Sun Studio 12 Update 1: C++ ユーザーズガイド

警告

クライアントがライブラリ内の関数をオーバーライドできるようにする場合は必ず、ライブラリの構築時に関数がインラインで生成されないようにしてください。-xinline を指定して関数名を指定した場合、-xO4 以上でコンパイルした場合 (自動的にインライン化されます)、インライン指定子を使用した場合、または、複数のソースファイルにわたる最適化を使用している場合、コンパイラは関数をインライン化します。

たとえば、ABC というライブラリにデフォルトの allocator 関数があり、ライブラリクライアントがその関数を使用でき、ライブラリの内部でも使用されるものとします。

void* ABC_allocator(size_t size) { return malloc(size); }

-xO4 以上でライブラリを構築すると、コンパイラはライブラリ構成要素内での ABC_allocator の呼び出しをインライン化します。ライブラリクライアントが ABC_allocator を独自の allocator と置き換える場合、置き換えられた allocator は ABC_allocator を呼び出したライブラリ構成要素内では実行されません。最終的なプログラムには、この関数の相異なるバージョンが含まれることになります。

__hidden 指示子または __symbolic 指示子で宣言されたライブラリ関数は、ライブラリの構築時にインラインで生成することができます。これらの関数がクライアントからオーバーライドされることは、サポートされていません。「4.1 リンカースコープ」を参照してください。

__global 指示子で宣言されたライブラリ関数はインラインで宣言しないでください。また、-xinline コンパイラオプションを使用することによってインライン化されることがないようにしてください。