Sun Identity Manager 8.1 リソースリファレンス

第 30 章 RACF LDAP

RACF LDAP リソースアダプタは、OS/390 メインフレーム上のユーザーアカウントとメンバーシップの管理をサポートします。可能であれば、アダプタは z/OS Security Server に含まれる LDAP サーバーに接続し、ユーザーアカウントを管理します。その他すべての機能は、RACF システムへの標準的な呼び出しによって処理されます。

RACF LDAP リソースアダプタは、com.waveset.adapter.RACF_LDAPResourceAdapter クラスで定義されます。

このアダプタは、LDAP リソースアダプタを拡張します。LDAP 機能の実装については、LDAP アダプタのマニュアルを参照してください。

アダプタの詳細

Identity Manager のインストールに関する注意事項

RACF リソースアダプタは、カスタムアダプタです。インストールプロセスを完了するには、次の手順を実行する必要があります。

ProcedureRACF リソースアダプタをインストールする

  1. RACF LDAP リソースを Identity Manager のリソースリストに追加するには、「管理するリソースの設定」ページの「カスタムリソース」セクションに次の値を追加する必要があります。


    com.waveset.adapter.RACF_LDAPResourceAdapter
  2. 適切な JAR ファイルを Identity Manager インストールの WEB-INF/lib ディレクトリにコピーします。

    コネクションマネージャー  

    JAR ファイル  

    Host On Demand 

    IBM Host Access Class Library (HACL) は、メインフレームへの接続を管理します。HACL を含む推奨 JAR ファイルは habeans.jar です。これは、HOD に付属する HOD Toolkit (または Host Access Toolkit) とともにインストールされます。HACL のサポートされるバージョンは、HOD V7.0、V8.0、V9.0、および V10 に含まれるバージョンです。

    habeans.jar ファイル ただし、このツールキットを利用できない場合は、HOD のインストールに含まれる次の JAR ファイルを habeans.jar の代わりに使用できます。

    • habase.jar

    • hacp.jar

    • ha3270.jar

    • hassl.jar

    • hodbase.jar

      詳細は、http://www.ibm.com/software/webservers/hostondemand/ を参照してください。

    Attachmate WRQ 

    Sun 製品向け Attachmate 3270 メインフレームアダプタには、メインフレームへの接続の管理に必要なファイルが含まれます。 

    • RWebSDK.jar

    • wrqtls12.jar

    • profile.jaw

      この製品の入手については、Sun プロフェッショナルサービスにお問い合わせください。

  3. Waveset.properties ファイルに次の定義を追加して、端末セッションを管理するサービスを定義します。


    serverSettings.serverId.mainframeSessionType=
    ValueserverSettings.default.mainframeSessionType=Value
    

    Value は、次のように設定できます。

    • 1 は IBM Host On--Demand (HOD) を示します。

      • 3 は、Attachmate WRQ を表します。

        これらのプロパティーを明示的に設定しない場合、Identity Manager は WRQ、HOD の順に使用を試みます。

  4. Attachmate ライブラリが WebSphere または WebLogic アプリケーションサーバーにインストールされている場合は、com.wrq.profile.dir=LibraryDirectory プロパティーを WebSphere/AppServer/configuration/config.ini または startWeblogic.sh ファイルに追加します。

    これにより、Attachmate コードでライセンスファイルを検索できます。

  5. Waveset.properties ファイルに加えた変更を有効にするために、アプリケーションサーバーを再起動します。

  6. リソースへの SSL 接続の設定については、第 53 章メインフレーム接続を参照してください。

使用上の注意

管理者

TSO セッションでは、同時に複数の接続は許可されません。Identity Manager RACF 操作の同時実行を実現するには、複数の管理者を作成します。たとえば、2 人の管理者を作成すると、2 つの Identity Manager RACF 操作を同時に実行できます。少なくとも 2 人 (できれば 3 人) の管理者を作成するようにしてください。

クラスタ環境で実行する場合、クラスタ内のサーバーごとに管理者を定義する必要があります。これは、各サーバーの管理者が同じ管理者である場合にも適用されます。TSO では、クラスタ内のサーバーごとに異なる管理者が必要です。

クラスタリングを使用していない場合は、すべての行でサーバー名は Identity Manager のホストマシンの名前となります。


注 –

ホストリソースアダプタは、同じホストに接続している複数のホストリソースでの親和性管理者に対して最大接続数を強制しません。代わりに、各ホストリソース内部の親和性管理者に対して最大接続数が強制されます。

同じシステムを管理する複数のホストリソースがあり、現在それらが同じ管理者アカウントを使用するように設定されている場合は、同じ管理者がリソースに対して同時に複数のアクションを実行しようとしていないことを確認するために、それらのリソースを更新しなければならない可能性があります。


追加セグメントのサポート

RACF LDAP アダプタは、デフォルトでサポートされているセグメントには含まれない属性をサポートするように設定できます。

Procedure属性をサポートするように RACF LDAP リソースアダプタを設定する

  1. セグメントを解析する AttrParse オブジェクトを作成します。カスタム AttrParse オブジェクトについては、第 49 章AttrParse オブジェクトの実装を参照してください。AttrParse オブジェクトの例は、$WSHOME/web/sample/attrparse.xmlに定義されています。

  2. ResourceAttribute 要素を RACF LDAP リソースオブジェクトに追加します。たとえば、次のようにします。


    <ResourceAttribute name=’OMVS Segment AttrParse’ displayName=’OMVS Segment AttrParse’ 
       description=’AttrParse for OMVS Segment’ value=’Default RACF OMVS Segment AttrParse’>
    </ResourceAttribute>

    この例では、OMVS Segment AttrParse というラベルのフィールドが「リソースパラメータ」ページに追加されます。name 属性に割り当てられる値は、SegmentName Segment AttrParse という形式である必要があります。

  3. カスタムアカウント属性を定義する要素を RACF LDAP リソースオブジェクトに追加します。


    <AccountAttributeType id=’32’ name=’OMVS Mem Max Area Size’ syntax=’int’ 
      mapName=’OMVS.MMAPAREAMAX’ mapType=’int’>
    </AccountAttributeType>

    mapName 属性の値は、SegmentName.AttributeName という形式である必要があります。アダプタがこの形式の mapName を検出すると、指定されたセグメントをリソースに対して要求し、SegmentName Segment AttrParse フィールドに指定されたオブジェクトを使用して解析します。

リソースアクション

RACF LDAP アダプタでは、login および logoff のリソースアクションが必要です。login アクションは、認証されたセッションに関してメインフレームとネゴシエーションを行います。logoff アクションは、そのセッションが不要になったときに接続を解除します。

login リソースアクションおよび logoff リソースアクションの作成については、「メインフレームの例」を参照してください。

リソースを設定する際の注意事項

Z/OS Security Server は、RACF アカウントのソースとして機能するマシンと同じマシン上にインストールされる必要があります。

セキュリティーに関する注意事項

ここでは、サポートされる接続と特権の要件について説明します。

サポートされる接続

Identity Manager は TN3270 接続を使用してリソースと通信します。

RACF LDAP リソースへの SSL 接続の設定については、第 53 章メインフレーム接続を参照してください。

必要な管理特権

RACF LDAP リソースと接続する管理者には、RACF ユーザーの作成と管理を行うための十分な特権が与えられている必要があります。

「User DN」リソースパラメータフィールドで指定されたユーザーに、ユーザーの読み取り、書き込み、削除、および追加のアクセス権を付与する必要があります。

プロビジョニングに関する注意事項

次の表に、このアダプタのプロビジョニング機能の概要を示します。

機能  

サポート状況  

アカウントの有効化/無効化 

あり 

アカウントの名前の変更 

あり 

パススルー認証 

なし 

前アクションと後アクション 

あり 

データ読み込みメソッド 

  • リソースから直接インポート

  • リソースの調整

アカウント属性

属性の構文 (または型) は、通常、属性がサポートされるかどうかを決定します。一般に、Identity Manager は Boolean 型、文字列型、整数型、およびバイナリ型の構文をサポートします。バイナリ属性は、バイト配列としてのみ安全に表現できる属性です。

次の表に、サポートされている LDAP 構文の一覧を示します。ほかの LDAP 構文でも、事実上 Boolean 型、文字列型、または整数型であれば、サポートされる可能性があります。オクテット文字列はサポートされません。

LDAP 構文

属性タイプ

オブジェクト ID

Audio 

Binary 

1.3.6.1.4.1.1466.115.121.1.4 

Binary 

Binary 

1.3.6.1.4.1.1466.115.121.1.5 

Boolean 

Boolean 

1.3.6.1.4.1.1466.115.121.1.7 

Country String 

String 

1.3.6.1.4.1.1466.115.121.1.11 

DN 

String 

1.3.6.1.4.1.1466.115.121.1.12 

Directory String 

String 

1.3.6.1.4.1.1466.115.121.1.15 

Generalized Time 

String 

1.3.6.1.4.1.1466.115.121.1.24 

IA5 String 

String 

1.3.6.1.4.1.1466.115.121.1.26 

Integer 

Int 

1.3.6.1.4.1.1466.115.121.1.27 

Postal Address 

String 

1.3.6.1.4.1.1466.115.121.1.41 

Printable String 

String 

1.3.6.1.4.1.1466.115.121.1.44 

Telephone Number 

String 

1.3.6.1.4.1.1466.115.121.1.50 

デフォルトのアカウント属性

次の属性が、RACF LDAP リソースアダプタの「アカウント属性」ページに表示されます。

リソースユーザー属性

データ型

説明

racfPassword

暗号化されています 

リソースに対するユーザーのパスワード 

RACF.GROUPS

String 

ユーザーに割り当てられたグループ 

RACF.GROUP-CONN-OWNERS

String 

グループ接続所有者 

RACF.USERID

String 

必須。ユーザーの名前 

RACF.MASTER CATALOG

String 

マスターカタログ 

RACF.USER CATALOG

String 

ユーザーカタログ 

RACF.CATALOG ALIAS

String 

カタログ別名 

racfOwner

String 

プロファイルの所有者 

racfProgrammerName

String 

ユーザーの名前 

racfInstallationData

String 

インストール定義データ 

racfDefaultGroup

String 

ユーザーのデフォルトグループ 

RACF.EXPIRED

Boolean 

パスワードを期限切れにするかどうかを示します。 

RACF.PASSWORD INTERVAL

String 

パスワード間隔 

TSO.Delete Segment

Boolean 

このフィールドを true に設定すると、TSO Segment が RACF ユーザーから削除されます。 

SAFAccountNumber

String 

ログオン時に使用されるユーザーのデフォルトの TSO アカウント番号 

SAFDefaultCommand

String 

ログオン時のデフォルトのコマンド 

SAFHoldClass

String 

ユーザーのデフォルトの TSO 保持クラス 

SAFJobClass

String 

ユーザーのデフォルトの TSO ジョブクラス 

SAFMessageClass

String 

ユーザーのデフォルトの TSO メッセージクラス 

SAFDefaultLoginProc

String 

ユーザーのデフォルトの TSO ログオン手順の名前 

SAFLogonSize

Int 

ユーザーがログオン中に領域サイズを要求しない場合の最小 TSO 領域サイズ 

SAFMaximumRegionSize

Int 

ユーザーがログオン中に要求できる最大 TSO 領域サイズ 

SAFDefaultSysoutClass

String 

ユーザーのデフォルトの TSO SYSOUT クラス 

SAFDefaultUnit

String 

手順による割り当てに使用される TSO デバイスまたはデバイスグループのデフォルトの名前 

SAFUserdata

String 

インストール定義データ 

SAFDefaultCommand

String 

TSO のデフォルトのコマンド 

racfOmvsUid

String 

ユーザーの OMVS ユーザー識別子 

racfOmvsHome

String 

ユーザーの OMVS ホームディレクトリパス名 

racfOmvsInitialProgram

String 

ユーザーの初期 OMVS シェルプログラム 

racfOmvsMaximumCPUTime

Int 

ユーザーの OMVS RLIMIT_CPU (最大 CPU 時間) 

racfOmvsMaximumAddressSpaceSize

Int 

ユーザーの OMVS RLIMIT_AS (最大アドレス空間サイズ) 

racfOmvsMaximumFilesPerProcess

Int 

ユーザーの OMVS プロセスあたりの最大ファイル数 

racfOmvsMaximumProcessesPerUID

Int 

ユーザーの OMVS UID あたりの最大プロセス数 

racfOmvsMaximumThreadsPerProcess

Int 

ユーザーの OMVS プロセスあたりの最大スレッド数 

racfOmvsMaximumMemoryMapArea

Int 

ユーザーの OMVS 最大メモリーマップサイズ 

racfTerminalTimeout

String 

ユーザーがアイドル状態になってから CICS によってサインオフされるまでの時間 

racfOperatorPriority

String 

ユーザーの CICS オペレータ優先順位 

racfOperatorIdentification

String 

ユーザーの CICS オペレータ識別子 

racfOperatorClass

String 

ユーザーが BMS (基本マッピングサポート) メッセージを受信する CICS オペレータクラス 

racfOperatorReSignon

String 

XRF 引き継ぎの発生時にユーザーが CICS によってサインオフされるかどうかを示す設定 

racfNetviewOperatorClass

String 

オペレータのクラス 

NETVIEW.NGMFVSPN

String 

NetView Graphic Monitor Facility ビューを表示したり、ビュー内にリソースを表示したりする際の、オペレータの権限を定義します。 

racfNGMFADMKeyword

String 

このオペレータが NetView グラフィックモニター機能を使用できるかどうかを示します (NO または YES) 

racfMessageReceiverKeyword

String 

オペレータが非送信請求メッセージを受信するかどうかを示します (NO または YES) 

racfNetviewInitialCommand

String 

NetView オペレータがログインしたときにこの NetView によって実行される初期コマンドまたはコマンドリスト 

racfDomains

String 

ドメイン識別子 

racfCTLKeyword

String 

GLOBAL、GENERAL、または SPECIFIC コントロールを指定します。 

racfDefaultConsoleName

String 

MCS コンソール識別子 

デフォルトでサポートされるオブジェクトクラス

デフォルトでは、RACF LDAP リソースアダプタは、LDAP ツリーに新しいユーザーオブジェクトを作成するときに次のオブジェクトクラスを使用します。ほかのオブジェクトクラスが追加される場合もあります。

リソースオブジェクトの管理

なし

アイデンティティーテンプレート

$accountId$

サンプルフォーム

なし

トラブルシューティング

Identity Manager のデバッグページを使用して、次のクラスでトレースオプションを設定します。