ボリュームの内部ラベルには、Backup がストレージメディアの追跡と認識に使用する一意の名前が付いています。メディアデータベースの中で、ボリュームはそのボリュームラベルによって参照されます。このメディアデータベースレコードを使用して、データのバックアップや復旧に必要なボリュームが決められます。
すべてのボリュームはいずれかのプールに属しています。各プールにはラベルテンプレートが関連付けられています。ボリュームは、このラベルテンプレートの規則に従ってラベル付けされます。ラベルテンプレートにより、ユーザーが使用したボリュームの数を記録しなくても、ボリュームに一貫性のある名前とラベルを付けることができます。ユーザーは、Backup 製品に用意されている事前構成済みのプールと事前構成済みの (関連付けられた) ラベルテンプレートを使用することも、プール、ラベルテンプレート、およびプールとテンプレートの関連付けを独自に作成することもできます。独自のラベルテンプレートをカスタマイズすることで、データストレージの編成をより細かく制御できます。
ボリュームに新しい内部ラベルを付けたり、再利用するボリュームにラベルを付け直したりすると、元のラベルのボリュームに格納されている既存のデータは復旧不可能になります。
スケジュールされたバックアップまたは手動バックアップが実行されるときに、Backup は適切なプールから、書き込むべきデータを入れるボリュームを探します。Backup で使用できるストレージボリュームには、スタンドアロンデバイスにマウントされているボリュームのほかに、自動メディア管理機能を使って、またはオートチェンジャかサイロを使ってアクセスできるボリュームがあります。
適切なボリュームがマウントされていないときにファイルをバックアップしようとすると、「Pending」ディスプレイに次のようなメッセージが表示されて、書き込み可能なボリュームをマウントするように指示されます。
media waiting: backup to pool `Default' waiting for 1 writable backup tape or disk |
データ復旧が開始されると、バックアップされたデータが入っているボリュームをマウントするように求めるメッセージが次のように「Pending」ディスプレイに表示されます。
media waiting: recover waiting for 8mm 5GB volume-name |
ファイルの復旧に複数のボリュームが必要な場合には、「Pending」ディスプレイにすべてのボリュームが復旧に必要な順序で表示されます。さらに、復旧プロセスの過程で、必要なボリュームが一度に 1 つずつ表示されます。
Backup が使用するストレージデバイスに複数のボリュームがマウントされている場合、Backup は次の階層関係を使って、データの書き込み先のボリュームを選択します。
適切なプールに含まれる、マウント済みで追加可能なボリューム
現在使用されていない適切なプールに含まれる、マウント済みで再利用可能なボリューム
現在使用されておらず、自動メディア管理機能が有効になっているデバイスに含まれる、マウント済みでラベルが付いていないボリューム
現在デバイスにマウントされていないが、適切なプールに含まれている追加可能なボリューム
現在デバイスにマウントされていないが、適切なプールに含まれている再利用可能なボリューム
ボリュームラベルは Backup が使用する一意の内部コードで、そのボリュームを Backup で使用できるように初期化し、ストレージボリュームを特定のプールの一部として識別するためのものです。ボリュームにラベルを付けるには、次の操作を行います。
Backup ストレージデバイスに、ラベルの付いていない、または再利用可能なボリュームを入れます。
Backup を使ってボリュームにラベルを付けます。Backup 管理プログラムか nsrmm コマンドを使用します。
次の 3 つのオプションがあります。
ラベルを付けるボリュームに対してプールを選択しないと、「Default」プールに関連付けられているラベルテンプレートが自動的に使用されます。
テンプレートに関連付けられないラベル名を作成するには、「Label」リソースの「Volume Name」属性を編集し、一意のラベル名を入力します。
ボリュームにラベルを付けるときに「Manual Recycle」属性を有効にしても、保持ポリシーに従ってボリュームに再利用可能のマークが自動的に付けられることはありません。ボリュームを再利用可能としてマークできるのは管理者だけです。
Backup は、ボリュームにラベルを付ける際に、まずそのボリュームにラベルが付いていないことを確認します。次に、「Volume Name」属性に指定されている名前を使って、ボリュームにラベルを付けます。これは、選択プールに関連付けられているラベルテンプレートによって決まる次のシーケンシャルラベルか、ユーザーが入力して上書きしたボリューム名です。
同じプールにある再利用可能なボリュームにラベルを付け直した場合、ボリュームのラベル名とシーケンス番号は同じままですが、ボリューム上の元のデータにはアクセスできなくなり、そのボリュームは新しいデータに使用できるようになります。
ボリュームにラベルが付いてデバイスにマウントされると、そのボリュームはデータを受け取る準備ができたことになります。Backup ラベルはマシンが読める内部的な形式に過ぎないので、各ボリュームに内部ボリュームラベルと同じ名前のラベルを貼っておくことをお勧めします。オートチェンジャでバーコードラベルを使用する方法については、「オートチェンジャでのバーコードラベルの使用方法」を参照してください。サイロでバーコードラベルを使用する方法については、「サイロ内のボリュームへのラベル付け」を参照してください。
ボリュームをマウントするコマンドを実行した時点で、または Backup が自動メディア管理機能によってボリュームをマウントした時点で、ストレージデバイスにロードされているボリュームは、Backup からのデータを受け取るための準備ができています。たとえば、テープがマウントされている場合には、デバイスの読み書きヘッドがテープの空白箇所の先頭に置かれ、書き込みの準備ができています。
デバイスにボリュームをマウントするには、Backup 管理プログラムかコマンド行を使用します。
Backup 管理プログラムで、「Devices」ディスプレイからデバイスを選択し、「Mount」ボタンをクリックします。
シェルプロンプトで、nsrmm コマンドを -m オプションを付けて入力します。
ボリュームにラベルを付けてマウントすると、Backup 管理プログラムの中で、「Devices」リソースのデバイスのパス名の横にボリューム名が表示されます。
スタンドアロンデバイスを使用して無人バックアップを行う場合は、無人にする前に、ラベルが付けられたボリュームをデバイスにマウントしておく必要があります。
Backup では非巻き戻し型式のデバイスしか使用できません。巻き戻し可能なデバイスを使用すると、読み取り/書き込みヘッドの位置がボリュームの先頭に直されて、以前にバックアップしたデータが上書きされてしまいます。
リモートデバイスのストレージノードに対するマウント要求をタイムアウトさせ、別のストレージノードに保存することもできます。リモートデバイスに対するマウント要求のタイムアウトを変更するには、「Devices」リソースの「Save Mount Timeout」属性と「Save Lockout」属性を設定します。「Save Mount Timeout」属性に指定されている時間 (分単位) 内にマウント要求が受け入れられないと、ストレージノードは「Save Lockout」属性に指定されている時間 (分単位) だけ保存データを受信できなくなります。「Save Mount Timeout」属性のデフォルト値は 30 分です。「Save Lockout」属性のデフォルト値はゼロで、その場合、ストレージノードのデバイスは保存データのためのマウント要求を受信し続けます。
「Save Mount Timeout」属性は、保存要求の対象となる最初のボリュームだけに適用されます。
ボリュームに貼られたラベルが剥がれてしまったり、読めなくなったりした場合には、Backup 管理プログラムかコマンド行を使って、ボリューム名を調べることができます。
Backup 管理プログラムで、次のどちらかを行います。
ボリュームをマウントし、「Devices」に表示されているボリューム名を確認します。
ラベル付け操作を開始し、「Label」リソースの「Volume Name」フィールドを確認します。確認後、ラベル付け操作を取り消します。
シェルプロンプトで、nsrmm コマンドを -p オプションを付けて入力し、デバイスにロードされているボリュームのラベルを表示します。
バックアップデータは、特定のプールのボリュームに送られます。データを書き込む準備ができると、Backup はアクティブなデバイスを監視し、適切なプールに属するボリュームを探し出します。
プールの中に、マウントされた追加可能なボリュームが 1 つしか存在しない場合には、データはそのボリュームに送られます。
同じプールの 2 つのボリュームがデバイスにマウントされていると、Backup は次の要因を考慮して、ボリュームを選択します。
ボリュームの有効期限
デフォルトでは、ボリュームの有効期限は、ストレージボリュームがラベル付け (または再ラベル付け) された日から 2 年後に設定されます。このデフォルトの設定を変更するには、「Devices」リソースでボリュームの有効期限を変更します。デフォルトの設定を変更すると、セーブセットの保持ポリシーの期限の日付とボリュームの有効期限の日付とが比較されます。ボリュームの有効期限の日付が保持ポリシーの期限の日付よりも先であれば、セーブセットはボリュームに書き込まれます。そうでなければ、セーブセットはボリュームに書き込まれません。ボリュームの有効期限が変更されていない場合には、このチェックは行われません。
ボリュームのモード
適切なプールの、マウントされた追加可能なボリュームが使用可能であれば、そのボリュームに書き込まれる
適切なプールに追加可能なボリュームがなければ (さらに、自動メディア管理機能が有効になっていれば)、再利用が行われ、第 2 の選択肢として、適切なプールに属している、マウントされた再利用可能なボリュームに書き込まれる。別のプールに属するマウントされた再利用可能なボリュームは考慮されない
プールの中に使用可能なボリュームがなければ (さらに、自動メディア管理機能が有効になっていれば)、新しいラベルの付いていないボリュームか、Backup ラベルが付けられていないボリュームにラベルが付けられ、これがマウントされ、ここに書き込まれる
ボリュームラベルの時刻 (ボリュームにラベルが付けられた時刻)
最も古いラベル時刻を持つボリュームが、それよりあとのラベル時刻を持つボリュームよりも先に選択される
デバイスに現在書き込みを行なっているセッションの数
Backup が適切なプールからマウントされたボリュームを見つけられないと、マウントするように要求されます。自動メディア管理機能が有効になっていない場合、または スタンドアロンデバイスしか使用できない場合は、ボリュームがマウントされ、バックアップが開始できるようになるまで、繰り返しマウント要求が表示されます。
自動メディア管理により、Backup はストレージデバイスにロードされているメディアを自動的に制御できます。「Devices」リソースで自動メディア管理機能が有効になっている場合に、ラベルが付いていないと判断されたボリュームに自動的にラベルが付けられ、このボリュームがマウントされ、上書きされます。また、デバイスにロードされているボリュームを自動的に再利用できるようにします。自動メディア管理機能は、「Devices」リソースのスタンドアロンデバイスに対してのみ有効です。オートチェンジャ内のデバイスに対して自動メディア管理機能を有効にする方法については、「オートチェンジャデバイスによる自動メディア管理」を参照してください。
Backup は、次の条件が満たされたときに、ボリュームにラベルが付いていないと判断します。
ボリュームが内部ラベルを持っていない
ボリュームに、認識可能な Backup ラベルとは違う情報のラベルが付けられている
ボリュームは Backup ラベルでラベル付けされているが、内部ラベルに示されている密度が、ボリュームがマウントされているデバイスの密度と異なる
ボリュームの密度が異なると、自動メディア管理機能によってラベルが付け直されることがあるので、まだ有効な値を持っているデータを誤って上書きしてしまう可能性があります。このため、Backup ボリュームが異なる密度のデバイス間で共有されるときには、特に注意が必要です。
自動メディア管理機能が有効になっていない場合には、ラベルの付いていないメディアは無視され、バックアップの書き込み先としては考慮されません。
スタンドアロンデバイスに対して自動メディア管理機能が有効になっている場合に、バックアップ時にボリュームに空きがない場合、次のように処理されます。
書き込み可能なボリュームを挿入するように通知されます。同時に空き領域のない検証済みのボリュームをマウント解除が必要となります。
Backup はデバイスを監視し、デバイスに別のボリュームが挿入されるのを待ちます。
ボリュームが挿入されたことが検出されると、そのボリュームにラベルが付いているかどうかがチェックされます。ラベルが付いていれば、Backup によってそのボリュームがマウントされます。このボリュームがデータの書き込み先の候補となりうるかどうかがチェックされます。書き込み可能な場合には、書き込み操作が続行されます。書き込めない場合には、Backup は書き込み可能なボリュームが挿入されるのを待ってから、バックアップ処理を続行します。
ボリュームが再利用可能で、必要なプールのメンバーである場合、次に書き込み可能なボリュームが必要になった時点で、そのボリュームが再利用されます。
ボリュームにラベルが付いていない場合は、保存のために次の書き込み可能なボリュームが必要となった時点で、そのボリュームにラベルが付けられます。
一般に、自動メディア管理機能が有効になっている場合に、スタンドアロンドライブからいっぱいになっていないボリュームがマウント解除されると、60 分経過後に、自動的にそのボリュームが再度ドライブにマウントされます。この 60 分という時間は、管理者またはオペレータが、ボリュームのマウント解除後にアンロード操作を行うために必要とみなされる時間です。
Backup では、自動メディア管理機能が有効になっている場合には、別のアプリケーションによってラベル付けされたボリュームはラベルの付け直しの対象と見なされます。ボリュームのラベルが変更されると、それまでに格納されていたデータは失われます。