この章では、GConf
を使用してユーザーの設定を管理する方法について説明します。
GConf
は、Java Desktop System でのユーザーの設定の管理を簡素化します。システム管理者は、GConf
を使用して次のことが可能になります。
すべてのユーザーの特定の設定に必須値を設定する。システム管理者はこの方法で、ユーザーが特定の設定を更新できるかどうかを制御できます
すべてのユーザーの特定の設定にデフォルト値を設定する
設定の定義ファイルで指定されている設定の推奨値を使用する
各設定に関するマニュアルを読む
設定値がローカルに、またはネットワークを介して変更されると、GConf
はアプリケーションに設定値の変更を通知します。このため、設定を変更すると、その設定を使用するすべてのアプリケーションがただちに更新されます。
GConf
には、次のコンポーネントがあります。
ユーザー設定のリポジトリ
gconfd-2 デーモン
gconftool-2 コマンドラインツール
GConf
リポジトリ内の各設定は、キーと値のペアで構成されます。GConf 設定キーは、アプリケーション設定に対応するリポジトリ内の要素です。たとえば、/apps/gnome-session/options/show_splash_screen 設定キーは、セッション
設定ツールの 「ログイン時にスプラッシュ画面を表示する」オプションに対応します。Java Desktop System のユーザーインタフェースには、GConf
リポジトリ内のすべての設定キーが含まれるわけではありません。たとえば、Panel
設定ツールには /apps/panel/global/tooltips_enabled キーに対応するオプションは含まれていません。
リポジトリは、単純な階層ファイルシステムのように構成されています。リポジトリには、次のものが含まれます。
GConf
リポジトリを使用するアプリケーションに対応するディレクトリ。たとえば、このファイルシステムには、/apps/gnome-terminal というディレクトリが含まれる
設定のカテゴリに対応するサブディレクトリ。たとえば、このファイルシステムには、/apps/gnome-terminal/global というディレクトリが含まれる
ディレクトリ内の設定キーの一覧、およびそのキーに関する情報を含む特殊ファイル。たとえば、HTTP プロキシ設定に関連するキーについての情報を持つファイルは、ディレクトリ /system/http_proxy にある
すべての設定キーを記述するファイルを含む /schemas ディレクトリ
通常、設定キーは、次の単純なデータ型を持ちます。
文字列
整数
文字列のリスト
整数のリスト
リポジトリ内の設定キーの形式は、リポジトリの読み取りに使用されるバックエンドモジュールに依存します。次は、リポジトリの読み取りに XML (Extensible Markup Language) が使用される場合の /desktop/gnome/interface/font_name 設定キーの例です。
<entry name="font_name" mtime="1038323555" muser="user123" type="string"> <stringvalue>Sans 10</stringvalue></entry>
このマニュアルでは、設定キーを参照するときに、キーのパス名をそのキーの名前に追加しています。たとえば、/desktop/gnome/interface サブディレクトリ内の font_name 設定キーは、/desktop/gnome/interface/font_name と示されます。
GConf
リポジトリは、「構成ソース」と呼ばれる一連の保存場所を記述した設定ファイルを含んでいます。構成ソースは、「GConf パスファイル」に記述されます。GConf
パスファイルの場所は、/etc/gconf/gconf-version-number/path
です。各ユーザーは、パスファイルを持っています。このパスファイルは、各構成ソースに対して次の情報を指定します。
リポジトリの読み取りに使用するバックエンドモジュール
リポジトリのアクセス権
リポジトリの場所
GConf
パスファイルには、include
命令も含まれています。デフォルトでは、GConf
パスファイルの内容は次のようになります。
xml:readonly:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory include /etc/gconf/2/local-mandatory.path apoc:readonly:mandatory@ include "$(HOME)/.gconf.path" xml:readwrite:$(HOME)/.gconf apoc:readonly:@ include /etc/gconf/2/local-defaults.path xml:readonly:/etc/gconf/gconf.xml.defaults
GConf
が設定値を検索する場合、GConf
は、パスファイル内で指定された順に構成ソースを読みます。次の表は、パスファイル内の構成ソースです。
構成ソース |
説明 |
---|---|
必須 (xml:readonly:/etc/gconf/ gconf.xml.mandatory) |
この構成ソースのアクセス権は、読み取り専用に設定されます。ユーザーは、このソースの値を上書きすることができません。したがって、そのソースの設定は必須です |
ユーザー |
この構成ソースは、ユーザーのホームディレクトリ内の .gconf ディレクトリに格納されます。ユーザーが環境を設定すると、新しい設定情報がこの場所に追加されます ユーザー構成ソースは、 |
標準 |
この構成ソースには、デフォルトの設定が含まれています |
パスファイル内の構成ソースの順序では、必須の設定がユーザーの設定よりも優先されます。また、デフォルト設定よりもユーザーの設定が優先されます。つまり、GConf
は、次の優先順位で設定を適用します。
必須の設定
ユーザー指定の設定
デフォルトの設定
システム管理者は、GConf
パスファイル内の include 命令を使って、別の構成ソースを指定できます。
インクルードされる構成ソース |
説明 |
---|---|
/etc/gconf/2/local-mandatory.path |
この構成ソースは、特定のシステムの必須設定を格納するために使用します。 |
$(HOME)/.gconf.path |
ユーザーは、構成ソースの場所をホームディレクトリ内の .gconf.path というファイルに指定します。 |
/etc/gconf/2/local-defaults.path |
この構成ソースは、特定のシステムのデフォルトの設定値を格納するために使用します。 |
GConf
パスファイル内の apoc 設定を使用して、Sun
Java Desktop System Configuration Manager のバックエンドモジュールを指定します。Sun Java Desktop System Configuration Manager
については、 http://docs.sun.com にある Sun
Java Desktop System Configuration Manager
に関するドキュメントを参照してください。
「GConf スキーマ」は、「 GConf スキーマキー」と「GConf スキーマオブジェクト」の総称です。次の表は、スキーマキー、スキーマオブジェクト、およびこれらの項目と設定キーとの関連性について説明しています。
項目 |
説明 |
---|---|
設定キー |
アプリケーション設定に対応する |
スキーマキー |
設定キーのスキーマオブジェクトを格納するキー |
スキーマオブジェクト |
次のような設定キー用の情報を含む構成ソース内の要素
|
次の表は、設定キー、スキーマキー、およびスキーマオブジェクトの例を示しています。
項目 |
例 |
---|---|
設定キー |
/desktop/gnome/interface/font_name |
スキーマキー |
/schemas/desktop/gnome/interface/font_name |
スキーマオブジェクト |
<schema> <applyto>/desktop/gnome/interface/font_name</applyto> <key>/schemas/desktop/gnome/interface/font_name</key> <owner>gnome</owner> <type>string</type> <default>Sans 10</default> <locale name="C"> <short>Default font</short> <long>Name of the default font used by gtk+.</long> </locale> </schema> |
設定キーにスキーマキーを関連付けることができます。たとえば、/desktop/gnome/interface/font_name キーは次のスキーマキーを含んでいます。
<entry name="font_name" mtime="1034873859" schema="/schemas/desktop/gnome/interface/font_name"/>
設定キーにスキーマキーを関連付けると、設定は、そのスキーマキーのスキーマオブジェクト内で指定されている推奨値を使用します。推奨値は、スキーマオブジェクトの <default> 要素に含まれています。デフォルトでは、デフォルト構成ソース内のすべての設定キーが、スキーマキーと関連付けられます。
通常、スキーマはデフォルト構成ソースに格納されます。
スキーマは、「スキーマ定義ファイル」から生成されます。スキーマ定義ファイルは、特定のアプリケーションにおけるすべてのキーの特性を定義します。スキーマ定義ファイルには、.schemas 拡張子が付きます。
スキーマ定義ファイルは、/etc/gconf/schemas ディレクトリに含まれています。スキーマ定義ファイルを使用して、新しい構成ソースを作成できます。
いくつかのスキーマ定義ファイルは、Java Desktop System のユーザーインターフェイスの一部と緊密に対応しています。たとえば、system_http_proxy.schemas は、 Internet
設定ツールに対応します。ほかのスキーマ定義ファイルは、Java Desktop System のユーザーインタフェースにはない設定キーを含んでいることがあります。たとえば、/apps/panel/global/tooltips_enabled キーはユーザーインターフェイスにはありません。
Java Desktop System のユーザーインターフェイスのいくつかは、複数のスキーマ定義ファイルの設定キーを表す設定を含んでいます。たとえば、キーボードショートカット
設定ツールは、panel-global-config.schemas
および metacity.schemas ファイルのキーを表す設定を含んでいます。
GConf
デーモンは、gconfd-2 です。GConf
デーモンは、設定の値が変更されると、アプリケーションに通知します。たとえば、メニューとツールバー
設定ツールでツールバーのアイコンのみを表示するように選択するとします。設定ツールでこのオプションを選択すると、開いているすべてのアプリケーションのツールバーがただちに更新されます。GConf
デーモンは、ローカルでも、ネットワークを介してでも動作することができます。
GConf
デーモンのインスタンスは、ユーザーごとに起動されます。ユーザーが複数のシステムにログインする場合、GConf
デーモンのインスタンスはセッションごとに起動されます。この場合、GConf
デーモンのインスタンスを 1 つだけ使用するように Java Desktop System を設定することもできます。この方法については、「1 つの GConf デーモンのインスタンスを使用するように Java Desktop System を設定する」を参照してくください。
GConf
デーモンでは、認証やデータのセキュリティなどの複雑な問題の処理はしません。GConf
デーモンは、起動するときにGConf
パスファイルを読み取ります。GConf
デーモンは、アプリケーションと構成ソース間のすべてのアクセスを管理します。
アプリケーションが設定キーの値を要求すると、デーモンは次のようにして構成ソースを検索します。
パスファイルに指定された順に、各構成ソース内の設定キーの値を検索します。値が見つかると、その値を返します。
値が見つからない場合は、パスファイルに指定された順に、各構成ソース内の設定キーに対応するスキーマキーを検索します。
スキーマキーが見つかると、スキーマキーの値を調べます。
スキーマキーの値がスキーマオブジェクトの場合、そのスキーマオブジェクトの <default> 要素内の推奨値を返します。
GConf
デーモンは、設定キーの値をキャッシュに入れます。すべてのアプリケーションがこのキャッシュを使用するため、アプリケーションが構成ソースにアクセスするのは一度だけです。
GConf
デーモンを終了するには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --shutdown
Java Desktop System では、ユーザーが複数のシステムにログインする場合、デフォルトで GConf
デーモンの複数のインスタンスが作成されます。この場合、GConf
デーモンのインスタンスを 1 つだけ使用するように Java Desktop System を設定することもできます。そのユーザーは Network File System (NFS) 上のホームディレクトリが必要です。
ユーザーが複数のシステム上で GConf
デーモンのインスタンスを 1 つ使用し、設定の値を変更すると、ユーザーがログインしているすべてのセッションに変更が適用されます。たとえば、1
つのセッションのメニューとツールバー
設定ツールでツールバーのアイコンのみを表示するように選択した場合、ユーザーがログインしているすべてのセッションで、開いているすべてのアプリケーションのツールバーがただちに更新されます。
すべてのセッションがユーザーのホームディレクトリにアクセス可能な場合のみ、ユーザーは GConf
デーモンのインスタンスを 1 つだけ使用できます。
Java Desktop System では、Common Object Request Broker Architecture (CORBA) が使用されます。CORBA によって、アプリケーションオブジェクトは、作成に使用されたプログラミング言語や実行されているオペレーティングシステムにかかわらず、互いに通信することが可能になります。
CORBA 上で、Object Request Broker (ORB) がサーバーとクライアント間で通信を行います。Java
Desktop System の ORB の 1 つが ORBit2
です。GConf
は、ORBit2
の TCP プロトコルを使用して、GConf
デーモンとユーザーがログインしているセッションの間で通信を行います。
ユーザーごとに GConf
デーモンのインスタンスが 1 つ使用されるようにシステムを設定するには、次の手順を実行します。
ユーザーがログインするすべてのシステムで、/etc/orbitrc ファイルに次の行が含まれていることを確認します。
ORBIIOPIPv4=1
GCONF_GLOBAL_LOCKS 環境変数の値を 1
に設定します。この結果、GConf
によって、ローカルシステムのディレクトリではなく、ユーザーのホームディレクトリにロックが作成されます。
GConf
デーモンを再起動します。
各ユーザーに対して GConf
デーモンのインスタンスが複数使用されるようにシステムを設定するには、GCONF_GLOBAL_LOCKS 環境変数の値を設定解除します。その後 GConf
デーモンを再起動します。
ORBit2
の TCP プロトコルは、サーバーとクライアント間の通信が暗号化されていないため、完全に安全ではありません。
GConf
は、コマンドラインツールの gconftool-2 を含んでいます。gconftool–2 コマンドを使用して、次の作業を実行できます。
キーの値を設定する
キーの値を表示する
アプリケーションをインストールするときに、スキーマ定義ファイルからスキーマをインストールする
たとえば、次のコマンドを使用して /desktop/gnome ディレクトリおよびサブディレクトリ内のすべてのキー値を表示することができます。
# gconftool-2 --recursive-list /desktop/gnome
表 1–1 は、gconftool-2 コマンドに使用できるオプションを示しています。
表 1–1 gconftool-2 コマンドオプション
設定キーに対して、必須値またはデフォルト値を設定できます。ユーザーの必須設定値またはデフォルト設定値を変更する前に、GConf
デーモンがどのユーザーに対しても実行されていないことを確認する必要があります。また、すべてのユーザーがログアウトしていることを確認してから、ユーザーの設定値を変更してください。
設定キーの必須値またはデフォルト値を設定するには、gconftool-2 コマンドを次のように使用します。
# gconftool-2 --direct --config-source configuration-source --type data-type --set preference-key value
たとえば、wwwproxy.xyz.com を必須の HTTP プロキシホストとして設定するには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type string --set /system/http_proxy/host wwwproxy.xyz.com
通常ユーザーは、この設定値を上書きできません。
gconftool-2 コマンドを使用して、デフォルト値を設定することもできます。たとえば、ワークスペースのデフォルト数を 5 に設定するには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type int --set /apps/metacity/general/num_workspaces 5
ユーザーは、この設定値を変更できます。
ユーザーの必須設定値またはデフォルト設定値を変更する前に、すべてのユーザーがログアウトしていることを確認してください。
この節では、必須値またはデフォルト値を一般的な設定に割り当てる方法を説明します。
HTTP プロキシを設定するには、/system/http_proxy/ の設定キーの値を変更します。たとえば、HTTP プロキシホストに必須値を設定するには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type string --set /system/http_proxy/host proxy-name
HTTP プロキシホストにデフォルト値を設定するには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type string --set /system/http_proxy/host proxy-name
ほかの HTTP プロキシ関連の環境を設定することもできます。ほかの HTTP プロキシ設定に関する情報については、system_http_proxy.schemas スキーマ定義ファイルを参照してください。
ワークスペースの必須の数を設定するには、次のコマンドを使用します。
# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type int --set /apps/metacity/general/num_workspaces integer
ワークスペースのデフォルトの数を設定するには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type int --set /apps/metacity/general/num_workspaces integer
ほかのウィンドウマネージャの環境を設定することもできます。ほかのウィンドウマネージャの設定に関する情報については、metacity.schemas スキーマ定義ファイルを参照してください。
キーボードアクセシビリティを設定するには、 /desktop/gnome/accessibility/keyboard の設定キーの値を変更します。たとえば、キーボードアクセシビリティ機能が有効になるように必須値を設定したい場合は、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type bool --set /desktop/gnome/accessibility/keyboard/enable true
この設定にデフォルト値を設定するには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type bool --set /desktop/gnome/accessibility/keyboard/enable false
ほかのキーボードアクセシビリティ環境を設定することもできます。ほかのキーボードアクセシビリティ設定に関する情報については、desktop_gnome_accessibility_keyboard.schemas スキーマ定義ファイルを参照してください。
キーボードショートカット設定を行うには、/apps/metacity/global_keybindings/panel_run_dialog にある設定キーの値を変更します。たとえば、「アプリケーションの実行」ダイアログを開くときに、ユーザーが Alt + F3 キーボードショートカットのみを使用するように設定したい場合があります。この必須値を設定するには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type string --set /apps/metacity/global_keybindings/panel_run_dialog '<Alt>F3'
ほかのキーボードショートカット環境を設定することもできます。ほかのキーボードショートカットの設定に関する情報については、metacity.schemas スキーマ定義ファイルを参照してください。
panel-default-setup.entries ファイルは、Java Desktop System 内のパネルについて、次の内容を指定します。
パネルの数
パネルのタイプ
パネルのプロパティ
パネルの内容
パネルおよびパネルオブジェクトを個別に設定するのは、複雑な作業になります。パネルやパネルオブジェクトを個別に設定するには、まず panel-default-setup.entries ファイルの構造を理解する必要があります。panel-default-setup.entries ファイルについては、「パネル構成ファイルの構造」を参照してください。
パネルおよびパネルオブジェクトの環境を個別に設定するには、構成ソース内の多数の設定値を設定する必要があります。パネル設定の値を設定する一番簡単な方法は、--dump および --load オプションを指定して、gconftool-2 コマンドを使用することです。パネルおよびパネルオブジェクトの設定方法については、「パネルおよびパネルオブジェクトの環境を個別に設定」を参照してください。
panel-default-setup.entries ファイルには、パネルおよびパネルの内容を指定する部分があります。また panel-default-setup.entries ファイルは、スキーマキーの値を指定します。panel-default-setup.entries ファイルは、/etc/gconf/schemas ディレクトリ内にあります。
panel-default-setup.entries ファイルの構造は、次のとおりです。
ファイル内のすべてのキーのベースパスを指定する entrylist 要素。たとえば、次の要素 (panel-default-setup.entries の抜粋) は、キーのベースパスとして /apps/panel/default_setup を指定します。
<entrylist base="/apps/panel/default_setup">
たとえば、キー general/toplevel_id_list が panel-default-setup.entries 内で参照されている場合、キーのフルパスは /apps/panel/default_setup/general/toplevel_id_list です。
デスクトップ内のパネル、パネルアプリケーション、およびその他のパネルオブジェクトの一般的な構造を指定するキー。次のキーが、デスクトップ内に表示されるパネル、パネルオブジェクト、およびパネルアプリケーションの数を指定します。
general/toplevel_id_list
general/object_id_list
general/applet_id_list
これらのキーは、各パネル、パネルオブジェクト、およびパネルアプリケーションに識別子も割り当てます。たとえば、次の panel-default-setup.entries のサンプルでは、デスクトップに表示されるパネルは 1 つです。
<entry> <key>general/toplevel_id_list</key> <schema_key>/schemas/apps/panel/general/toplevel_id_list</schema_key> <value> <list type="string"> <value> <string>bottom_panel</string> </value> </list> </value> </entry>
panel-default-setup.entries ファイルでは、識別子 bottom_panel が画面の最下部のパネルを識別します。
パネルのプロパティを指定するキー。パネル設定キーは、次のように設定されています。
toplevels/panel-name/panel-property-key
たとえば、toplevels/bottom_panel/size のキーはボトムパネルのサイズを指定します。
パネルオブジェクト、パネルオブジェクトプロパティ、およびオブジェクトが存在するパネルを指定するキー。たとえば、次の panel-default-setup.entries のサンプルでは、メインメニュー オブジェクトがボトムパネルの左側に表示されます。
<entry> <key>objects/main_menu/object_type</key> <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/object_type</schema_key> <value> <string>menu-object</string> </value> </entry> <entry> <key>objects/main_menu/toplevel_id</key> <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/toplevel_id</schema_key> <value> <string>bottom_panel</string> </value> </entry> <entry> <key>objects/main_menu/position</key> <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/position</schema_key> <value> <int>0</int> </value> </entry>
パネルアプリケーション、パネルアプリケーション設定、およびパネルアプリケーションが存在するパネルを指定するキー。たとえば、次の panel-default-setup.entries のサンプルでは、Window List
パネルアプリケーションがボトムパネルに表示されます。
<entry> <key>applets/window_list/object_type</key> <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/object_type</schema_key> <value> <string>bonobo-applet</string> </value> </entry> <entry> <key>applets/window_list/toplevel_id</key> <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/toplevel_id</schema_key> <value> <string>bottom_panel</string> </value> </entry> <entry> <key>applets/window_list/position</key> <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/position</schema_key> <value> <int>3</int> </value> </entry> . . . <entry> <key>applets/window_list/bonobo_iid</key> <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/bonobo_iid_type</schema_key> <value> <string>OAFIID:GNOME_WindowListApplet</string> </value> </entry>
OAFIID は、パネルアプリケーションの一意の識別子です。特定のパネルアプリケーションの OAFIID を検索するには、/usr/lib/bonobo/servers ディレクトリ内にあるそのパネルアプリケーションの .server ファイルを参照します。たとえば、次の GNOME_Wncklet_Factory.server
の抜粋では、Window List
パネルアプリケーションの OAFIID が示されます。
<oaf_server iid="OAFIID:GNOME_WindowListApplet" type="factory" location="OAFIID:GNOME_Wncklet_Factory">
パネルやパネル内のオブジェクトの設定を行うには、次の手順を実行します。
テストユーザーアカウントでセッションにログインします。
必要に応じてパネルを設定します。
--dump オプションを指定して gconftool-2 コマンドラインツールを使用し、使用しているパネル設定の XML 記述を含むファイルを生成します。--dump オプションは、ユーザーが指定した GConf
リポジトリディレクトリ内にあるすべての設定キーを含む一覧を生成します。
たとえば、次のコマンドはデフォルトパネル設定の XML 記述を my-panel-setup.entries というファイルに作成します。
# gconftool-2 --dump /apps/panel/profiles/default > my-panel-setup.entries
my-panel-setup.entries ファイルをテキストエディタで開き、必要に応じて修正します。
たとえば、デスクトップエントリファイルの場所を変更します。次に、--dump オプションで生成されたファイルの抜粋を示します。
<entry> <key>objects/object_16/launcher_location</key> <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/launcher_location</schema_key> <value> <string>hadjaha-00adce02f7.desktop</string> </value> </entry>
上のサンプルで、hadjaha-00adce02f7.desktop への参照を、広く使用可能な別のデスクトップエントリファイルに変更することも考えられます。
--dump オプションでパネル設定を生成すると、パネルオブジェクトの位置は絶対的な位置になります。パネルオブジェクトの位置を絶対的な位置から相対的な位置に変更したい場合もあります。パネルの一番左端のオブジェクトの position 値は 0 です。その次のオブジェクトの position 値は 1 という具合になっています。オブジェクトをパネルの右側と相対する位置に置くには、right_stick キーを true に設定します。
--load オプションを指定して gconftool-2 コマンドラインツールを使用し、デフォルトの構成ソースの値を my-panel-setup.entries ファイル内の値に設定します。たとえば、次のコマンドは、デフォルトの構成ソースのキー値を my-panel-setup.entries 内の対応するキーの値に設定します。
# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --load my-panel-setup.entries
テストユーザーアカウントからログアウトします。
この節では、ルック&フィールの設定に必須値またはデフォルト値を割り当てる方法を説明します。
フォントを設定するには、2 つの設定キーの値を変更します。次の表は、変更するキーと、そのキーに対応するユーザーインターフェイス部分を示しています。
GConf の場所 |
ユーザーインターフェイスコンポーネント |
---|---|
/desktop/gnome/interface/font_name |
|
/apps/nautilus/preferences/desktop_font |
|
たとえば、Sans 12 を必須アプリケーション用フォントとして設定するには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type string --set /desktop/gnome/interface/font_name “Sans 12”
palatino 12 をデフォルトのデスクトップオブジェクトフォントとして設定するには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type string --set /apps/nautilus/preferences/desktop_font “palatino 12”
デスクトップ背景の設定を行うには、/desktop/gnome/background にある設定キーの値を変更します。たとえば、背景に必須イメージを設定するには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type string --set /desktop/gnome/background/picture_filename filename.png
この設定にデフォルト値を設定するには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type string --set /desktop/gnome/background/picture_filename filename.png
ほかの背景を設定することもできます。ほかの背景設定に関する情報については、desktop_gnome_background.schemas スキーマ定義ファイルを参照してください。
スプラッシュイメージを設定するには、/apps/gnome-session/options/ の設定キーの値を変更します。たとえば、スプラッシュイメージを表示しないように設定するには、必須値を次のように設定します。
# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type bool --set /apps/gnome-session/options/show_splash_screen false
この設定にデフォルト値を設定するには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type bool --set /apps/gnome-session/options/show_splash_screen false
ほかのスプラッシュイメージを設定することもできます。ほかのスプラッシュイメージ設定に関する情報については、gnome-session.schemas スキーマ定義ファイルを参照してください。
ユーザーのデフォルト設定値を復元するには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --direct --config-source user-configuration-source --recursive-unset
ユーザーのホームディレクトリ内にある .gconf ディレクトリ構成ファイルの user-configuration-source をデフォルト値にします。次に例を示します。
# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:$(HOME)/.gconf --recursive-unset
このコマンドは、すべてのサブディレクトリで、ユーザー設定からデフォルト構成ソースの設定までを含むすべての設定キーの値をリセットします。