この章では、最新の Solaris Studio C++ コンパイラの概要について説明します。
この節では、Solaris Studio 12.2 C++ 5.11 コンパイラリリースに導入された新機能と変更された機能の概要を一覧に示します。
-O オプションまたは -xO オプションとともに -g オプションを使用すると、インライン化が有効になります。(「A.2.30 -g」)
C++ オプション -xalias_level=compatible オプションを使用すると、プログラムが C++ 標準の要件を満たすことが表明されます。(「A.2.106 -xalias_level[= n]」)
Oracle Solaris にインストールされた Apache C++ ライブラリのサポートが追加されました。(「A.2.49 -library=l[ ,l...]」)
-compat=g オプションにより、Gnu g++ との互換性が部分的に実現されます。(「A.2.6 –compat[={ 4|5|g}]」)
-features=[no%]rvalueref オプションにより、特定のコンパイラチェックが無効になります。(「A.2.18 -features=a[ ,a...]」)
SPARC-V9 ISA の SPARC VIS3 バージョンのサポートが追加されました。-xarch=sparcvis3 オプションを使用してコンパイルすると、SPARC-V9 命令セットの命令、UltraSPARC および UltraSPARC-III 拡張機能、積和演算 (FMA) 命令、および VIS (Visual Instruction Set) バージョン 3.0 をコンパイラが使用できるようになります。(「A.2.109 -xarch=isa」)
x86 ベースのシステムに基づく -xvector オプションのデフォルト値が -xvector=simd に変更されました。(「A.2.187 -xvector[= a]」)
AMD SSE4a 命令セットのサポートが -xarch=amdsse4a オプションで使用できるようになりました。(「A.2.109 -xarch=isa」)
-traceback オプションを使用すると、重大なエラーが発生した場合に実行可能ファイルでスタックトレースを出力できます。(「A.2.94 -traceback[={ %none|common|signals_list}]」)
-mt オプションが -mt=yes または -mt=no に変更されています。(「A.2.55 -mt[={yes |no}]」)
#warning コンパイラ指令により、指令内のテキストが警告として発行され、コンパイルが続行されます。(「2.5.4 警告とエラー」)
新しいプラグマ does_not_read_global_data、does_not_write_global_data、および no_side_effect が追加されました。(「2.5.1 プラグマ」)
ヘッダーファイル mbarrier.h を使用できるようになりました。このヘッダーファイルは、SPARC プロセッサと x86 プロセッサでマルチスレッドコードのさまざまなメモリーバリアー組み込み関数を定義します。(「10.5 メモリーバリアー組み込み関数」)
-xprofile=tcov オプションが拡張されて、オプションのプロファイルディレクトリパス名がサポートされるようになりました。また、tcov 互換のフィードバックデータも生成できます。(「A.2.170 –xprofile=p」)
このリリースでは、-xMD オプションと -xMMD オプション (C/C++) により記述された依存関係ファイルにより、既存のファイルがすべて上書きされます。(「A.2.146 -xMD」)
x86 Solaris プラットフォーム用にコンパイルを行う場合に注意が必要な、重要な事項がいくつかあります。
従来の Sun スタイルの並列化プラグマがすべてのプラットフォームで使用できなくなりました。代わりに OpenMP を使用してください。従来の並列化命令を OpenMP に変換する方法については、『Solaris Studio 12.2: OpenMP API ユーザーズガイド』を参照してください。
-xarch を sse、sse2、sse2a、または sse3 以降に設定してコンパイルしたプログラムは、必ずこれらの拡張子と機能を提供するプラットフォームでのみ実行してください。
Solaris 9 4/04 以降の Solaris OS リリースは、Pentium 4 互換プラットフォームでは SSE/SSE2 に対応しています。これより前のバージョンの Solaris OS は SSE/SSE2 に対応していません。-xarch で選択した命令セットが、実行中の Solaris OS で有効ではない場合、コンパイラはその命令セットのコードを生成またはリンクできません。
コンパイルとリンクを個別に行う場合は、必ずコンパイラを使ってリンクし、同じ -xarch 設定で正しい起動ルーチンがリンクされるようにしてください。
x86 の 80 ビット浮動小数点レジスタが原因で、x86 での演算結果が SPARC の結果と異なる場合があります。この差を最小にするには、--fstore オプションを使用するか、ハードウェアが SSE2 をサポートしている場合は -xarch=sse2 でコンパイルします。
Solaris と Linux でも、固有の数学ライブラリ (たとえば、sin(x)) が同じではないため、演算結果が異なることがあります。
ILP32 32 ビットモデル用にコンパイルするには、—m 32 オプションを使用します。ILP64 64 ビットモデル用にコンパイルするには、—m64 オプションを使用します。
ILP 32 モデルでは、C++ 言語の int、long、およびポインタデータ型はすべて 32 ビット幅であることを指定します。long およびポインタデータ型を指定する LP64 モデルは、すべて 64 ビット拡張です。Solaris および Linux OS は、LP64 メモリーモデルの大きなファイルや配列もサポートします。
-m64 を使用してコンパイルを行う場合、結果の実行可能ファイルは、64 ビットカーネルを実行する Solaris OS または Linux OS の 64 ビット UltraSPARC または x86 プロセッサでのみ動作します。コンパイル、リンク、および 64 ビットオブジェクトの実行は、64 ビット実行をサポートする Solaris または Linux OS でのみ行うことができます。
Solaris システムの Sun Studio 11 以降では、Solaris Studio コンパイラによってコンパイルされたプログラムのバイナリには、そのコンパイル済みバイナリによって想定されている命令セットを示すアーキテクチャーハードウェアフラグが付いています。実行時にこれらのマーカーフラグが検査され、実行しようとしているハードウェアで、そのバイナリが実行できることが確認されます。
プログラムにこれらのアーキテクチャーハードウェアフラグが含まれない場合、またはプラットフォームが適切な機能または命令セット拡張に対応していない場合、プログラムを実行することによりセグメント例外、または明示的な警告メッセージなしの不正な結果が発生することがあります。
このことは、.il インラインアセンブリ言語関数を使用しているプログラムや、SSE、SSE2、SSE2a、SSE3 の命令、およびより新しい命令と拡張機能を利用している __asm() アセンブラコードにも当てはまります。
この C++ コンパイラ (CC) は、ISO International Standard for C++, ISO IS 14882:2003, Programming Language - C++ に準拠しています。このリリースに含まれる README (最新情報) ファイルには、この規格の仕様と異なる記述が含まれています。
SPARC プラットフォームでは、このコンパイラは、UltraSPARC の実装と SPARC V8 と SPARC V9 の「最適化活用」機能をサポートします。これらの機能は、Prentice-Hall から出版された SPARC International による『SPARC アーキテクチャ・マニュアル バージョン 8 』(トッパン刊) と『SPARC ArchitectureManual, Version 9』(ISBN 0-13-099227-5) (英語版のみ)に定義されています。
このマニュアルでは、「標準」は、前述の規格の各バージョンに準拠していることを意味します。「非標準」および「拡張」は、これらの規格のバージョンに準拠しない機能のことを指します。
これらの標準は、それぞれの標準を策定する組織によって改訂されることがあります。したがって、コンパイラが準拠するバージョンの規格が改訂されたり、完全に書き換えられた場合、機能によっては、Solaris Studio C++ コンパイラの将来のリリースで前のリリースと互換性がなくなる場合があります。
C++ コンパイラの readme ファイルでは、コンパイラに関する重要な情報について説明しています。これは、『Oracle Solaris Studio 12.2 リリースの新機能』ガイドの一部となりました。次の内容が含まれています。
マニュアルの印刷後に判明した情報
新規および変更された機能
ソフトウェアの非互換性
問題および解決方法
制限および互換性の問題
出荷可能なライブラリ
実装されていない規格
『新機能』ガイドには、このリリースのドキュメント索引 (http://www.oracle.com/technetwork/server-storage/solarisstudio/documentation) からアクセスできます。
オンラインのマニュアルページ (man) では、コマンドや関数、サブルーチン、およびその機能に関する情報を簡単に参照できます。
マニュアルページを表示するには、次のように入力してください。
example% man topic |
C++ のドキュメント全体を通して、マニュアルページのリファレンスは、トピック名とマニュアルページの節番号で表示されます。CC(1) を表示するには、man CC と入力します。1 以外の節 (ieee_flags(3M) など) には、次のように man コマンドで -s オプションを使用してアクセスできます。
example% man -s 3M ieee_flags |
このリリースの C++ では、英語以外の言語を使用したアプリケーションの開発をサポートしています。対象としている言語は、ヨーロッパのほとんどの言語、中国語、日本語です。このため、アプリケーションをある言語から別の言語に簡単に置き換えることができます。この機能を国際化と呼びます。
通常 C++ コンパイラでは、次のように国際化を行なっています。
どの国のキーボードから入力された ASCII 文字でも認識する。つまりキーボードに依存せず、8 ビット透過となっています。
メッセージによっては現地語で出力できるものもある。
注釈、文字列、データに、現地語の文字を使用できる。
C++ は、Extended UNIX Character (EUC) 準拠の文字セットをサポートしています。この文字セットでは、文字列中のすべての NULL バイトが NULL 文字になります。また、文字列中で ASCII 値が / のバイトはすべて / 文字になります。
変数名は国際化できません。必ず英語の文字を使用してください。
アプリケーションをある国の言語から別の国の言語に変更するには、ロケールを設定します。言語の切り換えのサポートに関する情報については、オペレーティングシステムのドキュメントを参照してください。
この章では、C++ コンパイラの使用方法を説明します。
コンパイラの主な目的は、C++ などの高水準言語で書かれたプログラムをコンピュータハードウェアで実行できるデータファイルに変換することです。C++ コンパイラを使用すると、次の作業を行うことができます。
ソースファイルを再配置可能なバイナリ (.o) ファイルに変換する。これらのファイルはそのあと、実行可能ファイル、(-xar オプションで) 静的 (アーカイブ) ライブラリ (.a) ファイル、動的 (共有) ライブラリ (.so) ファイルなどにリンクされる。
オブジェクトファイルとライブラリファイルのどちらか (または両方) をリンク (または再リンク) して実行可能ファイルを作成する。
実行時デバッグを (-g オプションで) 有効にして、実行可能ファイルをコンパイルする。
文レベルや手続きレベルの実行時プロファイルを (-pg オプションで) 有効にして、実行可能ファイルをコンパイルする。
この節では、C++ コンパイラを使って C++ プログラムのコンパイルと実行をどのように行うかを簡単に説明します。コマンド行オプションの詳細なリファレンスについては、付録 A C++ コンパイラオプションを参照してください。
この章のコマンド行の例は、CC の使用方法を示すためのものです。実際に出力される内容はこれと多少異なる場合があります。
C++ アプリケーションを構築して実行するには、基本的に次の手順が必要です。
エディタを使用して、表 2–1 に一覧表示されている有効な接尾辞の 1 つを指定し、C++ ソースファイルを作成する。
コンパイラを起動して実行可能ファイルを作成する。
実行可能ファイルの名前を入力してプログラムを実行する。
次のプログラムは、メッセージを画面に表示する例です。
example% cat greetings.cc #include <iostream> int main() { std::cout << “Real programmers write C++!” << std::endl; return 0; } example% CC greetings.cc example% ./a.out Real programmers write C++! example% |
この例では、ソースファイル greetings.cc を CC でコンパイルしています。デフォルトでは、実行可能ファイルがファイル a.out として作成されます。プログラムを起動するには、コマンドプロンプトで実行可能ファイル名 a.out を入力します。
従来、UNIX コンパイラは実行可能ファイルに a.out という名前を付けていました。しかし、すべてのコンパイルで同じファイルを使用するのは不都合な場合があります。そのファイルがすでにあれば、コンパイラを実行したときに上書きされてしまうからです。次の例のように、コンパイラオプションに -o を使用すれば、実行可能出力ファイルの名前を指定できます。
example% CC– o greetings greetings.cc |
この例では、-o オプションを指定することによって、実行可能なコードがファイル greetings に書き込まれます。プログラムにソースファイルが 1 つだけしかない場合は、ソースファイル名から接尾辞を除いたものをそのプログラム名にすることが一般的です。
あるいは、コンパイルのあとに mv コマンドを使って、デフォルトの a.out ファイルを別の名前に変更することもできます。いずれの場合も、実行可能ファイルの名前を入力して、プログラムを実行します。
example% ./greetings Real programmers write C++! example% |
本章のこれ以降の節では、CC コマンドで使用する規約、コンパイラのソース行指令など、コンパイラの使用に関連する内容について説明します。
CC [options] [source-files] [object-files] [libraries] |
options は、先頭にダッシュ (-) またはプラス記号 (+) の付いたキーワード (オプション) です。このオプションには、引数をとるものがあります。
通常、コンパイラオプションの処理は、左から右へと行われ、マクロオプション (ほかのオプションを含むオプション) は、条件に応じて内容が変更されます。ほとんどの場合、同じオプションを 2 回以上指定すると、最後に指定したものだけが有効になり、オプションの累積は行われません。次の点に注意してください。
すべてのリンカーオプション、ならびに -features、-I、l、L、-library、-pti、-R、-staticlib、-U、-verbose および -xprefetch オプションで指定した内容は蓄積され、上書きはされません。
-U オプションは、すべて -D オプションのあとに処理されます。
ソースファイル、オブジェクトファイル、およびライブラリは、コマンド行に指定した順にコンパイルとリンクが行われます。
次の例では、CC を使って 2 つのソースファイル (growth.C と fft.C) をコンパイルし、実行時デバッグを有効にして growth という名前の実行可能ファイルを作成します。
example% CC -g -o growth growth.C fft.C |
コンパイラがコマンド行に指定されたファイルをどのように処理するかは、ファイル名に付加された接尾辞で決まります。次の表以外の接尾辞を持つファイルや、接尾辞がないファイルはリンカーに渡されます。
表 2–1 C++ コンパイラが認識できるファイル名接尾辞
接尾辞 |
言語 |
処理 |
---|---|---|
C++ |
C++ ソースファイルとしてコンパイルし、オブジェクトファイルを現在のディレクトリに入れる。オブジェクトファイルのデフォルト名は、ソースファイル名に .o 接尾辞が付いたものになる。 |
|
C++ |
.c 接尾辞と同じ処理。 |
|
C++ |
.c 接尾辞と同じ処理。 |
|
C++ |
.c 接尾辞と同じ処理。 |
|
C++ |
.c 接尾辞と同じ処理。 |
|
C++ |
.c 接尾辞と同じ処理。 |
|
C++ |
C++ ソースファイルとして扱われるプリプロセッサ出力ファイル。.c 接尾辞と同じ処理。 |
|
アセンブラ |
ソースファイルをアセンブラを使ってアセンブルする。 |
|
アセンブラ |
C 言語プリプロセッサとアセンブラを使ってソースファイルをアセンブルする。 |
|
インライン展開 |
アセンブリ用のインラインテンプレートファイルを使ってインライン展開を行う。コンパイラはテンプレートを使って、選択されたルーチンのインライン呼び出しを展開します(インラインテンプレートファイルは、特殊なアセンブラファイルです。inline(1) のマニュアルページを参照してください)。 |
|
オブジェクトファイル |
オブジェクトファイルをリンカーに渡す |
|
静的 (アーカイブ) ライブラリ |
オブジェクトライブラリの名前をリンカーに渡す。 |
|
動的 (共有) ライブラリ |
共有オブジェクトの名前をリンカーに渡す。 |
C++ コンパイラでは、複数のソースファイルをコマンド行に指定できます。コンパイラが直接または間接的にサポートするファイルも含めて、コンパイラによってコンパイルされる 1 つのソースファイルを「コンパイル単位」といいます。C++ では、それぞれのソースが別個のコンパイル単位として扱われます。
このコンパイラは、デフォルトではキャッシュを使用しません。キャッシュを使用するのは、-instances=extern が指定されているときだけです。キャッシュを使用する場合、コンパイラはキャッシュディレクトリのバージョンを調べ、その結果キャッシュバージョンに問題があることがわかると、エラーメッセージを出力します。将来の C++ コンパイラもキャッシュのバージョンを調べます。たとえば、将来のコンパイラは異なるテンプレートキャッシュのバージョン識別子を持っているため、現在のリリースで作成されたキャッシュディレクトリを処理しようとすると、次のようなエラーを出力します。
Template Database at ./SunWS_cache is incompatible with this compiler |
同様に、現在のリリースのコンパイラで以降のバージョンのコンパイラで作成されたキャッシュディレクトリを処理しようとすると、エラーが発行されます。
コンパイラをアップグレードする際には、必ずキャッシュを消去するようにするとよいでしょう。テンプレートキャッシュディレクトリ (ほとんどの場合、テンプレートキャッシュディレクトリの名前は SunWS_cache) が入っているディレクトリすべてに対し、CCadmin -clean を実行します。CCadmin -clean の代わりに、rm -rf SunWS_cache と指定しても同様の結果が得られます。
この節では、プログラムのコンパイルとリンクについていくつかの側面から説明します。次の例では、CC を使って 3 つのソースファイルをコンパイルし、オブジェクトファイルをリンクして prgrm という実行可能ファイルを作成します。
example% CC file1.cc file2.cc file3.cc -o prgrm |
前の例では、コンパイラがオブジェクトファイル (file1.o、file2.o、file3.o)を自動的に生成し、次にシステムリンカーを起動してファイル prgrm の実行可能プログラムを作成します。
コンパイル後も、オブジェクトファイル (file1.o、file2.o、および file3.o) はそのまま残りま。この規則のおかげで、ファイルの再リンクと再コンパイルを簡単に行えます。
ソースファイルが 1 つだけであるプログラムに対してコンパイルとリンクを同時に行なった場合は、対応する .o ファイルが自動的に削除されます。複数のソースファイルをコンパイルする場合を除いて、すべての .o ファイルを残すためにはコンパイルとリンクを別々に行なってください。
コンパイルが失敗すると、エラーごとにメッセージが返されます。エラーがあったソースファイルの .o ファイルは生成されず、実行可能プログラムも作成されません。
コンパイルとリンクは別々に行うことができます。-c オプションを指定すると、ソースファイルがコンパイルされて .o オブジェクトファイルが生成されますが、実行可能ファイルは作成されません。-c オプションを指定しないと、コンパイラはリンカーを起動します。コンパイルとリンクを分離すれば、1 つのファイルを修正するためにすべてのファイルを再コンパイルする必要はありません。次の例では、最初の手順で 1 つのファイルをコンパイルし、次の手順でそれをほかのファイルとリンクします。
example% CC -c file1.cc Make new object file example% CC -o prgrm file1.o file2.o file3.o Make executable file |
リンク時には (2 行目)、完全なプログラムを作成するのに必要なすべてのオブジェクトファイルを必ず 指定してください。オブジェクトファイルが足りないと、リンクは「undefined external reference (未定義の外部参照がある)」エラーで、ルーチンがないために失敗します。
コンパイルとリンクを別々に実行する場合で、「3.3.3 コンパイル時とリンク時のオプション」に示すコンパイラオプションを使用する場合は、コンパイルとリンクの整合性を保つことは非常に重大な意味を持ちます。
これらのオプションのいずれかを使用してサブプログラムをコンパイルした場合は、リンクでも同じオプションを使用してください。
-library オプションまたは -m64 /-m32 オプションを使用してコンパイルする場合、これらの同じオプションをすべての CC コマンドに含める必要があります。
-p、-xpg、-xprofile オプションの場合、ある段階ではオプションを指定して別の段階では指定しないと、プログラムの正しさには影響はありませんが、プロファイル処理ができなくなります。
-g、-g0 オプションの場合、ある段階ではオプションを指定して別の段階では指定しないと、プログラムの正しさには影響はありませんが、プログラムを正しくデバッグできなくなります。これらのオプションでコンパイルされず、-g または -g0 でリンクされるいずれのモジュールも、デバッグには使用できません。--g オプション (または -g0 オプション)付きの main 関数があるモジュールをコンパイルするには、通常デバッグする必要があります。
次の例では、-library=stlport4 コンパイラオプションを使用してプログラムをコンパイルしています。
example% CC -library=stlport4 sbr.cc -c example% CC -library=stlport4 main.cc -c example% CC -library=stlport4 sbr.o main.o -o myprogram |
-library=stlport4 を一貫して使用しない場合は、プログラムの特定の部分はデフォルトの libCstd を使用し、ほかの部分はオプションの置換である STLport ライブラリを使用します。結果として得られたプログラムは正常にリンクできず、どのような状況でも正常に動作しません。
プログラムがテンプレートを使用する場合は、リンク時にその中のいくつかがインスタンス化される可能性があります。その場合、インスタンス化されたテンプレートは最終行 (リンク行) のコマンド行オプションを使用してコンパイルされます。
新しい -m64 オプションを使用して、対象コンパイルのメモリーモデルを指定します。結果の実行可能ファイルは、64 ビットカーネルを実行する Solaris OS または Linux OS の配下にある、64 ビットの UltraSPARC または x86 プロセッサでのみ動作します。コンパイルリンク、および 64 ビットオブジェクトの実行は、64 ビット実行をサポートする Solaris または Linux OS でのみ行うことができます。
-V オプションを指定すると、CC によって起動された各プログラムの名前とバージョン番号が表示されます。-v オプションを指定すると、CC によって起動されたコマンド行全体が表示されます。
—verbose=%all を指定すると、コンパイラに関する追加情報が表示されます。
コマンド行に指定された引数をコンパイラが認識できない場合には、それらはリンカーオプション、オブジェクトプログラムファイル名、ライブラリ名のいずれかとみなされます。
基本的には次のように区別されます。
認識できない非オプション (先頭にダッシュかプラス符号 (+) が付いていないもの)には、警告が生成されません。ただし、リンカーへの引き渡しは行われます。リンカーが認識しない場合、リンカーからエラーメッセージが生成されます。
次の例で、-bit は CC によって認識されないため、リンカー (ld) に渡されます。リンカーはこれを解釈しようとします。単一文字の ld オプションは連続して指定できるので、リンカーは -bit を -b、-i、-t とみなします。これらはすべて有効な ld オプションです。しかし、これは本来の意図とは異なります。
example% CC -bit move.cc < - -bit is not a recognized CC option CC: Warning: Option -bit passed to ld, if ld is invoked, ignored otherwise |
次の例では、CC オプション -fast を指定しようとしましたが、先頭のダッシュ (-) を入力しませんでした。コンパイラはこの引数もリンカーに渡します。リンカーはこれをファイル名とみなします。
example% CC fast move.cc < - The user meant to type -fast move.CC: ld: fatal: file fast: cannot open file; errno=2 ld: fatal: File processing errors. No output written to a.out |
C++ コンパイラパッケージは、フロントエンド (CC コマンド本体)、オプティマイザ (最適化)、コードジェネレータ (コード生成)、アセンブラ、テンプレートのプリリンカー (リンクの前処理をするプログラム)、リンクエディタから構成されています。コマンド行オプションでほかの指定を行わないかぎり、CC コマンドはこれらの構成要素をそれぞれ起動します。
これらの構成要素はいずれもエラーを生成する可能性があり、構成要素はそれぞれ異なる処理を行うため、エラーを生成した構成要素を識別することがエラーの解決に役立つことがあります。それには、-v オプションと -dryrun オプションを使用します。
次の表に示すように、コンパイラの構成要素への入力ファイルには異なるファイル名接尾辞が付いています。どのようなコンパイルを行うかは、この接尾辞で決まります。ファイル名接尾辞の意味については、表 2–1 を参照してください。
表 2–2 C++ コンパイルシステムの構成要素
コンポーネント |
内容の説明 |
使用時の注意 |
---|---|---|
フロントエンド (コンパイラプリプロセッサ (前処理系) とコンパイラ) | ||
コードオプティマイザ |
-xO[2-5]、-fast |
|
x86: 中間言語トランスレータ |
-xO[2-5]、-fast |
|
SPARC: アセンブリ言語テンプレートのインライン展開 |
.il ファイルを指定 |
|
アセンブラ | ||
SPARC: コード生成、インライン機能、アセンブラ |
|
|
ube |
x86: コードジェネレータ |
-xO[2-5]、-fast |
テンプレートのプリリンカー |
-instances=extern オプションのみで使用します。 |
|
リンクエディタ |
この節では、C++ コンパイラ特有の前処理の指示について説明します。
プリプロセッサ指令 pragma は C++ 標準の一部ですが、書式、内容、および意味はコンパイラごとに異なります。C++ コンパイラが認識するプラグマ (指令) の詳細は、付録 B プラグマを参照してください。
Solaris Studio C++ は、C99 のキーワードである _Pragma もサポートしています。次の 2 つの呼び出しは同等です。
#pragma dumpmacros(defs) _Pragma("dumpmacros(defs)") |
#pragma の代わりに _Pragma を使用するには、プラグマテキストをリテラル文字列として記述し、_Pragma キーワードの 1 つの引数として括弧で囲みます。
C++ コンパイラでは次の書式の #define プリプロセッサの指示を受け入れます。
#define identifier (...) replacement_list #define identifier (identifier_list, ...) replacement_list |
マクロパラメータリストの終わりが省略符号である場合、マクロパラメータより多くの引数をマクロの呼び出しで使用できます。追加の引数は、マクロ交換リストにおいて __VA_ARGS__ という名前で参照できる、コンマを含んだ単一文字列にまとめられます。次の例は、変更可能な引数リストマクロの使い方を示しています。
#define debug(...) fprintf(stderr, __VA_ARGS__) #define showlist(...) puts(#__VA_ARGS__) #define report(test, ...) ((test)?puts(#test):\ printf(__VA_ARGS__)) debug(“Flag”); debug(“X = %d\n”,x); showlist(The first, second, and third items.); report(x>y, “x is %d but y is %d”, x, y); |
この結果は、次のようになります。
fprintf(stderr, “Flag”); fprintf(stderr, “X = %d\n”, x); puts(“The first, second, and third items.”); ((x>y)?puts(“x>y”):printf(“x is %d but y is %d”, x, y)); |
付録の 「A.2.8 -Dname[ =def]」 は、事前に定義されているマクロを示しています。これらの値は、#ifdef のようなプリプロセッサに対する条件式の中で使用できます。+p オプションを指定すると、sun、unix、sparc、および i386 の事前定義マクロは自動的に定義されません。
#error および #warning プリプロセッサディレクティブを使用すると、コンパイル時の診断を生成できます。
エラー診断 token-string を発行して、コンパイルを終了します。
警告診断 token-string を発行してコンパイルを続行します。
コンパイルに必要なメモリー量は、次の要素によって異なります。
各手続きのサイズ
最適化のレベル
仮想メモリーに対して設定された限度
ディスク上のスワップファイルのサイズ
SPARC プラットフォームでメモリーが足りなくなると、オプティマイザは最適化レベルを下げて現在の手続きを実行することでメモリー不足を補おうとします。それ以後のルーチンについては、コマンド行の -xOlevel オプションで指定した元のレベルに戻ります。
1 つのファイルに多数のルーチンが入っている場合、それをコンパイルすると、メモリーやスワップ領域が足りなくなることがあります。最適化のレベルを下げてみてください。代わりに、最大のプロシージャを、個別のファイルに分割してください。
現在のスワップ領域は swap -s コマンドで表示できます。詳細は、swap(1M) のマニュアルページを参照してください。
swap コマンドを使った例を次に示します。
example% swap -s total: 40236k bytes allocated + 7280k reserved = 47516k used, 1058708k available |
ワークステーションのスワップ領域を増やすには、mkfile(1M) と swap(1M) コマンドを使用します。そのためには、スーパーユーザーである必要があります。mkfile コマンドは特定サイズのファイルを作成し、swap -a はこのファイルをシステムのスワップ領域に追加します。
example# mkfile -v 90m /home/swapfile /home/swapfile 94317840 bytes example# /usr/sbin/swap -a /home/swapfile |
1 つの手続きが数千行からなるような非常に大きなルーチンを -xO3 以上でコンパイルすると、大容量のメモリーが必要になることがあります。このようなときには、システムのパフォーマンスが低下します。これを制御するには、1 つのプロセスで使用できる仮想メモリーの量を制限します。
sh シェルで仮想メモリーを制限するには、ulimit コマンドを使用します。詳細は、sh(1) のマニュアルページを参照してください。
次の例では、仮想メモリーを 4G バイトに制限しています。
example$ ulimit -d 4000000 |
csh シェルで仮想メモリーを制限するには、limit コマンドを使用します。 詳細は、csh(1) のマニュアルページを参照してください。
次の例でも、仮想メモリーを 4G バイトに制限しています。
example% limit datasize 4G |
どちらの例でも、オプティマイザは データ空間が 4G バイトになった時点でメモリー不足が発生しないような手段をとります。
仮想メモリーの限度は、システムの合計スワップ領域の範囲内です。さらに実際は、大きなコンパイルが行われているときにシステムが正常に動作できるだけの小さい値である必要があります。
スワップ領域の半分以上がコンパイルによって使用されることがないようにしてください。
8G バイトのスワップ領域のあるマシンでは、次のコマンドを使用します。
sh シェルの場合
example$ ulimit -d 4000000 |
csh の場合
example% limit datasize 4G |
最適な設定は、必要な最適化レベルと使用可能な実メモリーと仮想メモリーの量によって異なります。
ワークステーションには、少なくとも 2G バイトのメモリーを実装する必要があります。詳細な要件については、製品のリリースノートを参照してください。
Unix の strip コマンドは、C++ のオブジェクトファイルに対して使用すべきではありません。それらのオブジェクトファイルが使用不可能になることがあります。
CCFLAGS 環境変数で特別なシェル別名を定義するか make を使用すれば、複雑なコンパイラコマンドを簡略化できます。
次の例では、頻繁に使用するオプションをコマンドの別名として定義します。
example% alias CCfx "CC -fast -xnolibmil" |
次に、この別名 CCfx を使用します。
example% CCfx any.C |
前述のコマンド CCfx は、次のコマンドを実行するのと同じことです。
example% CC -fast -xnolibmil any.C |
CCFLAGS 環境変数を設定すると、一度に特定のオプションを指定できます。
CCFLAGS 変数は、コマンド行に明示的に指定できます。次の例は、CCFLAGS の設定方法を示したものです (C シェル)。
example% setenv CCFLAGS ’-xO2 -m64’ |
次の例では、CCFLAGS を明示的に使用しています。
example% CC $CCFLAGS any.cc |
make を使用する場合、CCFLAGS 変数が前述の例のように設定され、メイクファイルのコンパイル規則が暗黙的に使用された状態で make を呼び出すと、次と同じコンパイルが行われます。
CC -xO2 -m64 files...
make ユーティリティーは、Solaris Studio のすべてのコンパイラで簡単に使用できる非常に強力なプログラム開発ツールです。詳細については make(1S) のマニュアルページを参照してください。
メイクファイルの暗黙のコンパイラ規則を使用する、つまり、C++ コンパイルがない場合は、make プログラムによって CCFLAGS が自動的に使用されます。
この章では、コマンド行 C++ コンパイラオプションの使用方法について説明してから、機能別にその使用方法を要約します。オプションの詳細な説明は、「A.2 オプションの一覧」を参照してください。
次の表は、一般的なオプション構文の形式の例です。
表 3–1 オプション構文形式の例
構文形式 |
例 |
---|---|
-option |
-E |
-optionvalue |
-Ipathname |
-option=value |
-xunroll=4 |
-option value |
-o filename |
括弧、中括弧、角括弧、パイプ文字、および省略符号は、オプションの説明で使用されているメタキャラクタです。これらは、オプションの一部ではありません。使用法の構文に関する詳細な説明は、「はじめに」の表記規則を参照してください。
C++ コンパイラのオプションを使用する際の一般的な注意事項は次のとおりです。
-llib オプションは、 ライブラリ liblib.a (または liblib.so) とリンクするときに使用します。ライブラリが正しい順序で検索されるように、-llib オプションは、ソースやオブジェクトのファイル名のあとに指定する方が安全です。
一般にコンパイラオプションは左から右に処理され、マクロオプション (ほかのオプションを含むオプション) は条件に応じて内容が変更されます (ただし -U オプションだけは、すべての -D オプション後に処理されます)。この規則はリンカーのオプションには適用されません。
-features、-I-l、-L、-library、-pti、-R、-staticlib、-U、-verbose および -xprefetch オプションで指定した内容は蓄積され、上書きはされません。
-D オプションは累積されます。同じ名前に複数の -D オプションがあるとお互いに上書きされます。
ソースファイル、オブジェクトファイル、ライブラリは、コマンド行に指定された順序でコンパイルおよびリンクされます。
この節には、参照しやすいように、コンパイラオプションが機能別に分類されています。各オプションの詳細は、付録 A C++ コンパイラオプションを参照してください。
これらのオプションは、特に記載がないかぎりすべてのプラットフォームに適用されます。Solaris SPARC システム版のオペレーティングシステムに特有の機能は SPARC として表記され、x86 システム版のオペレーティングシステムに特有の機能は x86 として表記されます。
オプション |
処理 |
---|---|
-compat |
コンパイラの主要リリースとの互換モードを設定します。 |
+e{0|1} |
仮想テーブル生成を制御します。 |
-g |
デバッグ用にコンパルします。 |
-KPIC |
位置に依存しないコードを生成します。 |
-Kpic |
位置に依存しないコードを生成します。 |
-mt |
マルチスレッド化したコードのコンパイルとリンクを行います。 |
-xaddr32 |
コードを 32 ビットアドレス空間に制限します (x86/x64)。 |
-xarch |
ターゲットアーキテクチャーを指定します。 |
-xcode=a |
(SPARC) コードのアドレス空間を指定します。 |
-Merge |
(SPARC) データセグメントとテキストセグメントをマージします。 |
-xtarget |
ターゲットシステムを指定します。 |
–xmodel |
64 ビットオブジェクトの形式を Solaris x86 プラットフォーム用に変更します。 |
+w |
意図しない結果が生じる可能性のあるコードを特定します。 |
+w2 |
+w で生成される警告以外に、通常は問題がなくても、プログラムの移植性を低下させる可能性がある技術的な違反についての警告も生成します。 |
-xregs |
コンパイラは、一時記憶領域として使用できるレジスタ (一時レジスタ) が多ければ、それだけ高速なコードを生成します。このオプションは、利用できる一時レジスタを増やしますが、必ずしもそれが適切であるとはかぎりません。 |
-z arg |
リンカーオプション |
オプション |
処理 |
---|---|
-instlib |
指定ライブラリにすでに存在しているテンプレートインスタンスの生成を禁止します。 |
-m32|-m64 |
コンパイルされたバイナリオブジェクトのメモリーモデルを指定します。 |
-xinstrument |
スレッドアナライザで分析するために、プログラムをコンパイルして計測します。 |
-xjobs |
コンパイラが処理を行うために作成するプロセスの数を設定します。 |
-xpch |
共通の一連のインクルードファイル群を共有するソースファイルを持つアプリケーションのコンパイル時間を短縮できます。 |
-xpchstop |
-xpch でプリコンパイル済みヘッダーファイルを作成する際に適用される、最後のインクルードファイルを指定します。 |
-xprofile_ircache |
(SPARC) -xprofile=collect で保存されたコンパイルデータを再使用します。 |
-xprofile_pathmap |
(SPARC) 1 つのプロファイルディレクトリに存在する複数のプログラムや共有ライブラリをサポートします。 |
次の表は、リンク時とコンパイル時の両方に指定する必要があるオプションを一覧表示します。
表 3–4 コンパイル時とリンク時のオプション
オプション |
処理 |
---|---|
-fast |
実行可能コードの速度を向上させるコンパイルオプションの組み合わせを選択します。 |
-m32|-m64 |
コンパイルされたバイナリオブジェクトのメモリーモデルを指定します。 |
-mt |
--D_REENTRANT --lthread に展開されるマクロオプションです。 |
-xarch |
命令セットアーキテクチャーを指定します。 |
-xautopar |
複数プロセッサ用の自動並列化を有効にします。 |
-xhwcprof |
(SPARC) コンパイラのハードウェアカウンタによるプロファイリングのサポートを有効にします。 |
-xipo |
内部手続き解析パスを呼び出すことにより、プログラム全体の最適化を実行します。 |
-xlinkopt |
再配置可能なオブジェクトファイルのリンク時の最適化を実行します。 |
-xmemalign |
(SPARC) メモリーの予想される最大境界整列と境界整列していないデータアクセスの動作を指定します。 |
-xopenmp |
明示的な並列化のための OpenMP インタフェースをサポートします。このインタフェースには、ソースコード指令セット、実行時ライブラリルーチン、環境変数などが含まれます。 |
-xpagesize |
スタックとヒープの優先ページサイズを設定します。 |
-xpagesize_heap |
ヒープの優先ページサイズを設定します。 |
-xpagesize_stack |
スタックの優先ページサイズを設定します。 |
-xpg |
gprof(1) でプロファイル処理するためのデータを収集するオブジェクトコードを用意します。 |
-xprofile |
プロファイルのデータを収集、または最適化のためにプロファイルを使用します。 |
-xvector=lib |
ベクトルライブラリ関数を自動呼び出しします。 |
オプション |
処理 |
---|---|
+d |
C++ インライン関数を展開しません。 |
-dryrun |
ドライバがコンパイラに渡すオプションを表示しますが、コンパイルはしません。 |
-E |
C++ ソースファイルにプリプロセッサを実行し、結果を stdout に出力しますが、コンパイルはしません。 |
-g |
デバッグ用にコンパルします。 |
-g0 |
デバッグ用にコンパイルしますが、インライン機能は無効にしません。 |
-H |
インクルードされるファイルのパス名を出力します。 |
-keeptmp |
コンパイル中に作成されたすべての一時ファイルを残します。 |
-migration |
以前のコンパイラからの移行に関する情報の参照先を表示します。 |
-P |
ソースの前処理だけを行い、.i ファイルに出力します。 |
-Qoption |
オプションをコンパイル中の各処理に直接渡します。 |
-readme |
README ファイルの内容を表示します。 |
-s |
実行可能ファイルからシンボルテーブルを取り除きます。 |
-temp=dir |
一時ファイルのディレクトリを指定します。 |
-verbose=vlst |
コンパイラの冗長性を制御します。 |
-xcheck |
スタックオーバーフローの実行時検査を追加します。 |
-xdumpmacros |
定義内容、定義および解除された位置、使用されている場所に関する情報を出力します。 |
-xe |
構文と意味のエラーのチェックだけを行います。 |
-xhelp=flags |
コンパイラオプションの要約を一覧表示します。 |
-xport64 |
32 ビットアーキテクチャーから 64 ビットアーキテクチャーへの移植中の一般障害について警告します。 |
オプション |
処理 |
---|---|
-fma |
(SPARC) 浮動小数点の積和演算 (FMA) 命令の自動生成を有 効にします。 |
-fns[={no|yes}] |
(SPARC) SPARC 非標準浮動小数点モードを有効または無効にします。 |
-fprecision=p |
x86: 浮動小数点精度モードを設定します。 |
-fround=r |
起動時に IEEE 丸めモードを有効にします。 |
-fsimple=n |
浮動小数点最適化の設定を行います。 |
-fstore |
x86: 浮動小数点式の精度を強制的に使用します。 |
-ftrap=tlst |
起動時に IEEE トラップモードを有効にします。 |
-nofstore |
x86: 強制された式の精度を無効にします。 |
-xlibmieee |
例外時に libm が数学ルーチンに対し IEEE 754 値を返します。 |
オプション |
処理 |
---|---|
-compat |
コンパイラの主要リリースとの互換モードを設定します。 |
-features=alst |
C++ の各機能を有効化または無効化します。 |
-xchar |
文字型が符号なしと定義されているシステムからのコードの移行を容易に行えるようにします。 |
-xldscope |
共有ライブラリをより速くより安全に作成するため、変数と関数の定義のデフォルトリンカースコープを制御します。 |
-xthreadvar |
(SPARC) デフォルトのスレッドローカルな記憶装置へのアクセスモードを変更します。 |
-xtrigraphs |
文字表記シーケンスを認識します。 |
-xustr |
16 ビット文字で構成された文字リテラルを認識します。 |
オプション |
処理 |
---|---|
-Bbinding |
ライブラリのリンク形式を、シンボリック、動的、静的のいずれかから指定します。 |
-d{y|n} |
実行可能ファイル全体に対して動的ライブラリを使用できるかどうか指定します。 |
-G |
実行可能ファイルではなく動的共有ライブラリを構築します。 |
-hname |
生成される動的共有ライブラリに内部名を割り当てます。 |
-i |
ld(1) がどのような LD_LIBRARY_PATH 設定も無視します。 |
-Ldir |
dir に指定したディレクトリを、ライブラリの検索に使用するディレクトリとして追加します。 |
-llib |
リンカーのライブラリ検索リストに liblib.a または liblib.so を追加します。 |
-library=llst |
特定のライブラリとそれに対応するファイルをコンパイルとリンクに強制的に組み込みます。 |
-mt |
マルチスレッド化したコードのコンパイルとリンクを行います。 |
-norunpath |
ライブラリのパスを実行可能ファイルに組み込みません。 |
-Rplst |
動的ライブラリの検索パスを実行可能ファイルに組み込みます。 |
-staticlib=llst |
静的にリンクする C++ ライブラリを指定します。 |
-xar |
アーカイブライブラリを作成します。 |
-xbuiltin[=opt] |
標準ライブラリ呼び出しの最適化を有効または無効にします。 |
-xia |
(Solaris) 適切な区間演算ライブラリをリンクし、浮動小数点環境を設定します。 |
-xlang=l[,l] |
該当する実行時ライブラリをインクルードし、指定された言語に適切な実行時環境を用意します。 |
-xlibmieee |
例外時に libm が数学ルーチンに対し IEEE 754 値を返します。 |
-xlibmil |
最適化のために、選択された libm ライブラリルーチンをインライン展開します。 |
-xlibmopt |
最適化された数学ルーチンのライブラリを使用します。 |
-xnolib |
デフォルトのシステムライブラリとのリンクを無効にします。 |
-xnolibmil |
コマンド行の -xlibmil を取り消します。 |
-xnolibmopt |
数学ルーチンのライブラリを使用しません。 |
次のオプションは、現在は廃止されているためにコンパイラに受け入れられないか、将来のリリースでは削除されます。
オプション |
処理 |
---|---|
-library=%all |
将来のリリースで削除されます。 |
-xlic_lib=sunperf |
Sun Performance Library にリンクするには、—library=sunperf を使用します。 |
-xlicinfo |
非推奨。 |
-noqueue |
ライセンス情報のキューイングを行いません。 |
-ptr |
コンパイラは無視します。将来のリリースのコンパイラがこのオプションを別の意味で使用する可能性もあります。 |
-sb、—sbfast、—xsb、—xsbfast |
廃止され、メッセージを表示されずに無視されます。 |
-vdelx |
将来のリリースで削除されます。 |
-x386 |
適切な —xtarget オプションを使用します。 |
-x486 |
適切な —xtarget オプションを使用します。 |
-xcg89 |
-xtarget=ss2 を使用します。 |
-xcrossfile |
代わりに -xipo を使用してください。 |
-xnativeconnect |
廃止。これに代わるオプションはありません。 |
-xprefetch=yes |
代わりに - xprefetch=auto,explicit を使用します。 |
-xprefetch=no |
代わりに -xprefetch=no%auto,no%explicit を使用します。 |
-xvector=yes |
代わりに、--xvector=lib を使用します。 |
-xvector=no |
代わりに、-xvector=none を使用します。 |
オプション |
処理 |
---|---|
-c |
コンパイルのみ。オブジェクト (.o) ファイルを作成しますが、リンクはしません。 |
-dryrun |
ドライバからコンパイラに対して発行されたコマンド行を表示しますが、コンパイルを行いません。 |
-E |
C++ ソースファイルにプリプロセッサを実行し、結果を stdout に出力しますが、コンパイルはしません。 |
-erroff |
コンパイラの警告メッセージを抑止します。 |
-errtags |
各警告メッセージのメッセージタグを表示します。 |
-errwarn |
指定の警告メッセージが出力されると、cc はエラーステータスを返して終了します。 |
-filt |
コンパイラがリンカーエラーメッセージに適用するフィルタリングを抑止します。 |
-G |
実行可能ファイルではなく動的共有ライブラリを構築します。 |
-H |
インクルードされるファイルのパス名を出力します。 |
-migration |
以前のコンパイラからの移行に関する情報の参照先を表示します。 |
-o filename |
出力ファイルや実行可能ファイルの名前を filename にします。 |
-P |
ソースの前処理だけを行い、.i ファイルに出力します。 |
-Qproduce sourcetype |
CC ドライバに sourcetype (ソースタイプ) 型のソースコードを生成するよう指示します。 |
-s |
実行可能ファイルからシンボルテーブルを取り除きます。 |
-verbose=vlst |
コンパイラの冗長性を制御します。 |
+w |
必要に応じて追加の警告を出力します。 |
+w2 |
該当する場合は、より多くの警告を出力します。 |
-w |
警告メッセージを抑止します。 |
-xdumpmacros |
定義内容、定義および解除された位置、使用されている場所に関する情報を出力します。 |
-xe |
ソースファイルの構文と意味のチェックだけを行い、オブジェクトや実行可能コードの出力はしません。 |
-xhelp=flags |
コンパイラオプションの要約を一覧表示します。 |
-xhelp=readme |
README ファイルの内容を表示します。 |
-xM |
メイクファイルの依存情報を出力します。 |
-xM1 |
依存情報の生成は行いますが、 /usr/include の組み込みはしません。 |
-xtime |
コンパイル処理ごとの実行時間を報告します。 |
-xwe |
すべての警告をエラーに変換します。 |
-z arg |
リンカーオプション |
オプション |
処理 |
---|---|
-fast |
一部のプログラムで最適な実行速度が得られるコンパイルオプションの組み合わせを選択します。 |
-fma |
(SPARC) 浮動小数点の積和演算 (FMA) 命令の自動生成を有 効にします。 |
-g |
パフォーマンスの解析 (およびデバッグ) に備えてプログラムを用意するようにコンパイラとリンカーの両方に指示します。 |
-s |
実行可能ファイルからシンボルテーブルを取り除きます。 |
-m32|-m64 |
コンパイルされたバイナリオブジェクトのメモリーモデルを指定します。 |
-xalias_level |
コンパイラで、型に基づく別名の解析および最適化を実行するように指定します。 |
-xarch=isa |
ターゲットのアーキテクチャー命令セットを指定します。 |
-xbinopt |
あとで最適化、変換、分析を行うために、バイナリを準備します。 |
-xbuiltin[=opt] |
標準ライブラリ呼び出しの最適化を有効または無効にします。 |
-xcache=c |
(SPARC) オプティマイザのターゲットキャッシュプロパティーを定義します。 |
-xcg89 |
汎用の SPARC V7 アーキテクチャー用のコンパイルを行います。 |
-xcg92 |
SPARC V8 アーキテクチャー用のコンパイルを行います。 |
-xchip=c |
ターゲットのプロセッサチップを指定します。 |
-xF |
リンカーによる関数と変数の順序変更を有効にします。 |
-xinline=flst |
どのユーザーが作成したルーチンをオプティマイザでインライン化するかを指定します。 |
-xipo |
内部手続きの最適化を実行します。 |
-xlibmil |
最適化のために、選択された libm ライブラリルーチンをインライン展開します。 |
-xlibmopt |
最適化された数学ルーチンライブラリを使用します。 |
-xlinkopt |
(SPARC) オブジェクトファイル内のあらゆる最適化のほかに、結果として出力される実行可能ファイルや動的ライブラリのリンク時最適化も行います。 |
-xmemalign=ab |
(SPARC) メモリーの予想される最大境界整列と境界整列していないデータアクセスの動作を指定します。 |
-xnolibmil |
コマンド行の -xlibmil を取り消します。 |
-xnolibmopt |
数学ルーチンのライブラリを使用しません。 |
-xOlevel |
最適化レベルを level にします。 |
-xpagesize |
スタックとヒープの優先ページサイズを設定します。 |
-xpagesize_heap |
ヒープの優先ページサイズを設定します。 |
-xpagesize_stack |
スタックの優先ページサイズを設定します。 |
-xprefetch[=lst] |
先読みをサポートするアーキテクチャーで先読み命令を有効にします。 |
-xprefetch_level |
-xprefetch=auto を設定したときの先読み命令の自動挿入を制御します。 |
-xprofile |
実行時プロファイルデータを収集したり、このデータを使って最適化します。 |
-xregs=rlst |
一時レジスタの使用を制御します。 |
-xsafe=mem |
(SPARC) メモリーに関するトラップを起こさないものとします。 |
-xspace |
(SPARC) コードサイズが大きくなるような最適化は行いません。 |
-xtarget=t |
ターゲットの命令セットと最適化のシステムを指定します。 |
-xthreadvar |
デフォルトのスレッドローカル記憶装置アクセスモードを変更します。 |
-xunroll=n |
可能な場合は、ループを展開します。 |
-xvis |
(SPARC) VIS 命令セットに定義されているアセンブリ言語テンプレートをコンパイラが認識します。 |
オプション |
処理 |
---|---|
-Dname[=def] |
シンボル name をプリプロセッサに定義します。 |
-E |
C++ ソースファイルにプリプロセッサを実行し、結果を stdout に出力しますが、コンパイルはしません。 |
-H |
インクルードされるファイルのパス名を出力します。 |
-P |
ソースの前処理だけを行い、.i ファイルに出力します。 |
-Uname |
プリプロセッサシンボル name の初期定義を削除します。 |
-xM |
メイクファイルの依存情報を出力します。 |
-xM1 |
依存情報を生成しますが、/usr/include は除きます。 |
オプション |
処理 |
---|---|
-p |
prof でプロファイル処理するためのデータを収集するオブジェクトコードを用意します。 |
-xpg |
gprof プロファイラによるプロファイル処理用にコンパイルします。 |
-xprofile |
実行時プロファイルデータを収集したり、このデータを使って最適化します。 |
オプション |
処理 |
---|---|
-migration |
以前のコンパイラからの移行に関する情報の参照先を表示します。 |
-xhelp=flags |
コンパイラオプションの要約を一覧表示します。 |
-xhelp=readme |
README ファイルの内容を表示します。 |
オプション |
処理 |
---|---|
-H |
インクルードされるファイルのパス名を出力します。 |
-Ipathname |
include ファイル検索パスに pathname を追加します。 |
-I- |
インクルードファイル検索規則を変更します。 |
-xM |
メイクファイルの依存情報を出力します。 |
-xM1 |
依存情報を生成しますが、/usr/include は除きます。 |
オプション |
処理 |
---|---|
-instances=a |
テンプレートインスタンスの位置とリンケージを制御します。 |
-template=wlst |
さまざまなテンプレートオプションを有効または無効にします。 |
オプション |
処理 |
---|---|
-mt |
マルチスレッド化したコードのコンパイルとリンクを行います。 |
-xsafe=mem |
(SPARC) メモリーに関するトラップを起こさないものとします。 |
-xthreadvar |
(SPARC) デフォルトのスレッドローカルな記憶装置へのアクセスモードを変更します。 |