Solstice DiskSuite 4.2.1 リファレンス

第 5 章 ディスクセット

この章では、共有ディスクについて解説します。次の表を参考にして、必要な箇所を探してください。

ディスクセットの機能

共有ディスクセット (または単にディスクセット) とは、排他的に共有できる (同時に 1 台のホストのみが使用できる) メタデバイスやホットスペアを含む共有ディスクドライブの集まりです。現時点では、SPARCstorage Array ディスクでのみ、ディスクセットをサポートしています。

DiskSuite によるディスクセットの管理

ディスクセットは、データの重複性と可用度を高めます。1 台のホストが故障しても、他のホストが故障したホストのディスクセットを引き継ぐことができます。

各ホストはディスクセットを制御できますが、他のホストの制御下にあるディスクセットをアクセスすることはできません。


注 -

ディスクセットは、Solstice HA の他、サポートされている他社製の HA フレームワークで使用することを目的としています。 DiskSuite 単独で耐障害性を実現するために必要な機能のすべてを提供しているわけではありません。


共有ディスクセットに加えて、各ホストはローカルディスクセットを持っています。ローカルディスクセットは、共有ディスクセットに含まれないホストのすべてのディスクから構成されます。ローカルディスクセットは、特定のホストに属します。ローカルディスクには、そのホストの構成を記録したメタデバイス状態データベースが格納されます。

共有ディスクセット上のメタデバイスおよびホットスペア集合は、そのディスクセットのドライブのみから構成されます。ディスクセットに作成したメタデバイスは、物理スライスと同じように使用できます。しかしディスクセットでは、/etc/vfstab ファイルによるファイルシステムのマウントをサポートされません。

同じように、ローカルディスクセット上のメタデバイスやホットスペア集合は、ローカルディスクセットのドライブのみから構成されます。

ディスクセットにディスクを追加すると、DiskSuite はディスクセット上に状態データベースの複製を自動的に作成します。ディスクセットにドライブを追加すると、DiskSuite は、ディスクセットの状態データベースの複製をそのドライブに配置できるように、ドライブのパーティションを切り直します。ドライブのパーティションが切り直されるのは、スライス 7 が正しく設定されていない場合のみです。各ドライブでは、スライス 7 用に少しずつ領域が予約されています。残りの部分はスライス 0 に割り当てられます。パーティションを切り直すと、ドライブ上の既存のデータは失われます。ディスクセットにドライブを追加すると、スライス 7 については変更できませんが、他の部分については必要に応じて改めてパーティションを切り直すことができます。

ローカルディスクセットを管理する場合とは異なり、ディスクセットのメタデバイス状態データベースを手作業で作成したり削除したりする必要はありません。DiskSuite は、適切な数の状態データベースの複製 (スライス 7 に常駐) を、ディスクセットのすべてのドライブに分散させます。必要であれば、状態データベースの複製を手作業で管理することもできます (『Solstice DiskSuite 4.2.1 ユーザーズガイド』を参照) 。


注 -

ディスクセットはローカルな (二重に接続されていない) 使用形態を対象とはしていません。


ディスクセットの規約

例 - 2 つの共有ディスクセット

図 5-1 に、2 つのディスクセットを使用した構成の例を示します。

図 5-1 ディスクセットの例

Graphic

この構成では、ホスト A とホスト B がディスクセット A および B を共有しています。どちらのホストも、共有していないローカルディスクセットを持っています。ホスト A が故障すると、ホスト B がホスト A の共有ディスクセット (ディスクセット A) の制御を引き継ぎます。同じように、ホスト B が故障すると、ホスト A がホスト B の共有ディスクセット (ディスクセット B) の制御を引き継ぎます。

ディスクセットの管理

ディスクセットの作成と構成は、DiskSuite のコマンド行インタフェース (metaset(1M) コマンド) を使用して行わなければなりません。ディスクセットを作成した後は、DiskSuite ツールまたはコマンド行ユーティリティを使用して、ディスクセット上の状態データベースの複製、メタデバイス、およびホットスペア集合を管理することができます。

ディスクセットにドライブを追加したら、ホストはディスクセットを予約 (確保) したり解放したりすることができます。ホストによってディスクセットが予約されると、他のホストはそのディスクセットのデータをアクセスできなくなります。ディスクセットを管理するためには、ホストがそのディスクセットを所有しているか、もしくは予約していなければなりません。ディスクセットに最初にドライブを追加したホストには、暗黙の所有権が与えられます。

現在のホストがディスクセットを独占できるように、各ドライブに対して SCSI の reserve コマンドが発行され、各ドライブが予約されます。ディスクセットの各ドライブは、予約が継続しているかどうかを毎秒調べられます。


注 -

ホストが予約してあるはずのドライブが予約されていないと判断された場合、ホストはパニックを起こします。こうすることで、2 つのホストが同時に同じドライブをアクセスすることによって生じるデータの消失が最小限に抑えられます。


ディスクセットの予約

ホストがディスクセットのドライブを使用するためには、そのディスクセットをまず予約しなければなりません。ホストは、2 とおりの方法でディスクセットを予約できます。

ディスクセットの解放

ディスクセットの解放が必要になる場合があります。ディスクセットのドライブに対して保守を実行する場合などは、ディスクセットを解放しておくと便利です。解放されたディスクセットは、ホストからアクセスできなくなります。ディスクセットを共有しているホストが両方ともディスクセットを解放すると、どちらのホストもそのディスクセットのドライブをアクセスできなくなります。