dbx コマンドによるデバッグ

配列を評価する

配列の評価は、ほかの種類の変数を評価する場合と同じ方法で行います。Fortran での配列の処理方法について詳しくは、第 17 章「dbx を使用した Fortran のデバッグ」を参照してください。

配列の例 :


integer*4 arr(1:6, 4:7)

配列を評価するには、次のようにします。


print arr(2,4)

配列の断面化

dbx コマンド の print を使用して、大型の配列の一部を評価することができます。配列を評価するには、次の操作を行います。

刻みは配列の断面化を行うときに必要に応じて指定することができます (刻みのデフォルト値は 1 で、その場合は各要素を出力します)。

配列の断面化と刻みのための構文

C、C++、Fortran では、print および display コマンドによって、配列の断面化を行うことができます。

C と C++ での配列の断面化の構文


print arr-exp [first-exp .. last-exp : stride-exp]

arr-exp

配列またはポインタ型に評価されるべき式 

first-exp

印刷される最初の要素。デフォルトは 0 

last-exp

印刷される最後の要素。その上限にデフォルト設定される 

stride-exp

刻み幅。デフォルトは 1 

最初、最後、および刻み幅の各式は、整数に評価されなければならない任意指定の式です。


(dbx) 
print arr[2..4]
arr[2..4] =
[2] = 2
[3] = 3
[4] = 4
(dbx) print arr[..2]
arr[0..2] =
[0] = 0
[1] = 1
[2] = 2
 
(dbx) print arr[2..6:2]
arr[2..8:2] =
[2] = 2
[4] = 4
[6] = 6

配列の各次元を断面化するための print コマンドの完全な構文は次のとおりです。


(dbx) print arr(exp1:exp2:exp3)

exp1

配列の断面の先頭 

exp2

配列の断面の終端 

exp3

刻み幅の長さ (スキップされる要素の数は exp3 - 1)

n 次元で配列の断面化を行うときは、各次元の配列断面化の定義をコンマで区切ります。


(dbx) print arr(exp1:exp2:exp3, exp1:exp2:exp3,...)

配列の断面

2 次元の矩形配列の断面の例を示します。ここでは、刻み値が省略され、デフォルト値の 1 が使用されます。


print arr(201:203, 101:105)

Graphic

最初の 2 つの式 (201:203) は、この 2 次元配列の第 1 次元 (3 行で構成される列) を指定します。配列の断面は行 201 から始まり、行 203 で終わります。次の 2 つの式 (101:105) は最初の組とコンマで区切られ、第 2 次元の配列の断面を定義します。配列の断面は列 101 から始まり、列 105 で終わります。

刻み幅

print コマンドで刻み幅を指定すると、配列の断面に含まれる特定の要素だけが評価されます。

配列の断面のための構文の 3 番目の式 (exp3) は、刻み幅の長さを指定します。exp3 個の要素のうちの先頭の 1 つが評価され、残りの exp3 -1 個の要素は評価されません。刻み幅のデフォルト値は 1 です。このとき、指定された配列の断面のすべての要素が評価されます。

ここに、上の例で使用したものと同じ配列があります。今度は、print コマンドの第 2 次元の配列の断面の定義に刻み幅の値として 2 を加えます。


print arr(201:203, 101:105:2)

Graphic

簡易構文

print コマンドの配列の断面の定義を構成する式を省略すると、配列の宣言されたサイズに等しいデフォルト値が使用されます。このような簡易構文を使用した例を以下に示します。

1 次元配列の場合

print arr  デフォルトの境界で配列全体を出力します。
print arr(:) デフォルトの境界とデフォルトの刻み (1) で、配列全体を出力します。
print arr(::exp3)配列全体を exp3 で指定された刻み幅で出力します。

2 次元配列の場合、次のコマンドは配列全体を出力します。


print arr

2 次元配列の第 2 次元を構成する要素を 2 つおきに出力します。


print arr (:,::3)