データをネットワーク上で移動したり、テープに書き込んだりする前に、Backup クライアントマシンによってバックアップの過程でデータを圧縮できます。ソフトウェア圧縮を行うには、「Clients」リソースで圧縮ディレクティブを選択するか、あるいはカスタマイズしたバックアップコマンドに compressasm を追加します。compressasm を追加することによって、一般には 2:1 の圧縮率を達成できます。ソフトウェア圧縮は、ネットワーク上で移動されるデータの量が減るというパフォーマンス上の利点に加えて、テープに不良箇所がある場合には一部のハードウェア圧縮に比べて機能の面で優れています。
テープに不良箇所があるために生じる EOT (テープの終わり) エラーに対処するために、Backup では固定サイズの後書きバッファを使用しています。Backup は、次のテープを要求するときに、後書きバッファの内容も新しいテープに書き出します。書き出されていないデータのサイズが Backup のバッファよりも大きい場合は、EOT の処理は行われません。後書きバッファは、圧縮に対応していないテープドライブに対応できるように、有限サイズになっています。また、この後書きバッファは、ドライブのバッファからテープに書き込むときにデータ圧縮するタイプのテープドライブでは使用できますが、ドライブのバッファにデータをコピーするときにデータ圧縮するタイプのドライブでは使用できません。ドライブのバッファは、バイト換算で 1.5 倍から 3 倍の比率でデータを圧縮し、ときにはこれよりもはるかに高い圧縮率を実現します (一部のドライブでは 10:1 の圧縮率を持つ)。この 10:1 という圧縮率に対応するためには、後書きバッファのサイズは、非常に大きくなければなりません。しかし、実際に使用されるメモリーとスワップ空間を考えると、実際には不可能です。
自分の環境にどの圧縮方式が合っているかを検討する際には、次の事柄を念頭に置いてください。
CPU の処理能力が十分な場合には、compressasm を使ってネットワーク帯域幅を最小限に抑えます。
compressasm または圧縮対応ドライブを使用して、テープに格納できるデータの量を増やします。
圧縮されているデータをさらに圧縮しても、それ以上の圧縮率は得られません。圧縮対応ドライブと compressasm を併用することは可能ですが、テープ内のデータがそれ以上圧縮されることは期待できません。両方のオプションを選択すると、かえってデータの量が増えることもあります。
圧縮対応ドライブを使用していて、ネットワークにクライアントが接続されていない場合には、compressasm は使用しないでください。