この章では、Solaris 10 システムでゾーンを作成、使用、および管理する手順を示します。
この章では、以下の内容について説明します。
Solaris 10 の機能であるゾーンは、アプリケーションを実行する安全で独立した環境です。ゾーンを使用すると、Solaris のインスタンス内で仮想化されたオペレーティングシステム環境を作成できます。ゾーンを使用すると、1 つまたは複数のプロセスを、システムのほかのプロセスから独立して実行できます。たとえば、1 つのゾーン内で実行されているプロセスは、ユーザー ID などの資格情報に関係なく、同じゾーン内のほかのプロセスだけにシグナルを送信できます。エラーが発生した場合、そのエラーはゾーン内で実行されているプロセスだけに影響します。
ゾーンには、独自の IP アドレス、ファイルシステム、一意の root ユーザー名とパスワードファイル、およびネームサーバーを設定できます。
すべての Solaris 10 システムには大域ゾーンが含まれます。大域ゾーンは、システムのデフォルトのゾーンで、システム全体の管理に使用されます。大域ゾーンは、設定、インストール、またはアンインストールできません。
システムに作成できるゾーン数の上限は 8192 です。1 つのシステムで効率的にホストできるゾーン数は、すべてのゾーンで実行されるアプリケーションソフトウェアに必要な総リソース量によって決まります。
Container Manager では、非大域ゾーンを作成、削除、変更、コピー、停止、および再起動できます。Container Manager では、既存のゾーンを検出したり、ゾーンの変更を検出したり、ゾーンの CPU、メモリー、およびネットワークの使用状況を監視および保管したり、ゾーンの上下のアラームを生成したりできます。
非大域ゾーンの管理 (作成、変更、コピー、削除、起動、停止) は、ゾーン管理者だけが行うことができます。ゾーン管理者は、Solaris Container Manager ソフトウェアを設定する際に指定します。
ゾーンについては、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の第 16 章「Solaris ゾーンの紹介」を参照してください。
Container Manager を使用して非大域ゾーンを作成できます。
非大域ゾーンには、次の状態があります。
構成済み
不完全
インストール済み
準備完了
稼働
停止
ダウン
ゾーンの状態については、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の「非大域ゾーンの状態モデル」を参照してください。
大域ゾーンは常に「稼働」の状態です。
非大域ゾーンを作成し、このゾーン内で実行中のアプリケーションをほかのアプリケーションから分離できます。
使用可能な CPU シェアがあるリソースプールが必要です。新しいリソースプールを作成する方法については、「新規リソースプールの作成」を参照してください。
Container Manager の GUI が開いていない場合は、「Container Manager の GUI を起動する」に従って起動します。
ナビゲーションウィンドウで「ホスト」タブを選択してホスト表示を選択します。
ホストのリストがナビゲーションウィンドウに表示されます。
Solaris 10 のホストを選択します。
「ゾーン」タブを選択します。
「新規ゾーン」ボタンをクリックします。
「新規ゾーン」ウィザードが表示されます。
各フィールドに、ゾーン名、ゾーンのホスト名、ゾーンパス、IP アドレス、およびネットワークインタフェースの適切な値を入力します。
ゾーンのホスト名は、仮想ホストとしてのゾーンの一意の名前です。ホスト名やマシン名ではありません。
ゾーンパスは、ルート (/) ディレクトリを基準とした絶対パスです。
「ゾーンのパス」フィールドに指定したディレクトリが存在する場合は、ルートディレクトリのアクセス権が 700 でなければ、ゾーンは作成されません。
「ゾーンのパス」フィールドに指定したディレクトリが存在しない場合は、Solaris Container Manager によってこの名前のディレクトリが作成され、ルートディレクトリに 700 のアクセス権が割り当てられます。
各ゾーンには、ゾーンが「インストール済み」の状態から「準備完了」の状態に移行したときにネットワークインタフェースを設定できます。
(省略可能) システムの再起動時にゾーンを自動的に再起動するには、「有効」チェックボックスを選択します。
root ユーザー名を入力します。
(省略可能) 「ロケール」、「端末の種類」、「ネームサービス」、および「タイムゾーン」の各リストで適切な値を選択します。
ロケールは、このゾーンで使用する言語です。
端末の種類は、端末の種類です。
ネームサービスは、ホスト名と IP アドレス間の変換を行います。
タイムゾーンは、ゾーンのタイムゾーンです。
ゾーン用のリソースプールを選択します。
「CPU シェア数」フィールドと「プロジェクトの CPU シェア数」フィールドに適切な値を入力します。
「CPU シェア数」フィールドには、リソースプールからこのゾーンに割り当てる CPU シェア数を指定します。この数は、リソースプールで使用可能な CPU シェア数以下である必要があります。
「プロジェクトの CPU シェア数」フィールドには、ゾーン内のプロジェクトに割り当てる CPU シェア数を指定します。
(省略可能) IPQoS (IP quality of service) 機能の最小の入力帯域幅と出力帯域幅を入力します。
ゾーンの追加属性を設定するかどうかを選択します。
ゾーンの追加属性を設定する場合は、「はい」を選択して「次へ」をクリックします。
このゾーンの追加 IP アドレスを入力し、適切なネットワークインタフェースを選択します。
このゾーンに設定するデバイスディレクトリを入力します。
このゾーンにマウントする追加ファイルシステムの詳細を入力します。
このゾーンが大域ゾーンと共有するパッケージソフトウェアがあるディレクトリを入力します。
ゾーンの追加属性については、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の「ゾーン構成データ」を参照してください。
設定を確認し、「完了」をクリックして変更内容を保存します。
ゾーンの追加属性を設定しない場合は、「いいえ」を選択して「次へ」をクリックします。
設定を確認し、「完了」をクリックして変更内容を保存します。
ゾーン表に、新規ゾーンの情報が追加されます。ゾーンを作成すると、「未完了」の状態になります。大域ゾーンから特定のパッケージを継承したら、ゾーンは「稼働」の状態に変わります。
非大域ゾーンをコピーすると、そのプロパティが新しいゾーンに継承されます。
Container Manager の GUI が開いていない場合は、「Container Manager の GUI を起動する」に従って起動します。
ナビゲーションウィンドウで「ホスト」タブを選択してホスト表示を選択します。
ホストのリストがナビゲーションウィンドウに表示されます。
Solaris 10 のホストを選択します。
「ゾーン」タブを選択します。
非大域ゾーン名の横のオプションボタンを選択します。
「ゾーンのコピー」ボタンをクリックします。
適切なパラメータを入力し、「了解」をクリックします。
ゾーンのコピー時には、次の属性がデフォルト値に設定されます。
属性 |
デフォルト値 |
---|---|
端末タイプ |
dtterm |
ロケール |
C |
タイムゾーン |
GMT |
これらの属性のデフォルト値は、ゾーンをコピーし、「稼働」の状態になったときに変更できます。
ゾーン表に、新規ゾーンの情報が追加されます。ゾーンをコピーすると、「構成済み」の状態になります。大域ゾーンから特定のパッケージを継承したら、ゾーンは「稼働」の状態に変わります。
ゾーンの状態は、必要に応じて変更できます。
Container Manager の GUI が開いていない場合は、「Container Manager の GUI を起動する」に従って起動します。
ナビゲーションウィンドウで「ホスト」タブを選択してホスト表示を選択します。
ホストのリストがナビゲーションウィンドウに表示されます。
Solaris 10 のホストを選択します。
「ゾーン」タブを選択します。
非大域ゾーン名の横のオプションボタンを選択します。
「削除」、「起動」、または「停止」のいずれかのボタンをクリックします。
ゾーンを起動すると、「インストール済み」の状態から「稼働」の状態に変わります。ゾーンを停止すると、「稼働」の状態から「インストール済み」の状態に変わります。
Container Manager の GUI が開いていない場合は、「Container Manager の GUI を起動する」に従って起動します。
ナビゲーションウィンドウで「ホスト」タブを選択してホスト表示を選択します。
ホストのリストがナビゲーションウィンドウに表示されます。
Solaris 10 のホストを選択します。
「ゾーン」タブを選択します。
「ゾーン」表の下にあるフィールドにゾーンの名前を入力します。)
「ゾーンのログ」ボタンをクリックします。
このゾーンのログファイルが表示されます。