Sun Studio 12: C++ ユーザーズガイド

7.2 リポジトリの管理

テンプレートリポジトリの管理は CCadmin(1) コマンド で行います。たとえば、プログラムの変更によって、インスタンス化が不要になり、記憶領域が無駄になることがあります。CCadmin-clean コマンド (以前のリリースの ptclean) を使用すれば、すべてのインスタンス化と関連データを整理できます。インスタンス化は、必要なときだけ再作成されます。

7.2.1 生成されるインスタンス

コンパイラは、テンプレートインスタンス生成のため、インラインテンプレート関数をインライン関数として扱います。コンパイラは、インラインテンプレート関数をほかのインライン関数と同じように管理します。この章の内容は、テンプレートインライン関数には適用されません。

7.2.2 全クラスインスタンス化

コンパイラは通常、テンプレートクラスのメンバーをほかのメンバーからは独立してインスタンス化するので、プログラム内で使用されるメンバーだけがインスタンス化されます。デバッガによる使用を目的としたメソッドは、通常はインスタンス化されません。

デバッグ中のメンバーを、デバッガから確実に利用できるようにするということは、次の 2 つを行うことになります。

ISO C++ 標準では、特定のテンプレート引用により、すべてのメンバーが正当であるとはかぎらないテンプレートクラスを作成してよいと規定しています。不正メンバーをインスタンス化しないかぎり、プログラムは依然として適正です。ISO C++ 標準ライブラリでは、この技法が使用されています。ただし、-template=wholeclass オプションはすべてのメンバーをインスタンス化するので、問題のあるテンプレート引数を使ってインスタンス化する場合には、この種のテンプレートクラスに使用できません。

7.2.3 コンパイル時のインスタンス化

インスタンス化とは、C++ コンパイラがテンプレートから使用可能な関数やオブジェクトを作成するプロセスをいいます。C++ コンパイラ ではコンパイル時にインスタンス化を行います。 つまり、テンプレートへの参照がコンパイルされているときに、インスタンス化が行われます。

コンパイル時のインスタンス化の長所を次に示します。

ソースファイルが異なるディレクトリに存在する場合、またはテンプレートシンボルを指定してライブラリを使用した場合には、テンプレートが複数回にわたってインスタンス化されることがあります。

7.2.4 テンプレートインスタンスの配置とリンケージ

version 5.5 以降の Sun の C++ コンパイラの場合、インスタンスは特別なアドレスセクションに入り、重複しているものをリンカーが見つけて破棄します。コンパイラには、インスタンスの配置とリンケージの方法として、外部、静的、大域、明示的、半明示的のどれを使うかを指定できます。

この節では、5 つのインスタンスの配置とリンケージの方法について説明します。インスタンスの生成に関する詳細は、「6.3 テンプレートのインスタンス化」にあります。