Sun Studio 12: Fortran ユーザーズガイド

3.4.28 -fast

実行パフォーマンスを最適化するオプションを選択します。


注 –

このオプションは、リリースごと、またはコンパイラごとに変更されることのあるほかのオプションを選択する機能として定義されています。また、-fast で選択される一部のオプションは、すべてのプラットフォームでは利用できません。-fast の展開を確認するには、-dryrun フラグを使用してコンパイルしてください。


-fast は、特定のベンチマークアプリケーションのパフォーマンスを引き上げます。しかし、対象アプリケーションに適していないオプションが選択される場合もあります。-fast は、アプリケーションを最高のパフォーマンスでコンパイルするための第一歩として使用してください。ただし、追加調整が必要な場合もあります。-fast を使用したコンパイル時にプログラムが誤動作する場合、-fast を構成する個々のオプションを細かく調べ、自分のプログラムに適したオプションの中から正しい動作を保つものだけを呼び出してください。

また、-fast でコンパイルされたプログラムは、使用するデータセットにより、高いパフォーマンスと正確な結果を実現できないことがあります。浮動小数点演算の特定プロパティーに依存するプログラムに対し、-fast を使用したコンパイルは避けてください。

-fast で選択されたオプションの一部は暗黙的にリンクするため、コンパイルとリンクを別々に行う場合は、リンク時も必ず -fast を指定してください。

-fast では、次のオプションを選択します。

次に示すように、-fast オプションのあとに別のオプションを付けて、このリストに追加したり削除したりできます。

f95 -fast -fsimple=1 -xnolibmopt ...

この例では、-fast で選択された -fsimple=2 の指定を変更し、-xlibmopt を無効にしています。

-fast-dalign-fns-fsimple=2 を呼び出すため、-fast でコンパイルされたプログラムは、標準外の浮動小数点演算、標準外のデータ整列、および標準外の式評価の配列を招くことがあります。これらの選択オプションは、ほとんどのプログラムに適していない可能性があります。

-fast フラグで選択する一連のオプションは、コンパイラのリリースによって変更されることがあります。-dryrun を指定してコンパイラを呼び出すと、-fast の展開値が表示されます。


<sparc>%f95 -dryrun -fast |& grep ###
          ###     コマンド行ファイルおよびオプション (展開済み):
          ### -dryrun -xO5 -xarch=sparcvis2 -xcache=64/32/4:1024/64/4
              -xchip=ultra3i -xdepend=yes -xpad=local -xvector=lib
              -dalign -fsimple=2 -fns=yes -ftrap=common -xlibmil
              -xlibmopt -fround=nearest