次のアドバイスと概要は、Fortran プログラムをデバッグするときに役立ちます。dbx を使用した Fortran OpenMP コードのデバッグについては、「イベントとの対話」を参照してください。
デバッグセッション中、dbx は、1 つのプロシージャと 1 つのソースファイルをカレントとして定義します。ブレークポイントの設定要求と変数の出力または設定要求は、カレントの関数とファイルに関連付けて解釈されます。したがって、stop at 5 は、カレントファイルがどれであるかによって、3 つの異なるブレークポイントのうち 1 つを設定します。
プログラムのいずれかの識別子に大文字が含まれる場合、dbx はそれらを認識します。いくつかの旧バージョンの場合のように、大文字/小文字を区別するコマンド、または区別しないコマンドを指定する必要はありません。
Fortran 95 と dbx は、大文字/小文字を区別するモードまたは区別しないモードのいずれかに統一する必要があります。
大文字/小文字を区別しないモードでコンパイルとデバッグを行うには、-U オプションを付けずにこれらの処理を行います。その場合、dbx input_case_sensitive 環境変数のデフォルト値は false になります。
ソースに LAST という変数がある場合、dbx では、print LAST コマンドおよび print last コマンドはいずれも要求どおりに動作します。Fortran 95 と dbx は、LAST と last を要求どおり同じものとして扱います。
大文字/小文字を区別するモードでコンパイルとデバッグを行うには、-U オプションを付けます。その場合、dbx input_case_sensitive 環境変数のデフォルト値は true になります。
ソースに LAST という変数と last という変数がある場合、dbx では、print last コマンドは動作しますが、print LAST コマンドは動作しません。Fortran 95 と dbx はいずれも、LAST と last を要求どおりに区別します。
dbx では、dbx input_case_sensitive 環境変数を false に設定しても、ファイル名またはディレクトリ名について、大文字/小文字を常に区別します。
次の例では、サンプルプログラム my_program を使用します。
デバッグのための主プログラム a1.f:
PARAMETER ( n=2 ) REAL twobytwo(2,2) / 4 *-1 / CALL mkidentity( twobytwo, n ) PRINT *, determinant( twobytwo ) END |
デバッグのためのサブルーチン a2.f:
SUBROUTINE mkidentity ( array, m ) REAL array(m,m) DO 90 i = 1, m DO 20 j = 1, m IF ( i .EQ. j ) THEN array(i,j) = 1. ELSE array(i,j) = 0. END IF 20 CONTINUE 90 CONTINUE RETURN END |
デバッグのための関数 a3.f
REAL FUNCTION determinant ( a ) REAL a(2,2) determinant = a(1,1) * a(2,2) - a(1,2) / a(2,1) RETURN END |
-g オプションでコンパイルとリンクをします。
この処理は、まとめて 1 回または 2 回に分けて実行することができます。
-g フラグ付きコンパイルとリンクを 1 度にまとめて行います。
demo% f95 -o my_program -g a1.f a2.f a3.f |
コンパイルとリンクを分けて行います。
demo% f95 -c -g a1.f a2.f a3.f demo% f95 -o my_program a1.o a2.o a3.o |
実行可能ファイル my_program について dbx を起動します。
demo% dbx my_program Reading symbolic information… |
stop in subnam と入力して、簡単なブレークポイントを設定します。subnam は、サブルーチン、関数、ブロックデータサブプログラムを示します。
main プログラム中の最初の実行可能文で停止します。
(dbx) stop in MAIN (2) stop in MAIN |
通常 MAIN は大文字ですが、subnam は大文字でも小文字でもかまいません。
run コマンドを入力して、dbx からプログラムを実行します。dbx の起動時に指定された実行可能ファイルの中で、プログラムが実行されます。
(dbx) run Running: my_program stopped in MAIN at line 3 in file "a1.f" 3 call mkidentity( twobytwo, n ) |
ブレークポイントに到達すると、dbx はどこで停止したかを示すメッセージを表示します。前述の例では、a1.f ファイルの行番号 3 で停止しています。
print コマンドを使用して、値を出力します。
n の値を出力します。
(dbx) print n n = 2 |
マトリックス twobytwo を出力します。
(dbx) print twobytwo twobytwo = (1,1) -1.0 (2,1) -1.0 (1,2) -1.0 (2,2) -1.0 |
マトリックス array を出力します。
(dbx) print array dbx: "array" is not defined in the current scope (dbx) |
ここで array は定義されていないため、出力は失敗します (mkidentity 内でのみ有効)。
next コマンドを使用して、次の行に実行を進めます。
次の行に実行を進めます。
(dbx) next stopped in MAIN at line 4 in file "a1.f" 4 print *, determinant( twobytwo ) (dbx) print twobytwo twobytwo = (1,1) 1.0 (2,1) 0.0 (1,2) 0.0 (2,2) 1.0 (dbx) quit demo% |
next コマンドは現在のソース行を実行し、次のソース行で停止します。これは副プログラムの呼び出しを 1 つの文として数えます。
next コマンドと step コマンドを比較します。step コマンドは、ソースの次の行または副プログラムの次のステップを実行します。通常、次の実行可能ソース文がサブルーチンまたは関数呼び出しの場合、各コマンドは次の処理を行います。
step コマンドは、副プログラムのソースの最初の文にブレークポイントを設定します。
next コマンドは、呼び出し元のプログラム中で、呼び出しのあとの最初の文にブレークポイントを設定します。
quit コマンドを入力して、dbx を終了します。
(dbx)quit demo% |