Sun Management Center のコマンド行インタフェース (CLI) は、システムの監視と管理を行う文字方式のコンソールアプリケーションです。次の有用な機能があります。
低オーバーヘッド – CLI は Java コンソールや Web コンソールのほとんどの機能を提供しますが、ビットマップグラフィックを必要としません。そのため、低帯域接続のシンプルなデータ端末上で稼働させることができます。ただし、GUI を必要とする機能 (物理表示、グラフ作成など) は提供されません。
バッチモードプロセス – CLI は基本的なスクリプト機能をサポートしており、バッチモードでファイルからコマンド入力することができます。
設定可能な出力形式 – CLI の出力形式を設定することができます。プレーンテキスト出力は、他のテキストベースのツールと互換性があります。拡張コマンドの場合は、XML および HTML で出力形式を指定できます。
ヘルプ – CLI コマンドのオンラインヘルプへは CLI 内からアクセスできます。
CLI で実行可能なタスクは、次のとおりです。
トポロジオブジェクト (ドメイン、グループ、エンティティーなど) を作成して、これらのオブジェクトのトポロジ情報を取り出します。
管理オブジェクトのプロパティーや属性を取り出して操作します。
Sun Management Center エージェントのモジュールを読み込み、読み込み解除、有効化、無効化します。
Sun Management Center エージェント上で、アラーム処理の設定と実行、アラーム情報の取り出し、アラームの肯定応答と削除などを行います。
(Solaris および Linux) パラメータファイルを使用してコンソールに自動的にログインできます。パラメータファイルにユーザー名とパスワードが含まれる場合、そのファイルのアクセス権は 400 である必要があります。そうでない場合、CLI からの自動ログインは行えません。
CLI へは、次のいずれかのシステム構成のユーザー端末セッションからアクセスできます。
Solaris 7、Solaris 8、Solaris 9、Solaris 10 のいずれかの Solaris オペレーティングシステムが動作する UNIX® ワークステーション
SuSE/JDS Linux カーネルバージョン 2.4 または 2.6 の Red Hat が動作する UNIX ワークステーション2.4 and 2.6.
Windows 2000、Windows XP、 Windows NT のいずれかが動作する PC
セッションモード – セッションモードは対話型です。いったん Sun Management Center サーバーにログインすると、明示的にログアウトするまでコマンドの入力や出力の受け取りが可能です。
バッチモード – CLI は、サーバーに接続して filename 内のコマンドを実行します。 filename は、CLI コマンドを持つファイル名です。CLI は、root 以外のユーザーでバッチモードで実行できます。
CLI バッチモードは、/opt/SUNWsymon/cli にある cli.properties ファイルを編集することによって設定できます。このファイルには、設定可能なパラメータが 9 つ含まれています。
表 20–1 は、これらの設定可能なパラメータの説明です。
表 20–1 CLI バッチモードを設定するためのパラメータ
パラメータ |
説明 |
デフォルト値 |
---|---|---|
process_time_out |
この時間を過ぎると、CLI バックエンドプロセスがシステムから削除されます。 |
プロセスタイムアウト (24 時間) process_time_out = 86400 (秒単位) |
uds_dgram_wait_time |
DGRAM クライアントは、CLI バックエンドプロセスからの応答を待ちます。指定時間内に応答がなかった場合は、「Error receiving data from Backend」というエラーメッセージが表示されます。 |
UDS DGRAM 待ち時間 (秒単位) uds_dgram_wait_time = 300 |
uds_stream_wait_time |
STREAM クライアントは、CLI バックエンドプロセスからの応答を待ちます。指定時間内に応答がなかった場合は、「Error receiving data from Backend」というエラーメッセージが表示されます。 |
UDS STREAM 待ち時間 (秒単位) uds_stream_wait_time = 180 |
out_file |
現在動作中の CLI バックエンドプロセスの詳細情報が含まれるファイルへのパス。このファイルの形式は次のとおりです。 <user>:<hostname>:<C Process ID>:<Java Process ID> |
ユーザーおよびプロセス情報ファイル out_file = /var/opt/SUNWsymon/cli/process-file |
socket_pathclnt |
クライアントのブローカ UDS ファイルへのパス。処理された CLI コマンドの出力は、このファイルに送られます。 |
UDS ファイルへのパス socket_pathclnt = /var/opt/SUNWsymon/cli/broker_uds_client_file |
cli_log_path |
CLI ログファイルへのパス。 |
CLI ログファイルの場所 cli_log_path = /tmp/sunmclog/cli |
cli_log_file |
CLI ログファイルの名前。 |
バックエンド (ブローカ) ログファイルの場所 cli_log_file = /tmp/sunmclog/cli/cli-batch-mode-log |
uds_file_path |
STREAM および DGRAM UDS ファイルの場所。 |
UDS ファイルの場所 uds_file_path = /var/opt/SUNWsymon/cli/ |
log_level |
使用するログレベルを指定します。本稼働環境の場合は ERROR、デバッグ環境の場合は INFO に設定してください。 |
バッチモードのログレベル [options : INFO|ERROR] log_level=ERROR |
ここでは、CLI コマンドとパラメータの概要について説明します。
CLIコマンドは、「基本」コマンドと「拡張」コマンドの 2 種類に分けられます。
基本コマンドは、他の CLI コマンドの実行環境を変更します。たとえば、パラメータ値の設定、コマンドエイリアスの定義、コマンド状態の確認、サーバーのログインあるいはログアウトなどが実行できます。基本コマンドは、常にフォアグラウンドで実行します。
拡張コマンドは、管理オブジェクトのトポロジ、プロパティー、属性の問い合わせや変更を行います。次の項目は、拡張コマンドが提供する機能です。
トポロジ内の管理オブジェクトを検出する
モジュールを使用可能または使用不可にする
アラームを肯定応答または削除する
拡張コマンドは、デフォルトではバックグラウンドで実行しますが、フォアグラウンドで実行するよう設定できます。
セッションモードは、フォアグラウンドでもバックグラウンドでもコマンドを実行することができます。
フォアグラウンド – コマンドをフォアグラウンドで実行します。この場合、出力先の指定がないかぎり、コマンド出力は直接画面に送信されます。フォアグラウンドでは、1 度に実行できるコマンドは 1 つだけです。基本コマンドは、フォアグラウンドでのみ実行可能です。 拡張コマンドはデフォルトではバックグラウンドで実行しますが、フォアグラウンドで実行するよう設定することも可能です。
バックグラウンド – コマンドを、バックグラウンドで非同期に実行します。デ フォルトでは、コマンド出力や診断メッセージは画面に送信されません。出力はバッファされ、明示的な要求があると表示されます。UNIX シェルとは異なり、バックグラウンドで 1 度に実行できる拡張コマンドは 1 つだけです。ただし、バックグラウンドで拡張コマンドを実行しながら、フォアグラウンドで複数のコマンドを実行することができます。拡張コマンドは、デフォルトではバックグラウンドで実行しますが、フォアグラウンドで実行するよう指定することも可能です。基本コマンドはバックグラウンドでは実行できません。
CLI はエイリアスもサポートしています。そのため、より複雑なコマンドやパラメータに省略語や仮名を定義することができます。ユーザー定義のエイリアスは、さまざまな CLI セッションで使用できます。
CLI パラメータは、名前と値のペアです。すなわち、名前と値を 1 つずつとります。一部のパラメータは CLI 内に最初から組み込まれており、名前と値も事前に定義されています。その他のパラメータ (変数) は、ユーザーが定義できます。パラメータのなかには有効範囲がグローバルなものがあります。このグローバルパラメータは、特定のセッションにおける CLI コマンドの実行を制御します。これ以外のパラメータは、特定コマンドやコマンドグループに固有です。
CLI は、いくつかの入力機能と出力機能を提供します。
CLI では、CLI コマンドごとにオンラインヘルプが提供されます。CLI 内から直接ヘルプにアクセスすることができ、GUI は必要ありません。すべてのコマンドについて、その使用方法や関連パラメータリストを表示することができます。