Sun Identity Manager 8.1 ビジネス管理者ガイド

管理者ロールとその管理について

「管理者ロール」では 2 つのもの、つまり一連の機能と制御の範囲を定義します。「制御の範囲」という語は、管理対象の 1 つ以上の組織を指します。管理者ロールを定義してから、それを 1 人以上の管理者に割り当てることができます。


注 –

ロールと管理者ロールを混同しないようにしてください。ロールは、エンドユーザーの外部リソースへのアクセスを管理するために使用するのに対し、管理者ロールは主に、Identity Manager 管理者の Identity Manager オブジェクトへのアクセスを管理するために使用します。

この節の情報は、管理者ロールのみに限定されています。ロールの詳細については、「ロールとその管理について」を参照してください。


1 人の管理者に複数の管理者ロールを割り当て可能です。これによって、管理者は 1 つの制御の範囲内ではある一連の機能を持ち、別の制御の範囲内では別の一連の機能を持つことができます。たとえば、管理者にある管理者ロールを割り当てて、その管理者ロールで指定された管理する組織のユーザーの作成および編集の権限を与えます。次に 2 つ目の管理者ロールを同じ管理者に割り当てますが、今度はその管理者ロールで定義した管理する組織の別個のセット内に「ユーザーのパスワードの変更」権限のみを与えます。

管理者ロールによって、機能と管理範囲の組み合わせの再利用が可能になります。管理者ロールで、多数のユーザーに対する管理者特権の管理を簡素化することもできます。個々のユーザーに機能と管理する組織を直接割り当てるのではなく、管理者ロールを使用して管理者特権を付与するようにしてください。

機能または組織 (またはその両方) の管理者ロールへの割り当ては、直接または動的 (間接的) に行うことができます。

管理者ロールのユーザーへの動的割り当ては、ユーザーインタフェース、管理者インタフェースなどログインインタフェースごとに有効または無効にできます。この場合は、次のシステム設定属性を true または false に設定します。

security.authz.checkDynamicallyAssignedAdminRolesAtLoginTo.logininterface

すべてのインタフェースのデフォルトは false です。

システム設定オブジェクトを編集する方法については、「Identity Manager 設定オブジェクトの編集」を参照してください。

管理者ロールの規則

Identity Manager には、管理者ロールの規則を作成するためのサンプル規則が用意されています。これらの規則は、Identity Manager インストールディレクトリの sample/adminRoleRules.xml にあります。

表 6–1 に、規則の名前と各規則に指定する authType を示します。

表 6–1 管理者ロールのサンプル規則

規則名  

authType

管理する組織の規則 

ControlledOrganizationsRule

機能規則 

CapabilitiesRule

ユーザーへの管理者ロール割り当て規則 

UserIsAssignedAdminRoleRule


注 –

サービスプロバイダユーザー管理者ロールのサンプル規則については、第 17 章サービスプロバイダの管理「サービスプロバイダユーザーの委任管理」を参照してください。


ユーザー管理者ロール

Identity Manager には、「ユーザー管理者ロール」という組み込みの管理者ロールがあります。デフォルトでは、割り当てられた機能や管理する組織の割り当てはありません。また、このロールを削除することはできません。この管理者ロールは、ログインするインタフェース (ユーザー、管理者、コンソール、Identity Manager IDE など) にかかわらず、ログイン時に暗黙的にすべてのユーザー、つまりエンドユーザーと管理者に割り当てられます。


注 –

サービスプロバイダユーザーの管理ロールの作成については、第 17 章サービスプロバイダの管理「サービスプロバイダユーザーの委任管理」を参照してください。


ユーザー管理者ロールは、管理者インタフェースで「セキュリティー」を選択してから「管理者ロール」を選択することによって編集できます。

この管理者ロールによって静的に割り当てられる機能または管理する組織はすべてのユーザーに割り当てられるので、機能および管理する組織の割り当ては規則を通して行うことをお勧めします。そうすることで、異なるユーザーが異なる機能を持つまたは機能を持たないようにすることができ、ユーザーがだれか、ユーザーがどの部署に所属するか、またはユーザーが管理者であるかなど、規則のコンテキスト内で問い合わせ可能な要素に基づいて割り当ての範囲が設定されます。

ユーザー管理者ロールによって、ワークフローで使用される authorized=true フラグの有用性が低下したり、そのフラグが完全に取って代わられるわけではありません。ワークフローが実行中である場合を除き、ワークフローがアクセスするオブジェクトに対してユーザーがアクセス権を持っていないときには、依然としてこのフラグのほうが適しています。基本的には、このときユーザーは「スーパーユーザーとして実行」モードに入ります。

ただし、ユーザーに、ワークフローの外部 (および状況によっては内部) にある 1 つ以上のオブジェクトへの特定のアクセス権があるとよい場合も考えられます。そのような場合には、機能および管理する組織を動的に割り当てる規則を使用して、それらのオブジェクトに対するきめ細かい承認を行うことができます。

管理者ロールの作成および編集

管理者ロールを作成または編集するには、Admin Role Administrator 機能が必要です。

管理者ロールにアクセスするには、管理者インタフェースで「セキュリティー」をクリックしてから「管理者ロール」タブをクリックします。「管理者ロール」リストページでは、Identity Manager ユーザーとサービスプロバイダユーザーの管理者ロールを作成、編集、および削除できます。

既存の管理者ロールを編集するには、リスト内の名前をクリックします。管理者ロールを作成するには、「新規」をクリックします。「管理者ロールの作成」のオプションが表示されます (図 6–3)。「管理者ロールの作成」画面には 4 つのタブが表示されます。 これらを使用して一般的な属性、機能、新しい管理者ロールの範囲、ユーザーへのロールの割り当てを指定します。

図 6–3 「管理者ロールの作成」ページ: 「一般」タブ

「管理者ロールの作成」ビューの例を示す図

「一般」タブ

「管理者ロールの作成」または「管理者ロールの編集」画面の「一般」タブを使用して、管理者ロールの次の一般的な特性を指定します。


注 –

管理者ロールを作成してサービスプロバイダユーザーにアクセス権限を与える方法については、第 17 章サービスプロバイダの管理「サービスプロバイダユーザーの委任管理」を参照してください。


制御の範囲

Identity Manager では、どのユーザーをエンドユーザーの制御範囲に置くかを管理できます。

「制御の範囲」タブ (図 6–4) を使用して、この組織のメンバーで管理可能な組織を指定するか、管理者ロールのユーザーによって管理される組織を決定する規則を指定し、管理者ロールのユーザーフォームを選択します。

図 6–4 「管理者ロールの作成」: 「制御の範囲」

「制御の範囲」タブを示す図

管理者ロールへの機能の割り当て

管理者ロールに割り当てられる機能によって、この管理者ロールが割り当てられたユーザーの管理権限が決まります。たとえば、この管理者ロールが管理者ロールの管理する組織のユーザーの作成のみに制限される場合があります。この場合、「ユーザーの作成」機能を割り当てます。

「機能」タブで次のオプションを選択します。

管理者ロールへのユーザーフォームの割り当て

管理者ロールのメンバーにユーザーフォームを指定することができます。「管理者ロールの作成」または「管理者ロールの編集」画面の「ユーザーに割り当てる」タブを使用して、割り当てを指定します。

管理者ロールを割り当てられた管理者は、その管理者ロールによって管理されている組織内のユーザーを作成または編集するときにこのユーザーフォームを使用します。管理者ロールを介して割り当てられたユーザーフォームは、管理者がメンバーになっている組織から継承したすべてのユーザーフォームよりも優先されます。このユーザーフォームが、管理者に直接割り当てられたユーザーフォームよりも優先されることはありません。

ユーザーを編集するときに使用されるユーザーフォームは、次の優先順位で決定されます。

管理者に、同じ組織を管理しながら異なるユーザーフォームを指定している複数の管理者ロールが割り当てられている場合、その組織内のユーザーを作成または編集しようとするとエラーが表示されます。管理者が、同じ組織を管理しながら異なるユーザーフォームを指定している複数の管理者ロールを割り当てようとすると、エラーが表示されます。この相反する状況を解決するまで変更は保存できません。