Sun Desktop Manager 1.0 管理ガイド

第 1 章 概念とアーキテクチャー

Sun Desktop Manager は、アプリケーションを実行するユーザー、組織、およびホストマシン用に、アプリケーションの構成設定をネットワーク上の中央の場所に保存するためのフレームワークを提供します。

この章では、Desktop Manager の全体的なアーキテクチャーと重要な概念について説明します。

Desktop Manager の有効範囲

Desktop Manager は、次の構成設定を直接的にサポートします。


注 –

Desktop Manager がサポートするのは、これらの設定を使用するアプリケーションだけです。


デフォルトでは、システム管理者に関連する設定のみを Desktop Manager によって構成することができます。ただし、インストールとともに含まれるテンプレートを使用することによって、制御する構成設定が含まれるように Desktop Manager を拡張することができます。さらに、サポートされている構成システムを使用しないデスクトップアプリケーションは、既存のデータフレームワークを通じて中央の構成データにアクセスできます。

アーキテクチャー

図 1–1 ハイレベルアーキテクチャー

Desktop Manager のアーキテクチャー

Desktop Manager に含まれるコンポーネントは、次のとおりです。

構成リポジトリ

Desktop Manager は、構成データを構成リポジトリに保存します。構成リポジトリに保存されるのは、次の 3 つのタイプの構成データです。

使用可能な構成リポジトリ

実装可能な構成リポジトリは、次の 3 つのタイプです。


注 –

LDAP 構成リポジトリは、最高の総体的パフォーマンスを実現します。ハイブリッドリポジトリは、LDAP ディレクトリに書き込みアクセスできない場合に最適です。ファイルベースのリポジトリは、評価目的にのみ適します。


管理ツール

管理ツールは、構成データを管理するための Web ベースのグラフィカルユーザーインタフェースおよびコマンド行インタフェースを提供します。このツール構成リポジトリに対してのみ動作し、エージェントが実行されている必要はありません。

LDAP 構成リポジトリを使用する場合、LDAP サービスを持つシステムから別のシステムに管理ツールを配備することができます。ファイルベースのリポジトリを使用する場合、noaccess ユーザーまたは Java Web Console が実行されているユーザーのために、直接アクセスと読み取り / 書き込みの権限が管理ツールに必要です。つまり、ツールがリポジトリと同じシステムにあるか、リポジトリが読み取り / 書き込み権をツールに付与した NFS マウントである必要があります。noaccess ユーザーは、 Desktop Manager の GUI を実行します。これはツールのインストール時に作成する必要があります。

管理ツールを使用して、プロファイルの作成、削除、変更、割り当て、および割り当て解除を行うことができます。管理ツールを使用して、階層内の要素を追加、削除、および変更することはできません。たとえば、ユーザーを追加することはできません。

テンプレート

Desktop Manager は、テンプレートを使用することによって、構成リポジトリの構成設定を表示、定義、および強制的に設定し、その構成設定を表示するための GUI を表示します。テンプレートは、Web ベースの管理ツールによって配備されます。

テンプレートの詳細については、『Sun Desktop Manager 1.0 開発者ガイド』を参照してください。

Configuration Agent

Desktop Manager から構成データにアクセスするには、デスクトップクライアントに Desktop Manager Configuration Agent が必要です。Configuration Agent は、リモートの構成データリポジトリおよびアダプタと通信すると同時に、データを特定の構成システムに統合します。現在サポートされている構成システムは、GConf、Java Preferences、Mozilla Preferences、および StarSuite Registry です。

構成アダプタ

構成アダプタは、Configuration Agent に構成データを照会し、そのデータをアプリケーションに提供します。一元的に管理するすべてのクライアントにアダプタをインストールする必要があります。

構成プロファイルからアプリケーション設定まで

このセクションでは、構成データが、最終的に特定のホストで実行している特定のアプリケーションのユーザー設定になるまで、どのように処理されるかについて説明します。

構成データのソース

各ユーザーアプリケーションは、次のソースから構成データを受け取ります。

ホスト上のユーザーのアプリケーション設定は、2 ステップで計算されます。つまり、プロファイル構成ツリーが構築されてから、構成データソースが結合されます。

プロファイル構成データの構造

プロファイル構成データは、特定ホストで実行されるユーザーアプリケーションの構成プロファイルを保持します。

組織の各組織単位がそのユーザーとともに構成リポジトリに階層的に保存されます。各ドメインコンポーネントも同様に保存されます。

構成プロファイルは、階層の要素に割り当てられます。要素に割り当てられた構成プロファイルは、その要素の子によって継承されます。

アプリケーションの構成データは、アプリケーションを実行するユーザーやアプリケーションが実行されるホストに依存します。

ユーザーに影響を与える構成設定は、ユーザー要素からそのツリーのルートまでのパスにある要素に割り当てられている構成プロファイルに依存します。ユーザーに対する構成設定のセットが作成されるには、これらのプロファイルがマージされる必要があります。

ユーザーのアプリケーションが実行されているホストに基づいてプロファイルを定義できるので、そのホストに割り当てられているプロファイル、またはそのホストからツリーのルートまでのパスにある要素のいずれかに割り当てられているプロファイルも、ユーザーに影響を与える構成プロファイルとともにマージされるようにします。

図 1–2 構成処理

構成処理

プロファイル構成の構築のために、次の規則が使用されます。

構成データソースの組み合わせ

3 つの異なる構成データソースによって提供される構成データは、ユーザーアプリケーションが実行時に使用する設定の単一のセットとなるように結合される必要があります。

  1. デフォルト構成のプロバイダによって提供される構成データが読み取られ、構成ツリーが構築されます。

  2. プロファイル構成データが、クライアントアプリケーションのユーザーおよびホストに基づいて構築されます。

  3. ユーザー設定が読み取られ、構成ツリーが構築されます。

  4. 3 つのツリーが 1 つに組み合わされることによって、アプリケーションが使用する構成設定になります。この処理中に従う規則は、プロファイル構成データの構築で使用される規則と同じです。

処理結果のツリーはアプリケーションアダプタによって使用されて、構成設定を提供します。