Sun Studio 12: Fortran プログラミングガイド

6.1 はじめに

SPARC プロセッサ上での Fortran 95 の浮動小数点環境は、『IEEE Standard 754 for Binary Floating Point Arithmetic』で指定された演算モデルを実装しています。この環境では、安定した、高性能の、移植可能な数値計算アプリケーションを開発できます。また、数値計算プログラムによる異常な動作を調査するためのツールも提供します。

数値計算プログラムでは、計算誤差を引き起こす次のような潜在的な原因がたくさんあります。

間違った数値計算の誤差の原因を見つけることはたいへん困難です。市販の検査済みライブラリパッケージを使用することで、コーディングの誤りの可能性を減らすことはできます。アルゴリズムを選択することも重要な問題です。また、コンピュータの特性を考慮した優れた算術演算法を使用することも重要です。

この章では、数値誤差の解析については説明していません。ここでは、Fortran 95 によって実装された IEEE 浮動小数点モデルを紹介します。