この付録では、Sun Management Center の基本管理フレームワークとベースアドオン製品に適したサイズのハードウェアを選択するためのガイドラインを示します。Sun Management Center の基本管理フレームワークと各ベースアドオン製品をインストールするには、Sun Management Center の中核レイヤーであるエージェント、サーバー、およびコンソールに特定のディスク容量が必要です。
この章では、次の内容について説明します。
この節の内容は、Sun 以外のモジュールを考慮したものではありません。また、サイズ情報を示した図表にも Sun 以外のモジュールは含められていません。
高度な管理および 監視機能を確立するには、ネットワーク内のすべての管理対象ノードに Sun Management Center 3.6 エージェントをインストールする必要があります。Sun Management Center エージェントは、Solaris バージョン 2.6、Solaris バージョン 7、Solaris バージョン 8、Solaris バージョン 9、Solaris バージョン 10 のいずれかが動作するすべての SPARC プラットフォームワークステーションおよびサーバーでサポートされます。Sun Management Center エージェントはまた、Solaris オペレーティングシステム (Solaris 9 または Solaris 10) の x86 プラットフォーム 版もあり、Linux でも使用できます。
Linux エージェントにも、同じ制限が適用されます。
Solaris x86 エージェントはハードウェア専用のアドオンをサポートしません。x86 エージェントのホストの「詳細」ウィンドウの「モジュールブラウザ」タブには「オペレーティングシステム」、「ローカルアプリケーション」、および「遠隔システム」カテゴリがあります。Solaris x86 プラットフォームでは、「物理表示」、「論理表示」、「ハードウェア診断」、および「構成リーダ」モジュールは利用できません。
Java コンソールウィンドウでは、すべての x86 プラットフォームが同じ x86 アイコンになります。たとえば、Sun Cobalt LX50 と Sun Fire V60x という異なる 2 つの x86 プラットフォームでもアイコンは同じです。
検出機能、ジョブの管理機能、または PRM アドオンを使用すると、フィルタでプラットフォームの種類を絞り込むことができます。x86 プラットフォームで絞り込むには、プラットフォームオプションとして x86 を選択します。
Performance Reporting Manager (PRM) アドオンの場合、システムレポートとハードウェア構成レポートは利用できません。
Sun Management Center エージェントがホストシステムに与える演算負荷は、最小限のものです。演算負荷は、定期的なデータ収集、アラーム規則の処理、アラーム予告、アラームアクションの実行、クライアント要求の処理といった通常の管理オペレーションによって引き起こされます。
負荷の量は、データの収集の頻度、収集されるデータ量、検出されるアラームの数、ユーザー要求の数などに比例します。したがって、消費される CPU リソースの割合は、システムに読み込まれるモジュールの数と種類、これらのモジュールの構成、およびホストシステムの演算能力によって決まります。
総合的なモジュールセットが読み込まれた、管理処理の多いローエンドマシンの場合でも、エージェントは CPU リソースのごく一部しか消費しません。
次の表に、各システムにおけるエージェントの CPU と RAM の概算使用率を示します。x86 エージェントについての情報もあります。
表 C–1 各システムにおけるエージェントの CPU と RAM の概算使用率
|
CPU 使用率 |
RAM 使用率 |
|
|
|
|
---|---|---|---|---|---|---|
サーバーの種類 |
構成 (「重い」または「軽い」) |
最大 |
最小 |
平均 |
平均サイズ |
平均常駐サイズ |
Sun Blade 100 |
軽い |
0.10% |
0.00% |
0.21% |
8.77M バイト |
7.02M バイト |
Sun Fire 280R |
軽い |
0.10% |
0.00% |
0.10% |
10.47M バイト |
8.49M バイト |
Sun Blade 2000 |
軽い |
0.20% |
0.00% |
0.05% |
8.89M バイト |
7.06M バイト |
Sun Fire 880 |
軽い |
0.00% |
0.00% |
0.00% |
8.97M バイト |
7.31M バイト |
Sun Blade 100 |
重い |
1.20% |
0.50% |
0.79% |
14.83M バイト |
12.99M バイト |
Sun Fire 280R |
重い |
2.60% |
0.10% |
0.81% |
16.22M バイト |
13.92M バイト |
Sun Blade 2000 |
重い |
0.30% |
0.20% |
0.20% |
14.45M バイト |
12.76M バイト |
Sun Fire 880 |
重い |
4.40% |
0.10% |
0.88% |
16.15M バイト |
14.41M バイト |
軽い構成は、次のモジュールが読み込まれたエージェントをベースとしています。
カーネルリーダ (簡易)
エージェント統計情報
MIB-II システム (簡易)
重い構成は、次のモジュールが読み込まれたエージェントをベースとしています。
|
|
重い構成は、必要以上に重くなる可能性があります。一般に、マシンのサイズが大きいほどプロセッサとディスクが増え、ハードウェア構成が大規模になります。これらの構成では、大規模マシンで動作するエージェントのメモリー消費量が多大なものとなります。
エージェントが使用する仮想メモリーは、いくつかの要因によって決まります。とりわけ重要なのは、読み込まれる管理モジュールの数と、それらのモジュールによって監視される情報の量です。1 つのエージェントに多数のモジュールを読み込む場合は、必要となるメモリーが増えます。同様に、大規模ディスクアレイを始めとする拡張性の高い資産を抱えるホストを管理するエージェントの場合、より多くの仮想メモリーを必要とします。これは、エージェントを通して渡される管理情報の量が増えるためです。
一般に、デフォルトの管理モジュールセットが読み込まれたベースエージェントはサイズが 10M バイト未満であり、物理メモリー内に常駐させる必要があるのは、10M バイトのうちのわずか 50 〜 60% です。
Sun Management Center 管理モジュールのほとんどは、Sun Management Center エージェントを使用したあらゆる SPARC プラットフォームシステム間で移植できます。しかし、特定ハードウェア向けの高度な Sun Management Center モジュールの中には一部の Sun ハードウェアでサポートされていないものがあります。たとえば、プラットフォームに付属の構成リーダモジュールや動的再構成 (DR) モジュールはそのハードウェアプラットフォームを管理する高度な機能を提供しますが、それらのモジュールの機能が Sun 製品ファミリ内のあらゆるハードウェアシステムに適用できるとはかぎりません。
次の表に、各ハードウェア プラットフォームにおける Sun Management Center 管理モジュールの可用性を簡単に示します。
表 C–2 特定ハードウェア向けモジュールの可用性
ハードウェア |
構成リーダモジュール |
DR モジュール |
その他のすべての Sun Management Center モジュール |
---|---|---|---|
SPARCStation 1、2、5、10、20 |
不可 |
不可 |
可 |
Sun Ultra 1, 450 |
可 |
不可 |
可 |
Sun Enterprise 5, 10, 150, Sun Fire 280R, Sun Fire V480 |
可 |
不可 |
可 |
SPARCserver 1000, 1000E |
可 |
不可 |
可 |
SPARCcenter 2000、2000E |
可 |
不可 |
可 |
Sun StorEdge A5x00、T3 |
可 |
不可 |
可 |
Netra T1120-1125, T1400-T1405 |
可 |
不可 |
可 |
Sun Blade 100, 1000, 1500, 2500 |
可 |
不可 |
可 |
Sun Fire 3800, 4800, 4810, 6800, V210, V240, V250, V440, V880, E25K, E20K, E6900, E4900 |
可 |
可 |
可 |
管理モジュールのリソース要件は、次の要因によって決まります。
モジュールにおける管理対象プロパティの数
モジュール内で処理される管理対象プロパティデータの量。データ行の多いテーブルを使用すると、リソース利用率が増加します。
管理対象プロパティの更新頻度
データ収集とルール処理の複雑さ
次の表に、Sun Management Center 管理モジュールのリソース影響について概要を示します。
表 C–3 Sun Management Center 管理モジュールのシステムに対する影響
モジュール |
影響 |
---|---|
フットプリントと CPU 負荷にわずかな増大を引き起こします。 |
|
管理対象ノードのハードウェア構成の複雑さに応じて CPU とメモリーを使用します。 |
|
ログされるデータ値の量に応じて、フットプリントと CPU 負荷のわずかな増大を引き起こします。 |
|
監視対象のディレクトリの数に応じて、フットプリントのわずかな増大を引き起こします。監視対象となるディレクトリの数とそれらのディレクトリ内の処理に応じて、低から中程度の CPU 負荷を引き起こします。 |
|
動的再構成 (DR) |
フットプリントに対する影響がわずかであり、再構成処理を実施する場合のみ CPU を利用します。 |
監視対象となるファイルの数に応じて、フットプリントのわずかな増大を引き起こします。監視されるファイルの数とそれらのファイル内の処理に応じて、低から中程度の CPU 負荷を引き起こします。 |
|
フットプリントと CPU 負荷のわずかな増大を引き起こします。 |
|
リソースに対する影響が比較的小さい。 |
|
フットプリントと CPU 負荷のわずかな増大を引き起こします。 |
|
ネットワークインタフェースの数に応じ、CPU 負荷のわずかな増大と、 低から中程度のフットプリント増大を引き起こします。 |
|
管理対象であるファイルシステムや CPU などのシステムリソースの数と、この情報の更新頻度に応じ、CPU とメモリーに影響を与えます。Simple Kernel Reader よりも多くのリソースを消費します。 |
|
カーネルリーダ (簡易) |
CPU とメモリーにわずかな影響を与えます。 |
ネットワークインタフェースの数、経路テーブル、ARP テーブル、および関連するシステムテーブルのサイズに応じ、わずかな CPU 負荷と低から中程度のフットプリント増大を引き起こします。 |
|
MIB-II プロキシモニタリング |
プロキシで監視された SNMP エージェントの MIB サイズに応じ、中程度のフットプリント増大を引き起こします。プロキシで監視された SNMP エージェント内の管理対象オブジェクトの数に応じ、低から中程度の CPU 負荷を引き起こします。 |
CPU 負荷はほとんど起きず、フットプリントはシステムインタフェース、IP 転送、および IP アドレステーブルのサイズに応じてごくわずか増大します。 |
|
ホストマシンにマウントされているネットワークファイルシステムの数に応じてフットプリントのわずかな増大を引き起こします。CPU 負荷はわずかです。 |
|
フットプリントのわずかな増大と低から中程度の CPU 負荷を引き起こします。 |
|
フットプリントと CPU 負荷のわずかな増大を引き起こします。 |
|
監視対象のプロセスの数に応じ、フットプリントのわずかな増大を引き起こします。監視対象のプロセスの数とプロセスの開始と停止の頻度に応じ、低から中程度の CPU 負荷を引き起こします。 |
|
ストレージデバイスのサイズに応じ、フットプリントと負荷の中程度の増大を引き起こします。 |
サーバーレイヤーは、Sun Management Center ソフトウェアの中核です。サーバーレイヤーのホストに適切なハードウェアを指定することは、Sun Management Center において応答性に優れた確実な処理を実現する上で重要な意味を持ちます。Sun Management Center サーバーレイヤーのハードウェア要件は、エージェントの要件よりもはるかに厳しいものです。Sun Management Center 3.6 サーバーレイヤーのシステム要件は、Sun Management Center2.x および 3.0 サーバーレイヤーのハードウェア要件よりも厳しいものです。Version 2.x または 3.0 サーバーホストは、必ずしも Sun Management Center 3.6 のシステム要件を満たしていません。
Sun Management Center サーバーレイヤーは、Solaris バージョン 8 かバージョン 9、バージョン 10 を使用している SPARC プラットフォームデスクトップとサーバーのうち、この節で説明している最小のハードウェア要件を満たすマシンでサポートされます。
最大限のパフォーマンスを得るためには、サーバーレイヤーのアプリケーションだけを実行する専用マシンに Sun Management Center 3.6 サーバーレイヤーをインストールしてください。
次の表に、Sun Management Center サーバーのプラットフォームとして使用できるマシンの 4 つのクラスとそのハードウェア構成を示します。各ケースとも、代替マシン構成で同等のパフォーマンスを提供できます。
表 C–4 Sun Management Center サーバーとして推奨されるハードウェアプラットフォーム
アーキテクチャ |
マシンの種類 |
CPU タイプ |
RAM |
スワップ領域 |
---|---|---|---|---|
小型サーバー |
Sun Blade 100 (または同等のマシン) |
502 MHz UltraSPARC IIe CPU (またはこれ以上) x 1 |
1G バイト |
最小 512M バイト、1G バイトを推奨 |
中型サーバー |
Sun Fire 280R |
750 MHz UltraSPARC II CPU (またはこれ以上) x 2 |
1G バイト |
最小 512M バイト、1G バイトを推奨 |
大型サーバー |
Sun Blade 2000 |
1015 Mhz UltraSPARC III CPU (またはこれ以上) x 2 |
1G バイト |
最小 512M バイト、1G バイトを推奨 |
超大型サーバー |
Sun Fire 880 |
900 Mhz UltraSPARC III CPU (またはこれ以上) x 4 |
2G バイト |
1G バイト |
Sun Management Server のホストサイジング要件は、サーバーレイヤーで管理されるエージェントの数とそれらのエージェント上の管理作業に大いに左右されます。管理作業には、システムによって生成される作業 (イベント生成など) とユーザーによって開始される作業 (データのブラウジング、ネットワーク検出、グループ処理、システム監視および診断など) があります。
管理作業の影響のため、サイジング要件は、サーバーにインストールされている Sun Management Center アドオンパッケージの数、種類、および構成、そして管理ノード の数によって変わります。一般には、使用中のアドオンの数が多いほど管理作業の量が多く、サーバーのハードウェア要件も厳しくなります。
次の図に、Sun Management Center サーバーとして推奨されるマシンのクラスを、管理対象となるエージェント数とおおよその管理作業の関数として示します。この図では、サーバー上で Sun Management Center コンソールが動作していないことを前提にしています。また、小型サーバーの場合は 5 個の遠隔コンソールセッション、中型サーバーの場合は 10 個の遠隔コンソールセッション、また大型サーバーと超大型サーバーの場合は 15 個の遠隔コンソールセッションが存在するものとします。
上図に示したマシンのクラスは、同様な性能を持つホストの代表的なクラスを示します。
Sun Management Center コンソールアプリケーションをサーバーレイヤーホスト上で実行することによって、サーバーは性能に影響を受けます。さらに、この影響はアクティブなコンソールセッションの数によっても変わります。サーバーホストがサーバーレイヤーコンポーネントをサポートできる余裕がない場合は、Sun Management Center コンソールをサーバーマシンで実行しないでください。
Sun Management Center の Performance Reporting Manager (PRM) アドオンを使用すると、Sun Management Center Center エージェントが監視している任意のデータプロパティに関して、その履歴的な傾向を追跡したり、レポートを生成したりできます。PRM アドオンは大量のデータを収集および処理できるので、Sun Management Center サーバーのサイジング要件に大きな影響を与える可能性があります。
PRM アドオンの影響は、図 C–1 の PRM 部分に示されています。一般的に、管理作業と PRM が追跡するデータープロパティの総数が増えるほど、Sun Management Center サーバーが管理できるエージェント数は減ります。
PRM アドオンを持つ Sun Management Center サーバーの要件を判断するには、2 つのステップが必要です。
図 C–1 を参照しながら、PRM アドオンがインストールされている Sun Management Center サーバーが管理するエージェントの総数にもとづいて、必要なマシンのクラスを判断します。
収集する PRM データプロパティのおおよその数にもとづいて、適切な PRM 構成を判断します (次項を参照)。
Sun Management Center の設定では、次の表に示す PRM 構成の種類のから 1 つを選択することができます。「アーキテクチャ」列は、表 C–4 に示したマシンのアーキテクチャを指します。
表 C–5 PRM 構成の種類の要件
PRM 構成の種類 |
ディスク容量 |
PRM プロパティの総数 |
エージェント数の例 |
エージェント当たりのプロパティ数の例 |
アーキテクチャ |
---|---|---|---|---|---|
小型 PRM |
5G バイト |
50,000 |
100 |
300 |
小 |
|
|
|
400 |
100 |
中 |
中型 PRM |
12G バイト |
150,000 |
300 |
300 |
中 |
|
|
|
500 |
300 |
大 |
|
|
|
750 |
200 |
超大 |
大型 PRM |
24G バイト |
240,000 |
600 |
300 |
大 |
|
|
|
750 |
300 |
超大 |
通常、Sun Management Center の小型サーバーは小型 PRM 構成に使用されます。中型サーバーは中型 PRM 構成に使用されます。そして、大型サーバーと超大型サーバーは大型 PRM 構成に使用されます。Sun Management Center の超大型サーバーは小型 PRM や中型 PRM にも使用できますが、利用できるディスク容量や予想される PRM データ収集要件によって条件は変わります。
次の表に、アーキテクチャの種類ごとに管理できるエージェント数の例を示します。この例では、各エージェントが PRM ごとに平均 300 個のデータプロパティを収集するとを仮定しています。 「1 時間ごとのデータ収集」列は、(1 時間ごとに) データを収集するのに必要な概算時間を示しています。「夜間処理」列は、収集したデータを処理するのに必要な概算時間を示しています。データを収集および処理するのに必要な時間は、サーバーのハードウェア、サーバーの活動、およびデータベース内の PRM データ数によって変わります。
表 C–6 サーバーの例: 管理対象のエージェント数
アーキテクチャ |
エージェント数 |
PRM プロパティの総数 |
PRM 構成の種類 |
1 時間当たりデータ収集 |
夜間処理 |
---|---|---|---|---|---|
小 |
100 |
30,000 |
小 |
2 分 |
1 〜 2 時間 |
中 |
300 |
90,000 |
中 |
7 分 |
3 〜 4 時間 |
大 |
600 |
180,000 |
大 |
7 分 |
3 〜 6 時間 |
超大 |
750 |
225,000 |
大 |
6 分 |
3 〜 6 時間 |
さまざまなエージェント数、データプロパティ数、およびレポート期間 (4 時間から 1 か月など) を指定することによって、さまざまなレポートを生成できます。
通常のレポートは、生成するには数秒から数分かかります。実際にかかる時間は、次の要因によって変わります。
レポートに含める実際のデータポイント数
データポイントの最大数はレポート 1 つあたり約 10,000 個です。
データベース内にある Performance Reporting Manager のデータ数
サーバーの性能と活動
ほかの Performance Reporting Manager レポートと一緒に生成しているかどうか
たとえば、Performance Reporting Manager アドオンが構成されている中型の Sun Management Center サーバーで、比較的簡単なレポート、たとえば 1 つのエージェントの 5 つのデータプロパティを 24 時間調べたレポートを生成するには、約 20 秒かかります。より複雑なレポート、たとえば、5 つのエージェントの 5 つのデータプロパティを 7 日間調べたレポートになると、生成するのに約 10 分かかります。
ここで、Performance Reporting Manager アドオンがインストールされている中型の Sun Management Center サーバーとは、450 MHz の UltraSPARC II CPU x 2 、1G バイトの RAM、および 1G バイトのスワップ領域を持つ SunFire-280R を想定しています。また、この SunFire-280R は Performance Reporting Manager 用に 300 個のエージェントを監視しており、エージェントごとに 300 個のデータプロパティを収集するものとします。
レポートを生成するのに 30 分以上もかかる場合、午前 4:00 から午前 8:00 までの間にレポートを実行するようにスケジュールする方が賢明です。大きなレポートの生成を午前 4:00 以降に実行するようにスケジュールすることによって、通常の営業時間におけるSun Management Center サーバーの負荷を下げることができます。また、そうすることによって、通常、午前 12:00 から午前 4:00 までの間にスケジュールされる Sun Management Center の夜間作業と Performance Reporting Manager の作業が競合する可能性を少なくすることもできます。
サーバーレイヤーのパフォーマンスに影響を与える状況や要因として、ほかには次のようなものがあります。
Sun Management Center コンポーネントの同時起動
トポロジグループの構成
管理作業
コンソールユーザー数
サーバーレイヤーと多数のエージェントの「同時起動」は、サーバーレイヤーの性能に悪影響を与える可能性があります。また、何百ものエージェントを管理するサーバーレイヤーを初期化すると、コンソールの応答速度が低下したり、一時的に一部のエージェントにアクセスできなくなったりする可能性があります。
Sun Management Center サーバーコンテキスト内のトポロジグループの数が、次の値を超えてはいけません。
小型サーバーの場合 - 25
中型サーバーの場合 - 50
大型サーバーの場合 - 75
トポロジグループのすぐ下の子オブジェクトの最大数は 256 個です。最適な性能を維持するには、トポロジグループの子オブジェクトの数が 100 を超えてはなりません。
Performance Reporting Manager アドオンをインストールしている場合、Performance Reporting Manager がデータを最適収集ができるようにするには、各トポロジドメインの Sun Management Center エージェント数が 200 を超えないようにします。
Sun Management Center サーバーの活動は、次の要因によって変わります。
ユーザーが開始する処理の数
管理対象となるホストシステムの安定性とアクティビティ
ホストシステムによって読み込まれる管理モジュールの数
アラームしきい値の指定と管理対象となるプロパティのルールパラメータ
最後の 2 つの要因は、管理対象ノードがイベント処理の形で管理アクティビティを生成する傾向を大いに促します。
結果として、アラームしきい値を適切に構成していない場合、アドオンが存在しなくても、かなりの管理作業が発生する可能性があります。 逆にいえば、管理対象システムが安定したものでアラームしきい値も適切であれば、多数のアドオンが存在しても管理作業はわずかしか発生しない場合があります。
Sun Management Center の同時コンソールユーザーセッションが増えると、サーバーレイヤーの負荷がわずかに高まります。ここで、アクティブなユーザーは、小規模構成の場合は 5 人、中規模構成の場合は 10 人、大規模および超大規模構成の場合は 15 人であると仮定します。 また、ユーザーが実行している活動は、管理されたプロパティデータおよびイベントのブラウズや、データプロパティの属性の編集などであるとします。
ユーザーによって開始される作業の中には、処理が実行される間サーバーレイヤーのパフォーマンスに一時的に影響を与えるものがあります。
100 個以上のエージェントを対象とした「大規模なグループ操作」の場合は、相当のサーバーリソースを消費する可能性があります。このような操作は、変更によって管理対象エージェントでアラームが生成されるとサーバーパフォーマンスにさらに影響を与える可能性があります。これらのアラームは、またイベント処理という形で追加の管理活動を生みます。
サーバーの管理対象にする新しいエンティティを多数追加する処理を伴う「ネットワーク検出操作」を行うと、その処理中にサーバーレイヤーホストに相当の負荷を与える可能性があります。
管理対象となる新しいエンティティを多数追加する処理を伴うトポロジデータのインポート操作を行うと、エンティティの追加中にサーバーレイヤーの応答速度が低下する可能性があります。
ユーザーによって開始されるこれらの操作の影響は、同時実行を避ける、大規模のオペレーションを細分化する、可能であれば ピーク時以外に作業を行う (あるいはスケジューリングする) などの方法で最小限に抑えることができます。
パフォーマンスを最大限に高めるには、Sun Management Center コンソールをサーバーレイヤーホスト以外のホストから実行する必要があります。コンソールは任意のホストに簡単にインストールでき、サーバーレイヤーへリモート接続できます。サーバーレイヤー構成として望ましいのは、ホストシステムをサーバーレイヤーアプリケーションの実行専用として使用することです。サーバーホストのサイズがほかのアプリケーション (Sun Management Center コンソールなど) の要件をサポートできるものでないかぎり、サーバーホストでそれらを実行することは避ける必要があります。
Sun Management Center コンソールは、Java テクノロジをベースとしたアプリケーションです。このコンソールは、Solaris 2.6 、Solaris 7 、Solaris 8 、Solaris 9、Solaris 10 のいずれかの Solaris オペレーティング環境が動作する SPARC システム、および Solaris 9 または 10 が動作する x86 システムでサポートされます。コンソールはまた、Microsoft Windows 2000 、Windows NT 4.0 Service Pack 3 または 4、Microsoft Windows 98、または Microsoft Windows XP が動作する Intel システムでもサポートされます。
Sun Fire プラットフォームエージェントは、標準の Sun Management Center エージェントとは異なるインストール作業を必要とします。Sun Fire プラットフォームにはいくつかのドメインがあり、各ドメインには独自のハードウェア割り当てが行われています。各ドメインは、それぞれ独立した Solaris オペレーティング環境インスタンスを実行します。各 Sun Fire ドメインは、ドメインエージェントを実行します。
全体として見た Sun Fire プラットフォームは、ドメインに割り当てられた、そのプラットフォーム内のすべてのハードウェアから構成されていることになります。プラットフォームは、そのプラットフォーム内の System Controller (SC) ボードによって制御されます。
Sun Management Center ソフトウェアは、Sun Fire サーバーを管理するために Sun Fire サーバーシステムコントローラおよび Sun Fire ドメインエージェントと通信を行う Sun Fire プラットフォームエージェントを使用します。このプラットフォームエージェントは、エージェントによって監視される、Sun Fire シャーシの外部に存在する Solaris ホストに導入する必要があります。プラットフォームエージェントホストシステムが適切にサイズ設定されていれば、単一のホストシステムに複数のプラットフォームエージェントを導入して複数の Sun Fire サーバーを管理できます。
各プラットフォームエージェントは、平均して 5 〜 9% の CPU と 15 〜 18M バイトのメモリーを消費します。同じホストシステム上に導入されたプラットフォームエージェントの CPU とメモリーの消費は加法的で、ハードウェア要件を測る尺度として使用できます。エージェントは同じソフトウェアパッケージを共有するため、プラットフォームエージェントインスタンスが複数存在する場合のディスク容量要件は、少なくとも単一のプラットフォームエージェントインスタンスの場合の要件を超えます。
一般に、プラットフォームエージェントの CPU とメモリーのリソース要件は管理対象となっている Sun Fire サーバー構成のサイズと複雑さに比例します。Sun Fire システムの構成が大きいほど、プラットフォームエージェントホスト上のプラットフォームエージェントリソースをより多く必要とします。
プラットフォームエージェントは、次に示すどちらのホストにもインストールできます。
Sun Management Center サーバーレイヤーホスト
Sun Management Center 専用のプラットフォームエージェントホスト
個々のホスト上にインストールできるプラットフォームエージェントの数は、そのホストが Sun Management Center サーバーレイヤーホストであるかプラットフォームエージェントレイヤーホストであるかによって異なります。Sun Management Center の全体的なパフォーマンスと応答性を最大限に高めるには、サーバーレイヤーホストではなく専用のホストにプラットフォームエージェントを導入する必要があります。容量に余裕のあるマルチ CPU システムにサーバーレイヤーが導入されている場合は、プラットフォームエージェントをサーバーレイヤーホストで稼働させることができます。
次の図に、専用のプラットフォームエージェントホストへ導入した場合のアーキテクチャとサーバーレイヤーホストに導入した場合を示します。
Sun Fire プラットフォームエージェントは、デフォルトでは 1 時間ごとに管理情報を最新状態に更新します。同じホストに複数のプラットフォームエージェントが導入され、同時に初期化される場合、エージェントは立て続けにデータ更新をする傾向があります。同時更新を試みるプラットフォームエージェントが多すぎると、ホストシステムの全体的な応答性が悪影響を受けかねません。
同じホスト上の複数のプラットフォームエージェントによる同時オペレーションの可能性を減らすには、すべてのプラットフォームエージェントを同時に起動しないことです。
次の表に、一般的なハードウェア構成と、専用のホストシステムに導入できるプラットフォームエージェントの数を示します。
表 C–7 専用ホスト: Sun Fire プラットフォームエージェントの容量
代表的なハードウェア構成 |
プラットフォームエージェントの最大数 |
---|---|
シングル 500 MHz UltraSPARC IIe CPU、RAM 1G バイト、スワップ 1G バイトの Sun Blade 100 |
5 〜 7 |
デュアル 750 MHz UltraSPARC III CPU、RAM 1G バイト、スワップ 1G バイトの Sun Fire 280R、Netra T4、または Sun Blade 1000 |
14 〜 20 |
プラットフォームエージェントのリソース使用はさまざまに異なります。この表では、オペレーションのピーク時にシステム容量が不足しないように十分な容量を残すことができる許容値の範囲を示しています。Sun Fire プラットフォームの規模が大きいほど必要となるプラットフォームエージェントリソースも増えるため、単一のホストで実行できるプラットフォームエージェントはわずかとなります。逆に、Sun Fire プラットフォームが小さいほど必要となるプラットフォームエージェントリソースは少なくてすみ、単一のホストで多くのプラットフォームエージェントを実行できます。
Sun Management Center サーバーレイヤーを実行するホストシステムのハードウェアサイズ要件は、サーバーレイヤーによって管理されるプラットフォームエージェントの数とシステム内の管理アクティビティによって決まります。
Sun Management Center サーバーレイヤーと Sun Fire プラットフォームエージェント双方の稼働に対応できるのは、大規模のマルチ CPU システムの場合だけです。容量が小さいサーバーレイヤーホストにプラットフォームエージェントを導入すると、Sun Management Center の全体的なパフォーマンスに悪影響を与える可能性があります。
1 日にホストあたりで 1000 個未満のイベントに対応する適度なレベルの管理アクティビティの場合、Sun Management Center サーバーレイヤーホストに導入できるプラットフォームエージェントの最大数は管理対象となるエージェントの数とマシンクラスによって決まります。次の表に、一般的なシステム容量を示します。
表 C–8 サーバーレイヤーホスト: Sun Fire プラットフォームエージェントの容量
管理対象エージェントの数 |
プラットフォームエージェントの最大数 |
|
---|---|---|
100 |
6 |
7 |
300 |
5 |
7 |
500 |
4 |
6 |
750 |
なし |
6 |
Sun Fire 280R は、1G バイト RAM と 1G バイトスワップを使用したデュアル 750MHz UltraSPARC III サーバーホストを持つ Sun Fire 280R、Sun Blade 1000、または Netra T4 システムを示します。
Sun Fire への Sun Management Center の導入手順については、Sun Management Center Software Supplement for Sun Fire 6800/4810/4800/3800 Systems を参照してください。