名前 | 形式 | 機能説明 | オプション | 出力 | OPERANDS | 使用例 | 終了ステータス | 属性 | 関連項目 | 注意事項
rcapstat コマンドは、rcapd(1MSRM) でキャップを実行している l ノードやプロジェクトについてレポートします。各レポートには、l ノードまたはプロジェクトに関する現在の統計、および、ページング統計が含まれます。ページングとは、メモリーの「ページ」という部分を物理メモリーに (あるいは、物理メモリーから) 配置し直す動作のことです。rcapd は最も使用されていないページをページアウトします。
1 回目のレポートにあるページング統計は、rcapd デーモンの起動以降の動作を示します。2 回目以降のレポートは、前回のレポート以降の動作を示します。
レポートは interval 秒ごとに count 回まで発行されます。あるいは、count が指定されていない場合、レポートは恒久的に発行されます。
次のコマンド行オプションがサポートされます。
rcapadm(1MSRM) で設定されているグローバルメモリー利用キャップをレポートします。そして、現在のメモリー利用状況もレポートします。単位は、システムにインストールされているすべての物理メモリーに対するパーセンテージです。
次に、rcapstat レポート内にあるカラムのヘッダーとその説明を示します。
キャップが実行された l ノードまたはプロジェクト。
コレクション ID のタイプ (project または lnode)。
コレクション内にあるプロセスの数。
プロセスのコレクション (マッピングされたすべてのファイルとデバイスを含む) の仮想メモリーサイズの合計。単位は、キロバイト (K)、メガバイト (M)、またはギガバイト (G) です。
プロセスのコレクションの常駐セットサイズ (RSS) の合計。単位は、キロバイト (K)、メガバイト (M)、またはギガバイト (G) です。
プロジェクトまたは l ノードに定義された RSS キャップ。メモリーキャップを指定する方法については、rcapd(1MSRM) のマニュアルページを参照してください。
前回の rcapstat のサンプリング以降に、rcapd がページアウトしようとしたメモリー量の合計。ページングとは、メモリーの「ページ」という部分を物理メモリーに (あるいは、物理メモリーから) 配置し直す動作のことです。rcapd は最も使用されていないページをページアウトします。
前回の rcapstat のサンプリング以降に発生した各サンプリングサイクル中に、rcapd がページアウトしようとしたメモリー量の平均。rcapd がコレクションの RSS をサンプリングする間隔を設定するには、rcapadm(1MSRM) を使用します。
前回の rcapstat のサンプリング以降に rcapd が正常にページアウトしたメモリー量の合計の概算。
前回の rcapstat のサンプリング以降に発生した各サンプリングサイクル中に、rcapd が正常にページアウトしたメモリー量の平均の概算。rcapd がプロセスの RSS をサンプリングする間隔を設定するには、rcapadm を使用します。
サンプリング間隔を秒で指定します。デフォルトは 5 秒です。
統計を繰り返す回数を指定します。デフォルトでは、終了シグナルを受信するまで、あるいは、rcapd プロセスが終了するまで、rcapstat は統計をレポートします。
キャップは 2 つの l ノードに定義されており、これらのノードには 2 人のユーザーが関わっています。user1 は 50M バイトのキャップを持っており、user2 は 10M バイトのキャップを持っています。
次のコマンド手順は、5 秒のサンプリング間隔でレポートを生成します。レポートは 5 回、各サンプリングの後に 1 回ずつ発行されます。
# rcapstat 5 5 id lnode nproc vm rss cap at avgat pg avgpg 112270 user1 24 123M 35M 50M 50M 0K 3312K 0K 78194 user2 1 2368K 1856K 10M 0K 0K 0K 0K id lnode nproc vm rss cap at avgat pg avgpg 112270 user1 24 123M 35M 50M 0K 0K 0K 0K 78194 user2 1 2368K 1856K 10M 0K 0K 0K 0K id lnode nproc vm rss cap at avgat pg avgpg 112270 user1 24 123M 35M 50M 0K 0K 0K 0K 78194 user2 1 2368K 1928K 10M 0K 0K 0K 0K id lnode nproc vm rss cap at avgat pg avgpg 112270 user1 24 123M 35M 50M 0K 0K 0K 0K 78194 user2 1 2368K 1928K 10M 0K 0K 0K 0K id lnode nproc vm rss cap at avgat pg avgpg 112270 user1 24 123M 35M 50M 0K 0K 0K 0K 78194 user2 1 2368K 1928K 10M 0K 0K 0K 0K |
出力の最初の 3 行は 1 回目のレポートです。このレポートには、2 つの l ノードのキャップ情報と l ノード情報、および、rcapd の起動以降のページング統計が含まれます。at カラムと pg カラムは、user1 の場合はゼロより大きく、user2 の場合はゼロです。これは、デーモンの履歴の中で、user1 はキャップを超えたことがあるが、user2 はキャップを超えたことがないということを意味します。
2 回目以降のレポートには、重要な動作はありません。
example% rcapstat 5 5 id project nproc vm rss cap at avgat pg avgpg 376565 user1 57 209M 46M 10M 440M 220M 5528K 2764K 376565 user1 57 209M 44M 10M 394M 131M 4912K 1637K 376565 user1 56 207M 43M 10M 440M 147M 6048K 2016K 376565 user1 56 207M 42M 10M 522M 174M 4368K 1456K 376565 user1 56 207M 44M 10M 482M 161M 3376K 1125K |
プロジェクト user1 の RSS はその物理メモリーキャップを超えています。pg カラムのゼロ以外の値は、rcapd がキャップに適合しようとして堅実にメモリーをページアウトしている、つまり、プロジェクトのプロセスの物理メモリー使用量を低くしていることを示します。しかし、rss カラムの値は安定しておらず、メモリー使用量の低下にきちんと対応していないということを考えると、rcapd は成功していません。これは、アプリケーションの常駐メモリーが動的に使用されており、rcapd が作業セットに影響せざるを得ないことを示します。この状況では、作業セットサイズを下げるまで、キャップを上げるまで、あるいは、アプリケーションがメモリーアクセスパターンを変えるまで、システムのページフォルト率 (および、関連する入出力) は高いままになります。ページフォルトが発生するのは、新しいページを作成する必要があるとき、あるいは、システムがスワップデバイスからページをコピーする必要があるときであることに注意してください。
次の例はコード例 1 の続きであり、同じプロジェクトを使用しています。
example% rcapstat 5 5 id project nproc vm rss cap at avgat pg avgpg 376565 user1 56 207M 44M 10M 381M 191M 15M 7924K 376565 user1 56 207M 46M 10M 479M 160M 2696K 898K 376565 user1 56 207M 46M 10M 424M 141M 7280K 2426K 376565 user1 56 207M 43M 10M 401M 201M 4808K 2404K 376565 user1 56 207M 43M 10M 456M 152M 4800K 1600K 376565 user1 56 207M 44M 10M 486M 162M 4064K 1354K 376565 user1 56 207M 52M 100M 191M 95M 1944K 972K 376565 user1 56 207M 55M 100M 0K 0K 0K 0K 376565 user1 56 207M 56M 100M 0K 0K 0K 0K 376565 user1 56 207M 56M 100M 0K 0K 0K 0K 376565 user1 56 207M 56M 100M 0K 0K 0K 0K 376565 user1 56 207M 56M 100M 0K 0K 0K 0K |
キャップの実行を禁止することによって、つまり、プロジェクトのキャップを上げるか、キャップ実行メモリーの最小制限値 (rcapadm(1MSRM) を参照) を変更することによって、常駐セットを作業セットにすることが可能です。この例では、rss カラムの値は安定しており、プロジェクトの作業セットサイズを正しく示しています。これは、プロジェクトのプロセスが恒久的にページフォルトなしで動作できるキャップの最小値です。
rcapadm(1MSRM), rcapd(1MSRM)
『Solaris Resource Manager 1.3 のシステム管理』
rcapstat に指定したサンプリング間隔が rcapadm(1MSRM) で rcapd に指定したレポート間隔よりも短い場合、いくつかのレポート間隔の出力がゼロになる可能性があります。これは、rcapadm で rcapd に指定したレポート間隔よりも、rcapd が統計を更新する間隔の方が長いためです。さらに、このレポート間隔は、rcapstat. に指定したサンプリング間隔とは無関係である (しかも、サンプリング間隔よりも正確でない) ためです。
このマニュアルページに記載されているコマンドは SunOS 5.8 上だけで動作します。
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