データオブジェクトは、宣言された型と名前の組み合わせで完全に記述できます。単純なスカラーデータオブジェクト「{int i}」は、型「int」の変数「i」を記述するのに対して、「{const+pointer+int p}」は、「p」と呼ぶ型「int」への定数ポインタを記述します。型名のスペースは「_」(アンダースコア) と置き換えられ、名前の付いていないデータオブジェクトは「-」(ハイフン)、たとえば、「{double_precision_complex -}」という名前で表されます。
集合体全体も同様に、「foo_t」型の構造体の場合は「{structure:foo_t}」と表されます。集合体の要素は、その要素のコンテナを追加指定する必要があります。たとえば、直前の「foo_t」型の構造体の型「int」のメンバー「i」の場合は「{structure:foo_t}.{int i}」となります。集合体はそれ自体、(さらに大きい) 集合体の要素になることも可能で、対応する記述子は集合体記述子を連結したもの、最終的にはスカラー記述子になります。
完全修飾された記述子は、データオブジェクトを明確にするために必ずしも必要ではありませんが、データオブジェクトの識別を支援するために一般的な完全指定を示します。
<合計> データオブジェクトは、プログラムのデータオブジェクト全体を表すために使用される擬似的な構造です。あらゆるパフォーマンスメトリックは、異なるデータオブジェクト (およびそのオブジェクトが属する集合体) のメトリックとして加算されるほかに、<合計> という特別なデータオブジェクトに加算されます。このデータオブジェクトはデータオブジェクトリストの先頭に表示され、そのデータを使用してほかのデータオブジェクトのデータの概略を見ることができます。
集合体要素のパフォーマンスメトリックは関連する集合体のメトリック値にさらに加算されますが、すべてのスカラー定数および変数のパフォーマンスメトリックは擬似的な <スカラー> データオブジェクトのメトリック値にさらに加算されます。
さまざまな状況下で、特定のデータオブジェクトにイベントデータをマップできない場合があります。このような場合、データは <未知> という特別なデータオブジェクトと次に説明するいずれかの要素にマップされます。
トリガー PC を持つモジュールが -xhwcprof を使用してコンパイルされていない
イベントの原因となっている命令またはデータオブジェクトは、オブジェクトコードがハードウェアカウンタプロファイルサポートを指定してコンパイルされていなかったので、識別されませんでした。
バックトラッキングで有効な分岐先を検出できなかった
イベントの原因となっている命令は、コンパイルオブジェクト内で提供されたハードウェアプロファイルサポート情報が、バックトラッキングの妥当性を検証するには不十分だったため、識別されませんでした。
バックトラッキングで分岐先をトラバースした
イベントの原因となっている命令またはデータオブジェクトは、バックトラッキングで命令ストリーム内から制御転送ターゲットが検出されたため、識別されませんでした。
識別する記述子がコンパイラから提供されなかった
バックトラッキングで原因と思われるメモリー参照命令を判別しましたが、それに関連するデータオブジェクトはコンパイラで指定されませんでした。
タイプ情報がない
バックトラッキングでイベントの原因と思われる命令を判別しましたが、その命令は、コンパイラによってメモリー参照命令として識別されませんでした。
コンパイラが提供したシンボリック情報から判別不能
バックトラッキングで原因と思われるメモリー参照命令を判別しましたが、その命令はコンパイラによって識別されなかったため、それに関連するデータオブジェクトも判別できません。コンパイラのテンポラリは一般に識別されません。
バックトラッキングが、ジャンプ命令または呼び出し命令によって阻止された
イベントの原因となっている命令は、バックトラッキングで命令ストリームの中から分岐命令または呼び出し命令が検出されたため、識別されませんでした。
バックトラッキングでトリガー PC が検出されなかった
イベントの原因である命令を、最大のバックトラッキング範囲内から検出できませんでした。
トリガー命令のあとでレジスタが変更されたため、仮想アドレスを判別できなかった
レジスタがハードウェアカウンタのスキッド中に上書きされたため、データオブジェクトの仮想アドレスを判別できませんでした。
メモリー参照命令で有効な仮想アドレスが指定されなかった
データオブジェクトの仮想アドレスが有効であるように見えませんでした。