Oracle Solaris Studio 12.2: dbx コマンドによるデバッグ

データ変更ブレークポイントを設定する

dbx でデータ変更ブレークポイントを使用すると、変数値や式がいつ変更されたかをメモしておくことができます。

特定アドレスへのアクセス時にプログラムを停止する

特定のメモリーアドレスがアクセスされたときにプログラムを停止するには、次のように入力します。


(dbx) stop access mode address-expression [, byte-size-expression]

mode はメモリーのアクセス方法を指定します。次の文字 (複数可) で構成されます。

r

指定したアドレスのメモリーが読み取られたことを示します。

w

メモリーへの書き込みが実行されたことを示します。

x

メモリーが実行されたことを示します。

さらに mode には、次のいずれかの文字も指定することができます。

a

アクセス後にプロセスを停止します (デフォルト)。

b

アクセス前にプロセスを停止します。

いずれの場合も、プログラムカウンタはアクセスしている命令をポイントします。「前」と「後」は副作用を指しています。

address-expression は、その評価によりアドレスを生成できる任意の式です。シンボル式を使用すると、監視される領域のサイズが自動的に推定されます。このサイズは、byte-size-expression を指定することにより、上書されます。シンボルを使用しない、型を持たないアドレス式を使用することもできますが、その場合はサイズを指定する必要があります。

次の例では、メモリーアドレス 0x4762 以降の 4 バイトのいずれかが読み込まれたあとにプログラムが停止します。


(dbx) stop access r 0x4762, 4

次の例では、変数 speed に書き込みが行われる前にプログラムが停止します。


(dbx) stop access wb &speed

stop access コマンドを使用する場合、次の点に注意してください。

access イベントを指定する詳細については、access mode address-expression [, byte-size-expression ]および stop コマンド」を参照してください。

変数の変更時にプログラムを停止する

指定した変数の値が変更された場合にプログラム実行を停止するには、次のように入力します。


(dbx) stop change variable

stop change コマンドを使用する場合、次の点に注意してください。

change イベントを指定する詳細については、change variable および stop コマンド」を参照してください。

dbx は、自動シングルステップを実行し、各ステップで値をチェックすることにより、stop change を実装します。ライブラリが -g オプションでコンパイルされていない場合、ステップ実行においてライブラリの呼び出しが省略されます。そのため、制御が次のように流れていく場合、dbx はネストされた user_routine2 をトレースしません。トレースにおいて、ライブラリの呼び出しとネストされた user_routine2 の呼び出しが省略されるからです。


   user_routine calls
      library_routine, which calls
        user_routine2, which changes variable

variable の値の変更は、user_routin2 が実行されている最中ではなく、ライブラリが呼び出しから戻ったあとに発生したように見えます。

dbx は、ブロック局所変数 ({} でネストされている変数) の変更に対しブレークポイントを設定できません。「ネスト」されたブロック局所変数でブレークポイントまたはトレースを設定しようとすると、その操作を実行できない旨を伝えるエラーメッセージが表示されます。


注 –

change イベントよりも access イベントを使用した方が、迅速にデータ変更をチェックできます。自動的にプログラムのシングルステップを実行する代わりに、access イベントはハードウェアまたはオペレーティングシステムのはるかに高速なサービスを利用します。


条件付きでプログラムを停止する

条件文が真と評価された場合にプログラムを停止するには、次のように入力します。


(dbx) stop cond condition

condition が発生すると、プログラムは処理を停止します。

stop cond コマンドを使用する場合、次の点に注意してください。

condition イベントを指定する詳細については、cond condition-expression および stop コマンド」を参照してください。