Oracle Solaris Studio 12.2: C ユーザーガイド

B.2.32 -ftrap=t[,t...]

SIGFPE ハンドラを組み込まずに、起動時に有効にする IEEE トラップモードの設定のみ行います。トラップの設定と SIGFPE ハンドラの組み込みを同時に行うには、ieee_handler(3M) か fex_set_handling(3M) を使用します。複数の値を指定すると、それらの値は左から右に処理されます。

t には次の値のいずれかを指定できます。

表 B–10 -ftrap フラグ

フラグ  

意味  

[no%]division

ゼロによる除算をトラップします [しません]。 

[no%]inexact

正確でない結果をトラップします [しません]。 

[no%]invalid

無効な操作をトラップします [しません]。 

[no%]overflow

オーバーフローをトラップします [しません]。 

[no%]underflow

アンダーフローをトラップします [しません]。 

%all

前述のすべてをトラップします。 

%none

前述のどれもトラップしません。 

common

無効、ゼロ除算、オーバーフローをトラップします。 

[no%] 形式のオプションは、下の例に示すように、%allcommonフラグの意味を変更するときだけ使用します。[no%] 形式のオプション自体は、特定のトラップを明示的に無効にするものではありません。

-ftrap を指定しない場合、コンパイラは -ftrap=%none とみなします。

たとえば、-ftrap=%all,no%inexact は、inexact 以外のすべてのトラップを設定することを意味します。

1 つのルーチンを -ftrap=t オプションでコンパイルした場合は、そのプログラムのルーチンすべてを、-ftrap=t オプションを使用してコンパイルしてください。途中から異なるオプションを使用すると、予想に反した結果が生じることがあります。

-ftrap=inexact のトラップは慎重に使用してください。-ftrap=inexact では、浮動小数点の値が正確でないとトラップが発生します。たとえば、次の文ではこの条件が発生します。


x = 1.0 / 3.0;

このオプションは、メインプログラムをコンパイルするときにだけ有効です。このオプションを使用する際には注意してください。IEEE トラップを有効にするには -ftrap=common を使用してください。