Sun Studio 12 Update 1: C++ ユーザーズガイド

12.5 標準ライブラリの静的リンク

デフォルト時、CC ドライバは、デフォルトライブラリの -llib オプションをリンカーに渡すことによって、libclibm を含むいくつかのライブラリの共有バージョンでリンクします。互換性モードと標準モードにおけるデフォルトライブラリのリストについては、「12.2.3 デフォルトの C++ ライブラリ」を参照してください。

このようにデフォルトのライブラリを静的にリンクする場合、-library オプションと -staticlib オプションを一緒に使用すれば、C++ ライブラリを静的にリンクできます。この方法は、以前説明した方法よりもかなり簡単です。たとえば、次のようにします。


example% CC test.c -staticlib=Crun

この例では、-library オプションが明示的にコマンドに指定されていません。標準モード (デフォルトのモード) では、-library のデフォルトの設定が Cstd,Crun であるため、-library オプションを明示的に指定する必要はありません。

あるいは、-xnolib コンパイラオプションも使用できます。-xnolib オプションを指定すると、ドライバは自動的には -l オプションを ld に渡しません。次の例は、Solaris 8 または Solaris 9 オペレーティングシステムで libCrun と静的に、libm および libc と動的にリンクする方法を示します。


example% CC test.c– xnolib– lCstd– Bstatic– lCrun– Bdynamic– lm– lc

-l オプションの順序は重要です。-lCstd-lCrun、および -lm オプションは、-lc の前に表示します。


注 –

libCrun および libCstd を静的にリンクすることはお勧めできません。/usr/lib 内の動的バージョンは、インストール先の Solaris のバージョンで動作するよう構築します。


ほかのライブラリにリンクする CC オプションもあります。そうしたライブラリへのリンクも -xnolib によって行われないように設定できます。たとえば、-mt オプションを指定すると、CC ドライバは、-lthreadld に渡します。これに対し、-mt-xnolib の両方を使用すると、CC ドライバは ld-lthread を渡しません。詳細は、「A.2.153 -xnolibを参照してください。ld については、Solaris に関するマニュアル『リンカーとライブラリ』を参照してください。


注 –

/lib および /usr/lib にある Solaris ライブラリの静的バージョンは、もう使用できません。たとえば、libc を静的にリンクしようとする試みは、失敗します。


      CC hello.cc -xnolib -lCrun -lCstd -Bstatic -lc