この章の内容は、次のとおりです。
モジュールのデータプロパティーは、モジュールの追加情報を提供します。第 10 章「データプロパティー属性の監視」で説明している Java コンソールの属性エディタと同じ機能を備えた Web コンソールの属性エディタを使用して、モジュールのデータプロパティーの監視条件をカスタマイズすることができます。属性エディタでは、次のタスクを実行できます。
定義済みアラームのしきい値を設定する。
アラーム状況発生に対する処理を指定する。
画面上のデータ更新間隔を変更する。
履歴データポイントのログファイルの作成スケジュールを定義する。
Web コンソールの「属性エディタ」ページの最上部にある 1 つまたは複数のタブで、パネルを切り替えることができます。これらのタブは、指定したオブジェクトによって異なります。表示される可能性のあるタブについては、次の項目で説明します。
各属性エディタ は、インスタンスを適用するオブジェクトによって、1 つまたは複数のタブを表示します。
属性エディタの「情報」ページは、選択したオブジェクトの追加情報を提供します。
選択したモジュールの名前、バージョン、説明
モジュールが常駐するホストの名前
上記以外の情報 (データプロパティー情報を格納するフォルダ、変数など)
「アラーム」タブでは、関連する単純アラームを持つデータプロパティーにのみアラームしきい値を設定することができます。これらの単純アラームは、 rCompare 規則を使用します (付録 D 「Sun Management Center ソフトウェアの規則」を参照)。属性エディタの「アラーム」ページは、単純アラームのアラームしきい値のみ設定可能です。
アラームしきい値を設定するためには、適切なセキュリティー (アクセス権) が必要です。詳細は、第 18 章「Sun Management Center のセキュリティー」を参照してください。
アラーム管理ソフトウェアでは、次のような柔軟なアラーム設定が可能です。
特定の重大度のアラームを引き起こすしきい値を定義する。
アラームを鳴らす時間帯 (平日など) を定義する。
単純アラームは、監視データプロパティーがしきい値より大きいか小さいか、あるいはしきい値と一致するかしないかが基準となります。一方、複合アラームは一連の条件が真になると発生します。アラーム規則の詳細は、付録 D 「Sun Management Center ソフトウェアの規則」を参照してください。
次の表は、監視プロパティーの一般的な単純アラーム制限を示したものです。アラーム制限は、「パラメータの説明」フィールドに表示されます。ユーザーは、選択したデータプロパティーに対して、これらのアラーム制限のうち 1 つまたは複数のしきい値を設定することができます。
表 17–1 Sun Management Center ソフトウェアの一般的な単純アラーム制限
アラーム制限 |
説明 |
---|---|
重大しきい値 (>) |
値がこのフィールドに入力された制限を超えると、重大 (赤色) アラームが発生する。 |
警告しきい値 (>) |
値がこのフィールドに入力された制限を越えると、警告 (黄色) アラームが発生する。 |
注意しきい値 (>) |
値がこのフィールドに入力された制限を越えると、注意 (青色) アラームが発生する。 |
重大しきい値 (<) |
値がこのフィールドに入力された制限を下回ると、重大 (赤色) アラームが発生する。 |
警告しきい値 (<) |
値がこのフィールドに入力された制限を下回ると、警告 (黄色) アラームが発生する。 |
注意しきい値 (<) |
値がこのフィールドに入力された制限を下回ると、注意 (青色) アラームが発生する。 |
指定された時間帯でアラームが発生する。たとえば day_of_week=fri の値を指定すると、アラームは金曜日にアラーム条件が存在する場合にのみ発生し、火曜日にアラーム条件が存在しても発生しない。 |
属性エディタの「処理」ページでは、アラーム発生に対応した定義済みの処理を設定することができます。
標準的な処理として、/var/opt/SUNWsymon/bin ディレクトリにスクリプトが格納されています。これらのスクリプトは、root アクセス権で実行します。
たとえば重大処理のフィールドにスクリプト名を入力すると、このスクリプトは、「直前 5 分間の負荷平均」のデータプロパティーに対して重大アラームが生成されるたびに、システム管理者に電子メールを送信します。
処理は、アラーム条件ごとに個別に設定することができます。また、いずれかのアラーム条件に何らかの変化が生じた場合の対処法として、単一の処理を定義することも可能です。処理を定義する場合は、「処理」ページの「処理」ボタンを使用します。
「処理」ボタンの右側のチェックボックスで、特定のアラーム処理を自動実行するか手動実行するかを指定できます。デフォルトでは、すべての処理が手動実行に設定されます。手動処理は変更可能です。
登録済みのアラーム処理を変更する場合は、「アラーム処理変更」ダイアログボックスを使用します。ダイアログボックスの 2 つのボタン (「電子メール」、「汎用」) のいずれか一方を、アラーム処理として選択します。
電子メールとして送信するアドレス、題名、メッセージを指定します。
管理ノード上にインストールされた汎用シェルスクリプトを選択します。
属性エディタの「再表示」ページを使用して、オブジェクトの再表示間隔を設定します。再表示間隔は、Sun Management Center エージェントが監視プロパティーを抽出する間隔です。詳細は、「データ表示の更新頻度を指定する」を参照してください。
属性エディタ の「履歴」ページを使用して、監視プロパティーの過去のデータを保存します。たとえば、履歴データポイントを 120 秒ごとに記録するよう抽出間隔を指定します。さらに、この情報の保管場所をディスクファイルまたはメモリーキャッシュで指定します。
ディスクファイルには 2 種類 (循環、テキスト) あります。循環ファイルの最大ライン長は 1000 行です。これらのファイルは、「テキストファイル名」フィールドで指定されたファイルの /var/opt/SUNWsymon/log ディレクトリにあります。
循環ディスクファイルは、history.log の名前で自動保存されます。テキストファイルのファイル名を指定しないと、データは agent_default.history の名前で自動保存されます。
メモリーキャッシュを選択する場合は、「最大サイズ (サンプル)」フィールドに保存するデータポイント数を指定する必要があります。たとえば、このフィールドに 1000 を設定すると、最新の 1000 個のデータポイントがメモリーキャッシュに格納され、これより古いデータポイントは消去されます。これらのデータポイントはグラフ化できます。詳細は、第 9 章「データプロパティーのグラフ表示」を参照してください。
履歴データをグラフで表示する場合は、特定の監視プロパティーのグラフを開きます。メモリーキャッシュを選択していると、これまでのデータがグラフに表示されます。
この節では、Web コンソールの属性エディタで特定の属性を表示、再表示間隔を変更、履歴情報を変更する手順について説明します。
階層からデータプロパティーテーブルにナビゲートします。
たとえば、次の手順に従ってホストのメモリー情報を表示します。
表示または変更する属性のデータプロパティーテーブルで値を選択します。
別のウィンドウに属性エディタが表示されます。
次の例は、システム負荷統計情報モジュールの再表示間隔の設定方法を示したものです。
「ホスト詳細: ブラウザ」ページのデータプロパティー (例: システム負荷統計情報) を選択します。
「直前 5 分間の負荷平均」の「値」列を選択します。
属性エディタの「情報」ページが表示されます。
「再表示」タブをクリックします。
「再表示」ページが表示されます。
「再表示間隔」フィールドに値を秒で入力します。
たとえば 300 を入力すると、ページは 5 分ごとに更新します。
再表示間隔を変更して属性エディタを終了するには、「了解」ボタンをクリックします。
「システム負荷統計情報」のプロパティーテーブルが表示されている場合、テーブルの値は 5 分ごとに更新されます。
再表示間隔により大きな値を設定すると、エージェントの消費する CPU サイクルが減少します。
「履歴のサンプリング間隔」ページは、履歴データの収集頻度を制御します。
「ホスト詳細: ブラウザ」ページのデータプロパティー (例: システム負荷統計情報) を選択します。
特定のプロパティー (例: 直前 5 分間の負荷平均) の「値」列を選択します。
属性エディタの「情報」ページが表示されます。
「履歴」タブをクリックします。
「履歴」ページが表示されます。
「サンプリング間隔」フィールドに値を秒で入力します。
たとえば、履歴データポイントを 2 分ごとに収集する場合は、「サンプリング間隔」フィールドに 120 を入力します。
「了解」ボタンをクリックして履歴間隔を設定し、「履歴」ページを終了します。
この節では、Web コンソールの属性エディタを使用したアラームの作成手順と応答手順について説明します。
単純アラームを作成する場合の手順例を次に示します。この例では、カーネルリーダモジュールのアラームしきい値を作成します。
「ホスト詳細: ブラウザ」ページからデータプロパティー (例: システム負荷統計情報) を選択します。
「アラーム」タブをクリックします。
「アラーム」ページが表示されます。
「重大しきい値 (>)」フィールドに、現在値より小さい値を入力します。
この値に基づいて重大アラームが作成されます。
「了解」をクリックして変更に同意し、「アラーム」ページを閉じます。
しばらくすると、「システム負荷統計情報」のデータプロパティーテーブルの「直前 1 分間の負荷平均」データフィールドが赤に変わります。さらに、次のフォルダとアイコンに赤色アイコンが表示されます。ただし、システムに最高重大度の未確認の開始状態のアラーム (黒色) が存在する場合は除きます。
オペレーティングシステム
カーネルリーダ
システム負荷統計情報
「ホスト詳細: アラーム」タブをクリックします。
アラームテーブルが再表示して、作成したアラームが反映されます。この詳細は、第 16 章「Web コンソールによるアラームの管理」を参照してください。
チェックマークの形をした「アラームの確認」ボタンをクリックして、このアラームに肯定応答します。
新しいアラームしきい値を作成して、操作に慣れます。
アラームを作成したあとは、ほかの Sun Management Center ユーザーがアラームしきい値を変更できないように、セキュリティー (アクセス権) を設定することができます。セキュリティーの詳細は、第 18 章「Sun Management Center のセキュリティー」を参照してください。
アラーム情報にすべてのアラームしきい値を含める必要はありません。たとえば、重大アラームのしきい値だけを作成するという設定が可能です。
次の手順では、アラームの発生に対応した処理の定義方法について説明します。
「ホスト詳細: ブラウザ」ページからデータプロパティー (例: システム負荷統計情報) を選択します。
「値」列で該当する項目 (例:「直前 5 分間の負荷平均」に関連する値) を選択します。
属性エディタの「情報」ページが表示されます。
「処理」タブをクリックします。
「処理」ページが表示されます。
処理を定義するアラームレベルの「処理」ボタンをクリックします。
表示されたウィンドウで、処理のタイプを指定して、該当する情報を入力します。
電子メールでユーザーに通知する場合は、「電子メール」ラジオボタンをクリックします。電子メールの複数アドレスをカンマ区切りで指定して、メッセージを入力します。
スクリプトを実行するために、「その他」ラジオボタンをクリックします。使用可能なスクリプトのリストからスクリプトを指定し、必要に応じて適切な引数を入力します。「アラーム処理のスクリプトを定義して使用する」を参照してください。
アラームを消去するには、「クリア」ラジオボタンをクリックします。
「了解」をクリックして変更に同意し、このページを閉じます。
電子メールの送信を選択すると、特定のアラームが発生するたびに指定したユーザーの元へメッセージが送信されます。メッセージは次のように表示されます。
Date: Wed, 30 Jun 1999 15:25:39 -0800 From: root@MachineB (0000-Admin(0000)) Subject: Sun Management Center - Alert Alarm Action Mime-Version: 1.0 Sun Management Center alarm action notification ... {Alert: machineB Kernel Reader Load Average Over The Last 5 Minutes > 0.01Jobs} |
次の手順では、アラーム処理をカスタマイズして、アラーム条件の発生時にユーザーへ自動通知する方法について説明します。
次の引数を使用して、スクリプトを作成します。
アラーム重大度 (警告、重大など)
アラームの全文字列 (重大度を含む)。(例: Critical: Machine A Kernel Reader Number of User Sessions > 10)
コマンド行レベルで、スーパーユーザーになります。
# su - |
ホーム Sun Management Center ディレクトリのスクリプトをインストールします。
デフォルトは、/var/opt/SUNWsymon/bin/ ディレクトリです。例:
# cp custom-alarm-script /var/opt/SUNWsymon/bin/ |
「ホスト詳細: ブラウザ」タブをクリックします。
アラームしきい値を設定します。
詳細は、「アラーム条件を定義する」を参照してください。
「システム負荷統計情報」アイコンをクリックします。
「ホスト詳細: ブラウザ」ページのコンテンツ表示に、「システム負荷統計情報」のプロパティーテーブルが表示されます。
「直前 5 分間の負荷平均」の「値」列を選択します。
属性エディタの「情報」ページが表示されます。
属性エディタの「処理」タブをクリックします。
「処理」ページが表示されます。
「重大時処理」フィールドの「処理」ボタンをクリックします。
「アラーム処理の変更」ダイアログボックスが表示されます。
「その他」ボタンをクリックします。
「使用可能なスクリプト」メニューから、custom-alarm-script を選択します。
「引数」フィールドに次の文字列を入力します。
%statusstringfmt
「了解」をクリックして変更に同意し、このページを閉じます。
「処理」ページの「重大時処理」フィールドに、スクリプトファイル名が表示されます。