N1 Grid Service Provisioning System 5.0 XML スキーマリファレンスガイド

<retarget> ステップの実行セマンティクス

<retarget> ステップが検出される場合、まず呼び出し側の現在のホストのコンテキストで「host」属性を評価します。

host」属性の値が現在のホストの名前と異なる場合、以下のステップが実行されます。

  1. ホスト名を実際のホストに解決します。そのようなホストが存在しない場合、エラーが発生します。

  2. プランのフォルダ、またはこのステップを含むコンポーネントに関して、現在のユーザーが、そのホストにおいて「実行」アクセス権を所有しているかを検証します。所有していない場合、エラーが発生します。

  3. ホストのルート物理ホストに関して、以下の条件が満たされていることを検証します。

    • Remote Agent が含まれている。

    • ルート物理ホストに接続できる。

    • ルート物理ホストが最新の状態で準備が整っている。

    これらの条件が満たされない場合、エラーが発生します。

  4. 以前にアクセスしたすべてのホストでロックを保持したまま、このホストでロックを取得します。現在の実行スレッドがすでにホストをロックしている場合、この処理は事実上ノーオペレーション (空命令) となります。ホストがすでにほかの実行スレッドによってロックされている場合、この処理はホストのロックが解除されるまでブロックします。ロック要求のためにデッドロックが起きた場合は、エラーが発生します。

  5. そのホストが再設定され、新しい「現」ホストになります。「物理」ホストは、新しい「現」ホストに基づいて再設定されます。「初期」ホストは変化しません。

上記のステップが完了したところで、<varList> 要素の変数が新しい現ホストのコンテキストで評価されます。ローカル変数は、包含するスコープの変数を隠蔽することができます。続いて、各ステップが新しい現ホストのコンテキストで実行されます。

最後に、対象変更の処理によって現ホストが変わった場合には、そのロックが適宜解除され、その現ホストが呼び出し側の現ホストとして再設定されます。現在の実行スレッドでホストが以前にロックされている場合は、ロックを初めに取得したブロックが完了するまでロックしたままとなります。

空の <retarget> ブロックを使用することにより、現在のユーザーが適切なアクセス許可を持っていることと、ホストの準備が適切に行われていることをあらかじめ検証できます。


例 2–3 <retarget> ステップの使用方法

以下に、WebLogic 管理対象サーバー上で使用できる「再起動」制御サービスの例を示します。この制御サービスは、管理サーバー上で制御を呼び出して管理対象サーバーを「停止」し、続いてローカルサーバーで呼び出しを行なってサーバーを起動することによって実施されます。

adminHostName 」変数は、呼び出し側の現ホスト (これは管理対象サーバーを含んでいる仮想ホストと見なされる) で評価されます。「domainName」変数は、新しいターゲットホスト (これは管理サーバーを含んでいる仮想ホストと見なされる) で評価されます。ADMIN_SERVER コンポーネントも、新しいターゲットホストで解決処理されます。


<control name="restart">
    <varList>
        <var name="adminHostName" default=":[target:adminHostName]"/>
    </varList>
    <retarget host=":[adminHostName]">
        <varList>
            <var name="domainName" default=":[target:domainName]"/>
        </varList>
        <call blockName="stopServer">
            <argList serverName=":[serverName]"
	      domainName=":[domainName]"/>
            <installedComponent name="ADMIN_SERVER"/>
        </call>
    </retarget>
    <call blockName="start"/>
</control>