Solstice Backup 5.1 管理者ガイド

スケジュールの構成

Backup サーバーは、各クライアントに割り当てられているバックアップスケジュールに基づいて、ネットワーク上の各クライアントシステムのバックアップされるデータの量を判断します。これらのスケジュールは、ユーザーの環境に応じて、単純にも、複雑にもなります。すべてのクライアントが同じスケジュールを共有することも、各クライアントが独自のスケジュールを持つこともあります。「Schedules」リソースを使用して独自のスケジュールを作成し、「Clients」リソースを使ってこのスケジュールをクライアントセーブセットに適用してください。「Clients」リソースとクライアント構成の詳細は、第 5 章「Backup クライアントの操作」を参照してください。

Backup によるバックアップスケジュールの使用方法

Backup は、クライアントのバックアップスケジュールを使用して、指定されたセーブセットに対して、特定の日に、どのレベルのバックアップ操作を行うべきかを決定します。バックアップ操作が開始される日付は、そのクライアントセーブセットが関連付けられている「Group」リソースに割り当てられている「Start Time」属性によって決まります。

Backup は 4 つのタイプのバックアップレベルをサポートしています。

(バックアップレベルの詳細は、「バックアップレベル」を参照してください)。

「Schedules」リソースを使うと、必要に応じてバックアップスケジュールをカスタマイズできます。たとえば、一部のクライアントに対しては、3 日おきに「フル」のレベルでバックアップを行い、それ以外の日は差分バックアップを行います。その他の、重要性が低いデータを含んでいるクライアントに対しては、1 か月に 1 回だけフルバックアップを行い、それ以外の日には差分バックアップか、レベル 1〜9 のバックアップを行います。

フルバックアップから次のフルバックアップまでの期間は「バックアップサイクル」と呼ばれます。図 3-2 は、1 週間のバックアップサイクルを示しています。この例では、毎日曜日にクライアントのフルバックアップを行い、その他の曜日には差分バックアップを行なっています。

図 3-2 バックアップサイクルが 1 週間の場合

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バックアップスケジュールを使って、Backup サーバーの負荷を調整し、分散させることができます。ネットワークの大きさによっては、すべてのクライアントに同じスケジュールを適用できます。たとえば、すべての社員が休んでいる休日にフルバックアップを行う場合は、すべてのクライアントにデフォルトのスケジュールを適用できます。デフォルトのスケジュールでは、日曜日にフルバックアップを行い、それ以外の曜日には差分バックアップを行います。図 3-3 は、クライアント A、クライアント B、およびクライアント C の 3 つのクライアントでの、デフォルトのスケジュールの例を示しています。

図 3-3 複数のクライアントで Backup のデフォルトのスケジュールを使用する場合

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フルバックアップに長時間かかる場合には、バックアップを分散させることができます。たとえば、クライアント A のフルバックアップを日曜日に行うスケジュール、クライアント B のフルバックアップを火曜日に行うスケジュール、そしてクライアント C のフルバックアップを木曜日に行うスケジュールを設定します。図 3-4は、複数のクライアントでバックアップスケジュールを分散させる方法を示しています。

図 3-4 複数のクライアントのスケジュールを 1 週間に分散させる場合

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Backup サーバーの負荷を調整し、分散させると、サーバーの効率が向上します。また、クライアントのグループごとに異なる開始時刻を指定することも、サーバーの効率向上に役立ちます。

バックアップスケジュール

Backup では、独自のバックアップスケジュールを簡単に設定できます。ただし、自分の環境に最も適したバックアップスケジュールを決めるためには、慎重に画を立てる必要があります。

バックアップスケジュールを作成するときには、次の事柄を検討します。

さらに、ファイルの復旧に関するポリシーを決定する必要があります。たとえば、ユーザーが、少なくとも 3 か月の間に失われたファイルを復旧する場合 (3 か月の保持ポリシー) には、メディアデータベースの中にすべてのセーブセットを 3 か月間保存する必要があります。一方、過去 1 か月のデータを復旧するだけでよいのであれば、レベル 1〜9 バックアップを使って、保存しなければならないボリュームの量を減らすことができます。

Backup が復旧に使用するデータが保存されている期間は、各クライアントに関連付けられているブラウズポリシーと保持ポリシーによって決まります。Backup がデータライフサイクルをどのように管理するかについては、「ブラウズポリシーと保持ポリシーによるデータライフサイクルの管理方法」を参照してください。

例 : 大規模なクライアントファイルシステムのスケジュール

400 KB/秒という平均的なバックアップ速度では、10G バイトのデータを持つクライアントのフルバックアップには、終了までに約 5.5 時間必要となります。このようにバックアップに要する時間が長いクライアントセーブセットでは、毎回フルバックアップを行うスケジュールは不適当です。

この場合には、クライアントのディスクボリュームを複数のバックアップグループに分割し、それぞれ別のタイミングでバックアップするようにスケジュールを立てます。1 台のクライアントのセーブセットを複数のバックアップグループに分割すると、クライアントのすべてのファイルが何回かに分けてバックアップされることになります。これはすべてのローカルデータを一回でフルバックアップするよりも時間の節約になります。

クライアントのファイルシステムを個別にバックアップするには、「Clients」リソースに個々のファイルシステムをアドレス指定して、同じクライアントのエントリの追加と構成を繰り返します。たとえば、ファイルシステム /usr のバックアップについては、あるグループのバックアップスケジュールを使って第 1 のクライアントリソースを構成します。さらに、別のファイルシステム /var のバックアップスケジュールについては、別のグループで別のバックアップスケジュールを使って第 2 のクライアントリソースを構成します。


注意 - 注意 -

複数のバックアップスケジュールを作成し、セーブセットを明示的に指定すると、その指定リストに含まれていないファイルやファイルシステムはバックアップから除外されます。これには、システムに新たに追加されたディスクボリュームも含まれます。「Save Set」属性に特別な値「All」を指定すれば、このような危険は生じません。Backup は新しいディスクボリュームを自動的にバックアップに追加します。


スケジュール構成属性

カスタマイズしたバックアップスケジュールを作成するには、「Schedule」リソースで次のスケジュール構成値を定義する必要があります。

バックアップスケジュールの構成の順序

独自にカスタマイズしたスケジュールを使用する場合には、スケジュールを構成したあとに、「Clients」リソースの中のクライアントまたはセーブセットと関連付ける必要があります。毎日自動的に行われるスケジュールされたバックアップの開始時刻は、クライアントセーブセットが関連付けられているバックアップグループによって決まります。データがブラウズまたは復旧に使用できる期間は、スケジュールではなく、クライアントのセーブセットに対して構成されているブラウズポリシーと保持ポリシーによって決まります。