Sun Studio 12: Fortran プログラミングガイド

5.1.4 ルーチン間の大域的な検査を行うサブオプション

大域的にクロスチェックする標準的なオプションは (サブオプションなしの) -Xlist です。このオプションは、それぞれが個別に指定できるサブオプションの組み合わせです。

以降に、リスト、エラー、相互参照表を生成するオプションを説明します。複数のサブオプションをコマンド行に指定することもできます。

5.1.4.1 サブオプションの構文

サブオプションは次の規則に従って追加します。

5.1.4.2 -Xlist とサブオプション

サブオプションの組み合せは次の規則に従います。

例: 次の 2 つのコマンド行は同じ結果を生成します。


demo% f95  -Xlistc  -Xlist  any.f

demo% f95 - Xlistc  any.f

次の表に、これらの基本的な -Xlist サブオプションだけで生成したレポートを示します。

表 5–1 Xlist の基本的なサブオプション

生成されるレポート 

オプション 

エラー、リスト、相互参照表 

–Xlist

エラーのみ 

–XlistE

エラーとソースリストのみ 

–XlistL

エラーと相互参照表のみ

–XlistX

エラーと呼出しグラフのみ

–Xlistc

次に、-Xlist のすべてのサブオプションを示します。

表 5–2 -Xlist サブオプションの全リスト

オプション 

動作 

–Xlist (サブオプションなし)

エラー、リスト、相互参照表を表示する 

–Xlistc

呼出しグラフとエラーを表示する

-Xlistc は単独ではリストまたは相互参照表を表示しません。呼出しグラフは印字可能な文字を使用したツリー形式で生成されます。主プログラムから呼び出されないサブルーチンがあれば、複 数の呼出しグラフが表示されます。各初期値設定プログラム主プログラムとは切り離して別個に出力されます。

デフォルトでは呼出しグラフは出力されません。

–XlistE

エラーを表示する

-XlistE は単独ではクロスルーチンエラーだけを表示し、リストまたは相互参照表を表示しません。

–Xlisterr[nnn]

検証レポートから nnn 番のエラーを削除する

リストや相互参照表から番号付きのエラーメッセージを抑制するときに使用します。

例: -Xlisterr338 はエラーメッセージ 338 を抑制します。ほかの特定のエラーを抑制する場合は、このオプションを繰り返し使用してください。nnn が指定されていない場合は、すべてのエラーメッセージが抑制されます。

–Xlistf

出力を高速化する 

完全なコンパイルを行わずに、ソースファイルのリストとクロスチェックレポートを生成してソースを検査するには、-Xlistf を使用します。

–Xlisth

クロスチェックのエラーの場合、コンパイルを停止する 

-Xlisth を使用すると、プログラムのクロスチェック中にエラーが検出された場合に、コンパイルが停止します。この場合のレコードは、*.lst ファイルではなく標準出力 stdout にリダイレクトされます。

–XlistI

include ファイルのリストとクロスチェック

-XlistI サブオプションだけを使用した場合、標準の -Xlist 出力 (行番号付きリスト、エラーメッセージ、相互参照表) とともに、include ファイルも表示または走査されます。

リスト - リストが抑制されていない場合は、include ファイルは所定の場所でリストされます。このため、インクルードされるたびに何回でもファイルがリストされることになります。リストされるファイルは、ソースファイル、#include ファイル、INCLUDE ファイルです。

相互参照表— 相互参照表が抑制されていない場合は、相互参照表 の生成中に次のファイルが走査されます。ソースファイル、#include ファイル、INCLUDE ファイルです。

デフォルトでは、include ファイルは表示されません。

–XlistL

リストとエラーを表示する

リストとクロスルーチンエラーのみを生成するときに -XlistL を使用します。このサブオプションは単独では相互参照表を表示しません。デフォルトでは、リストと相互参照表の両方が表示されます。

–Xlistln

改ページを設定する 

ページの長さをデフォルトのページサイズ以外の長さに設定するときに -Xlistl を使用します。たとえば、-Xlistl45 とすると、1 ページの長さは 45 行になります。デフォルトは 66 行です。

n=0 (-Xlistl0) の場合、このオプションは、改ページをせずにリストと相互参照表を表示します。これは、画面上で表示するときに便利です。

-XlistMP

(SPARC) OpenMP 指令の整合性を検査する

ソースコードファイル内に指定された OpenMP 指令間の非整合性を報告するときに -XlistMP を使用します。詳細は、『OpenMP API ユーザーズガイド』を参照してください。

–Xlisto name

-Xlist レポート出力ファイルの指定

-Xlisto を使用して、生成されるレポート出力ファイルを指定します。oname の間には空白文字が必要です。-Xlisto name を使用した場合、出力先は file.lst ではなく name になります。

画面に直接表示するときは次のオプションを使用します。 -Xlisto /dev/tty

–Xlists

相互参照表から参照されない識別子を削除する 

include ファイルで定義されているが、ソースファイルで参照されていない識別子を、相互参照表から抑制します。

このサブオプションは、-XlistI が指定されている場合には効力がありません。

デフォルトでは、 #include または INCLUDE ファイルでの出現は表示されません。

–Xlistvn

検査の「厳密度」を設定する 

n には 1234 のいずれかを設定します。デフォルトは 2 です (–Xlistv2)。

  • –Xlistv1

    すべての名前についてクロスチェックした情報を行番号のない、簡潔な形式でのみ表示します。検査の厳密度としてはもっとも低いレベルで、構文エラーだけを検査します。

  • –Xlistv2

    クロスチェックした情報に、注釈と行番号を付けて表示します。検査の厳密度としてはデフォルトのレベルで、構文エラーに加えて、引数の不整合なエラー、変数の使用上のエラーも検査します。

  • –Xlistv3

    クロスチェックした情報に注釈と行番号を付けて表示し、共通ブロックのマップを表示します。検査の厳密度としては高いレベルで、別の副プログラムにある共通ブロックでデータ型を不正に使用したことによるエラーも検査します。

  • –Xlistv4

    クロスチェックした情報に、注釈、行番号、共通ブロックのマップ、EQUIVALENCE ブロックのマップを付けて表示します。 最高の検査の厳密度で、最大限のエラーを検出します。

–Xlistw[nnn]

出力行の幅を設定する 

出力行の幅を設定するときに -Xlistw を使用します。たとえば、-Xlistw132 とすると、ページ幅は 132 カラムになります。デフォルトは 79 カラムです。

–Xlistwar[nnn]

レポートから nnn 番の警告を削除する

出力レポートから特定の警告メッセージを抑制するときに -Xlistwar を使用します。nnn が指定されていない場合は、すべての警告メッセージが出力から抑制されます。たとえば -Xlistwar338 とすると、338 番の警告メッセージが抑制されます。すべてではない複数の警告を対象にするときは、このオプションを繰り返して指定します。

–XlistX

相互参照表とエラーだけを表示する 

-XlistX は、相互参照表とクロスルーチンエラーリストは生成しますが、ソースリストは生成しません。