Oracle Solaris Studio 12.2: パフォーマンスアナライザ

Java テクノロジーベースのソフトウェア実行の概要

典型的な開発者にとっては、Java テクロノジーベースのアプリケーションはほかのプログラムと同じように動作します。このアプリケーションは、一般に class.main というメインエントリポイントから始まり、C または C++ アプリケーションの場合と同様に、ほかのメソッドを呼び出すことがあります。

オペレーティングシステムにとっては、Java プログラミング言語で書かれたアプリケーション (純粋なものか、C/C++ が混合しているもの) は JVM ソフトウェアをインスタンス化するプロセスとして動作します。JVM ソフトウェアは C++ ソースからコンパイルされ、_start から実行を開始し、それが main を呼び出すというように処理が進行します。このソフトウェアは .class ファイルまたは .jar ファイルからバイトコードを読み取り、そのプログラムで指定された操作を実行します。指定できる操作の中には、ネイティブ共有オブジェクトの動的な読み込みや、そのオブジェクト内に含まれている各種関数やメソッドへの呼び出しがあります。

JVM ソフトウェアは、従来の言語で記述されたアプリケーションでは一般に行われない多数の動作を行います。起動時に、このソフトウェアはデータ空間に動的に生成されたコードの多数の領域を作成します。これらの領域の 1 つは、アプリケーションのバイトコードメソッドを処理するために使用される実際のインタプリタコードです。

Java テクノロジーベースのアプリケーションの実行中、大半のメソッドは JVM ソフトウェアで解析されます。本書では、これらのメソッドをインタプリタされたメソッドと呼んでいます。Java HotSpot 仮想マシンによって、バイトコードの解析時にパフォーマンスが監視され、頻繁に実行されているメソッドが検出されます。繰り返し実行されているメソッドは、Java HotSpot 仮想マシンによってコンパイルされ、マシンコードが生成される場合があります。マシンコードが生成されたメソッドは、コンパイルされたメソッドと呼びます。仮想マシンでは、その後、メソッドの元のバイトコードを解析せずに、より効率的な、コンパイルされたメソッドが実行されます。コンパイルされたメソッドはアプリケーションのデータ空間に読み込まれ、その後のある時点で読み込み解除することができます。さらに、インタプリタされたコードとコンパイルされたコードの間の変換を行うために、ほかのコードがデータ空間で生成されます。

Java プログラミング言語で書かれたコードは、コンパイルされたネイティブコード、すなわち、C、C++、または Fortran 内へ直接呼び出すこともでき、そのような呼び出しのターゲットをネイティブメソッドと呼びます。

Java プログラミング言語で記述されたアプリケーションは本質的にマルチスレッド型で、ユーザーのプログラム内でスレッドごとに 1 つの JVM ソフトウェアスレッドがあります。Java アプリケーションはまた、シグナル処理、メモリー管理、Java HotSpot 仮想マシンのコンパイルに使用されるハウスキーピングスレッドもいくつかあります。

データの収集は、J2SE の JVMTI にあるさまざまなメソッドを使用して実装されます。

Java 呼び出しスタックとマシン呼び出しスタック

パフォーマンスツールは、各 Solaris LWP または Linux スレッドの存続期間中にイベントを記録するほか、イベント時に呼び出しスタックを記録することによってデータを収集します。任意のアプリケーションの実行の任意の時点で、呼び出しスタックは、プログラムが実行のどの段階まで、またどのように達したかを表します。混合モデル Java アプリケーションが従来の C、C++、および Fortran アプリケーションと異なる 1 つの重要な点は、ターゲットの実行中は常に、意味のある呼び出しスタックとして、Java 呼び出しスタックとマシン呼び出しスタックがあるという点です。両方の呼び出しスタックがプロファイル時に記録され、解析時に調整されます。

時間ベースのプロファイリングとハードウェアカウンタオーバーフローのプロファイリング

Java プログラムに対する時間ベースのプロファイルおよびハードウェアカウンタオーバーフローのプロファイルは、Java 呼び出しスタックとマシン呼び出しスタックの両方が収集されることを除けば、C や C++、Fortran プログラムに対するのと完全に同じ働きをします。