Solstice Backup 5.1 管理者ガイド

ファイルインデックスとメディアデータベースの管理

Backup クライアントファイルインデックスには、Backup によりバックアップされたファイルをユーザーがブラウズし、復旧するためのエントリが格納されています。このファイルは、割り当てられているブラウズポリシーの期限を越えることはありません。サーバーによって管理される Backup メディアデータベースには、バックアップされたデータが置かれている場所についての情報が格納されています。ユーザーは、サーバーのメディアデータベースと Backup クライアントファイルインデックスに照会し、情報を取得できます。

mminfo

mminfo プログラムは、Backup メディアとセーブセットについての情報をレポートする場合に使用します。mminfo のデフォルトのレポートには、過去 24 時間以内に正常に終了したセーブセットの情報が表示されます。レポートに表示されるのは、ボリューム名、クライアント名、作成日付、ボリュームに保存されたデータの量、実行されたバックアップのレベル、セーブセットの名前です。

mminfo コマンドの使用例のリストは、mminfo レポートコマンドの例」を参照してください。

mminfo プログラムに使用する形式とオプションは、次のとおりです。


mminfo [-avV] [-o order] [-s server] [report] [query] [volname...]
<report>: [-m | -B | -S | -X | -r reportspecification]
<query>: [-c client] [-N name] [-t time] [-q query specification]

name は、"name="hot"name="hot""Save Set" などのデータベース属性の名前です。comp は、属性についての有効な比較演算子で、「>」、「>=」、「=」のどれかです。value は、比較される値です。

比較演算子と値は、フラグ以外のすべての属性に対して指定する必要があります。文字列にコンマが入っている場合は、値全体を単一または二重の引用符で囲みます。次に、正しい文字列比較の例を示します。


name="Daily, ""hot"" Save Set"

文字列に複数の値を指定する場合を除いて、指定する制約事項はすべて、1 つのセーブセットまたはメディアボリューム、あるいはその両方に対応させなければなりません。数値の制約事項には 1 つの値を指定しますが、すべての文字列の制約事項には複数の値を指定できます。次に例を示します。


%used>20,%used<80
client=mars,client=saturn 

照会の指定に使用する構文の詳細は、mminfo(1m) のマニュアルページの「CUSTOM QUERIES AND REPORTS」セクションを参照してください。

複数行から成る各グループの先頭の行は左マージンから始まり、セーブセット識別子 (ssid)、保存時刻、クライアント名、セーブセット名が表示されます。2 行目以降はインデントされます。2 行目には、保存のレベル、セーブセットのフラグ、セーブセットのサイズ、セーブセット内のファイルの数、セーブセットの有効期限が示されます。3 行目以降には、セーブセットの拡張属性、クローン、インスタンスが表示されます。

mminfo レポートコマンドの例

次の例は、独自にカスタマイズした照会を作成する場合に従うべきガイドラインです。短縮構文も、できる限り記載しています。

サーバーが管理するすべてのボリュームについての情報をすべて表示するには、次のように入力します。


mminfo -m

mars.001mars.002 のラベルの付いたボリュームのメディア情報を表示する場合は、次のように入力します。


mminfo -m mars.001 mars.002

/usr という名前のファイルインデックス内で検出されたセーブセットをすべて表示する場合は、次のように入力します。


mminfo -N /usr

先週バックアップされた、venus という名前のクライアントによって生成された /usr という名前のセーブセットを表示する場合は、次のように入力します。


mminfo -N /usr -c venus

mars.001 というラベルが付いたボリューム上にある、venus という名前のクライアントによって生成された /usr という名前のセーブセットを表示する場合は、次のように入力します。


mminfo -N /usr -c venus mars.001

先週書き込まれた、すべてのボリュームのメディアレポートを表示する場合は、次のように入力します。


mminfo -m -t `last week'

空き領域のある各ボリュームについて、使用された割合、プール名、および実際の位置を示すメディアレポートを表示するには、次のように入力します。


mminfo -a -r `volume,%used,pool,location' -q `!full'

-m を指定したときのレポートと同様の形式でボリュームラベルの代わりにメディアのバーコードの情報を表示するには、次のように入力します。


mminfo -a -r ¥ `state,barcode,written,%used,read,space,volexp' ¥
-r`mounts(5),space(2),capacity'

複数のコピーがあるすべてのセーブセットのインスタンスのリストを冗長モードで表示するには、次のように入力します。このリストは、保存時間とクライアント名でソートされます。


mminfo -otc -v -q `copies>1' 

「my project」という注釈が付いた、過去 4 ヶ月間のすべてのアーカイブセーブセットを表示するには、次のように入力します。


mminfo -q'annotation=my project' ¥
-r"volume,client,savetime,sumsize,ssid,name,annotation" ¥ -t'four
months ago'

mmlocate

mmlocate プログラムを使用すると、メディアデータベースに格納されているボリューム位置の情報にアクセスし、管理できます。すべてのユーザーが、-l オプション (デフォルト) または -L オプションを指定してこのコマンドを使用できます。-c-d-u オプションを使用できるのは、Backup 管理者だけに限定されています。mmlocate プログラムを引数を指定せずに実行すると、指定したサーバーのすべてのボリュームとその位置が表示されます。サーバーを指定していない場合は、現在使用中のホストが使用されます。

nsrjb コマンドを使用してジュークボックス内にボリュームを移動させると、ボリュームの位置は、ジュークボックスの名前に設定されます。

mmlocate プログラムに使用する形式とオプションは、次のとおりです。


mmlocate [-s server] [-l] [-n volume-name | -i volumeID | location]
mmlocate [-s server] -L
mmlocate [-s server] -d location
mmlocate [-s server] -c {-n volume-name | -i volumeID}
mmlocate [-s server] -u

{-n volume-name | -i volumeID} location

mmpool

mmpool プログラムは、Backup サーバーのメディアデータベース内に格納されているプール情報にアクセスする場合に使用します。また、このコマンドを使用して、特定のプール内のすべてのボリュームを削除できます。mmpool プログラムに 1 つまたは複数のボリューム名を指定すると、レポートには、指定した各ボリュームが属するプールが表示されます。デフォルトでは、すべてのボリュームとそのプールが表示されます。

ボリュームが属するプールは、ボリュームのラベルを付け直さないと変更できません。ボリュームのラベルを付け直さずに変更すると、ボリューム上のすべてのデータが破壊されます。プールは、nwadmin または nsradmin などの Backup 管理ツールを使って構成されます。これらの管理ツールを使って、独自のプールを作成して、変更できます (「「NSR pool」 」を参照)。

mmpool プログラムに使用する形式とオプションは、次のとおりです。


mmpool [-s server] [volume...]
mmpool [-s server] -d pool-name
mmpool [-s server] -l [pool-name]
mmpool [-s server] -L

mmrecov

mmrecov プログラムを使用すると、Backup サーバーのオンラインファイルインデックスかメディアデータベースのどちらかのファイルが損失したか損傷を受けた時に、これらをバックアップボリュームから復旧できます。このコマンドにより、サーバー上にある既存のオンラインファイルインデックスとメディアデータベースが上書きされます。mmrecov プログラムは、Backup クライアントのファイルインデックスの復旧には使用できません。この場合には、通常の復旧プロシージャを使用します。

はじめて mmrecov プログラムを使用する前に、Backup サーバーソフトウェアを完全にインストールして正しく構成してから、サーバーのファイルインデックスとメディアデータベースを含めてバックアップを実行する必要があります。Backup ソフトウエアのどれかが損失した場合は、mmrecov を実行する前に、そのソフトウェアを配布ファイルからインストールし直してください。Backup と同じリリースを使用し、そのソフトウェアが損失する前に置かれていた同じ位置にインストールします。

mmrecov プログラムを開始すると、プログラムにより、ブートストラップセーブセットを抽出する対象となるデバイスが要求されます。次に、ブートストラップの ssid が要求されます。この番号は、savegrp プログラムが実行されるたびに出力されるブートストラップの最終行の 4 番目のカラム (ssid のラベルが付いている) で判別できます。ブートストラップレポートの例については、mmrecov(1m) のマニュアルページを参照してください。

mmrecov プログラムは、2 つのフェーズで実行されます。まず最初に、メディアデータベースとオンラインファイルインデックスの入っているブートストラップセーブセットの格納内容を抽出します。オンラインファイルインデックスには、それ自身に必要なエントリが 1 つしか格納されていません。第 2 フェーズでは、mmrecov プログラムは recover プログラムを実行して、サーバーのオンラインファイルインデックスを完全に復旧します。第 2 フェーズはバックグラウンドで実行されるため、ユーザーはこの後に続くメディアマウント要求に応答できます。

mmrecov プログラムに使用する形式とオプションは、次のとおりです。


mmrecov [-q | -v] 

nsrck

nsrck プログラムは、クライアントのセーブセットの Backup オンラインインデックスの整合性をチェックする場合に使用します。

nsrck を使用して、Backup クライアントファイルインデックスの整合性が検査されます。通常、nsrck プログラムは、nsrindexd の起動の一部として、nsrindexd プログラムによって自動的に開始されます。.nsrck ファイルはプログラムの実行時にロックされるので、nsrck のインスタンスだけがサーバーで動作します。

nsrck プログラムは、その実行中であればいつでも再起動できます。そのため、システムのクラッシュ時やリソースの消耗時にも、データを失うことなく動作します。

インデックスの整合性検査は、4 つのフェーズを経て完了します。

nsrim

nsrim プログラムは、Backup サーバーのクライアントファイルインデックスとメディアデータベースを管理する場合に使用します。通常、nsrim プログラムは、スケジュールされたバックアップが開始される時に nsrmmdbd デーモンによって、バックアップの終了時に実行される savegrp プログラムによって、あるいは、最も古いインデックスサイクルを削除するためのオプションを選択した結果として nsrd によって、自動的に実行されます。通常は、nsrim プログラムは手動で実行する必要はありません。

nsrim プログラムは、定義されているポリシーにアクセスし、各クライアントファイルインデックスの管理方法を判別します。定義されているクライアントのブラウズポリシーに指定されている期限を過ぎてもインデックス内に残っているエントリは、クライアントファイルインデックスから削除されます。定義されているクライアントの保持ポリシーに指定されている期限を過ぎてもメディアデータベース内に残っているセーブセットは、メディアデータベース内で再利用可能なセーブセットとしてマークが付けられます。1 つのボリューム上に格納されているすべてのセーブセットが再利用可能としてマークが付けられると、ボリュームそのものが再利用可能とみなされます。再利用可能なボリュームはユーザーが選択できます。また、オートチェンジャによって管理されるボリュームの場合は、別のバックアップ用に書き込み可能なボリュームが要求されると、再利用可能ボリュームのラベルが自動的に付け直され、Backup が使用できるようになります。再利用されるボリュームのラベルが付け直されると、そこに格納されていたデータは破壊されます。ボリュームのラベルが変更される前であれば、scanner プログラムを使用して、そのセーブセットを復旧できます。scanner プログラムの使用方法については、scannerを参照してください。

nsrim プログラムに使用する形式とオプションは、次のとおりです。


nsrim [-b browse] [-c client] [-N saveset]

[- r retention] [-x percent] [-lnqvMX] 

nsrinfo

nsrinfo プログラムは、クライアントのファイルインデックスの内容についてのレポートを生成します。Backup クライアント名を指定する必要があります。これ以外のオプションを指定しないと、nsrinfo プログラムにより、指定したクライアントのバックアップ名前空間内で検出されたファイル名とオブジェクト名すべてのレポートが、1 行に 1 つずつ作成されます。また、nsrinfo プログラムにより、特定のクライアントファイルインデックスの名前空間のレポートや、一度にすべての名前空間のレポート、あるいは、特定の XBSA (X-Open Backup Services) アプリケーションのレポートも作成できます。このレポートは、保存時間と呼ばれる一定の時間に限定することもできます。保存時間とは、エントリがクライアントファイルインデックスに入力された時間です。

-L オプションを指定しないと、nsrinfo プログラムを使用するためには、ユーザー名が Backup サーバーの Administrator リスト内に指定されている必要があります。また、-L オプションを指定するには、システム管理者である必要があります (たとえば、UNIX システムのスーパーユーザー)。

nsrinfo プログラムに使用する形式とオプションは、次のとおりです。


nsrinfo [-vV] [-s server | -L] [-n namespace]

[- N filename] [-t time] [-X application] client 

nsrls

nsrls プログラムをオプションを指定せずに呼び出すと、クライアントファイルインデックス内のファイル数、クライアントファイルインデックスが現在必要とする K バイト数、および UNIX ファイルに割り当てられている K バイト数に対するクライアントファイルの利用率が出力されます。

nsrls プログラムに使用する形式とオプションは、次のとおりです。


nsrls [client-name...]
nsrls -f file-name...