アジア言語環境においてプログラマがより柔軟にプログラムを組むために、ISO C では、ワイド文字定数とワイド文字列リテラルを提供しています。この 2 つの形式は、直前に文字「L」の接頭辞が付くことを除き、通常の (ワイドでない) バージョンと同じです。
「x」 通常の文字定数
「¥」 通常の文字定数
L'x' ワイド文字定数
L'¥' ワイド文字定数
"abc¥xyz" 通常の文字列リテラル
L"abcxyz" ワイド文字列リテラル
複数バイト文字は、通常とワイドの両方のバージョンで有効です。表意文字 ¥ を生成するために必要なバイトシーケンスは符号化によって異なります。しかし、文字定数「¥」が複数のバイトから構成される場合、「ab」が実装により定義されるのと同様に、その値は実装により定義されます。エスケープシーケンスを除き、通常の文字列リテラルには、引用符の間に指定されたものと同じバイト数 (指定したすべての複数バイト文字のバイト数も含む) が含まれます。
コンパイルシステムがワイド文字定数またはワイド文字列リテラルを検出したとき、各複数バイト文字は (mbtowc() 関数を呼び出したように) ワイド文字に変換されます。したがって、L'¥' の型は wchar_t です。abc¥xyz の型は長さが 8 の wchar_t の配列です。通常の文字列リテラルと同様に、各ワイド文字列リテラルは、値がゼロの余分な要素が追加されます。しかし、この要素は、ゼロの値を持つ wchar_t です。
通常の文字列リテラルが文字配列初期化の簡単な方法として使用できるのと同様に、ワイド文字列リテラルも wchar_t 配列を初期化するために使用できます。
wchar_t *wp = L"a¥z"; wchar_t x[] = L"a¥z"; wchar_t y[] = {L’a’, L’¥’, L’z’, 0}; wchar_t z[] = {’a’, L’¥’, ’z’, ’\0’}; |
前述の例では、3 つの配列 x、y、z と、wp が指す配列の長さは同じです。すべての配列は同じ値で初期化されます。
最後に、通常の文字列リテラルと同様に、隣接するワイド文字列リテラルは連結されます。しかし、1990 ISO/IEC C 規格では、通常の文字列リテラルとワイド文字列リテラルが隣接する場合、その動作は定義されていません。また、1990 ISO/IEC C 規格では、このような連結が受け付けられない場合、コンパイラはエラーを発行する必要はありません。