Provisioning Server ソフトウェアは、コントロールプレーンサーバーに存在し、I-Fabric 内の論理サーバーファームの管理と配備に必要なインフラストラクチャ自動化サービスを提供します。 高レベルでは、論理サーバーファームとそれに割り当てられた物理リソースとの間の論理から物理へのマッピングを管理します。 Control Center は、I-Fabric およびファーム管理用の広範なコマンド行インタフェース (CLI) を提供します。
N1 Provisioning Server ソフトウェアは、次のサービスを提供します。
すべてのブレードシステムシャーシとサーバーブレードの管理
ソフトウェアがインストールされているサブネットワークの DNS 解決
N1 Provisioning Server ネットワークの内部と外部の両IP アドレスとサブネットの管理
N1 Provisioning Server ソフトウェアは、/etc/dhcpd.conf および /etc/named.conf ファイルの内容を制御します。 これらのファイルを手動で編集しても、N1 Provisioning Server ソフトウェアによって上書きされます。
N1 Provisioning Server 仮想ローカルエリアネットワーク (VLAN) の管理
ファーム内のブレードへのオペレーティングシステムマスターイメージの配布とインストール
インストールプログラムには、サーバーブレードの起動と稼動に必要な Solaris オペレーティングシステムのベースイメージが含まれています。 ベースイメージを変更したあと、その新しいイメージのスナップショットを撮ることができます。 このスナップショットが新しいイメージになります。
N1 Provisioning Server ソフトウェアで提供されない機能は次のとおりです。
サーバーブレードと SSC ファームウェアの保守とアップグレード
コントロールプレーンスイッチとデータプレーンスイッチの管理
N1 Provisioning Server ソフトウェアは、ブレードシステムシャーシ サーバーブレードと SSC のみを管理します。 コントロールプレーンスイッチとデータプレーンスイッチの接続と構成は、N1 Provisioning Server ソフトウェアをインストールする前に行ってください。
Provisioning Server は、次のソフトウェアコンポーネントを含みます。
サービスプロセッサ (SP)
コントロールプレーンデータベース (CPDB)
イメージサーバー
サービスプロセッサ (SP) は、プロビジョニング、ネットワークの仮想化、および監視など、さまざまなインフラストラクチャ管理サービスを提供します。 次のサブコンポーネントが含まれます。
Segment Manager は、I-Fabric に対するアクティビティを制御し調整します。Control Center での状態遷移への唯一のエントリポイントになります。 Segment Manager は、論理サーバーファームの起動時に論理サーバーファームの所有権を選択し設定します。また、Farm Manager プロセスを監視し、I-Fabric 内の Farm Managers に要求を送信します。 論理サーバーファームに対する要求が到着するたびに、Farm Manager が起動されます。 1 つの論理サーバーファームにつき 1 つの Farm Manager プロセスがあります。 Segment Manager は、必要に応じて Farm Manager プロセスを起動します。 詳細については、コマンド行ツールのマニュアルページを参照してください。
Farm Manager は、論理サーバーファームに関連するアクティビティをインスタンス化し、監視し、制御します。 単一のサービスプロセッサインスタンスが、多数の異なる Farm Manager プロセスを含むことができます。 Farm Manager はそれぞれ、1 つの論理サーバーファームに割り当てられます。 Farm Managers は、論理サーバーファームで変更が生じた場合にのみ存在します。 Farm Manager は、Segment Manager を通じて、CPDB に格納されている情報または CPDB から取得した情報を使用して通信します。
Farm Managers は、CPDB にFML 文書形式で格納されている論理サーバーファームの論理記述を使用して、論理サーバーファームに必要なすべてのリソースを識別します。 Farm Manager は、アイドル状態のリソースプールにサーバーなどのリソースを要求します。
動的ホスト構成プロトコル (DHCP) とドメインネームサーバー (DNS) サービス
サービスプロセッサは、DHCP 機能を使用して、論理サーバーファーム内のサーバーをホスト名とインターネットプロトコル (IP) アドレスで構成します。 サービスプロセッサは、論理サーバーファーム内のサーバーおよびネットワークデバイスのホスト名解決に DNS 機能を使用します。
Storage Manager Client (STMC)
STMC は、グローバルイメージをサーバーブレードに読み込んで、スナップショットを管理します。 STMC は、Farm Manager がストレージ機能にアクセスするのに必要なインタフェースも提供します。 STMC は、個々のストレージ機能を実行するツールを持っています。 これらのツールは、STMC パッケージがインストールされているすべてのコントロールプレーンで利用可能です。
コントロールプレーンデータベース (CPDB) は、データベースのロックとトランザクションを使用して、データへの一貫したアクセスと更新を保証するデータの永続的な中央リポジトリです。 CPDB は、遠隔アクセスとリモート制御を特長とする Oracle データベースを使用します。 このデータベースには、論理サーバーファーム、物理デバイス、および I-Fabric に関連するソフトウェアについて、次の情報が含まれます。
サーバーなどのデバイスのプロパティと接続情報
論理サーバーファームの構成
VLAN および IP アドレスなどのリソース
ネットワーク特有のアプリケーションの状態
要求の状態
ソフトウェアイメージとその状態
WML
FML
MML
DNS および DHCP 構成
CPDB 内の要求テーブルのサイズは、Control Center が要求を処理すると共に大きくなります。 要求を維持することで、コントロールプレーンでのアクティビティの履歴を取得することができます。 不要になった要求は、手動で削除できます。 詳細については、『N1 Provisioning Server 3.1, Blades Edition システム管理ガイド』を参照してください。
イメージサーバーは、オペレーティングシステムイメージを管理します。 イメージサーバーは、コントロールプレーンサーバーにインストールされますが、ネットワークファイルサーバー (NFS) のファイルアクセスをサポートするスタンドアロンサーバーであればどれでもインストールできます。
Control Center ソフトウェアは、I-Fabric 内の論理サーバーファームの管理と配備に必要なインフラストラクチャ自動化サービスを提供します。 高レベルでは、論理サーバーファームとそれに割り当てられた物理リソースとの間の論理から物理へのマッピングを管理します。 Control Center は I-Fabric 内に配備したリソースの物理トポロジを解釈し、Control Center で作成されたアカウント固有の設計に一致するように、これらのデバイスを一意のトポロジと構成に配備し設定できるようにします。
Control Center は、インフラストラクチャ自動化サービスの 6 つの主要領域を提供します。
プロビジョニングと構成サービス
フレキシングサービス
ソフトウェアイメージ管理サービス
監視サービス
物理インフラストラクチャ管理サービス
これら 5 つの機能は、各サービス領域によって導入される I-Fabric とセキュリティ技術の基盤上に構築されます。
I-Fabric のリソースプール内のリソースを自動的にプロビジョニングおよび構成する能力は、Control Center の中核的機能です。 以下に論理サーバーファームの起動に必要な手順の要約を示します。この要約は、プロビジョニングおよび構成プロセスの理解に役立ちます。
配分 – Control Center は、リソースのプロビジョニングと構成を行うために、要求をプロビジョニングサーバーにディスパッチ します。 この要求が受信されると、Control Center はリソースの配分を実行します。 リソースは、リソースプールからランダムに配分され、CPDB 内で追跡されます。 IP サブネットは、パブリックとプライベートの両 IP アドレス空間から配分できます。
配線 – 物理的なリソースの配分に従って、Ethernet 接続用のネットワークファブリックが構成されます。 この処理には、IP サブネットおよび VLAN などのネットワークリソースの構成も含まれます。 この時点でイメージがサーバーにコピーされます。
ディスパッチ – 論理サーバーファームの仮想配線に従って、DHCP および DNS サービスが開始されます。 Control Center は、これらのサービスの構成と管理を自動化します。 これらのサービスが利用可能な場合、論理サーバーファーム内のデバイスは、アドレス指定可能な電源装置から電源が投入されます。
起動 – 起動時に、論理サーバーファームは監視され、自動フェイルオーバーサービスが有効になります。
Control Center は、論理サーバーファームの最初の起動だけでなく、論理サーバーファームの進行中の変遷も管理し自動化します。 論理サーバーファームに対してリソースの追加または削除が行われるため、Control Center は継続して管理を行い、DHCP および DNS サービス同様、すべての配線も自動的に構成します。
フレキシングとは、論理サーバーファーム上の容量を追加または削除する機能のことです。 N1 Provisioning Server ソフトウェアは、迅速かつ自動的にリソースのプロビジョニングと構成を行います。 一時的な需要の急増に対処する場合や、長期的に容量を調整する場合にフレキシングを適用できます。 いずれの場合でも、フレキシングによってより効果的にインフラストラクチャリソースを使用することができます。 N1 Provisioning Server ソフトウェアは、2 種類のフレキシングサービスを提供します。
論理サーバーファーム内の個々のサーバーの追加と削除
サーバーグループメカニズムによるサーバーグループの追加と削除
アクティブな論理サーバーファームに対するサーバーの追加と削除はいつでも行えます。 Control Center からサーバーを追加するには、サーバーアイコンを既存の論理サーバーファーム設計にドラッグし、それを該当するサブネットに追加します。 DNS および DHCP サービスはすべて自動的に構成されます。 サーバーを追加することで、ファームの起動プロセスを再度開始する必要はありません。 Control Center を使用してサーバーを削除することもできます。
サーバーグループは、N1 Provisioning Server ソフトウェア内でサポートされる一意の論理構造です。 サーバーグループによって、グループ内のすべてのサーバーの定義済みの役割またはイメージが関連付けられるため、サーバーの迅速なフレキシングが可能になります。 サーバーグループ内のサーバーはすべて同一であると考えられ、同じソフトウェアイメージで起動されます。 このソフトウェアイメージは、サーバーグループ内のすべてのサーバーに複製されるグローバルイメージです。
サーバーグループがフレックスアップされると、そのサーバーグループに関連付けられているグローバルイメージは、グループに追加されていた各サーバーに自動的に格納されます。 サーバーグループ内の個々のサーバーを変更することはできますが、指定のグローバルイメージを更新するまでその変更はフレックス操作に反映されません。 サーバーグループがフレックスダウンされると、サーバーとそれに関連付けられるストレージは、リソースプールに返されます。 サーバーグループのフレキシングは、Control Center server configuration ダイアログボックスを使用して行います。
Control Center はソフトウェアイメージと、サーバーおよびスイッチの構成を管理します。 Control Center は、グローバルイメージとアカウントイメージという 2 つのカテゴリのイメージの作成と管理をサポートします。
グローバルイメージには、 通常 I-Fabric で動作するように構成された基本オペレーティングシステムと監視ソフトウェアが含まれます。 グローバルイメージを配備する目的は、I-Fabric 内の異なるアカウントおよび異なるファームにわたってアクセス可能な基本ブートイメージを利用可能にすることです。 グローバルイメージに基づいて、後に行われた修正および構成が含まれる新しいサーバーイメージを作成できます。 グローバルイメージを作成するには、N1 Provisioning Server に対する管理者レベルのアクセス権が必要です。 グローバルイメージは、Control Center CLI を使用してのみ作成できます。 オペレーティングシステムおよび監視ソフトウェアのほかに、別のソフトウェアコンポーネントをイメージに含めることもできます。
I-Fabric は、Solaris 8、Solaris 9、および Red HatTM Linux 2.1 オペレーティング環境に基づくイメージをサポートします。
アカウントイメージは、特定のアカウント用であり、次のいずれかの項目のアカウント固有のカスタマイズで構成されています。
グローバルイメージ
ブランクディスク
アプリケーションおよびデータイメージ
これらのイメージは、論理サーバーファーム内の使用中のディスクのスナップショットにより生成されます。 生成されたイメージは、アカウントのファームによる使用が可能になります。 アカウント固有のソフトウェアが含まれるイメージは、グローバルイメージかアカウントイメージのいずれかです。 この分類は、生成方法に依存します。 つまり、既存のグローバルイメージを変更することで生成されたか、論理サーバーファーム内の使用中のディスクのスナップショットから生成されたかです。 したがって、どちらの生成方法でも同一のイメージを作成することができ、イメージはその作成方法の点だけで別個であると見なされます。
N1 Provisioning Server ソフトウェアパッケージは、Solaris 8 および Solaris 9 の基本オペレーティングシステムイメージに付属しています。このイメージは、snapshot ツールを使用してコピーしたり、カスタマイズすることができます。
Control Center から利用できる snapshot ツールを使用して、ソフトウェアイメージをキャプチャしてイメージライブラリに格納したり、引き続きそのイメージを使用して同様のデバイスを構成することができます。 これらのイメージは、グローバルイメージやアカウントイメージに使用できます。 ディスクのスナップショットは、ローカルディスクイメージのマスターコピーを作ることと論理的に同じです。 オリジナルのイメージはイメージライブラリに格納され、イメージへの参照は CPDB に入力されます。 Ifabric1 の構成に応じて、イメージはローカルディスクか、遠隔 NFS ファイルサーバーに存在します。 スナップショットイメージは、Control Center のイメージライブラリで名前が指定され分類されます。 イメージライブラリは、「Control Center server configuration」ダイアログボックスにリストされます。 あらかじめ構築されているイメージから、サーバーまたはサーバーグループに関連付けるイメージを選択することができます。
任意のサーバー (個々のサーバーやサーバーグループ内の特定のサーバー) に関連付けられる、任意のソフトウェアイメージのスナップショットを撮ることができます。 スナップショット機能は、自動的にサーバーをシャットダウンするため、生成されるイメージは安定した、導入準備完了のオリジナルイメージの複製になります。 スナップショットが完了したあと、Control Center は自動的にサーバーを再起動します。
スナップショット機能により、サーバーフレキシングやサーバーフェイルオーバーなどの機能が可能になります。 サーバーで障害が発生した場合、システムは、障害が生じたサーバーの最新のスナップショットを使用して新しいサーバー用のイメージを作成し、このサーバーを代替サーバーで自動的に置き換えることができます。
Control Center は、I-Fabric のデバイスの状態と健全性をアクティブに監視します。 監視は、I-Fabric を可視的に表示し、フェイルオーバーと回復をサポートします。また、失敗したプロセスを再起動します。
Control Center は、I-Fabric 内の次のファーム監視機能を可能にします。
自動フェイルオーバーを可能にするリソースプールデバイス (サーバーファーム) の可用性 、および Control Center 監視画面で表示するこれらのデバイスの可用性。
サーバーの基本パフォーマンスモニター (ディスク、CPU、メモリー)。 監視情報は、Control Center で表示できます。
ファームまたはデバイスのステータス、状態、および構成の変更。変更内容はイベントログに記録され、任意で SNMP (Simple Network Management Protocol) トラップを使用して外部で利用可能です。
ファーム状態変更の監視イベントとして、ファームの起動、停止、および待機モードがあります。
ファーム構成変更のイベントとして、ファームサーバーの追加、削除および再構成があります。
デバイス状態の変更および障害のイベントとして、サーバーの起動 (server UP) およびサーバーの停止 (server DOWN) メッセージがあります。
イベントのメッセージは、 3 つに分類できます。
デバイスの可用性または障害などの情報メッセージ
特定のファームのデバイスに関連するファームメッセージ
請求メッセージ
監視メッセージは、サービスプロセッサに転送されます。 サービスプロセッサは、そのメッセージを CPDB 内の中央メッセージリポジトリに送信します。 Control Center の監視画面を使用して、監視データを表示することができます。 また、Control Center の監視画面を使用して、ディスクや CPU などのファームサーバー利用率の監視イベントを構成できます。
任意で、外部ネットワーク管理システム (NMS) にメッセージを転送するように CPDB を構成できます。 外部 NMS にメッセージを転送するには、SNMP 接続および管理情報ベース (MIB) 拡張が必要になります。
システムの健全性を監視するための追加ツールとして、オペレーティングシステムコマンドおよび Control Center コマンドがあります。 システムの健全性の監視についての詳細は、『N1 Provisioning Server 3.1, Blades Edition システム管理ガイドを参照してください。
N1 Provisioning Server 初期化プロセスの一部で、Control Center はリソースと配線の妥当性を検証します。 Control Center はこの検証により、I-Fabric 内のすべてのリソースの完全な物理トポロジマップを得ることができます。 配線の妥当性検証では、指定したデータセンター内の装置の物理配線マップを確認する自動化された方法が提供されます。 論理サーバーファームの仮想配線を Control Center がうまく管理できるかどうかは、I-Fabric 内のリソースの物理配線の完全性に依存します。 この物理配線の検証を自動化することで、I-Fabric 内の共通のエラー源が排除されます。つまり、物理インフラストラクチャを誤って接続することで生じる潜在的な人的エラーが排除されます。
Control Center は、この配線データを使用して、リソース配分を決定します。 物理インフラストラクチャデータは、Control Center CLI を使用してアクセスできるデータベースに格納されます。