Sun Studio 12: C ユーザーズガイド

4.6.1.2 移植性の検査

lint は、デフォルトでいくつかの移植不能コードを知らせます。lint-p または -Xc を指定して呼び出されると、さらに多くのケースが診断されます。lint は ISO C 規格に一致しない言語構造を検査します。-p および -Xc のもとで発行されるメッセージに関しては、「4.6.2 lint ライブラリ」を参照してください。

例:


char c;
c = getchar();
if (c == EOF) ...

そこで EOF が値 -1 を持つテストは、文字変数が負でない値を取るマシンでは常に失敗します。-p オプションで呼び出した lint は、普通の char が負の値を取る可能性があるような比較をすべて検査します。しかし前述の例では、csigned char で宣言しても、問題が除去されるのではなく診断が除去されるだけです。これは、getchar() が入力可能な文字と明確な EOF 値を返さなければならず、char がその値を格納することができないためです。これは、処理系ごとに定義される符号拡張から生ずるもっとも一般的な例です。これにより、lint の移植性オプションを注意深く使用すると移植性に関係しないバグを発見するのに役立つということがわかります。ここでは cint で宣言します。


short s;
long l;
s = l;

lint は、デフォルトでこのような代入すべてを知らせます。診断は、-a オプションを指定して呼び出すことにより抑制することができます。どのオプションを指定して lint を呼び出しても、ほかの診断をも抑制する可能性があることに注意してください。2 つ以上の診断を抑制するオプションについては、「4.6.2 lint ライブラリ」にあるリストを参照してください。


int *fun(y)
char *y;
{
    return(int *)y;
}

大部分のマシンでは、intchar とは異なり任意のバイト境界から開始することができないため、lint はフラグを立てます。-h を指定して lint を実行することによってこの診断を抑制することができます。この場合もまた、ほかのメッセージを抑制する可能性があります。汎用ポインタ void * を使用すればほかの影響を回避することができます。


int a[10];
main()
{
    int i = 1;
    a[i++] = i;
}

この例での a[1] の値は、あるコンパイラでは 1、別のコンパイラでは 2 という可能性もあります。 ビット単位の論理演算子 & が論理演算子 && の代わりに誤って使用されると、この診断を引き起こします。


if ((c = getchar()) != EOF & c != ’0’)