Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理

Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアの実行時状態の監視

Sun Cluster Geographic Edition が有効になったローカルクラスタの実行時状態は、geoadm status コマンドを使用して出力できます。このコマンドを実行すると、次のようにセクション区分されて情報が表示されます。

geoadm status コマンドを実行するには、Basic Solaris User RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC の詳細は、「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。

たとえば、管理者が cluster-paris 上で geoadm status コマンドを実行した場合、次の情報が出力されます。


phys-paris-1# geoadm status

Cluster: cluster-paris

Partnership "paris-newyork-ps": OK
   Partner clusters    : cluster-newyork
   Synchronization     : OK

   Heartbeat "paris-to-newyork" monitoring "cluster-newyork": OK        
      Heartbeat plug-in "ping_plugin"    : Inactive
      Heartbeat plug-in "icrm_plugin"    : OK
      Heartbeat plug-in "tcp_udp_plugin" : OK

Protection group "tcpg"     : OK
   Partnership              : "paris-newyork-ps"
   Synchronization          : OK

   Cluster cluster-paris    : OK
   Role                     : Primary
   PG activation state      : Activated
   Configuration            : OK
   Data replication         : OK
   Resource groups          : OK

  Cluster cluster-newyork   : OK
     Role                   : Secondary
     PG activation state    : Activated
     Configuration          : OK
     Data replication       : OK
     Resource groups        : OK

Pending Operations
Protection Group     : "tcpg" 
Operation            : start
        

出力された情報から、主クラスタ cluster-paris と二次クラスタ cluster-newyork の両方で保護グループ tcpg が有効になっていることがわかります。パートナー関係にあるクラスタ間でデータが複製され、これらのクラスタの同期がとられます。

次の表に、状態値の意味を示します。

表 13–1 状態値の説明

フィールド 

値の説明 

Partnership

OK – パートナークラスタ同士が接続されています。

Error – パートナークラスタ間の接続が失われています。

Degraded – パートナーシップは正常に作成されましたが、パートナークラスタとの接続はまだ確立されていません。この状態値は、パートナーシップを作成したが、まだパートナークラスタを構成していないという場合に発生します。

Synchronization

OK – 構成情報は、パートナークラスタ間で一致しています。

Error – 構成情報は、パートナークラスタ間で一致していません。パートナーシップ同期エラーが発生した場合は、パートナーシップを再同期させる必要があります。保護グループ同期エラーが発生した場合は、保護グループを再同期させる必要があります。

パートナーシップの再同期については、「パートナーシップの再同期」を参照してください。

Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 の保護グループの再同期については、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループの再同期」を参照してください。

Hitachi TrueCopy の保護グループの再同期については、「Hitachi TrueCopy 保護グループの再同期」を参照してください。

Mismatch – 構成情報が両方のクラスタで個別に作成されました。一方のクラスタから構成情報を削除し、 パートナーの構成情報のコピーに置き換える必要があります。

Unknown – パートナーが切り離されているか、保護グループの一部のコンポーネントに到達できないため、情報にアクセスできません。

Heartbeat

OK – ハートビート検査を行なっています。パートナークラスタは、指定されたタイムアウト時間と再試行時間内に応答しています。

Offline – 現在ハートビート検査は行われていません。

Error – ハートビート検査の実行中です。パートナーが応答しておらず、再試行がタイムアウトになりました。

Degraded – ハートビート検査の実行中です。主プラグインの 1 つが縮退モードになっているか、動作していません。

Heartbeat plug-in

OK – パートナーが応答を受け取っています。

Inactive – プラグインは使用されていません。このプラグインは、ほかのプラグインが応答を受け取らない場合にパートナーへの接続を再試行するように待機しています。

No-Response – パートナークラスタが応答していません。

Protection group

(保護グループ全体の状態) 

OK – 同期状態は OK、各クラスタの保護グループの状態も OK です。

Degraded – 同期状態は OK です。パートナー関係にある一方または両方のクラスタで、保護グループの状態が Degraded になっています。

Unknown – 同期状態を確認できないか、一方または両方のクラスタの保護グループの状態を確認できません。保護グループは、オンラインになっている場合とオフラインになっている場合があります。

Error – 同期状態か、一方または両方のクラスタの保護グループの状態が Error になっています。保護グループは、オンラインになっている場合とオフラインになっている場合があります。

Protection group > Cluster

(各クラスタ上の保護グループの状態) 

OK – 構成データ、データ複製、リソースグループなど、クラスタ上の保護グループのすべてのコンポーネントの状態が OKNONE、または N/A になっています。

Degraded – クラスタ上の保護グループのコンポーネントのうち 1 つ以上の状態が Degraded になっています。

Unknown – 構成データ、データ複製、リソースグループなど、保護グループの一部のコンポーネントの状態を確認できません。

Error – 構成データ、データ複製、リソースグループなど、保護グループの一部のコンポーネントの状態が Error になっています。

Protection group > Cluster > Role

Primary – クラスタは、この保護グループの主クラスタ (Primary) です。

Secondary – クラスタは、この保護グループの二次クラスタ (Secondary) です。

Unknown – パートナーが切り離されているか、保護グループの一部のコンポーネントに到達できないため、情報にアクセスできません。

Protection group > Cluster > PG activation state

Activated – 保護グループが有効になっています。

Deactivated – 保護グループが無効になっています。

Unknown – パートナーが切り離されているか、保護グループの一部のコンポーネントに到達できないため、情報にアクセスできません。

Protection group > Cluster > Configuration

OK – クラスタ上の保護グループ構成が検証され、エラーはありません。

Error – クラスタ上の保護グループ構成の検証結果がエラーになっています。保護グループの検証を再度行う必要があります。Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 の保護グループの検証方法については、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループを検証する方法」を参照してください。Hitachi TrueCopy の保護グループの検証方法については、「Hitachi TrueCopy 保護グループを検証する方法」を参照してください。

Unknown – パートナーが切り離されているか、保護グループの一部のコンポーネントに到達できないため、情報にアクセスできません。

Protection group > Cluster > Data replication

None – データ複製が構成されていません。

OK – データ複製が行われています。保護グループが有効にされる際に、パートナークラスタとデータの同期がとられます。保護グループを無効にすると、複製は中断されます。この状態はこのクラスタ上のデータ複製を示しており、データ複製全体の状態を反映するものではありません。この状態は、データ複製サブシステム内の対応する状態から対応づけられます。

Degraded – 保護グループが有効になる際にデータの複製は行われず、パートナークラスタとデータの同期がとられることもありません。新しい書き込みは正常に行われますが、複製は行われません。この状態はこのクラスタ上のデータ複製を示しており、データ複製全体の状態を反映するものではありません。この状態は、データ複製サブシステム内の対応する状態から対応づけられます。

Error – データ複製サブシステムがエラーを報告した場合や、保護グループが無効状態のときにデータ複製が中断されない場合、主クラスタから二次クラスタへのデータの複製でエラーが発生します。この状態はこのクラスタ上のデータ複製を示しており、データ複製全体の状態を反映するものではありません。この状態は、データ複製サブシステム内の対応する状態から対応づけられます。

Unknown – パートナーが切り離されているか、保護グループの一部のコンポーネントに到達できないため、情報にアクセスできません。

N/A – 保護グループのデータ複製状態を対応づけられませんでした。データ複製自体は有効状態ですが、保護グループに対しては Error 状態になっています。この状態は、Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 のデータ複製を使用している場合にしか発生しません。

Protection group > Cluster > Resource groups

None – この保護グループで保護されているリソースグループはありません。

OK – クラスタに Primary 役割が割り当てられている場合、保護グループが有効になっていると、すべてのリソースグループはオンライン状態になります。保護グループが無効になっていると、すべてのリソースグループは管理の対象外になります。クラスタに Secondary 役割が割り当てられている場合、すべてのリソースグループは管理の対象外になります。

Error – クラスタに Primary 役割が割り当てられている場合、保護グループが有効になっていると、一部のリソースグループだけがオンライン状態になります。保護グループが無効になっていると、一部のリソースグループだけが管理の対象外になります。クラスタに Secondary 役割が割り当てられている場合、一部のリソースグループだけが管理の対象外になります。

Unknown – パートナーが切り離されているか、保護グループの一部のコンポーネントに到達できないため、情報にアクセスできません。

複製の実行時状態の検査についての詳細は、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 データ複製の実行時状態の検査」または 「Hitachi TrueCopy データ複製の実行時状態の検査」を参照してください。