この章では、サーバー管理を開始するための Sun N1 System Manager のサーバー検出プロセスの使用方法、およびプロビジョニング可能なサーバーのグループ化、交換の方法について説明します。それらの作業については、次の各節で説明します。
ここでは、N1 System Manager にサーバーを追加するための検出手順を説明します。
ここで説明する管理作業を行う前に、物理サーバーをケーブル接続して準備する必要があります。手順については、『Sun N1 System Manager 1.2 サイト計画の手引き』の第 2 章「Sun N1 System Manager システムとネットワークの準備」を参照してください。
N1 System Manager はサーバーの検出をアクティブに実行します。サーバーのシステムコントローラまたはサービスプロセッサの IP アドレスが割り当てられていることが、検出の前提条件になります。サーバーを検索するための IP アドレスの範囲を指定すると、サーバーの検出が開始されます。ただし、N1 System Manager には、ブロードキャスト方式の検出機構はありません。
また、検出するサーバーのファームウェアは、次の表に示すバージョンである必要があります。詳細は、「V20z および V40z サーバーのファームウェアアップデートのダウンロード」 および 「ALOM 1.5 のファームウェアアップデートのダウンロード」を参照するか、プロビジョニング可能なサーバーの Sun System Handbook ドキュメントを参照してください。
プロビジョニング可能なサーバー タイプ |
最小 |
最適なバージョン |
---|---|---|
Netra 240 および 440 ALOM |
1.4 |
1.5.3 |
Sun Fire T1000 ALOM |
6.1.0 |
6.1.0 |
Sun Fire T2000 ALOM |
6.0.1 |
6.0.1 |
Sun Fire V20z および V40z SP |
サービスプロセッサ 2.1.0.5 |
サービスプロセッサ 2.3.0.11 |
Sun Fire V20z BIOS |
1.27.4 |
1.33.5.2 |
Sun Fire V40z BIOS |
1.27.4 |
2.33.5.2 |
Sun Fire V210、V240、および V440 ALOM |
1.4 |
1.5.3 |
Sun Fire X2100 SP |
4.0.9 |
4.11 |
Sun Fire X2100 BIOS |
1.0.0 |
1.0.3 |
Sun Fire X4100 および X4200 |
1.0 |
1.0 |
「検出」ジョブは、サーバー機能にアクセスするために SAP (Service Access Point) を使用します。「SAP 」は、一般に、IP アドレス、プロトコル、およびセキュリティー資格として定義されます。
SSH (Secure Shell) および IPMI (Intelligent Platform Management Interface) のアカウントとパスワードを指定しない場合、検出プロセスは、プロビジョニング可能なサーバーに次の資格が構成されているとみなします。
表 2–1 SPARC アーキテクチャーのプロビジョニング可能なサーバーのデフォルト資格
タイプ |
Telnet ログイン |
Telnet パスワード |
---|---|---|
Netra 240 および 440 |
admin |
admin |
Sun Fire V210、V240、および V440 |
admin |
admin |
Sun Fire T1000 および T2000 |
admin |
admin |
表 2–2 x86 アーキテクチャーのプロビジョニング可能なサーバーのデフォルト資格
タイプ |
SSH ログイン |
SSH パスワード |
IPMI ログイン |
IPMI パスワード |
SNMP 読み取りコミュニティー文字列 |
---|---|---|---|---|---|
Sun Fire V20z および V40z |
admin |
admin |
- |
admin |
public |
Sun Fire X2100 |
- |
- |
Admin |
admin |
- |
Sun Fire X4100 および X4200 |
root |
changeme |
root |
changeme |
public |
資格の自動設定は、Sun Fire V20z および V40z サーバーでサポートされています (工場出荷時のデフォルトの状態の場合)。『Sun N1 System Manager 1.2 サイト計画の手引き』の「プロビジョニング可能なサーバーの設定」を参照してください。
ログインアカウントとパスワードを指定した場合、検出プロセスは、ユーザーが指定した資格を設定します。指定された資格が 1 つだけの場合は、不足しているほうの資格にはデフォルト指定の資格が構成されます。
自動設定を無効にする場合は、検出を実行する前に、 /etc/opt/sun/n1gc/domain.properties ファイルに次の行を追加します。
com.sun.hss.domain.internal.discovery.initializeDevice=false
自動設定の無効化設定を有効にするために、N1 System Manager を再起動する必要があります。自動設定を無効にしたあとは、工場出荷時のデフォルトの状態のすべてのサーバーは、SSH および IPMI アカウントが構成されるまで検出できません。詳細は、『Sun N1 System Manager 1.2 サイト計画の手引き』を参照してください。
Sun Management Center、Sun Control Station、およびそのほかのシステム管理アプリケーション (N1 System Manager を含む) がインストールされているサーバーの検出には、N1 System Manager は使用しないでください。
N1 System Manager を使用してサーバーを管理するには、サーバーを検出する必要があります。ここでは、ブラウザインタフェースを使用した検出の開始と、追跡の手順について説明します。この手順の最後の例 2–1 では、コマンド行を使用する方法を示します。
検出されたサーバーに対し、自動的にハードウェアの健全性の監視が行われます。
新しいハードウェアコンポーネントの検出を行う前に、『Sun N1 System Manager 1.2 サイト計画の手引き』の第 2 章「Sun N1 System Manager システムとネットワークの準備」をお読みください。
N1 System Manager にログインします。
詳細は、「N1 System Manager のブラウザインタフェースにアクセスする」を参照してください。
「すべてのサーバー」ページが表示されます。
「サーバー」表で「検出」ボタンをクリックします。
「サーバーの検出」ウィザードが表示されます。
ウィザードの手順に従って操作を進めます。
「完了」ボタンをクリックし、検出を開始します。
ウィザードのウィンドウが閉じ、コマンド行区画にジョブ ID が表示されます。
「検出」ジョブを表示するには、「ジョブ」タブをクリックします。
ジョブの一覧表に検出ジョブが表示されます。
ジョブが正常終了したら、次のいずれかを行います。
サーバーが OS プロビジョニング可能な状態になります。
検出されたサーバーに、すでに OS がインストールされている場合は、OS 監視機能を追加します。
次のコマンドで使用されている SSH ユーザーアカウントは、プロビジョニング可能なサーバー上で root 権限を持っている必要があります。
N1-ok> add server server feature osmonitor agentip agentip agentssh username/password |
詳細は、『Sun N1 System Manager 1.2 コマンド行レファレンスマニュアル』の「add server」を参照してください。
IP アドレス、IP アドレス範囲、および IP サブネットは、コンマ区切りで入力することができます。IP アドレス範囲には重複があってもかまいません。セキュリティー資格として、IPMI、SNMP (Simple Network Management Protocol)、SSH、および Telnet が選択できます。ただし、Sun Fire X4000 シリーズのサーバーについては、IPMI による usernameが必要です。資格が指定されない場合は、工場出荷時のデフォルトが使用されます。デフォルトのアカウントについては、『Sun N1 System Manager 1.2 サイト計画の手引き』を参照してください。
N1-ok> discover IP,IP-IP,subnet/mask [group group] [ipmi username/password] [snmp credential/credential] [ssh username/password] [telnet username/password] |
次の discover コマンドの例は、次の管理ネットワーク IP アドレスを持つサーバーの検出方法を示しています。 192.168.1.1 〜 192.168.1.3、192.168.1.5-192.168.1.95、および 192.168.1.107。
N1-ok> discover 192.168.1.1-192.168.1.3,192.168.1.5-192.168.1.95,192.168.1.107\ group dev ssh root/admin ジョブ 3 を開始しました。 |
group サブコマンドは、検出に成功したサーバーを dev という名前のサーバーグループに追加しています。ssh オプションでは、管理ポートにアクセスするために構成されたユーザー名とパスワードを指定します。この例では、ハードウェア検出の認証に、SSH ユーザー名 root およびパスワード admin が使用されています。
次のコマンド例は、「検出」ジョブおよびジョブのステータスを表示する方法を示しています。
N1-ok> show job all ジョブ ID 日時 種類 ステータス 所有者 3 2005-06-28T06:53:53-0700 検出 完了 root 2 2005-06-28T06:01:20-0700 OS ディストリビューションの作成 完了 root 1 2005-06-28T05:57:14-0700 OS ディストリビューションの作成 完了 root |
次のコマンド例は、検出されたサーバーがサーバーグループに追加されたことを確認する方法を示しています。
N1-ok> show group all 名前 サーバー ハードウェアの障害 OS グループの障害 dev 7 |
次のコマンド例は、グループ内のサーバー、電源のステータス、およびハードウェアの健全性のステータスを、一覧表示する方法を示しています。
N1-ok> show group dev 名前 ハードウェア ハードウェアの健全性 電源 使用 OS OS リソースの健全性 192.168.1.1 V20z 良好 オン -- 未初期化 192.168.1.2 V20z 良好 オン -- 未初期化 192.168.1.5 V40z 良好 オン -- 未初期化 192.168.1.15 NETRA-240 良好 オン -- 未初期化 192.168.1.25 X4100 良好 オン -- 未初期化 192.168.1.95 X4200 良好 オン -- 未初期化 192.168.1.107 SF-V240 良好 オン -- 未初期化 |
次の discover コマンドの例は、ネットマスク 192.168.1.0/8 で管理ネットワーク IP が割り当てられたサーバーの検出方法を示しています。
N1-ok> discover 192.168.1.0/8 ssh root/admin ジョブ 18 を開始しました。 |
次の例は、検出されたサーバーを一覧表示する方法を示しています。
N1-ok> show server all 名前 ハードウェア ハードウェアの健全性 電源 使用 OS OS リソースの健全性 192.168.1.1 V20z 良好 オン -- 未初期化 192.168.1.2 V20z 良好 オン -- 未初期化 192.168.1.5 V40z 良好 オン -- 未初期化 192.168.1.15 NETRA-240 良好 オン -- 未初期化 192.168.1.25 X4100 良好 オン -- 未初期化 192.168.1.95 X4200 良好 オン -- 未初期化 192.168.1.107 SF-V240 良好 オン -- 未初期化 192.168.1.200 V20z 良好 オン -- 未初期化 192.168.1.245 V40z 良好 オン -- 未初期化 192.168.1.255 NETRA-240 良好 オン -- 未初期化 |
次の add コマンドの例は、N1 System Manager による検出前に OS がインストールされているサーバーに OS 監視機能を追加する方法を示しています。
N1-ok> add server 192.168.1.1 feature osmonitor agentip 192.168.10.10 agentssh admin/admin |
agentip パラメータには、管理サーバーによって監視されるプロビジョニング可能なサーバーのデータネットワークインタフェースの IP アドレスを設定します。ssh のユーザー名 admin およびパスワード admin は、root のアクセス認証に使用されます。詳細は、「基本管理機能と OS 監視機能の追加およびアップグレード」を参照してください。
次の show コマンドの例は、検出する前に OS がインストールされていたサーバーに、OS 監視機能が正常に追加されたことを確認する方法を示しています。
N1-ok> show server 192.168.1.1 名前 ハードウェア ハードウェアの健全性 電源 使用 OS OS リソースの健全性 192.168.1.1 V20z 良好 オン Solaris 良好 |
discover コマンドの資格属性は、セキュリティー上の目的で使用されます。SSH、IPMI、および Telnet では、ユーザー名とパスワードが必要です。SNMP では、読み取りセキュリティーコミュニティー文字列として有効な値を入力する必要があります。資格が指定されない場合は、検出プロセスは、インストール時に定義されたデフォルトの資格を使用します。デフォルトの資格については、「サーバーの検出」を参照してください。
管理サーバーの古い SSH エントリが原因で、検出に失敗する場合があります。discover コマンドが、「アクセスに使用された証明書が無効です」というエラーメッセージが表示され、かつセキュリティー違反がないことが確かな場合は、known_hosts ファイル、ファイル内のプロビジョニング可能なサーバーに相当する特定のエントリを削除します。そのあと、discover コマンドを再度実行します。
管理サーバー で Linux が実行されている場合、known_hosts ファイルは /root/.ssh/known_hosts にあります。管理サーバー で Solaris OS が実行されている場合、known_hosts ファイルは /.ssh/known_hosts にあります。
add コマンドで次のエラーが発生した場合、OS がサーバーにインストールされていません。
Internal error: No mac address match found
『Sun N1 System Manager 1.2 サイト計画の手引き』
この節では、次の作業について説明します。
検出ジョブが正常に終了すると、サーバーはその管理名で識別されます。当初、サーバーの管理名には、そのサーバーの管理 IP アドレスが設定されます。検出したサーバーの管理名は、いつでも変更できます。
ファームウェアアップデートを一括インストールするため、検出された (「プロビジョニング可能」な) サーバーの型やモデルごとにグループを作成できます。そのあとで、オペレーティングシステム (「OS プロファイル」) や OS アップデートを一括インストールするため、機能別のグループを作成することができます。プロビジョニング可能なサーバーは複数のグループに属することができるため、必要に応じて、一括保守のための新しいサーバーグループを作成することができます。
サーバーグループを作成するには、create コマンドに group キーワードを付けて使用します。グループにサーバーを追加するには、 add コマンドに group キーワードと server サブコマンドを付けて使用します。
グループを作成してサーバーを追加する操作を 1 度に行うには、 create コマンドに group キーワードと server サブコマンドを付けて使用します。この操作は、サーバーの検出と同時に行うことができます。discover コマンドにオプションを追加することで、新しいグループの作成と、新しいグループへのサーバーの追加が可能になります。手順については、「新しいサーバーを検出する」を参照してください。
構文とパラメータの詳細は、N1–ok のコマンド行で、help create group または help add group と入力してください。
ここでは、検出されたサーバーまたは「プロビジョニング可能なサーバー」のグループを作成する手順を説明します。プロビジョニング可能なサーバーは複数のグループに属することができるため、必要に応じて、一括保守のための新しいサーバーグループを作成することができます。
N1 System Manager にログインします。
詳細は、「N1 System Manager のコマンド行にアクセスする」を参照してください。
次のコマンドを入力します。
N1-ok> create group group |
新しいグループが作成されます。詳細は、『Sun N1 System Manager 1.2 コマンド行レファレンスマニュアル』の「create group」を参照してください。
次のコマンド例では、dev というグループを作成し、server1 および server2 という名前のサーバーを追加する方法を示しています。そのあとの show group コマンドの出力は、 dev グループ内のサーバーの一覧です。
N1-ok> create group dev server server1,server2 N1-ok> show group dev 名前 ハードウェア ハードウェアの健全性 電源 使用 OS server1 V20z 良好 オン -- server2 V20z 良好 オン RH30 |
サーバーは、複数のグループに属することができます。
N1 System Manager にログインします。
詳細は、「N1 System Manager のコマンド行にアクセスする」を参照してください。
次のコマンドを入力します。
N1-ok> add group group server server |
グループにサーバーが追加されます。詳細は、『Sun N1 System Manager 1.2 コマンド行レファレンスマニュアル』の「add group」を参照してください。
グループからサーバーを削除するには、remove コマンドに group キーワードと server サブコマンドを付けて使用します。構文とパラメータの詳細は、 N1–ok コマンドプロンプトで help remove group と入力してください。
N1 System Manager にログインします。
詳細は、「N1 System Manager のコマンド行にアクセスする」を参照してください。
次のコマンドを入力します。
N1-ok> remove group group server server |
グループからサーバーが削除されます。詳細は、『Sun N1 System Manager 1.2 コマンド行レファレンスマニュアル』の「remove group」を参照してください。
この節では、N1 System Manager 内のプロビジョニング可能なサーバーに障害が起きた場合の、交換方法を説明します。
N1 System Manager にログインします。
詳細は、「N1 System Manager のコマンド行にアクセスする」を参照してください。
次のコマンドを入力します。
N1-ok> stop server server force |
サーバーが停止し、電源オフされます。詳細は、『Sun N1 System Manager 1.2 コマンド行レファレンスマニュアル』の「stop server」を参照してください。
ラックから物理サーバーを取り外します。
システムからサーバーを削除します。
N1-ok> delete server server |
新しいサーバーを接続します。
『Sun N1 System Manager 1.2 サイト計画の手引き』の説明に従ってください。
新しいサーバーを検出します。
N1-ok> discover IP | IP-IP | subnet/mask [group group] [ipmi password] [snmp credential/credential] [ssh username/password] |
新しいサーバーが管理対象になります。詳細は、『Sun N1 System Manager 1.2 コマンド行レファレンスマニュアル』の「discover」を参照してください。監視は設定できません。詳細は、「監視のサポート」および「監視の有効化と無効化」を参照してください。
discover コマンドの資格属性は、セキュリティー上の目的で使用されます。SSH、IPMI、および Telnet では、ユーザー名とパスワードが必要です。SNMP では、読み取りセキュリティーコミュニティー文字列として有効な値を入力する必要があります。資格が指定されない場合は、検出プロセスは、インストール時に定義されたデフォルトの資格を使用します。デフォルトの資格については、「サーバーの検出」を参照してください。
管理サーバーの古い SSH エントリが原因で、検出に失敗する場合があります。discover コマンドが、「アクセスに使用された証明書が無効です」というエラーメッセージが表示され、かつセキュリティー違反がないことが確かな場合は、/root/.ssh/known_hosts ファイル、ファイル内のプロビジョニング可能なサーバーに相当する特定のエントリを削除します。そのあと、discover コマンドを再度実行します。