この章では、Sun Cluster HA for Agfa IMPAX のインストールと構成の方法について説明します。
この章の内容は次のとおりです。
IMPAX システムのシングルポイント障害を排除するために、Sun Cluster HA for Agfa IMPAX は IMPAX アプリケーションに自動フェイルオーバーを提供します。Sun Cluster HA for Agfa IMPAX はフェイルオーバーデータサービスです。
フェイルオーバーデータサービスの概念については、『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』を参照してください。
Sun Cluster HA for Agfa IMPAX では、Oracle データベースが Sun Cluster HA for Oracle によって利用できる状態である必要があります。Sun Cluster HA for Agfa IMPAX は、データベースだけについて障害監視を行います。データベースをローカルで起動しないように、データベースリソースを構成します。
Agfa IMPAX サービスの各コンポーネントは、Sun Cluster に構成されている場合、各自のデータサービスによって保護されます。次の表を参照してください。
表 1 Sun Cluster データサービスによる Agfa IMPAX コンポーネントの保護
Agfa IMPAX コンポーネント |
データサービス |
---|---|
Oracle データベース |
Sun Cluster HA for Oracle |
Agfa IMPAX |
Sun Cluster HA for Agfa IMPAX |
NFS ファイルシステム |
Sun Cluster HA for NFS |
次の表は、Sun Cluster HA for Agfa IMPAX のインストールや構成に関する作業の要約と、それらの作業の実施に必要な詳しい説明がどこにあるかを示しています。これらの作業は、表に示す順序で行う必要があります。
表 2 Sun Cluster HA for Agfa IMPAX のインストールと構成に関する作業
作業 |
参照先 |
---|---|
Agfa IMPAX のインストールの計画 |
Agfa のマニュアルと Agfa のコンサルタント |
Agfa IMPAX のインストールと構成 |
IMPAX ソフトウェアは常に Agfa のコンサルタントがインストールします。 |
Agfa IMPAX のクラスタでの実行 | |
Sun Cluster HA for Agfa IMPAX パッケージと HA for Oracle パッケージのインストール | |
Sun Cluster HA for Oracle データサービスの登録とそのクラスタの構成 |
「Sun Cluster HA for Agfa IMPAX をサポートするための Sun Cluster HA for Oracle の構成」 |
Sun Cluster HA for Agfa IMPAX データサービスの登録とそのクラスタの構成 | |
Sun Cluster HA for Agfa IMPAX のインストールと構成の確認 |
ここでは、Sun Cluster HA for Agfa IMPAX のインストールと構成の計画について説明します。
開始する前に、Sun Cluster ソフトウェアによって課されるものではない構成に関する制限事項と要件について、Agfa IMPAX のマニュアルを読み、Agfa のコンサルタントに問い合わせてください。
以降の節で説明する構成の制限は Sun Cluster HA for Agfa IMPAX だけに適用されます。
データサービス構成がこれらの制限事項に従わない場合、このデータサービス構成はサポートされない可能性があります。
すべてのデータサービスに適用される制限事項については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』を参照してください。
データベースと Agfa IMPAX 間の接続は回復力がありません。整合性を保証するため、Oracle をローカルフェイルオーバー用に構成しないでください。その代わりに、Sun Cluster の機能を使用して、別のクラスタノードにフェイルオーバーします。
性能を上げるために、データベースファイルは高可用性ローカルファイルシステムにインストールします。 データベースファイルをクラスタファイルシステムにインストールしてはいけません。クラスタファイルシステムにインストールすると、性能が落ち、IMPAX アプリケーションの機能だけではなく、接続されたモダリティーや表示ステーションにも影響します。
ここで説明する構成の制約は Sun Cluster HA for Agfa IMPAX だけに適用されます。
これらの要件を満たしていないデータサービス構成は、サポートされない場合があります。
すべてのデータサービスに適用される要件については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「Sun Cluster データサービス構成のガイドライン」を参照してください。
Agfa IMPAX をインストールするときには、Agfa から提供される、Agfa IMPAX の特定のバージョン向けのインストール注意事項に従う必要があります。Agfa IMPAX ソフトウェアは常に Agfa のコンサルタントがインストールします。これは、そのクラスタが Agfa と Sun の両方からサポートを受けるための要件です。
Sun Cluster HA for Agfa IMPAX は Sun Cluster HA for Oracle データサービスに依存しており、HAStoragePlus リソースを使用して、このデータベースリソースの起動の同期をとります。Agfa エンジニアが Agfa IMPAX ソフトウェアをインストールするとき、そのエンジニアは Oracle ソフトウェアもインストールします。Sun Cluster HA for Oracle を構成するための要件についての詳細は、「Sun Cluster HA for Agfa IMPAX をサポートするための Sun Cluster HA for Oracle の構成」を参照してください。
Sun Cluster HA for Agfa IMPAX は、/opt/SUNWscpax/impaxapp/util/ ディレクトリに提供されるライブラリを必要とします。これらのライブラリを使用すると、IMPAX アプリケーションをクラスタ内で使用できます。さらに、いくつかのスクリプトをインストール内で置き換える必要があります。これらのスクリプトについては、Agfa のマニュアルを参照してください。
Sun Cluster HA for Agfa IMPAX のインストールと構成を計画するときには、この項の質問を使用します。『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「構成のワークシート」にあるデータサービスワークシートに、質問の答えを記入してください。
どのリソースグループを Sun Cluster HA for Agfa IMPAX アプリケーションリソースと論理ホスト名リソース用に使用しますか。
Sun Cluster HA for Agfa IMPAX リソースの論理ホスト名は何ですか。クラスタは、この論理ホスト名を通してデータサービスにアクセスします。
クラスタファイルシステムではなく、ローカルファイルシステムを使用する場合の利点と欠点については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「Sun Cluster データサービス構成のガイドライン」を参照してください。
開始する前に、Agfa IMPAX アプリケーションをインストールするよう Agfa のコンサルタントに連絡してください。Agfa のコンサルタントは、IMPAX ソフトウェアをインストールすると同時に、Oracle をインストールおよび構成します。
1 つのクラスタノードのスーパーユーザーになります。
IMPAX リソース用のリソースグループを作成します。
# scrgadm -a -g impax-rg |
追加するリソースグループの名前
このグループに Oracle リソースを追加します。詳細は、「Sun Cluster HA for Agfa IMPAX をサポートするための Sun Cluster HA for Oracle の構成」を参照してください。
必要であれば、Agfa IMPAX を実行できる各ノード用のエントリを /etc/hosts に追加します。
# Echo "address host" >>/etc/hosts |
ノードの IP アドレス
ホスト名 (IMPAX サービスの名前)
論理ホスト名リソースを、手順 2 で作成したリソースグループに追加します。
# scrgadm -a -L -g impax-rg -l hostname |
リソースグループ
論理ホスト名。IMPAX サービス名を使用します。
手順 2 で作成したリソースグループをオンラインにします。
# scswitch -Z -g impax-rg |
Sun Cluster の初回のインストール時に Sun Cluster HA for Agfa IMPAX パッケージをインストールしなかった場合は、この手順でパッケージをインストールしてください。この手順は、Sun Cluster HA for Agfa IMPAX パッケージをインストールする各クラスタノード上で個別に実行します。この手順を実行するには、Sun Java Enterprise System Accessory CD Volume 3 が必要です。
複数のデータサービスを同時にインストールする場合は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「ソフトウェアのインストール」に記載されている手順を実行してください。
次のインストールツールのどちらかを使用して、Sun Cluster HA for Agfa IMPAX パッケージをインストールします。
Web Start プログラム
scinstall ユーティリティー
Web Start プログラムは、Sun Cluster 3.1 Data Services 10/03 より前のリリースでは利用できません。
Web Start プログラムは、コマンド行インタフェース (CLI) またはグラフィカルユーザーインタフェース (GUI) を使用して実行できます。CLI と GUI での作業の内容と手順はほとんど同じです。Web Start プログラムの詳細は、installer(1M) のマニュアルページを参照してください。
Sun Cluster HA for Agfa IMPAX パッケージをインストールするクラスタノード上で、スーパーユーザーになります。
(省略可能) Web Start プログラムを GUI で 実行する場合は、必ず DISPLAY 環境変数が設定されていることを確認します。
CD-ROM ドライブに Sun Java Enterprise System Accessory CD Volume 3 を挿入します。
ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行されており、CD-ROM デバイスを管理するように構成されている場合は、デーモンによって CD-ROM が自動的に /cdrom/cdrom0 ディレクトリにマウントされます。
CD-ROM の Sun Cluster HA for Agfa IMPAX コンポーネントディレクトリに移動します。
Sun Cluster HA for Agfa IMPAX データサービスの Web Start プログラムは、このディレクトリに入っています。
# cd /cdrom/cdrom0/components/SunCluster_HA_AGFA_IMPAX_3.1 |
Web Start プログラムを起動します。
# ./installer |
表示される手順に従って、ノードに Sun Cluster HA for Agfa IMPAX パッケージをインストールします。
インストールが終了すると、Web Start プログラムのインストールサマリーが出力されます。このサマリーを使用して、インストール時に Web Start によって作成されたログを確認できます。これらのログは /var/sadm/install/logs ディレクトリに置かれます。
Web Start プログラムを終了します。
Sun Java Enterprise System Accessory CD Volume 3 を CD-ROM ドライブから取り出します。
「Sun Cluster HA for Agfa IMPAX の登録と構成」に進みます。
この手順は、Sun Cluster HA for Agfa IMPAX をマスターできるすべてのクラスタメンバーで実行してください。
Sun Java Enterprise System Accessory CD Volume 3 が存在することを確認します。
CD-ROM ドライブに Sun Java Enterprise System Accessory CD Volume 3 を挿入します。
オプションは指定せずに、scinstall ユーティリティーを実行します。
scinstall ユーティリティーが対話型モードで起動します。
メニューオプション「Add Support for New Data Service to This Cluster Node」を選択します。
scinstall ユーティリティーにより、ほかの情報を入力するためのプロンプトが表示されます。
Sun Java Enterprise System Accessory CD Volume 3 のパスを指定します。
ユーティリティーはこの CD をデータサービス CD-ROM として示します。
インストールするデータサービスを指定します。
選択したデータサービスが scinstall ユーティリティーによって示され、この選択の確認が求められます。
scinstall ユーティリティーを終了します。
ドライブから CD を取り出します。
「Sun Cluster HA for Agfa IMPAX の登録と構成」に進みます。
Sun Cluster HA for Agfa IMPAX は、高可用性 Oracle データベースに依存します。Agfa IMPAX をサポートするように Sun Cluster HA for Oracle を構成するには、Oracle サーバーリソースと Oracle リスナーリソースを、IMPAX サービス用に作成したリソースグループに追加します。Sun Cluster HA for Oracle 用のリソースをインストール、構成、および登録する方法についての詳細は、『Sun Cluster Data Service for Oracle ガイド (Solaris OS 版)』を参照してください。
リソースの登録に加えて、 oramon ユーザーを Oracle に追加して、データベースを検証できるようにします。
次の例では、IMPAX データサービス用に impax-rg というリソースグループを作成していると仮定します。
# scrgadm -a -j oralnsr-rs -t SUNW.oracle_listener -g impax-rg\ -x ORACLE_HOME=/global/export/oracle -x LISTENER_NAME=LISTNRname |
次の例では、IMPAX データサービス用に impax-rg というリソースグループを作成していると仮定します。
# scrgadm -a -j oraserver-rs -t SUNW.oracle_server -g impax-rg \ -t SUNW.oracle_server -x CONNECT_STRING=oramon/monitor -x ORACLE_SID=oraSID \ -x ORACLE_HOME=/global/export/oracle \ -x ALERT_LOG_FILE=/global/export/oracle/admin/oraSID/bdump/alert_oraSID.log |
次の例に、必要な oramon 構成を示します。
su - mvf sqlplus "/ as sysdba" grant connect, resource to oramon identified by "monitor"; alter user oramon default tablespace system quota 1m on system; grant select on v_$sysstat to oramon; grant create session to oramon; grant create table to oramon; exit;
Agfa IMPAX を高可用性にするように Sun Cluster HA for Agfa IMPAX を有効にするには、Sun Cluster HA for Agfa IMPAX データサービスをフェイルオーバーデータサービスとして構成します。
この手順を行う前に、Sun Cluster HA for Agfa IMPAX データサービスパッケージがインストールされていることを確認してください。「Web Start プログラムを使用して Sun Cluster HA for Agfa IMPAX パッケージをインストールする」または「scinstall ユーティリティーを使用して Sun Cluster HA for Agfa IMPAX パッケージをインストールする」のすべての手順を実行します。
impaxscripts リソースを追加します。
このリソースを使用すると、Sun Cluster は Oracle が起動する前に必要な作業を実行したり、Oracle が起動した後に必要な作業 (クリーンアップ) を実行したりできます。
登録構成ファイル /opt/SUNWscpax/impaxscripts/util/impaxscripts_config を編集して、リソースとリソースグループ名を自分の構成に合わせて変更します。
次に、impaxscripts_config ファイルの内容を示します。自分の構成に合っているのであれば、RS と RG のデフォルト値を使用してもかまいません。
# These parameters can be customized in (key=value) form # # RS - name of the resource for the application # RG - name of the resource group containing RS # PORT - name of the port number # LH - name of the LogicalHostname SC resource # HAS_RS - name of the HAStoragePlus SC resource # RS=impaxscripts-rs RG=impax-rg PORT= LH= HAS_RS= |
/opt/SUNWscpax/impaxscripts/etc/config 構成ファイルに正しい変数設定が入っていることを確認します。
これらの変数は、Agfa IMPAX のインストールによって提供されます。これらの変数は、次のように設定されている必要があります。
USERID=mvf # default userid for impax installations CLEANKILL="/usr/mvf/bin/sun_cluster_impax_kill" ORACLEPRE="/usr/mvf/bin/sun_cluster_oracle_prestart" |
リソースを作成して、クラスタに登録します。つまり、root のアクセス権を取得して、impaxscripts_register ユーティリティーを使用します。
# /opt/SUNWscpax/impaxscripts/util/impaxscripts_register |
このユーティリティーが失敗する場合、手順 b に戻って、構成ファイルが正しいかどうかを確認します。
SUNW.gds というリソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.gds |
SUNW.HAStoragePlus というリソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -j ora-ds -t SUNW.HAStoragePlus - |
Oracle データベース用の論理名
データベースファイルが存在するファイルシステム用に HAStoragePlus リソースを作成します。
# scrgadm -a -j ora-ds -t SUNW.HAStoragePlus -g impax-rg \ -x FileSystemMountPoints=/dbase, /cache1 |
データパスを最適化するために、広域ファイルシステムはディスクグループと同じ方法で管理します。
この方法によって、システムはベースサービスにローカルになりますが、ファイルは両方のノードで利用できます。
# scrgadm -a -t SUNW.HAStoragPlus -x FileSystemMountPoints=/global/export |
/opt/SUNWscpax/impaxapp/util/impax_config ファイルを編集して、次のような項目に合わせて変更します。
自分の構成
手順 1 で指定したリソースグループの名前
自分の依存関係
impax_register ユーティリティーを使用して、このリソースをクラスタフレームワークに登録します。
# /opt/SUNWscpax/impaxapp/util/impax_register |
サービスツールを使用して、Agfa IMPAX のインスタンスが論理 IP アドレスで利用できることを確認します。