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Copyright 1999 Rogue Wave Software
Copyright 1999 Sun Microsystems, Inc.

形式

#include <rw/winstrea.h>
#include <iostream.h>
iostream str( new RWDDEstreambuf(CF_TEXT, TRUE, TRUE, TRUE) ) ;

説明

クラス RWDDEstreambuf は、GMEM_DDESHARE フラグ付きで割り当てられた Microsoft Windows 大域メモリーとの間で一連の文字を読み書きするための専用 streambuf です。Windows の動的データ交換 (DDE) 機能を通して、データを交換するのに使用できます。

このクラスには、動的と静的の 2 つの動作モードがあります。動的モードでは、必要に応じてメモリーの割り当てと再割り当てが行われます。内部バッファーの現在のサイズに比べて挿入する文字数が多すぎる場合、バッファーのサイズが変更され、必要に応じて古い文字が新しいメモリーにコピーされます。これはユーザーには見えません。このモードは、主に DDE サーバが使用するためのものです。静的モードでは、バッファー streambuf は特定のメモリー領域から作成されます。再割り当ては行われません。このモードは、主に DDE クライアントが使用するためのものです。

動的モードでは、RWDDEstreambuf は、メンバー関数 str() が呼び出されるまで、割り当てられたメモリーを「所有」します。str() はバッファーを「フリーズ」し、ロック解除された Windows ハンドルを RWDDEstreambuf に返します。それ以上挿入した場合の影響は定義されていません。str() が呼び出されるまでは、割り当てられたメモリーを解放するのは RWDDEstreambuf デストラクタの責任です。str() が呼び出された後は、ユーザーの責任になります。

静的モードでは、メモリーハンドルを解放するのはユーザーの責任です。ただし、コンストラクタがハンドルをロックして間接参照するので、デストラクタか str() が呼び出されるまで、ユーザーはメモリーを解放してはなりません。デストラクタと str() のどちらかがハンドルをロック解除します。

ユーザーがメモリーの解放に「責任」を持っていることもありますが、実際に GlobalFree() を呼び出すのがクライアントかサーバーかは、DDE の「リリース」フラグによって決まることに注意してください。

持続性

なし

例

これは DDE サーバーによるクラスの使用方法を示す例です。

#include <rw/winstrea.h> #include <iostream.h> #include <windows.h> #include <dde.h> BOOL postToDDE(HWND hwndServer, HWND hwndClient) { RWDDEstreambuf* buf = new RWDDEstreambuf(CF_TEXT, TRUE, TRUE, TRUE); ostream ostr(buf); double d = 12.34; ostr << "Some text to be exchanged through the DDE.\n"; ostr << "The double you requested is: " << d << endl; ostr.put(0); // 終端ヌルを付ける // streambuf をロックして、そのハンドルを獲得する HANDLE hMem = buf->str(); // 識別アトムを獲得する ATOM aItem = GlobalAddAtom("YourData"); if(!PostMessage(hwndClient, WM_DDE_DATA, hwndServer, MAKELONG(hMem, aItem))){ // メッセージポストが失敗。おそらくクライアントが終了したため。 // この場合、メモリーの割り当てを解除する責任はユーザーにある if( hMem != NULL ) GlobalFree(hMem); GlobalDeleteAtom(aItem); return FALSE; } return TRUE; }

DDE サーバーのハンドルは、パラメータ hwndServer として、クライアントのハンドルはパラメータ hwndClient として渡されます。関連する streambuf として RWDDEstreambuf を使用して、ostream が作成されます。結果は、Windows 大域メモリーに文字が挿入される以外は、cout などの他の ostream とほぼ同様に使用でき、それから DDE を通して転送することができます。コンストラクタで使用されるパラメータに注意してください。これらは、DDE を通してメモリー割り当てを処理する方法に関して重要な分枝点となるので、以下で検討する必要があります。特に、パラメータ fRelease が TRUE の場合には、完了時にクライアントがメモリーの解放に責任があることを示します。デフォルトでも、fAckReq TRUE を指定します。すなわち、クライアントがメッセージの受信を確認することを意味します。したがって、ユーザーがメッセージを受信する準備をしなければなりません。

いくつかのテキストと倍精度浮動小数点数が ostream に挿入されます。次に、Windows の HANDLE をロック解除して返すメンバー関数 str() が呼び出されます。一度 str() を呼び出すと、このメモリーに関する責任はユーザーにあり、完了時にはそれを解放するか、他の誰かに責任を渡さなければなりません。この場合、クライアントに責任が移ります。

次に、データを特定するためにアトムが作成されます。DDE データが識別用アトムとともに送信されます。送信に失敗した場合は、大域メモリーに対する責任を他の誰かにを押しつけることができないため、ユーザー自身がそれを (アトムとともに) 解放しなければなりません。

公開コンストラクタ

RWDDEstreambuf(WORD cfFormat = CF_TEXT,
               BOOL fResponse = TRUE
               BOOL fAckReq   = TRUE
               BOOL fRelease  = TRUE);

空の RWDDEstreambuf を動的モードで作成します。結果は、他の streambuf を使用できる場合はどこでも使用できます。必要に応じて、新しい文字を入れるメモリーが割り当てられます。

『Windows Reference, Volume 2』に 4 つのパラメータが定義されています (特に、「DDE Message Directory」の節を参照してください)。パラメータ cfFormat は streambuf に挿入されるデータの形式を指定します。これらの形式は、SetClipboardData() で使用するものと同じです。単純な ostream ではなく、RWbostream や RWpostream などの特殊化仮想ストリームクラスを使用して、実際の文字挿入を実行する場合、形式はもっと複雑になります。この場合、ユーザーは Windows 関数 RegisterClipboardFormat() を使用して自分の形式を登録しておくことができます。

他の 3 つのパラメータの意味については、下記または『Windows Reference Manual』を参照してください。

RWDDEstreambuf(HANDLE hMem);

大域ハンドル hMem を持つメモリーブロックを使って、RWDDEstreambuf を静的モードで作成します。このメモリーブロックのサイズを超えて、読み書きを行った場合の影響は定義されていません。DDE 転送の形式と、DDE 確認、メモリー割り当てなどの詳細は、次に定義するメンバー関数を使って獲得できます。

公開デストラクタ

~RWDDEstreambuf();

メンバー関数 str() が呼び出されていない場合、デストラクタがハンドルをロック解除し、動的モードであればそれを解放します。

公開メンバー関数

RWDDEstreambuf は streambuf から継承するため、後者のメンバー関数のどれでも使用できます。さらに、RWDDEstreambuf は strstreambuf に類似した設計となっています。ただし、str() の戻り型は char* ではなく HANDLE であることに注意してください。

BOOL
ackReq() const;

この DDE 交換要求が確認を要求するかどうかを返します。詳細については、『Windows Reference, Volume 2』を参照してください。

WORD
format() const;

この DDE 交換の形式 (たとえば、テキスト交換の場合は CF_TEXT) の形式を返します。詳細については、『Windows Reference, Volume 2』を参照してください。

BOOL
release() const;

str() が返したメモリーの解放の責任がクライアントにある場合は、TRUE を返します。詳細については、『Windows Reference, Volume 2』を参照してください。

BOOL
response() const;

WM_DDE_REQUEST メッセージに対する応答中にこのデータがある場合は、TRUE を返します。ここにデータがない場合は、WM_DDE_ADVISE メッセージへの応答中にあります。詳細については、『Windows Reference, Volume 2』を参照してください。

HANDLE
str();

使用する大域メモリーへの (ロック解除された) HANDLE を返します。ここで、RWDDEstreambuf は「フリーズしている」ものとみなす必要があります。それ以上文字を挿入した場合の影響は定義されていません。RWDDEstreambuf が動的モードで作成され、何も挿入されていない場合は、NULL の HANDLE が返されることがあります。静的モードで作成された場合は、RWDDEstreambuf を作成するのに使用されたハンドルが返されます。