Sun GlassFishTM Enterprise Server は、相互運用性を保証する一連の標準的なプロトコルと形式をサポートします。これらのプロトコルの中には、CORBA で定義されているものがあります。ORB (Object Request Broker) は、CORBA の中枢となるコンポーネントです。ORB は、オブジェクトの特定と検索、接続管理、およびデータと要求の配信に必要なインフラストラクチャーを提供します。この章では、ORB と IIOP リスナーの設定方法について説明します。
ここでは、次のテーマを取り上げます。
本章で説明するタスクを 管理コンソール から実行する手順については、管理コンソール オンラインヘルプを参照してください。
CORBA (Common Object Request Broker Architecture) モデルのベースになっているのは、明確に定義されたインタフェースを介して分散型のオブジェクトやサーバーにサービスを要求するクライアントです。こうしたクライアントは、リモートメソッド要求の形式でオブジェクトに対して要求を発行します。「リモートメソッド要求」では、実行する必要のある操作に関する情報が伝送されます。この情報には、サービスプロバイダのオブジェクト名 (オブジェクト参照) と、存在する場合は、起動メソッドのパラメータが含まれます。CORBA は、オブジェクトの登録、オブジェクトの配置、オブジェクトのアクティブ化、要求の多重分離、エラー処理、整列化、操作のディスパッチをはじめとするネットワークプログラミングのタスクを自動的に処理します。
個々の CORBA オブジェクトが相互に対話することはありません。代わりに、オブジェクトはリモートスタブを通して、ローカルホストで動作している IIOP (Internet Inter-Orb Protocol) に要求を行います。続いて、ローカルの ORB が IIOP を使用して、ほかのホスト上の ORB に要求を渡します。リモート ORB は、適切なオブジェクトを検出し、要求を処理して、結果を返します。
アプリケーションやオブジェクトでは、RMI-IIOP により、IIOP を RMI (Remote Method Invocation) として使用することが可能になっています。エンタープライズ Bean (EJB モジュール) のリモートクライアントは、RMI-IIOP を使用して Enterprise Server と通信します。
「IIOP リスナー」は、Enterprise JavaBeans のリモートクライアントおよびほかの CORBA ベースのクライアントから受信する接続を受け付ける待機ソケットです。Enterprise Server では、複数の IIOP リスナーを設定できます。各リスナーに対して、ポート番号 (オプション、デフォルトは 1072)、ネットワークアドレス、およびセキュリティー属性 (オプション) を指定してください。複数のリスナーを作成する場合は、リスナーごとに異なるポート番号を割り当てる必要があります。
ここでは、次のテーマを取り上げます。
IIOP リスナーを作成するには、リモートモードで create-iiop-listener サブコマンドを使用します。
サーバーが実行されていることを確認します。
リモートサブコマンドには、実行中のサーバーが必要です。
create-iiop-listener(1) サブコマンドを使用して、IIOP リスナーを作成します。
このサブコマンドのプロパティーについては、このマニュアルページに記載されています。
変更内容を適用するために、Enterprise Server を再起動します。
「ドメインの再起動」を参照してください。
この例では、sample_iiop_listener という名前の IIOP リスナーを作成します。
asadmin> create-iiop-listener --listeneraddress 192.168.1.100 --iiopport 1400 sample_iiop_listener Command create-iiop-listener executed successfully. |
コマンド行に asadmin help create-iiop-listener と入力して、このサブコマンドの完全な構文とオプションを確認することもできます。
既存の IIOP リスナーを一覧表示するには、リモートモードで list-iiop-listeners サブコマンドを使用します。
サーバーが実行されていることを確認します。
リモートサブコマンドには、実行中のサーバーが必要です。
list-iiop-listeners(1) サブコマンドを使用して、IIOP リスナーを一覧表示します。
この例では、サーバーインスタンスの IIOP リスナーをすべて表示します。
asadmin> list-iiop-listeners orb-listener-1 SSL SSL_MUTUALAUTH sample_iiop_listener Command list-iiop-listeners executed successfully. |
コマンド行に asadmin help list-iiop-listeners と入力して、このサブコマンドの完全な構文とオプションを確認することもできます。
list-iiop-listeners(1) サブコマンドを使用して、IIOP リスナーを一覧表示します。
set(1) サブコマンドを使用して、指定した IIOP リスナーの値を変更します。
リスナーは、そのドット表記名で指定します。
この例では、SSL を有効から無効に変更します。
asadmin> set "server.iiop-service.iiop-listener.SSL.enabled" server.iiop-service.iiop-listener.SSL.enabled=false Command set executed successfully. |
IIOP リスナーを削除するには、リモートモードで delete-iiop-listener サブコマンドを使用します。
サーバーが実行されていることを確認します。
リモートサブコマンドには、実行中のサーバーが必要です。
list-iiop-listeners(1) サブコマンドを使用して、IIOP リスナーを一覧表示します。
delete-iiop-listener(1) サブコマンドを使用して、IIOP リスナーを削除します。
変更内容を適用するために、Enterprise Server を再起動します。
「ドメインの再起動」を参照してください。
この例では、sample_iiop_listener という名前の IIOP リスナーを削除します。
asadmin> delete-iiop-listener sample_iiop_listener Command delete-iiop-listener executed successfully. |
コマンド行に asadmin help delete-iiop-listener と入力して、このサブコマンドの完全な構文とオプションを確認することもできます。