Oracle Solaris Studio 12.2: C ユーザーガイド

B.2.82 -xchar[= o]

オプションこのオプションは、char 型が符号なしで定義されているシステムからのコード移植を簡単にするためのものです。そのようなシステムからの移植以外では、このオプションは使用しないでください。符号付きまたは符号なしであると明示的に示すように書き直す必要があるのは、符号に依存するコードだけです。

o には、次のいずれかを指定します。

表 B–18 -xchar のフラグ

フラグ  

意味  

signed

char 型で定義された文字定数および変数を符号付きとして処理します。コンパイル済みコードの動作に影響しますが、ライブラリルーチンの動作には影響しません。 

s

signed と同義です。

unsigned

char 型で定義された文字定数および変数を符号なしとして処理します。コンパイル済みコードの動作に影響しますが、ライブラリルーチンの動作には影響しません。 

u

unsigned と同義です。

-xchar を指定しない場合は、コンパイラでは -xchar=s が指定されます。

-xchar を値なしで指定した場合は、コンパイラでは -xchar=s が指定されます。

-xchar オプションは、-xchar を指定してコンパイルしたコードでだけ、char 型の値の範囲を変更します。システムルーチンまたはヘッダーファイル内の char 型の値の範囲は変更しません。特に、CHAR_MAX および CHAR_MIN の値 (limits.h で定義される) は、このオプションを指定しても変更されません。したがって、CHAR_MAX および CHAR_MIN は、通常の char で符号化可能な値の範囲を示さなくなります。

-xchar を使用するときは、マクロでの値が符号付きの場合があるため、char を定義済みのシステムマクロと比較する際には特に注意してください。これは、マクロを使用してエラーコードを戻すルーチンでもっとも一般的です。エラーコードは、一般的には負の値になっています。したがって、char をそのようなマクロによる値と比較するときは、結果は常に false になります。負の数値が符号なしの型の値と等しくなることはありません。

ライブラリを使用してエクスポートしているインタフェース用のルーチンは、-xchar を使用してコンパイルしないようにお勧めします。Solaris ABI では char 型を符号付きとして指定すると、システムライブラリが指定に応じた動作をします。char を符号なしにする影響は、システムライブラリで十分にテストされたわけではありません。このオプションを使用しないで、char 型の符号の有無に依存しないようにコードを変更してください。char 型の符号は、コンパイラやオペレーティングシステムによって異なります。