この章は、ワークステーション固有ドライバを Windows Imaging Format (WIM) イメージに組み込む必要がある、上級のシステム管理者を対象としています。
WIM ファイルは、Windows 展開サービス (Windows Deployment Service、WDS) を使用してインストールされます。
この章は、WDS のチュートリアルではありません。ワークステーション固有ドライバを WIM イメージに組み込む方法について紹介します。
WIM イメージに組み込む必要があるワークステーション固有ドライバを、表 8–1 に示します。
表 8–1 WIM イメージに必要なワークステーション固有ドライバ
この節では、Sun Ultra 27 ワークステーション用の Windows ドライバを WIM イメージに追加する方法について説明します。
WIM イメージの作成前に、次のことを実行します。
Windows 自動インストールキット (Windows Automated Installation Kit、Windows AIK または WAIK) をインストールします。このキットは、Microsoft からダウンロードできます。WAIK のバージョン 2.0 以降を使用することをお勧めします。
Windows AIK ドキュメントを読みます。
Windows リモートインストールサービスが Windows サーバーで実行されていることを確認します。Windows 展開サービスのスナップインドキュメントを読みます。
ワークステーション用の windows.zip ファイルまたは最新の Tools and Drivers DVD を探します。第 2 章ドライバパッケージのダウンロードを参照してください。
32 ビットまたは 64 ビット Windows インストールの該当するすべてのファイルを、Tools and Drivers DVD のバージョンフォルダからネットワーク共有の該当するフォルダ構造にコピーします。
該当するバージョンファイルを特定します。
次に示すのは、Tools and Drivers DVD の例です。この例では、cdromdrive は Tools and Drivers DVD が挿入されている CD/DVD ドライブのドライブ文字です。
Tools and Drivers DVD の Windows Vista Ultimate 32 ビットファイル
cdromdrive:\drivers\windows\Chipset ...\SAS\driver\32bit ...\sata\32bit ...\TPM\driver\32bit ...\audio\Vista ...\nic\pro1000\win32 |
Tools and Drivers DVD の Windows Vista Ultimate 64 ビットファイル
cdromdrive:\drivers\windows\Chipset ...\SAS\driver\64bit ...\sata\64bit ...\TPM\driver\64bit ...\audio\vista64 ...\nic\pro1000\winx64 |
Tools and Drivers DVD の Windows Server 2008 32 ビットファイル
cdromdrive:\drivers\windows\Chipset ...\SAS\driver\32bit ...\sata\32bit ...\TPM\driver\32bit ...\nic\pro1000\win32 |
Tools and Drivers DVD の Windows Server 2008 64 ビットファイル
cdromdrive:\drivers\windows\Chipset ...\SAS\driver\64bit ...\sata\64bit ...\TPM\driver\64bit ...\nic\pro1000\winx64 |
手順 a で特定したファイルを、バージョンフォルダからネットワーク共有の該当するフォルダ構造にコピーします。
次の例では、\\yourshare\share はネットワークで設定した共有パスで、DriverPack\x64 は 64 ビット Windows 用、および DriverPack\x86 は 32 ビット Windows 用です。すべてのファイルは、x64 または x86 フォルダまたはコンポーネントサブフォルダの直下に配置します (Tools and Drivers DVD の場合、バージョンサブフォルダはありません)。次の例を参照してください。
Windows Vista Ultimate 32 ビットの WIM フォルダ構造
\\yourshare\share\DriverPack\x86\Chipset ...\SAS ...\sata ...\TPM ...\audio ...\nic |
Windows Vista Ultimate 64 ビットの WIM フォルダ構造
\\yourshare\share\DriverPack\x64\Chipset ...\SAS ...\sata ...\TPM ...\audio ...\nic |
Windows Server 2008 32 ビットの WIM フォルダ構造
\\yourshare\share\DriverPack\x86\Chipset ...\SAS ...\sata ...\TPM ...\nic |
Windows Server 2008 64 ビットの WIM フォルダ構造
\\yourshare\share\DriverPack\x64\Chipset ...\SAS ...\sata ...\TPM ...\nic |
サービスイメージを選択して、イメージを更新およびエクスポートします。
上の手順でエクスポートした Windows イメージをマウントします。次に例を示します。
imagex /mountrw C:\windows_distribution\sources\install.wim 1 C:\win_mount
Install.wim ファイル内の最初の Windows イメージが C:\wim_mount にマウントされます。
Windows システムイメージマネージャー (Windows System Image Manager、Windows SIM。Windows AIK で使用可能) を使用して、インストールするデバイスドライバのパスが含まれる応答ファイルを作成します。Windows SIM アプリケーションの起動の詳細については、Windows 自動インストールキットの Microsoft ドキュメントを参照してください。
Microsoft-Windows-PnpCustomizationsNonWinPE コンポーネントを、offlineServicing パス内の応答ファイルに追加します。
応答ファイルの Microsoft-Windows-PnpCustomizationsNonWinPE ノードを展開します。DevicePaths を右クリックし、「新しい PathAndCredentials の挿入」を選択します。
新しい PathAndCredentials リスト項目が表示されます。
Microsoft-Windows-PnpCustomizationsNonWinPE コンポーネントで、ネットワーク共有上の DriverPack フォルダのアーキテクチャー フォルダのパスと、ネットワーク共有へのアクセスに使用される資格を指定します。
たとえば、64 ビットイメージのパスと資格は次のようになります。
<Path>\\yourshare\share\DriverPack\x64</Path> <Credentials> <Domain>MyDomain</Domain> <Username>MyUserName</Username> <Password>MyPassword</Password> </Credentials> |
応答ファイルを保存し、Windows SIM を終了します。応答ファイルは、次のサンプルと同様にしてください。このサンプルでは、64 ビットのアーキテクチャーを想定しています (processorArchitecture コンポーネントの ID パラメータでは、サポートされる値は 32 ビット Windows の場合は x86 で、64 ビット Windows の場合は amd64 です)。
<?xml version="1.0" ?> <unattend xmlns="urn:schemas-microsoft-com:asm.v3" xmlns:wcm= "http://schemas.microsoft.com/WMIConfig/2002/State"> <settings pass="offlineServicing"> <component name="Microsoft-Windows-PnpCustomizationsNonWinPE" processorArchitecture="amd64" publicKeyToken="31bf3856ad364e35" language="neutral" versionScope="nonSxS"> <DriverPaths> <PathAndCredentials wcm:keyValue="1"> <Path>\\yourshare\share\DriverPack\x64</Path> <Credentials> <Domain>MyDomain</Domain> <Username>MyUserName</Username> <Password>MyPassword</Password> </Credentials> </PathAndCredentials> </DriverPaths> </component> </settings> </unattend> |
パッケージマネージャーを使用して、自動インストールの応答ファイルを、マウントされた Windows イメージに適用します。ログファイルを作成する場所を指定します。パッケージマネージャーの使用方法については、Microsoft Windows AIK のドキュメントを参照してください。次に例を示します。
pkgmgr /o:"C:\wim_mount\;C:\wim_mount\Windows" /n:"C:\unattend.xml" /l:"C:\pkgmgrlogs\logfile.txt"
応答ファイルのパスで参照される .inf ファイルが Windows イメージファイルに追加されます。ログファイルは、C:\Pkgmgrlogs\ ディレクトリに作成されます。
マウントされた Windows イメージ内の %WINDIR%\Inf\ ディレクトリの内容を見直して、.inf ファイルがインストールされたことを確認します。Windows イメージに追加されるドライバの名前は、oem*.inf になります。これは、コンピュータに追加される新しいドライバの名前を確実に一意にするためです。たとえば、MyDriver1.inf ファイルと MyDriver2.inf ファイルの名前は、それぞれ oem0.inf および oem1.inf となります。
.wim ファイルのマウントを解除し、変更内容をコミットします。たとえば、次のように入力します。
imagex /unmount /commit C:\wim_mount
次の手順に従って、サービスイメージを置き換え、更新されたイメージを有効にします。
Windows 展開サービスのスナップインが実行されていない場合は、「スタート」、「管理ツール」、「Windows 展開サービス」の順にクリックします。
サービスを提供するイメージを見つけます。イメージを右クリックして、「イメージの置換」をクリックします。ウィザードを使用して、サービスイメージを、更新された Windows イメージに置き換えます。
サービスイメージを右クリックして、「有効にする」をクリックします。
サービスイメージが使用可能になり、すべてのワークステーション固有ドライバがイメージに追加されます。