Solaris Container Manager 3.6 インストールと管理

第 6 章 ゾーンの管理

この章では、Solaris 10 システムでゾーンを作成、使用、および管理する手順を示します。

この章では、以下の内容について説明します。

ゾーンの概要

Solaris 10 の機能であるゾーンは、アプリケーションを実行する安全で独立した環境です。ゾーンを使用すると、Solaris のインスタンス内で仮想化されたオペレーティングシステム環境を作成できます。ゾーンを使用すると、1 つまたは複数のプロセスを、システムのほかのプロセスから独立して実行できます。たとえば、ゾーン内で実行されているプロセスは、ユーザー ID やその他の資格情報に関係なく、同じゾーン内のほかのプロセスだけにシグナルを送信できます。エラーが発生した場合は、ゾーン内で実行されているプロセスだけに影響します。

ゾーンには、独自の IP アドレス、ファイルシステム、一意の root ユーザー名とパスワードファイル、およびネームサーバーを設定できます。

すべての Solaris 10 システムには大域ゾーンが含まれます。大域ゾーンは、システムのデフォルトのゾーンで、システム全体の管理に使用されます。大域ゾーンは、設定、インストール、またはアンインストールできません。

システムに作成できるゾーン数の上限は 8192 です。1 つのシステムで効率的にホストできるゾーン数は、すべてのゾーンで実行されるアプリケーションソフトウェアに必要な総リソース量によって決まります。

Container Manager では、非大域ゾーンを作成、削除、変更、コピー、停止、および再起動できます。Container Manager では、既存のゾーンを検出したり、ゾーンの変更を検出したり、ゾーンの CPU、メモリー、およびネットワークの使用状況を監視および保管したり、ゾーンの上下のアラームを生成したりできます。


注 –

非大域ゾーンの管理 (作成、変更、コピー、削除、起動、停止) は、ゾーン管理者だけが行うことができます。ゾーン管理者は、Solaris Container Manager ソフトウェアを設定する際に指定します。


ゾーンの詳細については、 『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の第 16 章 「 Solaris ゾーンの紹介」を参照してください。

非大域ゾーンの状態

Container Manager を使用して非大域ゾーンを作成できます。

非大域ゾーンには、次の状態があります。

ゾーンの状態の詳細は、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』を参照してください。


注 –

大域ゾーンは、つねに「稼働」の状態です。


非大域ゾーンの作成

非大域ゾーンを作成し、このゾーン内で実行中のアプリケーションをほかのアプリケーションから分離できます。

始める前に

使用可能な CPU シェアがあるリソースプールが必要です。新しいリソースプールを作成する方法については、「新規リソースプールの作成」を参照してください。

Procedure非大域ゾーンを作成する

手順
  1. Container Manager の GUI が開いていない場合は、「Container Manager の GUI を起動する」に従って起動します。

  2. ナビゲーションウィンドウで「ホスト」タブを選択してホスト表示を選択します。

    ホストのリストがナビゲーションウィンドウに表示されます。

  3. Solaris 10 のホストを選択します。

  4. 「ゾーン」タブを選択します。

  5. 「新規ゾーン」ボタンをクリックします。

    「新規ゾーン」ウィザードが表示されます。

    図 6–1 ゾーン作成時のパラメータのウィンドウ

    ゾーン作成時のパラメータ

  6. 各フィールドに、ゾーン名、ゾーンのホスト名、ゾーンパス、IP アドレス、およびネットワークインタフェースの適切な値を入力します。

    ゾーンのホスト名は、仮想ホストとしてのゾーンの一意の名前です。ホスト名やマシン名ではありません。

    ゾーンパスは、ルート (/) ディレクトリを基準とした絶対パスです。


    注 –

    「ゾーンのパス」フィールドに指定したディレクトリが存在する場合は、ルートディレクトリのアクセス権が 700 でなければ、ゾーンは作成されません。

    「ゾーンのパス」フィールドに指定したディレクトリが存在しない場合は、Solaris Container Manager によってこの名前のディレクトリが作成され、ルートディレクトリに 700 のアクセス権が割り当てられます。


    各ゾーンには、ゾーンが「インストール済み」の状態から「準備完了」の状態に移行したときにネットワークインタフェースを設定できます。

  7. (省略可能) システムの再起動時にゾーンを自動的に再起動するには、「有効」チェックボックスを選択します。

  8. root ユーザー名を入力します。

    図 6–2 ゾーンの属性のウィンドウ

    ゾーンの属性

  9. (省略可能) 「ロケール」、「端末の種類」、「ネームサービス」、および「タイムゾーン」の各リストで適切な値を選択します。

    ロケールは、このゾーンで使用する言語です。

    端末の種類は、端末の種類です。

    ネームサービスは、ホスト名と IP アドレス間の変換を行います。

    タイムゾーンは、ゾーンのタイムゾーンです。

  10. ゾーン用のリソースプールを選択します。

  11. 「CPU シェア数」フィールドと「プロジェクトの CPU シェア数」フィールドに適切な値を入力します。

    図 6–3 CPU シェア数のウィンドウ

    ゾーンの CPU シェア数

    「CPU シェア数」フィールドには、リソースプールからこのゾーンに割り当てる CPU シェア数を指定します。この数は、リソースプールで使用可能な CPU シェア数以下である必要があります。

    「プロジェクトの CPU シェア数」フィールドには、ゾーン内のプロジェクトに割り当てる CPU シェア数を指定します。

  12. (省略可能) IPQoS (IP quality of service) 機能の最小の入力帯域幅と出力帯域幅を入力します。

    図 6–4 IPQoS の属性のウィンドウ

    IPQoS 機能の属性

  13. ゾーンの追加属性を設定するかどうかを選択します。

    • ゾーンの追加属性を設定する場合は、「はい」を選択して「次へ」をクリックします。

      このゾーンの追加 IP アドレスを入力し、適切なネットワークインタフェースを選択します。

      このゾーンに設定するデバイスディレクトリを入力します。

      このゾーンにマウントする追加ファイルシステムの詳細を入力します。

      このゾーンが大域ゾーンと共有するパッケージソフトウェアがあるディレクトリを入力します。

      これらの追加の属性の詳細は、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』「ゾーン構成データ」を参照してください。

      設定を確認し、「完了」をクリックして変更内容を保存します。

    • ゾーンの追加属性を設定しない場合は、「いいえ」を選択して「次へ」をクリックします。

      設定を確認し、「完了」をクリックして変更内容を保存します。

    ゾーン表に、新規ゾーンの情報が追加されます。ゾーンを作成すると、「未完了」の状態になります。大域ゾーンから特定のパッケージを継承したら、ゾーンは「稼働」の状態に変わります。

非大域ゾーンのコピー

非大域ゾーンをコピーすると、そのプロパティが新しいゾーンに継承されます。

Procedure非大域ゾーンをコピーする

手順
  1. Container Manager の GUI が開いていない場合は、「Container Manager の GUI を起動する」に従って起動します。

  2. ナビゲーションウィンドウで「ホスト」タブを選択してホスト表示を選択します。

    ホストのリストがナビゲーションウィンドウに表示されます。

  3. Solaris 10 のホストを選択します。

  4. 「ゾーン」タブを選択します。

  5. 非大域ゾーン名の横のオプションボタンを選択します。

  6. 「ゾーンのコピー」ボタンをクリックします。

  7. 適切なパラメータを入力し、「了解」をクリックします。

    図 6–5 ゾーンのコピーのウィンドウ

    ゾーンのコピーの属性

    ゾーンのコピー時には、次の属性がデフォルト値に設定されます。

    属性 

    デフォルト値 

    端末タイプ 

    dtterm 

    ロケール 

    タイムゾーン 

    GMT 

    これらの属性のデフォルト値は、ゾーンをコピーし、「稼働」の状態になったときに変更できます。

    ゾーン表に、新規ゾーンの情報が追加されます。ゾーンをコピーすると、「構成済み」の状態になります。大域ゾーンから特定のパッケージを継承したら、ゾーンは「稼働」の状態に変わります。

非大域ゾーンの削除、起動、停止

ゾーンの状態は、必要に応じて変更できます。

Procedure非大域ゾーンを削除、起動、または停止する

手順
  1. Container Manager の GUI が開いていない場合は、「Container Manager の GUI を起動する」に従って起動します。

  2. ナビゲーションウィンドウで「ホスト」タブを選択してホスト表示を選択します。

    ホストのリストがナビゲーションウィンドウに表示されます。

  3. Solaris 10 のホストを選択します。

  4. 「ゾーン」タブを選択します。

  5. 非大域ゾーン名の横のオプションボタンを選択します。

  6. 「削除」、「起動」、または「停止」のいずれかのボタンをクリックします。

    ゾーンを起動すると、「インストール済み」の状態から「稼働」の状態に変わります。ゾーンを停止すると、「稼働」の状態から「インストール済み」の状態に変わります。

ゾーンのログファイルの表示

Procedureゾーンのログファイルを表示する

手順
  1. Container Manager の GUI が開いていない場合は、「Container Manager の GUI を起動する」に従って起動します。

  2. ナビゲーションウィンドウで「ホスト」タブを選択してホスト表示を選択します。

    ホストのリストがナビゲーションウィンドウに表示されます。

  3. Solaris 10 のホストを選択します。

  4. 「ゾーン」タブを選択します。

  5. 「ゾーン」表の下にあるフィールドにゾーンの名前を入力します。

  6. 「ゾーンのログ」ボタンをクリックします。

    このゾーンのログファイルが表示されます。