって、Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System のデバッグを有効にしなければならない場合は、Sun Cluster 内のすべてのノードでこの手順を繰り返す必要があります。

Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System コンポーネントのデバッグを有効にする

次の手順を、Sun Cluster の各ノード上の、デバッグ出力が必要な Sun Cluster HA for N1 Service Provisioning System コンポーネントに対して行います。

手順

1. /etc/syslog.conf を編集し、daemon.notice を daemon.debug に変更します。

   # grep daemon /etc/syslog.conf *.err;kern.debug;daemon.notice;mail.crit /var/adm/messages *.alert;kern.err;daemon.err operator #

   daemon.noticeを daemon.debug に変更し、syslogd を再起動します。次に示す grep daemon /etc/syslog.conf コマンドの出力例では、daemon.debug が設定されています。

   # grep daemon /etc/syslog.conf *.err;kern.debug;daemon.debug;mail.crit /var/adm/messages *.alert;kern.err;daemon.err operator # # pkill -1 syslogd

2. /opt/SUNWscsps/component-dir/etc/config を編集し、DEBUG= を DEBUG=ALL または DEBUG=resource に変更します。

   # cat /opt/SUNWscsps/component-dir/etc/config # # Copyright 2003 Sun Microsystems, Inc. All rights reserved. # Use is subject to license terms. # # Usage: # DEBUG=<RESOURCE_NAME> or ALL # DEBUG=ALL #

   component-dir には、Master Server の場合は master、Remote Agent の場合は remoteagent、Local Distributor の場合は localdist を指定します。

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   注 –

   デバッグを無効にするには、これらの手順を逆にします。

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