Identity Manager 製品のアップグレードによる変更内容を解析し、それに合わせて構成とカスタマイズを更新する必要があります。たとえば、次のとおりです。
JSP ファイルまたはスタイルシートを変更した場合は、それらの変更内容を新規の JSP ファイルまたはスタイルシートにマージする必要があります。
お使いの Identity Manager アプリケーションベースラインに Identity Manager 製品の JAR やサードパーティの JAR が含まれる場合は、ベースラインのそれらの JAR の更新も必要なことがあります。また、ベースラインには、データベーステーブルの作成や更新に使用した SQL スクリプトも含める必要があります。
Identity Manager のデフォルトオブジェクト (デフォルトユーザーフォームなど) を変更した場合は、アップグレードプロセスでそれらのオブジェクトが savedObjects ディレクトリに移動されます。以降のアップグレードを容易にするには、変更済みのオブジェクトの名前をカスタム名に変更し、そのカスタム名を SystemConfiguration オブジェクト内で参照します。
WPMessages.properties を /config ディレクトリに抽出して、メッセージをカスタマイズした場合には、再度抽出を行ってそれらのカスタマイズを再適用する必要があります。
Identity Manager 製品のアップグレード時に行われたリポジトリオブジェクトに対する変更内容を注意して解析する必要があります。たとえば、次のとおりです。
Identity Manager 製品のアップグレードでソース管理ベースライン内の構成オブジェクトが変更された場合は、それらの変更内容を構成ベースラインにマージする必要があります。詳細については、「ステップ 14: 変更内容のソース管理へのマージ」を参照してください。
Identity Manager 製品のアップグレードで、現在のベースラインに含まれていない構成オブジェクトが変更された場合は、これらの構成オブジェクトをアプリケーションベースラインに追加する必要があります。これらの構成オブジェクトをアプリケーションベースラインに追加しない場合は、アップグレード手順で各環境にインポートされる update.xml のサブセットに、適切なオブジェクトやコマンドを含めるなど、それらの変更内容を組み込む他の方法を計画する必要があります。
これらのオブジェクトの変更を無視しても問題がないと判断することもできますが、多くの場合、これらの構成オブジェクトをベースラインに追加することがベストプラクティスと考えられています。
Identity Manager 製品のアップグレードで、構成オブジェクト以外のリポジトリのオブジェクトが変更された場合は、それらのオブジェクトをソース管理ベースラインの一部にはしないでください。たとえば、Identity Manager の update.xml ファイルが、TaskInstance オブジェクト、User オブジェクト、Account オブジェクト、または Entitlement オブジェクトを更新することがあります。
Identity Manager の技術は通常、これらのオブジェクトタイプの更新を防止します。この理由は、各タイプのインスタンスが膨大にあるからです。ただし、場合によっては、変更が必要であるか、変更が妥当であることがあります。このような場合には、ベースライン、およびアップグレードプロセスで、Identity Manager の update.xml ファイルの適切なサブセットを実行します。この update.xml のサブセットを使用して、ベースラインには含まれないリポジトリオブジェクトを更新します。
アップグレード後、カスタマイズ済みのファイルとオブジェクトを復元します。
アップグレード時に、Identity Manager は、JSP や HTML のファイルなどのカスタマイズ済みのファイルをすべて、次のディレクトリに自動的にコピーします。
$WSHOME/patches/Sun_Java_System_Identity_Manager_Version_Date_/savedFiles
次の表に、このディレクトリ内のファイルを示します。
表 3–1 savedFiles ディレクトリファイル構造
ファイル名 |
説明 |
---|---|
保存したすべてのカスタマイズ済みファイルのリストを持つファイル。 このファイルには、アップグレード時に同じ名前のファイルがインストールされる場合に上書きされるファイル (旧バージョンの Identity Manager とともにインストールされたファイル) のリストもあります。 |
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アップグレードプロセスで復元されない、すべてのカスタマイズ済みファイルのリストを持つファイル |
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アップグレードプロセスでインストールされない、新バージョンのファイルのリストを持つファイル |
アップグレードでは、元の Identity Manager とともにインストール済みの一部のファイルが追加されることがあります。古いファイルを上書きする前に、Identity Manager はそれらのファイルをsavedFiles ディレクトリに自動的に保存します。それらのファイルのリストについては、 changedFileList ファイルを参照してください。
Identity Manager は、アップグレードプロセスで changedFileList にリストされているファイルの多く (すべてではない) を自動的に復元します。それらのファイルのリストについては、 notRestoredFileList を参照してください。カスタマイズ済みのファイルの復元時に、Identity Manager は、アップグレードでインストールされたファイルの新バージョンを上書きします。
カスタマイズ済みファイルの一部を手動で復元する必要がある場合があります。アップグレードで復元されないファイルのリストについては、 notRestoredFileList ファイルを参照してください。カスタマイズ済みファイルを手動で復元する必要がある場合は、アップグレード時にインストールされた新規ファイルを編集してカスタマイズし、その編集したファイルを保存します。
システム構成に書式とプロセスのマッピングを設定した場合は、アップグレード後にそれらのオブジェクトのカスタマイズ内容を復元する必要はありません。システム構成にリストされていないオブジェクトをカスタマイズした場合は、それらのオブジェクトの XML をインポートすることで、それらのオブジェクトを手動で復元する必要があります。
安全な方法として、Identity Manager は、update.xml のインポート時に一般的なカスタマイズ済みオブジェクトの多くをファイルに自動保存します。 これらのファイルは、 WEB-INF/ savedObjects ディレクトリのサブディレクトリに保存されます。これらのサブディレクトリの名前は、インポートの実行時のタイムスタンプです。
update.xmlをインポートすると、savedObjects ディレクトリに最大 3 つのサブディレクトリが作成されることがあります。オブジェクトの XML ファイルを手動でインポートして、オブジェクトのカスタマイズ内容を復元できます。