Sun N1 System Manager 1.2 管理ガイド

ジョブの管理

ここでは、ジョブについて、およびそのサーバー監視におけるジョブの重要性について、説明します。

ジョブは、N1 System Manager で主なアクションを行うたびに 1 つ作成されます。ジョブのログを使用して、現在実行中のアクションのステータスを監視したり、ジョブが終了したことを確認したりできます。N1 System Manager におけるアクションには、完了までに時間がかかるものがあるため、ジョブの監視はとても役立ちます。そのようなアクションの 1 例として、1 つ以上のプロビジョニング可能なサーバーへの OS ディストリビューションのインストールがあげられます。

ジョブは、ブラウザインタフェース の「ジョブ」タブあるいは show job コマンドで監視できます。show job コマンドは、次の特性のほとんどに関する情報を表示します。

ジョブ ID

生成された一意のジョブ識別子。

日付

ジョブが開始された日付。

ジョブの種類

ジョブの種類。詳細は、『Sun N1 System Manager 1.2 コマンド行レファレンスマニュアル』「show job」を参照してください。type パラメータを付けて show job コマンドを使用すると、ジョブは次のいずれかに分類されます。

  • addbase 基本管理サポートの追加。

  • addosmonitor OS 監視サポートの追加。

  • createos メディア (CD/DVD) または ISO ファイルからの OS ディストリビューションの作成。

  • deletejob ジョブの削除。

  • discover サーバー検出。

  • loadfirmware ファームウェアアップデートのロード。

  • loados OS のロード。

  • loadupdate OS アップデートのロード。

  • refresh サーバーの情報更新。

  • reset サーバーの再起動。

  • removeosmonitor OS 監視サポートの削除。

  • setagentip 管理機能の設定変更。基本管理機能と OS 監視機能に関するもの。

  • start サーバーの電源オン。

  • startcommand リモートコマンドの実行。

  • stop サーバーの電源オフ。

  • unloadupdate OS アップデートのアンロード。

状態

現在のジョブステップの状態。ジョブステップは、ジョブの進行状況と更新結果を示します。各ジョブステップには、種類、開始日時、およびジョブの完了日時 (ジョブが完了した場合のみ) が示されます。ジョブの進行状況は、次の状態として示されます。この状態でジョブを選別することができます。

未開始

「未開始」状態 のジョブは停止できません。

テスト

ID によってジョブを選択し、ジョブの詳細を表示すると、ジョブの各ステップが 2 つ (テストと実際の実行) 表示されます。

実行中

ジョブは現在実行中です。現在実行中のジョブは、delete job コマンドで削除することはできません。実行を完了させるか、stop job コマンドで中止します。

ジョブの完了状況は、次の結果で示されます。

完了

ジョブステップが正常に完了したことを示します。

警告

ジョブの実行中に警告があったことを示します。警告は、何らかの問題が報告されたことを示します。この問題は、ジョブステップを (そしてその結果ジョブを) エラーを伴って終了させるほど重大である場合があります。

停止

ジョブステップが完了する前に停止したことを示します。

停止中

ジョブはまだ実行中だが、ジョブステップを正常に完了できない状態を示します。

エラー

ジョブステップの一般エラーを示します。

タイムアウト

すべてのジョブステップが正常に完了しないうちにジョブがタイムアウトしたか、または、ジョブの現在のステップが正常に完了しないうちに次のステップが開始したことを示します。

ジョブがすべてのステップを正常に完了したが、ジョブの実行中に少なくとも 1 つの警告状態がステップに対して実行され、かつ、この警告がジョブをエラーを伴って終了させるほど重大でなかった場合、ジョブ全体のステータスとして「Complete - Warning」が出力されます。

ジョブは、その状態に従って選別することができます。詳細は、『Sun N1 System Manager 1.2 コマンド行レファレンスマニュアル』「show job」を参照してください。

コマンド

ジョブの開始に使用されたコマンド。

所有者

ジョブを開始したユーザー。ジョブの「作成者」ともいいます。

ジョブの結果

完了したジョブの結果の詳細情報です。リモートコマンド操作および他のすべての種類のジョブの完了ステータスの標準出力を見ることができます。

Procedureジョブを一覧表示する

手順
  1. N1 System Manager にログインします。

    詳細は、「N1 System Manager のコマンド行にアクセスする」を参照してください。

  2. ジョブの一覧を表示します。


    N1-ok> show job all
    

    N1 System Manager のすべてのジョブの一覧が返されます。

    詳細は、『Sun N1 System Manager 1.2 コマンド行レファレンスマニュアル』「show job」を参照してください。


例 5–9 すべてのジョブの一覧表示

この例は、show job コマンドを all オプションを付けて使用した場合に返されるジョブ ID 別のジョブの一覧を示しています。ジョブが開始された日付と日時が表示されています。ジョブの種類、ステータス、ジョブを作成したユーザーの ID も返されます。


N1-ok> show job all
ジョブ ID   日時                        種類                ステータス  所有者
7        2005-09-16T10:51:07-0700  検出                完了     root
6        2005-09-14T14:42:52-0700  Server Reboot     エラー    root
5        2005-09-14T14:38:25-0700  Server Power On   完了     root
4        2005-09-14T14:29:20-0700  Server Power Off  完了     root
3        2005-09-09T13:01:35-0700  検出                完了     root
2        2005-09-09T12:38:16-0700  検出                完了     root
1        2005-09-09T10:32:40-0700  検出                完了     root

Procedure特定のジョブを表示する

手順
  1. N1 System Manager にログインします。

    詳細は、「N1 System Manager のコマンド行にアクセスする」を参照してください。

  2. 特定のジョブを表示します。


    N1-ok> show job job
    

    指定したジョブの詳細情報が表示されます。

    詳細は、『Sun N1 System Manager 1.2 コマンド行レファレンスマニュアル』「show job」を参照してください。


例 5–10 ジョブの詳細の表示

この例は、show job コマンドを、ジョブ ID を付けて使用した場合に返される出力を示しています。ジョブが開始された日付と時刻、ジョブの種類とステータス、ジョブを作成したユーザーの ID が表示されています。この例のジョブは、load server コマンドを使用して 192.168.200.4 という名前のサーバーに OS プロファイルをロードします。ジョブの各「ステップ」の詳細も表示されています。詳細は、ステップの開始時刻と完了時刻、およびステップが成功したかどうかが含まれています。


N1-ok> show job 21
ジョブ ID:   21
日時:       2005-10-27T10:09:18-0600
種類:       Load OS
ステータス:    Completed (2005-10-27T10:37:23-0600)
コマンド:     load server 192.168.200.4 osprofile SLES9RC5 
bootip=192.168.200.30 networktype=static ip=192.168.200.31
所有者:      root
エラー:      0
警告:       0

ステップ
ID     種類            開始                        Completion                 結果
1      Acquire Host  2005-10-27T10:09:19-0600  2005-10-27T10:09:19-0600   完了
2      Execute Java  2005-10-27T10:09:19-0600  2005-10-27T10:09:19-0600   完了
3      Acquire Host  2005-10-27T10:09:21-0600  2005-10-27T10:09:21-0600   完了
4      Execute Java  2005-10-27T10:09:21-0600  2005-10-27T10:37:22-0600   完了

結果
結果 1: 
サーバー:    192.168.200.4
ステータス:   0
メッセージ:   OS deployment using OS Profile SLES9RC5 was successful.
IP address 192.168.200.30 was assigned.

Procedureジョブを停止する

手順
  1. N1 System Manager にログインします。

    詳細は、「N1 System Manager のコマンド行にアクセスする」を参照してください。

  2. 特定のジョブを停止します。


    N1-ok> stop job job
    

    ジョブが停止します。

    詳細は、『Sun N1 System Manager 1.2 コマンド行レファレンスマニュアル』「stop job」を参照してください。

  3. ジョブの詳細を表示します。


    N1-ok> show job job
    

    出力の「結果」の項目には、ジョブが停止されたことが示されます。

    ジョブはどれも停止できます。ただし、実際には、停止できるのは、その最終ステップになっていないジョブだけです。ジョブにはステップが 1 つだけのものもあり、その場合は停止できません。ステータスが 未開始 のジョブは停止できません。多くのサーバーからなるグループに対して行う操作は大量のステップから構成され、時間がかかることがあります。

    詳細は、『Sun N1 System Manager 1.2 コマンド行レファレンスマニュアル』「show job」を参照してください。


例 5–11 ジョブの停止

この例は、ジョブ ID を付けて stop job コマンドを使用すると返される、要求が受信されたことを確認するメッセージを示しています。


N1-ok> stop job 32

Stop Job "32" request received.

次の例のように、show job コマンドに停止したジョブのジョブ ID を付けて使用すると、停止したジョブのより詳細な情報を得ることができます。「ステータス」に、ジョブが停止されたことの確認が返されます。ジョブを作成したコマンドも表示されます。ジョブの各「ステップ」も詳細表示されています。詳細には、ステップの開始時刻と完了時刻、およびステップが成功したかどうかが含まれています。「結果」の項目には、ジョブが停止されたことが示されています。


N1-ok> show job 32
ジョブ ID:   32
日時:       2005-11-02T08:08:37-0700
種類:       Server Refresh
ステータス:    停止 (2005-11-02T08:08:48-0700)
コマンド:     set server 192.168.200.2 refresh
所有者:      root
エラー:      0
警告:       0

ステップ
ID   種類            開始                        Completion                 結果   
1    Acquire Host  2005-11-02T08:08:38-0700  2005-11-02T08:08:38-0700   完了
2    Run Command   2005-11-02T08:08:38-0700  2005-11-02T08:08:38-0700   完了
3    Acquire Host  2005-11-02T08:08:40-0700  2005-11-02T08:08:40-0700   完了
4    Run Command   2005-11-02T08:08:40-0700  2005-11-02T08:08:47-0700   停止

参照

「サーバーまたはサーバーグループにリモートコマンドを実行する」

Procedureジョブを削除する

手順
  1. N1 System Manager にログインします。

    詳細は、「N1 System Manager のコマンド行にアクセスする」を参照してください。

  2. 削除するジョブを確認します。


    N1-ok> show job all
    

    すべてのジョブ およびジョブ ID が表示されます。

    詳細は、『Sun N1 System Manager 1.2 コマンド行レファレンスマニュアル』「show job」を参照してください。

  3. 適切なジョブを削除します。


    N1-ok> delete job job
    

    ジョブが削除されます。

    詳細は、『Sun N1 System Manager 1.2 コマンド行レファレンスマニュアル』「delete job」を参照してください。

  4. ジョブが削除されたことを確認します。


    N1-ok> show job all
    

    削除したジョブが表示されていないことを確認します。

    詳細は、『Sun N1 System Manager 1.2 コマンド行レファレンスマニュアル』「show job」を参照してください。


例 5–12 ジョブの削除

この例は、ジョブを削除する方法を示しています。

まず、show job コマンドを all オプションを付けて使用します。これは、すべてのジョブを降順で一覧表示します。


N1-ok> show job all
ジョブ ID    日時                        種類                ステータス     Creator
7         2005-02-16T10:51:07-0700  検出                完了        root
6         2005-02-14T14:42:52-0700  Server Reboot     エラー       root
5         2005-02-14T14:38:25-0700  Server Power On   完了        root
4         2005-02-14T14:29:20-0700  Server Power Off  完了        root
3         2005-02-09T13:01:35-0700  検出                完了        root
2         2005-02-09T12:38:16-0700  検出                完了        root
1         2005-02-09T10:32:40-0700  検出                完了        root

ジョブ ID 6 にはエラーがあり、削除することができます。削除するジョブのジョブ ID を付けて delete job コマンドを使用します。


N1-ok> delete job 6

再度 show job コマンドを all オプションを付けて使用します。すべてのジョブが降順で一覧表示されます。削除されたジョブは、もう一覧には表示されていません。


N1-ok> show job all
ジョブ ID    日時                        種類                ステータス     Creator
7         2005-02-16T10:51:07-0700  検出                完了        root
5         2005-02-14T14:38:25-0700  Server Power On   完了        root
4         2005-02-14T14:29:20-0700  Server Power Off  完了        root
3         2005-02-09T13:01:35-0700  検出                完了        root
2         2005-02-09T12:38:16-0700  検出                完了        root
1         2005-02-09T10:32:40-0700  検出                完了        root


例 5–13 すべてのジョブの削除

この例は、すべてのジョブを削除する方法を示しています。

まず、show job コマンドを all オプションを付けて使用します。これは、すべてのジョブを降順で一覧表示します。


N1-ok> show job all
ジョブ ID    日時                        種類                ステータス     Creator
7         2005-09-16T10:51:07-0700  検出                完了        root
6         2005-09-14T14:42:52-0700  Server Reboot     エラー       root
5         2005-09-14T14:38:25-0700  Server Power On   完了        root
4         2005-09-14T14:29:20-0700  Server Power Off  完了        root
3         2005-09-09T13:01:35-0700  検出                実行中       root
2         2005-09-09T12:38:16-0700  検出                完了        root
1         2005-09-09T10:32:40-0700  検出                完了        root

all オプションを付けて delete job コマンドを使用し、すべてのジョブを削除します。


N1-ok> delete job all

Unable to delete job "3"

all オプションを付けて show job コマンドを使用し、すべてのジョブが正常に削除されたかどうかを確認します。


N1-ok> show job all
ジョブ ID    日時                        種類        ステータス    Creator
3         2005-09-09T13:01:35-0700  検出        実行中      root

ジョブ ID 3 はまだ実行中です。これは、delete job コマンドが実行されたときに、ジョブの状態が「実行中」であったためです。ジョブは、削除する前に実行が完了しているか停止されている必要があります。

ジョブを停止してから削除するには、まず、停止するジョブのジョブ ID を付けて stop job コマンドを使用します。


N1-ok> stop job 3

Stop Job "3" request received.

show job コマンドを使用してジョブが停止されたことを確認します。


N1-ok> show job all
ジョブ ID    日時                        種類      ステータス       Creator
3         2005-09-09T13:02:35-0700  検出      Aborted     root

ジョブは実行中に停止され、「停止」状態にあります。all オプションを付けて delete job コマンドを使用し、すべてのジョブを削除します。


N1-ok> delete job all

show job コマンドを使用し、すべてのジョブが削除されたことを確認します。


N1-ok> show job all
ジョブ ID    日時                        種類      ステータス       Creator

ジョブのキューイング

N1 System Manager では、ジョブの種類ごとに重みが関連付けられます。重みは、システムリソースに対してジョブが生む負荷を反映しています。システムにかけることができる負荷総量に対するグローバル制限もあります。次の表は、各種ジョブ (ユーザーレベル) の重みをまとめています。最大許容負荷は 5000 です。

表 5–3 ジョブの重み値

作業 

重み 

OS 配備 

500 

パッケージ配備 

500 

パッケージのアンインストール 

500 

検出 

200 

ファームウェアの配備 

500 

リモートコマンドの実行 

200 

ジョブの削除 

400 

OS の作成 

1000 

サーバーのリセット 

200 

サーバーの電源オフ 

200 

サーバーの電源オン 

200 

サーバーの再表示 

200 

サーバー機能の設定 

200 

サーバーの削除 

100 

サーバーの追加 

100 

   

負荷総量は、実行しているすべてのジョブの負荷の合計です。システムは、次の時点で現在の負荷総量と最大許容負荷を比較します。

現在の負荷総量と最大許容負荷との間に十分な差があり、ジョブキューの先頭にあるジョブを処理できる状態の場合、そのジョブは実行中の状態に格上げされます。そうでない場合は、待ち状態のままになります。システム上で同時に実行可能なジョブの組み合わせは、現在の負荷総量によって決まります。

たとえば、同時に実行できる OS 配備ジョブは 2 つだけです。

500 + 500 = 1000

あるいは、1 つの OS 配備ジョブと 2 つのサーバーの電源オフジョブを同時に実行できます。

500 + 200 + 200 < 1000